トランプ大統領がBRICSをターゲットに100％関税をかければアメリカは破滅

https://sputnikglobe.com/20241201/trumps-threat-of-100-tariffs-targeting-brics-would-blow-up-in-americas-face-heres-why-1121061233.html

ドナルド・トランプは、BRICSが独自の通貨単位を作ろうとしたり、「強大なドルに代わる他の通貨」を支持したりした場合、BRICS加盟国に100％の輸入関税を課すと脅した。実際にはどうなのか？次期大統領が実行に移した場合、誰がより多くの損失を被るのか？スプートニクは英国の著名な経済学者に尋ねた。
「私たちが傍観している間に、BRICS諸国がドル離れを進めるのはおしまいだ。」と、ドナルド・トランプは土曜日にソーシャルメディアに投稿。来月大統領に就任した後、アメリカの世界経済における優位性を再び確立する計画を概説した。
「私たちはこれらの国々に、BRICSの新通貨を作らない、あるいは強大な米ドルに代わる他の通貨を支持しないことを約束してもらう必要がある。他のカモを探しに行けばいい。BRICSが国際貿易で米ドルに取って代わる可能性はなく、そうしようとする国はアメリカに別れを告げるべきだ。」とトランプは警告した。
トランプ大統領は就任1期目、同盟国も敵対国も標的にした高関税を好み、1月には元通商担当官のロバート・ライトハイザー氏を復職させ、以前の政策を繰り返す計画をほのめかした。BRICSに対する「100％関税」という脅しは、PPPベースで世界の経済活動の約35％、地球上の人口の40％以上を占める経済圏を標的にした、これまでで最大の通商関連の威嚇発言である。
「アメリカはBRICSに経済的に依存している。トランプ次期大統領はBRICSを脅し、屈服させることができると考えているなら、違うことが起こる。」と、イギリスのベテラン経済学者でグローバル・ジャスティス・ムーブメントの共同設立者であるロドニー・シェイクスピア氏はスプートニクに語った。
「トランプはBRICS諸国を個別に標的にできると考えている。それに対してBRICSは集団で行動する。トランプ大統領の考え方は、過去の覇権主義に基づいている。その時期は急速に過ぎ去ろうとしている。」と、現在インドネシアのトリサクティ大学で客員研究員として教鞭をとるシェイクスピアは説明した。
米ブリックス貿易戦争はどうなる？
米国はBRICS加盟国に対して4,335億ドル近い貿易赤字を抱えている。BRICSのパートナー国および加盟候補国（合計50カ国以上）のうち、対米貿易で大幅な赤字を出している国はなく、大幅な黒字を誇っている国がいくつかある。潜在的なパートナーであるベトナムだけでも、2023年には1,090億ドルを超える黒字を計上している。
米国の対BRICS貿易黒字と赤字を示す図表- スプートニク・インターナショナル、1920年、2024年12月01日
米国のBRICS主要国に対する貿易黒字と赤字を示す図表。
米国は、家庭用品、機械、電気機器から医薬品・医療機器、エネルギー、化学品、希土類鉱物に至るまで、広範な現物製品をBRICSに依存しており、これらの財・素材の生産の40％〜70％をBRICSが占めている。それに比べ、米国の主な輸出品（武器、石油、食料、自動車）は、世界経済、特にBRICS加盟国の間で豊富に出回っている。
サービスや知的財産は、フランチャイズ、デザイン、経営、コンサルティング、金融、アドバイザリーサービス、特許、商標、ソフトウェア、美術品など、2023年のアメリカの輸出に11兆ドルを占める。何らかの理由でアメリカが突然世界市場から姿を消した場合、例えば100％の関税をかけるような大規模な貿易戦争が起こった場合、BRICS圏はそれらサービスアイテムを、徐々に国内の代替品に置き換える。
米国のBRICS新加盟国との貿易収支- スプートニク・インターナショナル、1920年、2024年12月01日
米国のBRICS新加盟国との貿易収支。
事実上の世界基軸通貨であるドルは、長い間アメリカの主要な輸出品であり、外国は約7.6兆ドルの米国債を保有し、ドルは世界貿易の約54％を占めている。（BRICS間の貿易では、現在貿易の65％が現地通貨で決済されている。）
トランプ大統領がBRICS圏への100％関税を容認すれば、「アメリカが輸入する消費者製品の価格が大幅に上昇する」とシェイクスピア博士は言う。「トランプ大統領は、アメリカの産業が十分に復活し、同じ製品をより安いコストで生産できるようになることを期待している。新しい工場が大量の雇用を生み出さない（ほぼ自動化される）ことを除けば、そうなる可能性はある。」
結局のところ、「経済力はアメリカから離れつつあるから、アメリカがBRICS諸国全体、あるいは主要ブロックのメンバー個人に対して大規模な貿易戦争に踏み切れば、アメリカが負ける戦争になりかねない。」とベテラン・エコノミストは警告している。
トランプが脅しを実行に移せば、脱ドル化が加速する。米国の主要輸出品への依存度を下げる世界的な取り組みが加速し、何十年も緑の紙切れを現実の現物商品と交換してきた国が経済破滅の瀬戸際に立たされる。