西側はロシア産ウラン燃料の代わりを見つけられるか
https://sputniknews.jp/20230413/15649455.html
2023年4月13日, 07:10
欧米などの西側諸国が、原子力発電所で使うロシア産ウラン燃料の代替を探し始めてから1年が経つが、一向に進展がない。西側はカザフスタンの協力を得たいと考えているものの、カザフスタンは原子力燃料市場でロシアが占めている位置の一部分しか代替することができない。
ロシアはウクライナにおける特殊軍事作戦開始前、米国や東欧の旧社会主義諸国にとって、最大のウラン燃料供給者だった。西側は対露関係の悪化により、これまで購入したロシア産の原子力燃料を拒絶した。
ウクライナは今に至るまでロシア産ウラン燃料に制裁が課されていないことに当惑する。1年経っても動きがない。米メディア「ブルームバーグ」は、一部の東欧諸国が核発電用の代替燃料を探していると報じた。2025年からは永久的にロシア産濃縮ウランから脱却する。
彼らは世界のウラン生産量の40パーセントを占めるカザフスタンの存在を思い出した。ウラン燃料は、単に採掘すればいいわけではない。濃縮する技術が必要だ。
露エネルギー発展基金で代表を務めるセルゲイ・ピキン氏は、次のように話す。
「必要な量だけでなく、必要な品質と仕様を兼ね備えた燃料を供給できるサプライヤーを探すのが問題だ。ガスや石油を代替するのとは訳が違う。ウランの有無より、技術的要素が問題だ。」
カザフスタンの原子力企業「カザトムプロム」のエルジャン・ムカノフ社長は、「カザフスタンは市場の需要に反応できる」と述べている。ここでは「反応」がキーワードだ。カザフスタンが市場の全需要をまかなえると言っているのではない。ムカノフ社長の発言からは、非常に慎重な態度が伺える。
東欧諸国が必要としているのは、まさに「ロシア式デザイン」のウラン燃料だと、ピキン氏は続ける。
「現在、彼らはいかなる問題も起こりえない燃料を探した。ウクライナを見てみよう。ロシア産から米国産の燃料に移行しようと10年間も試みている。かなりの労力を費やして、一部の核発電では移行に成功した。他の場所ではいまだにロシア産が使われている。目的に沿う技術が必要だ。」
ピキン氏によると、カザフスタンの原子力産業は歴史的にロシアとの密接な連携の上で成り立ってきた。「メイド・イン・カザフスタン」とウラン燃料に書かれていたとしても、本当は誰がつくったかわからない。
ガスや石油より代替が簡単な点もある。ウランは化石燃料に比べてかさばらない。ウラン235は1グラムで石炭3トン、石油2000リットル分のエネルギーを生み出す。大型のタンカーや船舶が必要になる化石燃料に比べ、ウラン燃料の物流コストは、安全対策などを除けば数倍も少ない。
欧州諸国が本当に代替燃料を見つけることができても、ロシアが被る損失は比較的小さい。ロシアのウラン燃料の輸出額は、化石燃料のそれと比較して桁違いに少ない。
ロシアにとって代わりの買い手となりうるのは、ロシアの技術が導入された核発電プロジェクトだ。例えば、中国やイランはすでにその例となっているほか、将来的にはエジプトでもロシア式の核発電建設の可能性がある。ロシアには東欧諸国が抜けた穴をカバーするだけの切り札がある。ロシアは核発電プロジェクトの計画、建設、保守点検、人材育成、共同融資などを促進し、ロシア式デザインのウラン燃料の買い手を見つけることができる。
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