2024年1月20日土曜日

ISISとワシントンの標的はまったく同じ

https://new.thecradle.co/articles/reviving-isis-a-us-weapon-against-the-resistance-axis

2024年1月16日

イラクの治安情報筋は、同国におけるISISの復活を警告している。イラクとシリアの米軍基地に対するイラク人抵抗勢力の活動の急増と、イスラエルによるガザへの軍事攻撃によって拡大する地域の不安定化と、あまりにもうまく一致している。 

テロ組織に対する勝利宣言から6年以上が経過し、イラクの諜報機関の報告によれば、イラク西部の2つの地域で米軍の保護の下、数千人のISIS戦闘員が無傷で出現した。

パズルの欠片

本誌が調査した諜報機関の報告によれば、ISISは最盛期にはイラクで3万5000人以上の戦闘員で構成されていた。そのうち2万5000人が殺害され、1万人以上が "姿を消した"。

あるイラク情報機関の幹部が本誌に語る: 

「2017年末、数百人のISIS戦闘員がトルコとシリアに逃亡した。カリフ、アブ・バクル・アル=バグダディの死後、2019年にアブドゥッラー・カルダシュがISISの指導者に任命されると、新カリフは組織の再編成を開始し、信者たちにイラクへの帰還を命じた。組織はシリアとの長い国境、治安の乱れ、国境の両側の勢力の多様性を悪用し、再びイラク領内に潜入した。」

イラク国境警備隊は厳しい管理体制と、赤外線カメラなどの最新技術を駆使している。 テロ・グループは、国境を越えて戦闘員を輸送するために、こうした要塞を突破したり迂回したりできる仲介者を特定する必要が出てきた。 

あるイラクの治安関係者は、匿名で本誌に、こうした国境侵犯を可能にする上で、アメリカは重要な役割を果たしていると語る:

「ISISの戦闘員が国境を越えることができるような隙間を作るために、国境にいるイラク人部隊、特に人民動員部隊(PMU)を砲撃する。 」

イラクの治安情報筋によれば、米軍のチヌーク・ヘリコプターがシリア東部からイラク西部のアンバル砂漠や同国東部のジェベル・ハムリーンへ戦闘員を輸送している。

イスラム主義運動、過激派組織、国際テロリズムを専門とする研究者ムニール・アディブは、ISISが「ここ数週間、シリアとイラクで数十回の攻撃」を行い、数十人の市民と兵士の死者を出したことを受け、ISIS復活の可能性を認めている。 

アディブによれば、「国際社会がガザとロシア・ウクライナの戦争に夢中になったので、ISISは内外の後方支援を受け続けながら、その隊列を再編成する機会を得た。」

テロリズムの製造とかく乱

ホウラン渓谷は、イラクとサウジアラビアの国境からアンバル州ハディサ市近くのユーフラテス川まで369kmに及ぶ、イラク最大の渓谷である。その地形は、高さ150〜200メートルのそびえ立つ崖が特徴的で、渓谷を囲む丘陵とその周辺に広がる小渓谷が含まれる。

昔も今も、この谷は州内で最も危険な治安環境である。砂漠地帯であり、混雑した都市部から離れているため、テロ集団はここを安全な避難場所としている。特に2013年12月には、ISISがイラク軍第7師団司令官とその補佐官、アンバル州情報局長、将校8人、兵士13人を殺害した。

イラクのハッサン・サレム議員は、フーラン渓谷からテロリスト戦闘員を排除する軍事作戦を開始するよう呼びかけた。同議員は本誌に、「谷には、アメリカの保護の下、民間キャンプで訓練を受けている数千人のISISメンバーがいる。米軍が異なる国籍の数百人のISISメンバーをこの地域に移送した」と指摘した。

アメリカの外交政策には、西アジアやラテンアメリカで代理武装民兵を創設し、対象国の政府転覆のためにこれらの組織を利用した歴史的証拠があふれている。ワシントンがイスラム過激派と手を組むのは、タリバンやアルカイダが生まれたアフガニスタンのムジャヒディーンに武装し、資金を提供することに直接関与してきたことが大きい。

アメリカ軍が運営する収容施設であるイラク南部のキャンプ・ブッカ刑務所に収容されていたのは、テロリスト集団の創設者や第二指導者たちである:ISISの指導者アブ・バクル・アル=バグダディ、その後継者アブ・イブラヒム・アル=ハシミ・アル=クラーシ、アブ・モハメッド・アル=アドナニ、アブ・ムスリム・アル=トゥルクマニ、ハジ・バクル、アブ・アブドゥルラフマン・アル=ビラウィ、アブ・アイマン・アル=イラクなどである。

