2023年10月20日金曜日

ガザ病院の惨劇はなぜ起こったか 軍事的側面から分析

https://sputniknews.jp/20231019/17480247.html

2023年10月19日, 21:34

イスラエルとの戦闘が続くパレスチナ・ガザ地区で17日、病院が爆撃を受け約500人が死亡した。スプートニクは専門家に話を聞き、軍事的側面から惨劇の原因を探った。

パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスは17日、ガザ市中心部のアル・アハリ病院へのイスラエル軍の攻撃で、500人が死亡したと発表した。イスラエルはハマス側の武装組織「イスラム聖戦」によるロケット弾発射の失敗が原因として関与を否定している。

使用爆弾は米製か

双方の主張が食い違うなか、真実はどこにあるのだろうか。露軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏は、攻撃時の爆風で揺れる病院の映像は、イスラエル軍の攻撃によるものだとするハマス側の主張に合致すると指摘する。

「爆発の威力と映像で聞こえる特徴的な音から判断すれば、この攻撃は米国製のGBU31(編注:誘導爆弾ユニット31)の可能性が高い。」

GBU31は通常の無誘導爆弾に、精密誘導を可能にする装置JDAMを搭載したもの。スマート爆弾とも呼ばれる。

露ミサイル・砲科アカデミーの軍事専門家、コンスタンティン・シブコフ氏もレオンコフ氏と同様の考えを示した。

「イスラエル空軍がGBU31を誤って投下した可能性は高い。何らかの制御システムが不具合を起こし、誤った場所に落下したのかもしれない。」

イスラエルの主張の根拠は

イスラエル側は「イスラム聖戦」によるロケット弾の発射失敗で、悲劇が起こったと主張する動画を投稿している。イスラエル軍は、ミサイル攻撃であれば駐車場が炎上したり屋根が飛び散るのではなく、大きなクレーターが残るはずだと指摘。軍のダニエル・ハギリ報道官は「駐車場などに損傷はあるが、外からの直撃はなかった」と説明している。

だが、シブコフ氏はイスラエル軍の説明に疑問を呈した。

「クレーターは通常、建物がない場所に攻撃が当たった場合にできる。病院に直撃したとすれば、建物が崩壊するのでそこに大きな穴が空くわけがない。」

シブコフ氏は、被害の大きさを考慮すれば、非常で大型で精巧な兵器が使用されたと指摘。イスラエルの諜報機関が暗躍するガザ地区で、そうした大規模な装置を隠せるとは考えにくいと説明している。さらに、信頼できる情報が不足しておりミサイルか誘導爆弾かを断定することは難しいとしながらも、「イスラエルが最新鋭のミサイルを保有しているのに対し、パレスチナの武装勢力はそうではない。」とも付け加えた。

「いずれにせよ、ハマスの痕跡は見えない。彼らはこれまでの被害を出せるミサイルを製造することはできない。イスラエルが意図的に病院を攻撃し、そこにいたかもしれないハマス過激派の殲滅を企図した可能性も排除はできない。」


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