2023年7月8日土曜日

門外漢の考察:アメリカの杜撰さは特筆すべきレベル

コソボ紛争は1998年。その頃からNATOは確信犯的に大手メディアを繰ってウソ情報を大量に流してきた。2014年のMH017機撃墜事件も、中立客観的なはずのオランダ当局が不可解な沈黙と不可解な経緯の末、ドネスク独立派の仕業にされた。

90年代から練られた計画としては、杜撰さがめだつ。

ひとつの考えかたとして、90年代にドラフトがつくられたので、21世紀になってからの進展を織り込んでなかったのかもしれない。

的場昭弘さんが秀逸な指摘で、ローザ・ルクセンブルクを引用している。

https://toyokeizai.net/articles/-/684398?page=3

「資本主義は、伝搬する力をもった最初の経済形態であり、地球上に拡大して他の一切の経済形態を駆逐する傾向をもち、他の経済形態と併存することを許さない、そういう経済形態である。しかし、資本主義は同時に、自己の環境と培養土としての他の経済諸形態なしには、一人で存在することのできない経済形態である。―――資本主義は、それ自身において、一つの生きた歴史的矛盾であり、その蓄積運動は、矛盾の表現であり、矛盾の不断の解決であると同時に矛盾の強化である」(『資本蓄積論 第三編』小林勝訳、御茶の水書房、2013年、219ページ)

拙者なりに取りまとめると、こうなる:

1. 西欧資本主義の成り立ちは、植民地を搾取することで原資を蓄積した。

2. 西欧資本主義は、独立させた旧植民地を国際金融システム(ドル基軸システム)による借金で縛り、西欧に従属させた。

3. アメリカが暴走して、ベネズエラの金塊やロシアのドル資産を奪った。旧植民地の偉い人たちが、自分らのドル資産もやばいことに気づいた。アラブの金持ちも同じように考えたので、原油をドルのみで表示し取引すること(ペトロダラー体制)をサボるようになった。

アメリカの暴走というのは、第1に基軸通貨の立場を悪用して世界中から借金しまくった。第2にIMFと世界銀行のやり方があまりに横暴で、ジョージ・ソロスみたいな奇型爬虫類を生み出した。第3に富の偏在と格差が幾何級数的に増大した。第4に、敵対する国家の外貨資産を奪った。

アメリカ政府は、

a. 世界を制圧するために800余りの軍事基地を展開するに至った。そのいっぽうで、アメリカの在外公館数は273。数でも質でもアメリカの外交は軍事力である。蛇足ながら、諜報機関だったCIAはテロ養成機関、連邦警察だったFBIは準軍事機関となった。

b. 世界に展開する800余りの軍事基地を運営するために、アメリカの財政は返すつもりのない借金に頼った。基軸通貨なのでカネはいくらでも印刷することができる。

d. 基軸通貨としての利益を最大化するためアメリカの経済を金融化した。

e. 経済を金融化してドルが強くなったので、グローバルサウスの資源国からエネルギーや天然資源を調達するコストが安くなった。

f. 経済が金融化すると、相対的に人間のコストと物価が高くなった。人間のコストが高くなったので、製造業をグローバルサウスに移した。技術も移転した。残ったのは武器製造業とSNSとアップルとアマゾンだけになった。

g. なんだかんだ言っても、アメリカには天然資源もエネルギーもあるので、ドルが基軸通貨でなくなっても、そこそこやっていけるだろう。借金を返すつもりはないかもしれないが。

EUのことは別に項目を立てて考察するので、割愛する。

今後の可能性。

あ。ウクライナ戦争で、アメリカ製の兵器は役に立たないことが、世界中の軍事オタクと軍事関係者にバレてしまった。役に立たないというのは言い過ぎかもしれないが、フェラーリで山岳遭難救助に行くような感じだ。

蛇足ながら、そりゃそうだ。ベトナム戦争では、森林と山岳と村落に隠れるゲリラに手を焼いて、ダイオキシンで森林を枯らせ、村落を焼いて人民を殺し、結果的にゲリラを大量生産した。枯葉剤を作ったモンサントは世界有数の化学肥料会社になって、遺伝子操作種子を開発した。村落を焼くためのナパーム弾は、こないだウクライナに供与が決定したクラスター爆弾に進化した。アメリカの戦争産業は、その方向で発達した。

