ダグラス・マクレガー：トランプと世紀の嵐

https://www.zerohedge.com/geopolitical/col-macgregor-trump-storm-century

2024年11月21日木曜日 - 午前09時40分
著者：ダグラス・マクレガー大佐（退役軍人）
ドナルド・トランプ大統領がワシントンに戻れば、イスラエルがイラン攻撃に自信を持つ。多くの国の首都が恐れている。エルサレムにある「シオンの友博物館」の創設者、マイク・エヴァンスによれば、「トランプ大統領がネタニヤフほど尊敬する世界の指導者はいない。」
イランの石油生産施設が破壊されればイラン経済は壊滅的な打撃を受け、トランプ大統領が就任する前にイランがイスラエルとの戦争を終わらせるように仕向けられる。この想定で、トランプ大統領は就任前にイスラエルによる攻撃を支持するとも言う。イスラエルがイランの核開発施設を攻撃するのも想定内だ。
トランプが何をするかしないか、未知数だ。テヘランとエルサレムの対立がいつ終わるのかわからない。
ひとつだけ確かなことがある。アメリカがイスラエルとともにイランとの戦争に参戦すれば、その結果は地政学的な対決であり、われわれの知る世界を劇的に変える。21世紀の嵐であり、アメリカ国家という船は嵐に向かって航海している。
少なくともトランプは、4つの重要な質問について、文民と軍のアドバイザーに回答を求めるべきだ。
質問1.アメリカがイランに戦争を仕掛ける目的は何か？の目的はイラン国家を破壊することか？イスラエルと戦争する能力を破壊するためか？イランの核開発能力を排除するためか？イラン国民が国政を転覆させることを期待して、イラン国家を切るためか？
これらの目標はすべて、真剣な研究と分析を必要とする。重複する場合もあれば、そうでない場合もある。答えに関連して、これらの目標を達成するために必要な資源、人員、能力、時間を特定する必要がある。
アメリカの空軍と海軍が、イランの密集した空とミサイルの防衛網をかいくぐって、強力な無力化攻撃を行わなければならない。イランとこの地域の同盟軍による攻撃から自軍と米軍基地を防衛しなければならない。弾薬の在庫が底をつき、人的・物的損失が補填されるまでに、部隊はどれだけ活動できるか。
計算に基づいて、目的は達成可能かもしれないし、不可能かもしれない。国家の政治的・軍事的指導者たちは、短期間で決定的な成果を達成するよう計画し組織する。しかし戦争は常に予想以上に長引く。
質問2.米国の軍事力はどのように目的を達成するのか？
兵器システムと弾薬の適切な組み合わせは何か。イランの戦闘能力を大きく左右する効果が期待できる標的とは？第2次世界大戦後、爆撃効果に関する研究により、航空戦力がドイツの敗北に最も大きく貢献したのは、ドイツの燃料生産とそれを運ぶ輸送網を破壊したことである。次に重要な貢献は、ドイツの都市や産業を守らるドイツ空軍の、近接航空支援を奪ったことである。何千トンもの爆弾が何千もの標的に投下されたにもかかわらず、ドイツの戦争マシーンには最小限の影響しか与えなかった。
航空戦力とミサイル戦力だけで、イラン国家をイスラエルとアメリカの要求に従わせることができるのか。今日に至るまで、宇宙ベースや地上ベースの永続的な情報・監視・偵察（ISR）能力と結びついた精密打撃力をいくら駆使しても、戦争で勝利をもたらすことはできなかった。
コソボ空爆作戦はセルビア経済に甚大な損害を与えたが、セルビアの地上軍への影響はごくわずかだった。モスクワがセルビア国民へのエネルギーと食糧支援の約束を撤回すると、発電所や民間・商業インフラの破壊はセルビアの指導者にコソボから軍を撤退させるように仕向けた。