収容者に対する虐待で知られるキャンプ・ブッカは、過激派勢力を集め、6年間(2003年〜2009年)じっくりと燃焼させ、今や十分にネットワーク化された過激派を野放しにした。

ISISの宗教関係者は、刑務所での時間を利用して、出所後にテロリスト集団に加わる誓いを囚人から得たと言う。

米情報機関はまた、ISISの輸送隊が支配下にある都市間を移動できるようにすることで、間接的にテロ組織を保護した。イラクの安全保障の専門家によれば、拘束されたISISメンバーに対してイラクの裁判所が下した死刑判決の履行を拒否したり、イラク西部や東部にISISメンバーの安全な隠れ家を設けたりすることも、その他の保護にあたる。

ISIS地域戦争における米国の歩兵

1月5日の演説で、ヒズボラのハッサン・ナスララ事務総長は、アメリカがこの地域でISISの復活を支援していると警告した。

本誌は、レバノンにおける過激派の新たな活動、イラクやシリアにいる過激派との連絡、過激派の間での不審な送金活動などを監視する治安情報を入手した。

レバノン軍情報部も最近、治安活動の準備をしていたレバノン人とシリア人のグループを逮捕した。

このテロ活動の急増は、レバノンの抵抗勢力がイスラエルとの安全保障上・軍事上の戦いを繰り広げている最中に起きている。この戦いはいつ公然の戦争に拡大するかわからない。ISISの新たな活動がレバノン、シリア、イラク、イラン、つまりパレスチナの抵抗勢力を政治的、軍事的、兵站的に支援している国々に集中していることも注目に値する。

1月4日、ISISはイランの都市ケルマンで、米軍によるカセム・ソレイマニ・クドス軍司令官暗殺記念日の追悼行列を狙った2件の爆弾テロ事件の責任を公式に主張した。テルアビブがベイルートでハマスの指導者サレハ・アル=アロウリを殺害したわずか1日後に、西アジアにおける米国とイスラエルの最大の敵対者を標的にした前代未聞の攻撃である。

その前の2023年10月5日、ISISはシリアの都市ホムスにある陸軍士官学校の卒業式をドローンで攻撃し、約100人を殺害した。これらの攻撃、そしてイラク、シリア、イラン、パキスタン、アフガニスタン、アフリカでの他の攻撃は、ISIS組織の動脈に新鮮な血、資金、武器が再び送り込まれていることを示している。

PMUのある高官は、米軍はイラク軍がホウラン渓谷に近づくのを、治安部隊を攻撃することで妨げていると、本誌に語った。「米軍機が、この地域でISISを攻撃していたPMUの部隊を標的にしたときに、このようなことが起きました」と彼は明かし、谷にISISのメンバーや他の過激派組織が数十人存在し、米軍から訓練や装備の提供を受けていることを確認した情報報告を引用している。

アンバル作戦司令部の治安筋がこの情報を確認している:

「同組織による目立った活動は、数週間前に同国西部で記録されていた。ルトバ砂漠の近くで、ISISの戦闘員が地下の隠れ家を掘っているのが目撃された。情報は、同組織が多くの場所でテロ作戦を実行中であることを示している」と彼らは本誌に伝えている。

ISISはイラク東部、サラー・アルディン州東部、ディアラ州北東部、キルクーク南部を含む三角地帯、特に地理的に困難なマクール、ハムリン、グーラ、ワディ・アル・シェイ、ザギトゥーン地域で活動を拡大している。

米軍はISISと戦う国際連合の傘下でイラクに展開している。先週、イラク議会が初めて外国軍追放を決議してから4年後、イラクのムハンマド・シア・アル・スダニ首相は、米軍の「不安定化」の影響に重きを置き、これらの戦闘部隊の「迅速かつ秩序ある」撤退を要求した。 

ワシントンは、イラクから撤退する「計画はない」と反論しただけでなく、1月14日には、どちらの国の同意もなく、不法にイラクとシリアに1,500人の軍隊を追加派遣すると発表した。

皮肉なのは、バグダッドがイラクからの米軍撤退問題を提起するたびに、ISISが勢いを取り戻すことだ。 

米国とイスラエルが地域全体にわたる多面的な攻撃への対応に苦慮しているときに、テロ集団が今、ワシントンとテルアビブの最も有能な地域の敵である「抵抗の枢軸」を標的にするために軍を再編成していることは、偶然の一致とは考えられない。 

アメリカ人と世界有数のテロ集団との間の異常な相乗効果は、もはや無視できない。両者の標的は同じであり、ISISは、ちょうどワシントンが西アジアでの支配力を失い始めた今、この争いに参戦している。

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