ECOWAS失速
マーティン・ジェイ 2023年8月30日
ニジェールをめぐる3つの興味深いニュースが流れている。第一に、ナイジェリアのテロ集団が、ECOWASの指導者でもあるナイジェリア大統領に、ニジェールへの軍事介入を何としても避けるよう公然と訴えたこと、第二に、ジョー・バイデンが率先して国連の廊下で、ボラ・アハメド・ティヌブと会談。巨額の米国投資がニジェールに向けられる可能性を示唆した。3つ目は、つい最近、ニジェールの政権が、ECOWASが予告していた「介入」から自国を守るために、マリとブルキナファソの軍隊を自国に招き入れた。
バイデンがティヌブと交わしたおしゃべりは、これから起こること、起こりうることについて多くを語る。米国がECOWASを軍事的に支援するかどうかという疑問は、バイデンがナイジェリア大統領に賄賂を贈ったことで答えが出た。そうはならない。
事件の渦中にいるティヌブは、インタビューではECOWAS加盟国から介入を強く迫られているような印象を与えるが、彼は怒りを鎮め、外交的な解決策を模索している。報道陣に向けた彼のコメントは、米国務省が書いたもので、彼と米政権との距離の近さを物語る。ナイジェリア大統領のECOWAS議長としての役割が注目されている。
彼は何を望んでいるのか?彼の目的はECOWASではなくナイジェリアなのか?
ジョー・バイデンが提示した米国企業からの新たな投資という提案は、的を射ていない。ティヌブは、より早く、より簡単な現金を狙っている。
ティヌブは、アフリカの民主主義が「大陸内外の反民主主義勢力によって攻撃されている」と述べた。
「第二次世界大戦後、戦争で荒廃したヨーロッパを支援するために作られた、アメリカが支援する開発金融機関や多国間機関が、アフリカの若い民主主義国家の発展要件を満たすために、迅速かつ包括的な改革を採用するよう」求めた。
それほど難解ではない。米国が介入し、ついでにIMFや世界銀行からの返済不要のソフトローンを中央銀行で満タンにできるのか?乾杯!
バイデンもティヌブも、フランス語圏アフリカの4カ国目がロシアの手に落ちることは気にしていないようだ。マリとブルキナファソは、いずれもロシアの属国で、ニジェールと連帯感を示している。ニジェールはフランスを追い出し、事態を混乱させ、ニュアンスを単純化したがる西側のエリートたちにとって、大きな痛手だ。「我々はニジェールをロシアに奪われた」というのはよく使われる決まり文句かもしれないが、現場の事実はもっと複雑である。ニジェールでは確かに新政権に好意的なようだが、これまでのところロシアの役割は不明だ。
プーチンとバイデンが一致しているのは、ニジェールで戦争をしたくないということだ。
ニジェールがECOWASの重要なプレーヤーであり、そのメンバーの多くが、ニジェールがこの地域のイスラムグループに対する最前線の攻撃を重要視していたことは忘れられがちだ。
ECOWASからの圧力と呼ばれるものが、胸を張る以上の形で現れることはない。ECOWASのメンバーには介入する気概はあっても、米国もロシアも資金を提供しない戦争に踏み切る気概はない。ウクライナ戦争、バイデンの外交政策における失策、マクロンの傲慢さ、BRICSの台頭はすべて、アフリカの現在の危機の一因である。シリアで屈辱を味わったオバマが2015年に思いついた「ソフトパワー」構想で唯一残ったものは、汚職にまみれた西アフリカの指導者が自分の陰謀組織と共有するための、スーツケース一杯の現金だけだ。情けない話だ。
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