2023年9月1日金曜日

ロシアが漁夫の利を得る

https://sputniknews.jp/20230901/---16956636.html

2023年9月1日, 06:31 (更新: 2023年9月1日, 06:47)

中国当局は、福島第一原子力発電所からの処理水の海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を禁止した。これは間違いなく、中国にとって最大の水産物供給国のひとつであるロシアを利することになる。米メディア「ビジネスインサイダー」が伝えている。ロシア当局はすでに中国への水産物輸出拡大に関心を示している。

同メディアによると、世界最大の水産物輸入国のひとつである中国は、日本による福島第一原発の処理水海洋放出の決定後、「中国の消費者を保護し、輸入食品の安全性を確保する」必要性を理由に、日本産製品の輸入を禁止した。そして直ちにロシア連邦動植物検疫局は、中国への露産水産物の供給を大幅に増やす用意があることを表明した。同局は「中国市場はロシアの水産物輸出先として概して有望だ。我々は、認可されたロシアの企業や船舶、輸出の量や品揃えの増加を望んでいる」と声明を発表している。

ビジネスインサイダーが指摘するように、ロシアはすでに中国にとって最大の水産物供給国のひとつであり、894社のロシア企業が中国への水産物輸出許可を得ている。2022年時点で、ロシアの水産物輸出の半分は、中国、日本、そして同じく日本産食品の安全性に懸念を表明している韓国に輸出されている。

先にスプートニクは、日本が福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、ロシア消費者権利監督庁が日本から輸入食品の放射線規制を強化したことについて報じた。

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日本と中国が消費者獲得競争に入る 福島原発の処理水放出は中国経済にどのように役立つのか?

2023年8月31日, 22:22 (更新: 2023年8月31日, 22:44)

日本政府は、福島第一原子力発電所の処理水放出が始まったのを受けて中国が日本産水産物を禁輸したことへの対応策の検討に着手した。考えられる対策の1つは、世界貿易機関(WTO)への提訴だ。「スプートニク」は、これが日本の貿易にどのような損失を与える可能性があるのかなどについて、経済アナリストと議論した。

日本産水産物の禁輸を理由に日本政府が中国をWTOに提訴する可能性はどれくらいあるろうか、また中国がWTOに提訴する可能性はどれくらいなのか、そして実のところ同対立の背景には何があるろうか。スプートニクと一緒にみてみよう。

投資会社インスタント・インベストの金融市場・マクロ経済分析担当ディレクターのアレクサンドル・ティモフェエフ氏によると、今回の対立における福島第一原発からの処理水放出は、中国にとってその手順の安全性に関する懸念よりも、むしろ、日本産水産物に代わって中国産水産物を市場に流通させるための口実だ。

中国政府がまさに今この戦略をとった理由を説明した。

「過去半年間に中国経済では構造的な変化が起こった。それは新型コロナとその影響に対するゼロトレランス政策中に、中国が自国の経済と生産に損害を与える行動を取ったことにある。現在、中国経済は急速な成長ペースに戻りつつある。一方、パンデミック後、中国経済が成長できる分野はそれほど多くないことが明らかになった。したがって、中国経済は何によって成長できるのか疑問が生じた。なぜなら世界市場は飽和状態であり、欧州は景気後退に陥っており、米国市場は中国にとってますます閉鎖的になっているからだ。そのため現在、中国経済が農産物や水産物を含む食料に大きな重点を置いているのはまったくもって論理的だ。また中国は、ロシアから飼料を含む大量の資源を受け取った。したがって、自国の漁業の良好な発展と南シナ海の利用の成功を背景に、中国には日本側の余計な競争相手が必要ない」

ティモフェエフ氏は、現在の状況において中国政府は国益のために自国の生産者を最大限保護し、外国の生産者を同市場から追い出すと考えている。また中国は、日本の処理水放出も日本が自国の利益を満たすための行動だとみなしている。

中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は30日の記者会見で、日本による福島第一原発の処理水放出は「私利私欲に走った極めて無責任な行為だ」と述べた。

ティモフェエフ氏は、米国をはじめとした世界の主要国はすべて福島第一原発からの処理水放出によって重大な事態は何も起こらないと考えているため、今回の中国の禁輸措置をめぐり、日本にはWTOで正義を獲得するチャンスがあるとの見方を示している。

「つまり、処理水の放出をめぐって世界のメディアが騒いでいるが、実際に危険はないと考えられていることだ」

日本の松野官房長官は30日の記者会見で、中国による日本産水産物の禁輸について「WTOの枠組み等の下で必要な対応を行っていく」と述べた。

ティモフェエフ氏は次のような見解を示している。

「一方、近いうちに日本と中国がそれぞれWTOに相次いで提訴する可能性が高い。中国は、日本が中国市場を差別してあらゆることに違反していると主張する。したがって、中国政府にとってこれは水資源および水産物の販売市場をめぐる日本政府との来る戦いにおける『試し撃ち』となる。まずは魚と食料全般だ。一方、今のところ双方は、比喩的に言えば、力比べをしているだけだ」

またティモフェエフ氏は、そこでは日本や米国がその対戦相手に含まれる「食料安全保障」のようなゲームができるのはアジア諸国の中で中国しかいないとの考えを示し、それはその経済規模のおかげだと指摘している。同氏は続けて次のように語っている。

「中国は漁獲量だけでなく、コストが生産費の半分以上を占める生物資源の生産量も増やしている。またロシアとの協力のおかげで中国には現在、十分すぎるほどの資源がある。したがって、中国が現在、漁獲だけでなく、魚の生産にも期待しているのはまったくもって論理的だ」

そして中国は、この消費者獲得競争に勝利し、日本競争相手を押しのけることに期待している。

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処理水放出で意見交換会 福島・郡山市の住民が厳しい批判

2023年8月31日, 21:26

福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出をめぐり、福島県郡山市では30日夜、住民グループが政府と東京電力の関係者との意見交換会を開いた。意見交換会には住民約150人ほどが参加。住民は関係者から海洋放出に至った経緯などの説明を受けるも、「真摯な回答が得られなかった」として不満をあらわにした。

処理水の海洋放出は今月24日から開始された。初回は7800トンの処理水が17日間かけて放出される計画。 国際原子力機関(IAEA)の報告によれば、日本政府の海洋放出計画は国際的な安全基準に「合致」しており、人及び環境への放射線の影響は無視できる。

この決定をめぐっては、中国やロシアなど近隣諸国からの厳しい批判はもとより、日本国内の漁業関係者からも風評被害など懸念の声が上がっている。

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