ちなみに、ベトナム戦争に負けたきっかけは、アメリカの学生たちとメディアが騒いだから。ベトナムがアメリカの学生たちとメディアを操作したなんて、ほぼなかった。アメリカがひどいことをやりすぎたし、半端ない数のアメリカ兵が死んだから。

イラク戦争の頃から、アメリカ兵が死ぬのを政府が恐れるようになった。軍事技術では、ぽくぽくした砂漠を走り回ることのできる戦車を開発した。でもガソリンは地元からぶんどったらよかったので、燃費は気にしなかった。

アフガニスタンでアメリカ軍は要塞空港に引きこもっていて、ときどき飛行機で出かけて行って爆撃した。敵は山の洞穴に隠れたので、洞穴を崩せるような威力の爆弾を作った。でも基本的に、山岳地帯の羊飼いのおっさんたちが相手だったので、携帯通話でボスの居所を特定し、狙い撃ちにできるようなドローンに進化させた。アフガンでは戦争を民営化することを思いついて実行した。民営化すると、副業でケシ栽培を奨励した。本業はときどきでかけて爆撃するだけ。副業はフルタイムでケシ畑の守備。どっちが本業でどっちが副業やら。

ベトナムでは化学兵器と大量殺戮兵器。メディア操作の教訓。イラクでは高性能高価格高燃費のフェラーリみたいな戦車。アフガンではピンポイント殺人ドローンと高性能爆弾。

アメリカには軍需産業しか残ってないので、武器が売れなくなったら産業が壊滅する。軍需産業は全州にまんべんなく数千人を雇用する工場を分散させていて、つまりどこの州の議員も軍需産業のポケットに入っている。武器が売れないと議員を買えない。

い。アメリカの経済はドルが基軸通貨であることを前提にした金融経済。ドルが基軸通貨でなくなると崩壊する。なんで崩壊するかというと、めっちゃ借金をしているから。コツコツ働いたら借金を返せるかもしれないが、軍需産業がない国の武器が売れなかったら、働く場所がなくなる。

う。ドルが基軸通貨としての地位にいるのは、原油価格がドルでのみ表示されていたから。ドルじゃなくユーロ表示しようぜ、と言ったサダムをアメリカは殺した。アフリカ共通通貨を作って原油を売ろうぜ、と言ったカダフィも殺した。でもプーチンさんと習近平を殺せない。きっと警備が厳しいんだろう。もうひとつは、サダムもカダフィも格下国家の元首だった。アメリカはこの70年間くらい、格下国家としか戦っていないし、格下相手の戦争で勝っていない。ロシアや中国みたいな大国とガチの戦争をしたノウハウがない。だからプーチンさんも習近平も殺せないし、人民元で原油取引をされてもしかたがないと思っている。1970年以前、ドルはゴールドと交換できた。ゴールドとリンクしなくなったドルだが、原油価格表示通貨となって、エネルギーとリンクして、かろうじて地位を保った。ただいま絶賛開発中のグローバルサウス共通通貨が穀物などのコモディティー、耕作地の面積、エネルギーやレアメタルなどの地下資源などの総合指数でリンクするようになったら、ドルは基軸通貨でなくなる。

え。キッシンジャーとか、その先輩たちが知恵を絞って作り上げた、資源と武力と金融、国際機関とシンクタンク、官僚機構と学術研究が相互ロックインした鉄壁の世界征服システムが、その鉄壁さゆえに、都市の自然災害時の交通渋滞みたいに抜き差しならぬ事態になる。

世界中の金持ちがゴールド買いに走っている。ロシアはゴールドを産出する。そのうちに世界中の金持ちがグローバルサウス共通通貨買いに走る。ロシアは地下資源とエネルギーを算出する。蟻の穴からダムが崩壊するように、金持ちの挙動は誰にも管理できない。

タイトルに「見通しの杜撰さは特筆すべきレベル」と書いたが、完璧に見えるシステムがうまく機能していたからこそ、大企業によくあるように、個々の部署では部分的仕事しかせず、全体を見渡せるような人材を育てることができなかったし、個性的な人材は潰されてきたか、他社に転職した。ロシアも中国も大国ながら、中小企業みたいな上意下達カルチャーだとしたら、この下剋上も産業界ではよくある話じゃないか。






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