2022年10月24日月曜日

スプートニク日本語記事の抜粋:日本は火種を抱えたまま、望ましからぬ「次の戦争」に向かって着々と準備を進めている

https://sputniknews.jp/20221024/13500057.html

2022年10月24日, 22:40

(略)

ロシアの軍事専門家で東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は、出演した「テレ東BIZ」の番組のなかで興味深い指摘をしている。

同氏は台湾有事の際、日本がウクライナ紛争におけるポーランドのような立ち位置になるとみている。直接参戦はできなくても、日本から発進する米軍の偵察機が台湾に情報を提供するなど、準参戦国となりうるというわけだ。また、中国との部分的な衝突や離島占拠、沖縄に限定的な攻撃を受ける可能性なども現実的な脅威として議論すべきだとの考えを示している。

また、小泉氏は過去に沖縄県宮古島で新設された陸上自衛隊・宮古警備隊の編成式に参加した際、防衛省側が基地負担を受け入れている住民に対し十分な説明責任を果たしていなかったと指摘し、次のように述べている。

「住民からしてみれば、自衛隊がいなければ中国軍が来ても無血占領かもしれないが、自衛隊がいたらそこで戦闘が起こる。でも、そこは日本の国家主権のためだからということで受け入れているのに、日本政府が住民に適当な事しか言っていないなら、『中国に無血占領してもらえばいい』と考える人が出てもおかしくない」

ここで指摘されているのは自衛隊の部隊の話だが、住民が日本全体の安全保障のために基地を負担しているという点においては米軍基地と同じだ。

安保問題で「主権のない」日本

そもそも、戦後77年が経っても沖縄に残る米軍基地をめぐる論争は、日米安保体制がもたらした構造的問題といえるだろう。

日本は非核保有国だが、周りを見渡すと中国、北朝鮮、ロシアといった核保有国に囲まれている。こうしたなか、安全保障を確固たるするために米国の「核の傘」に下に隠れ、国内に点在する米軍基地の抑止力に依存せざるを得ない状況となっている。

こうした日米同盟の力関係を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は次のように指摘している。

「米国は2回にわたり核兵器を使用し、日本の広島と長崎を破壊した。米国はいまだに、ドイツや日本、韓国などの国々を冷笑的に『同盟国』と呼びながら、事実上占領しているのだ」

これはウクライナ情勢をめぐり露米、露日関係が悪化したなかでの発言ではあるが、言い得て妙といえるだろう。「日本は米国の51番目の州」と揶揄されることがあるが、これは日米同盟に依拠するあまり、安全保障分野で自国の自由度が低いことから出た一種の「自虐ネタ」なのかもしれない。

実際に、直近でも外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」などの改定に向けては、政府は米高官に意見聴取を行っていると報じられている。このことは、日本の防衛が米軍ありきであることを証明している。

このように、覇権国・米国と敗戦国・日本のいびつな同盟関係の間で翻弄され続けてきた沖縄。そこで第二次世界大戦終結後、本土復帰を経ても残された基地問題は未解決のままだ。

日本が米国の軍事力に頼り切っている以上、沖縄は対中国における戦略的な最重要拠点であることは今後も変わらない。もしかすると、沖縄の基地問題は日米同盟が存在する限り、永遠と解決されない問題なのかもしれない。日本はこの火種を抱えたまま、望ましからぬ「次の戦争」に向かって着々と準備を進めている。


0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム