2022年4月28日木曜日

スコット・リッターのポッドキャストを聞いて考えた

 https://www.youtube.com/watch?v=p6HI_26aU-c

印象にのこったのはつぎの内容:

- ロシア軍は決定的に勝ち進んでいる。アメリカの幹部軍人がミリタリーアカデミーで学ぶけれど、実地にやったことがないような模範的な戦いをしている。キエフを包囲しようとして撤退したのも模範的な陽動作戦で、ウクライナ軍をキエフ防衛に貼りつけることに成功した。

- ウクライナはドンバスに精鋭部隊を貼りつけた。ロシア軍はここで勝った。降伏したのはアメリカでいえば海兵隊のような精鋭部隊。精鋭部隊が降伏するというのは、ほんとうに望みが絶たれた時だけ。

- アゾフの発祥地マウリポルこそ天王山。一般市民を人質にしたアゾフ大隊と戦い、ついにアゾフを製鉄所に追い込んで包囲した。

- ロシア軍は一般市民を殺さず、インフラを破壊しない戦いかたをしている。そのためロシア軍側の被害も大きい。しかし兵士の犠牲者と一般市民の犠牲者の比率は7:1程度で、残念なことに一般市民の犠牲者が出ているとはいえ、作戦は成功裏に進んでいるといえる。

- ドンバスはウクライナからの分離独立を宣言し、自衛の戦いをはじめた。ロシアは独立を承認し、相互防衛協定を締結した。ロシア軍はドンバスの自衛の戦いを支援するために特殊作戦を開始した。これは国際法にのっとったやりかたである。

あなたはロシアの味方をしているのか?という司会者の問いに対し、

- 自分はプロの戦争屋としてこの戦いを観察しているつもりだが、バイアスはある。それはなにかというと、ナチズムは殲滅しなければならないということだ。第二次世界大戦でアメリカ軍が戦った相手はナチだった。アメリカ人は忘れてしまったかもしれないが、2000万人の戦死者を出したロシアは憶えている。戦争の当事者はすでにほとんどなくなってしまったが、子供や孫の世代が憶えている。戦勝記念日には全国のどこでも、何千万人がナチとの戦いで死んだ兵士の遺影を掲げて歩くのだ。だからプーチンは人気がある。

今後の考えられる展望は?

- ノヴォロシアを勢力圏におさめ、ウクライナの中立化を実現すれば、ウクライナはとても小さな地域に引きこもることになるだろう。ウクライナを構成するのはロシア語圏のほかにも、ハンガリー語を話す地域、ポーランド語を話す地域などがある。それらすべてが独立してしまえば、残された地域はとても小さくなる。ロシアにとっては、バッファーとしての中立地帯が白保できればそれでいいはずだ。

ゼレンスキーを殺さない理由は?

- ロシアがゼレンスキーを殺そうと思えばすぐにでも殺すことができる。ゼレンスキーほど殺しやすいやつはいない。ロシア軍はネットを遮断する能力がじゅうぶんにあるのにそれをせず。ゼレンスキーがアメリカやその他の国の議会でオンライン演説し、カネや武器をあつめているというのにそれをしない。それはこれが戦争ではなく特殊作戦だからなのだが、おそらく他にも理由がある。それは、これが戦いである限りいつか終わる。戦いが終わると、和平交渉があり、条件が明文化される。(ウクライナはいまのところドンバス独立もクリミア併合も認めていないが、それらを承認させ)おそらくそうなるであろうノヴォロシアの独立など、飲ませるべき条件がいっぱいある。そのためには交渉相手がいなければならないし、しかもそれが人気のある大統領であればウクライナ人に対する説得効果が大となる。

(・・・なるほど、70年前はとてもブリリアントだったアメリカが、日本に対してとったやりかたと同じ:昭和天皇はゼレンスキーで、東條英機がアゾフだな。悪いのはぜんぶ東条英機で、昭和天皇は騙されていただけ。昭和天皇が忍び難きを忍んで受け入れた敗戦なのだから、日本国民なら納得するはず、と。ゼレンスキーがユダヤ人であることもプラスに作用する。)

バイデンについて

- バイデンを客観的に評価することができない。なぜかというと、イラクの大量破壊兵器査察官として、アメリカ議会の証言台に立ったとき、バイデンが私にいったことを忘れていない、その個人的経験があるからだ。言えることはバイデンは筋金入りの嘘つきである。彼の息子のハンター・バイデンが名ばかり役員をやっていたブリズマというのは、ウクライナのオリガークがアメリカ高官を買収するためにつくったような会社だが、いまのアメリカ政府の高官たちはみなブリズマのカネまみれといっていい。ロシア専門家といっても、プーチンの悪口を論文にして博士号をとったようなのばかりで、ロシア人がどういうふうに考えるかわかっているのはいない。バイデンはプーチンを恫喝し、ロシアを追い込んで戦争に持ち込み、ウクライナにブリョム支援をすれば勝つだろうと思っていた。だからロシアのエネルギーが不可欠のEUに対し、アメリカに賛同すれば必ずうまくいく、プランBもある、原油も融通するし、LNGも大丈夫と保証した。ロシアに対して「前代未聞の経済制裁」なんて恫喝したので、プーチンは数カ月間のあいだ準備する猶予があった。そして現実はいまのように展開しているのだが、ルーブルはいっとき暴落したけれど回復したし、モスクワの株式市場も活況だ。こまっているのはEUで、あるはずのないプランBはバイデンの嘘だった。いっぽうプーチンははったりをかまさない。プーチンが「即応かつ対称的な対応をおこなう」といったら、それを実行するということだ。

NATOはなぜ東方拡大するのか?

- 2004年ごろ(?)プーチンがNATOに加盟したいと言ったことがあったが、NATOに却下された。そもそも却下されることを前提に言ったようなふしもあるが、結果は同じ。冷戦終結後のNATOにとって敵が必要であり、それがロシアだったのだ。

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