2017年5月11日木曜日

カイザーリポート 第1067回と第1068回の要約

[KR1067] Keiser Report: Shareholders Getting Leftovers
http://www.maxkeiser.com/
アメリカン航空が利益を株主ではなく従業員に還元したことが批判されています。「働かざるもの喰うべからず」という原則に立ち戻ったアメリカン航空。「株主が残飯を喰わされる」ことのどこがおかしいのでしょうか?

マックスいわく、いまの状況はゼロ金利で得た資金をオリガーキーどもが製造業などまともな投資もせず雇用もせず不動産に投資している。企業が利益を従業員に還元すれば景気が拡大する・・というのは資本家的自由経済社会の法則だったはず。しかしいまや多くの大企業は投資も従業員も必要としていない・・・というのが今回のマックスの名言です。
 ステイシーいわく。ボトムの50%の人間は必要とされていない。そして「アメリカ人の40%が収入の半分を借金返済に使っている」という調査結果を引用します。

マックスは極端なはなし、金が欲しくなったら石油を汲みだせばいいので、国民など必要としていない、というサウジアラビアを引き合いにだします。
これはアメリカ政府も同じことで、石油じゃなくてドルを刷りまくってきた国として、製造業も雇用も必要なく、税金すら必要なく、600兆ドルのデリバティブのバブルを膨らませるだけ膨らましてきました。マックスいわく、それにくらべて3兆ドルの税収など鼻クソみたいなもの。銀行資本は「もっと金を剃らないと景気が悪くなるぞ」と連銀を脅している、と。

ところでアメリカ人のおよそ半数が25000ドル(350万円)の借金を抱えていて、国民ぜんぶの借金平均額は(なんと住宅ローンをのぞいて)37000ドル(550万円)だそうです。このように借金から逃れるのは不可能な状況をマックス・カイザーは「金利アパルトヘイト」と呼びます。銀行資本は銃もなにも使わず「金利を上げる」ことで人民を脅しています。借金漬けになった人民には金利上昇が最大の脅しになるからです。基本的にガンをつきつけて「金を出せ」という銀行強盗となんら違いはありません。

トランプに投票したのはそういう借金を抱えている人たちのはずです。カイロでもベネズエラでもそういう人たちは徳政令に期待してポピュリストに投票し、裏切られる、とステイシーは言います。

カナダのローン会社ホームキャピタルグループ(HCG)が経営危機に陥り、20億ドルの緊急支援をしようというある筋は22.5%の金利を求めました。この「ある筋」というのはオンタリオ医療者健康保険組合。つまりオンタリオの医療従事者たちが自分たちの年金を守るためにローン企業から22.5%の金利を毟り取るということです。要すれば他人よりいかに早く毟り、撮り逃げするか、犬が犬を喰う社会になっています。

[KR1068] Keiser Report: Never-ending Greek bailout
プエルト・リコが破産宣言という話からはじまって話題はビットコインが資本逃避に使われているという話になりました。
こないだ日本はこっそりビットコイン(クリプト通貨)を承認しましたが、日本政府始めメガバンクがビットコインを戦略的巡撫通過にするのも遠い将来の話ではなさそう。アップルの資産が8000億ドルなのだからビットコインが2000億ドル程度にとどまるわけはない、とマックス・カイザーは言います。FXの世界では毎日6兆ドルが流れているのだから、ビットコインのボラティリティーもこれから大きくなるに決まっています。

さて今回の主題は自転車操業のギリシャ。IMFはじめトロイカから注入されたマネーはことごとくがメガバンクのアカウントに入り、ギリシャ人民には届いていません。IMFはギリシャについてGDPの179パーセントにのぼる借金は持続性がまったくないといいつつ、ではどうするかと聞かれれば、港湾や空港や道路やトンネルや造船業など国家の資産を接収して売り飛ばすしかありません。消費者金融が債務者の身ぐるみを剥ぐやりかたとまったく同じです。つまり金を返せないのなら国家として独立した政策などすべて剥ぎ取られるということになります。

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