2023年9月19日火曜日

米紙の調査結果:「露軍のミサイル攻撃」はウクライナ軍によるもの

https://sputniknews.jp/20230919/17142879.html?rcmd_alg=collaboration2

2023年9月19日, 19:32

ウクライナ統制下にある工業都市で少なくとも民間人15人が死亡した市場へのミサイル着弾は、ウクライナ軍が発射した対空防衛ミサイルによる誤爆だったことが分かった。18日、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が独自調査の結果として伝えている。西側メディアの多くは「ロシアの偽情報」という表現を好んで使うが、自身はウクライナの発信するプロパガンダに踊らされていることが浮き彫りになった。

コンスタンティノフカの悲劇

このミサイル着弾は、ウクライナ統制下にあるドネツク人民共和国のコンスタンティノフカ(コスチャンティニウカ)で9月6日に起こった。市場で大きな爆発があり、少なくとも民間人15人が死亡、30人以上が負傷した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、爆発から2時間も経たないうちに「ロシアのテロ攻撃」と非難声明を発表。それをそのまま引用した日本を含む西側メディアも、「ロシアによるミサイル攻撃で市民死亡」などと伝えた。

ニューヨーク・タイムズ紙も当初は「ロシアのミサイル攻撃」と伝えていたが、18日に独自調査の結果として掲載した記事では別のことが述べられている。

「ニューヨーク・タイムズ紙によって収集、分析されたミサイルの破片や衛星画像、目撃者の証言、SNSの投稿などの各証拠は、悲劇的な攻撃がウクライナの対空防衛システム・ブークから発射されたミサイルの軌道がそれたことによって起こったことを証明している」

また、同紙がこの調査結果を公表したのは、奇しくもゼレンスキー大統領が国連総会出席のため米国を訪問したタイミングだった。

数々の証拠

ウクライナ政権はミサイルの破片や発生直後の現場へのアクセスを制限したというが、同紙記者らは何とかして辿り着き、目撃者の証言や爆発物の残骸を回収できたという。

同紙はまず、現場に備えられた監視カメラの映像には、少なくとも4人の通行人が同時にミサイルが飛んでくる音がする方向を振り向く様子が収められていると指摘。また、爆発の直前には、駐車場に停めてあった車の屋根に反射したミサイルの影も映り込んでいる。これらを考慮すると、ミサイルはウクライナの統制下にある北西方向から飛んできたことが分かる。現場の写真から被害状況を分析した専門家も、同様の見方を示しているという。

また、現場から北西に16キロのドゥルジコフカの住人は、爆発の直前にウクライナ軍がこの町から2発の対空防衛ミサイルを発射したと証言。当時ドゥルジコフカにいた同紙の記者も、発射時の音声を公開している。1発目は午後2時ごろ、2発目は午後2時3分ごろに発射され、コンスタンティノフカで爆発があったのは午後2時4分だった。そのほか、住民らが対空防衛ミサイルが発射された場所と指摘した野原では、爆発当日に新たについた発射痕の焦げ跡が衛星写真から確認できたとしている。

ウクライナはロシアの対空防衛システムS300によって攻撃が行われたと主張しているが、同紙は現場で見つかったミサイルの残骸を分析すると、S300のものではないと指摘。破片の形状や大きさから対空防衛ミサイル・ブークから発射されるミサイル9M38に合致するとしている。ブークは旧ソ連時代に開発され、ロシアもウクライナも保有している。

結論としてニューヨーク・タイムズ紙は、コンスタンティノフカに落ちた考えられる原因の一つとして、何らかの不具合が起き、目標に届かず墜落した可能性があると指摘している。16キロ未満という短距離しか飛行しなかったため、ミサイルには燃料が大量に残っていたと推測され、市場での大規模火災もこれで説明がつくとしている。

印象操作で危機煽る

ウクライナの誤爆が「ロシアの攻撃」として西側メディアによって報じられたのは、今回が初めてではない。昨年11月、ウクライナの防空ミサイルがポーランド領内に着弾し2人が死亡した事案が有名だ。

米AP通信は当初、匿名の米諜報機関職員の話として、ロシアのミサイルがポーランド領内に着弾したと伝えた。日本メディアもそれを引用したり、「ロシアのミサイルか」などといった見出しで推測に基づく報道を行った。

だが、米バイデン大統領や被害を受けたポーランドのドゥダ大統領は、ロシアのミサイルであるとの情報をすぐに否定。当初、「ロシアの攻撃」として西側諸国に「行動を起こす」よう求めていたゼレンスキー大統領も、後に自軍のミサイルによるものだったと認めた。

このときは、北大西洋条約機構(NATO)各国の首脳陣が冷静な反応を示したため危機は回避できたものの、一歩間違えれば第3次世界大戦を招きかねない危険な状況だった。世紀の大誤報を許したAP通信は、後に記事を執筆した記者を解雇している。

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