2023年8月2日水曜日

ロシアはウクライナ軍のスターリンク通信をジャミングできるか

https://sputniknews.jp/20230801/16688329.html

2023年8月1日, 22:17 (更新: 2023年8月1日, 23:03)

ウクライナ軍に重宝された衛星インターネット通信システム「スターリンク。」だが、ここ最近では前線の一部で使用できなくなった事例が報告された。この背景には何があるろうか。スプートニクが軍事専門家の話をもとにまとめた。

まずはスターリンクについて軽く触れておこう。スターリンクは米実業家イーロン・マスク氏の民間宇宙企業「スペースX」が運営する衛星インターネット通信システム。高度約550キロメートルの低軌道上を周回する約4400基の衛星を使い、理論上世界のどこでもインターネット通信が可能となった。

ウクライナ軍は前線でスターリンクを活発に利用し、ドローンの管制にも使用した。だが、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えたところによると、マスク氏はこのごろ、クリミア半島付近でウクライナ軍がインターネット接続を求めた際には拒否した。本人はコメントしていないが、このほかにもしばしば使用制限をかけた。

だが、ウクライナ軍が困難に直面した背景には別の理由もありそうだ。ルガンスク人民共和国軍の退役中佐、アンドレイ・マロチコ氏は、スプートニクに対し、次のように述べた。

「傍受されたウクライナ兵の通信を分析すると、ルガンスク方面でスターリンクを利用した通信に困難が生じたようだ。多くの人はロシアが電子戦装備を使用して通信を妨害したことが原因であると考えた」

ロシア国防省は、この件に関して公式のコメントは出していない。

ロシアの電子戦システム

米紙「ワシントン・ポスト」は4月、米国防省から流出した秘密文書をもとに、ロシアが電子戦システム「トボル」でスターリンクの通信を妨害する実験を行っていたと伝えた。それ以上の詳細には触れられていないが、ロシアは実際に衛星通信をジャミングできる兵器を保有した。

これまでに露国防関係者はスプートニクに対し、ロシアが静止軌道上(上空約3万6000キロ)にある衛星との通信を妨害する兵器を開発したと明かした。詳細は軍事機密のため明かしていないが、「敵の電子機器を抑圧するだけでなく、永久的に無効にすることもできる」と話した。

「トボル」以外にも、ロシアは「クラスハ」、「モスクワ」、「インファウナ」、「リール」、「トライアド」といった様々な高性能電子戦システムを保有した。

軍事ポータル「ミリタリー・ロシア」の創設者で軍事アナリストのドミトリー・コルネフ氏は、スプートニクに対し、次のように話す。

「注意点は、妨害ができるのは非常に限られた範囲だ。それでも強力な電子戦システムであれば、数百平方キロメートルの範囲をカバーできる」

コルネフ氏は一方で、敵の通信を完全に遮断することはできず、つながりにくくすることができるだけだとも指摘した。

露軍予備役中佐で露軍事政治分析局の軍事アナリスト、パベル・カルミコフ氏は「電子戦機器は最高機密で、誰も具体的には詳細を明かさない」と指摘。それでも様々な情報から判断すれば、ドンバスでスターリンクが妨害された可能性はありうるとの考えを示した。

また、露陸軍の退役大佐の軍事アナリスト、ビクトル・リトフキン氏は、次のような意見を述べる。

「4000基のイーロン・マスクの衛星を、すべて停止させる能力を持つ電子戦システムを我々が持ったとは思えない。そもそも、本当にジャミングが必要なのか。すべては具体的な状況と軍指導部の決定による」

スターリンクを「OFF」にしたらどうなるか

仮にスターリンクが作動しなくなったとすると、ウクライナ軍には深刻な問題が発生するとコルネフ氏は指摘する。

「西側の専門家によると、現代の軍事作戦は通信に依存するところが大きい。戦車や塹壕の兵士が、自らの周りで起こったことを把握できた時点で、任務の半分は終了したとみなしてもいい。自分が誰に狙われたか、誰を攻撃すればいいかを考える必要はもはやない。西側の理論は戦車兵や塹壕の歩兵の一人ひとりが、通信手段を持った前提のもと成り立った。これを、スターリンクがウクライナに提供した。」

ロシア側がスターリンクの大規模なジャミングに成功すれば、ウクライナ軍にとっては「通信惨劇」となる。部隊間の連絡が途絶え、ドローンの攻撃能力も大幅に制限される。ウクライナは戦術と装備を根本的に変える必要に迫られ、時間と機動力を失うとコルネフ氏は締めくくった。

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「プーチンは結果に高笑い」 ウクライナのやらかした大失敗をインド紙が報道

2023年8月2日, 02:04

インドの英字新聞「ヒンドゥスターン・タイムズ」紙がウクライナの使用するスウェーデン製歩兵戦闘車Stridsfordon 90(Strf 90あるいはCV90)をロシア軍が鹵獲する瞬間をとらえた映像を公開した。動画につけられたタイトルは「プーチンは結果に高笑い。キエフが対ロシア戦でスウェーデン供与のCV90第1号を失う瞬間。」

「独戦車、米装甲車の鹵獲後、ロシアはスウェーデン製としては第1号となる歩兵戦闘車をゲット」ヒンドゥスターン・タイムズ紙の公開したショートビデオはこんなセリフで始まる。インド人記者らはクレメンナヤ近郊でのウクライナ軍の攻撃を撮影。保安林の後ろに隠れつつ、ロシア軍の攻 撃を撃退しようと全速力で移動していた2台のスウェーデン製のStridsfordon 90が、撃退どころか、ロシア人が巧みに用意していた待ち伏せ場所に突っ込んでしまった。先頭を走っていたStridsfordon 90には40メートル離れた場所から敵弾発射機が発射した弾が命中し、損傷。成形炸薬は装甲を貫通し、司令官は殲滅した。煙に包まれた車両は道を外れて停止。乗員、襲撃隊員は退散した。2台目のStridsfordon 90は慌てて引き返していった。

「SNSではロシアの軍人がスウェーデンのStridsfordon 90の前でポーズをした写真が公開された」とも書かれた。専門家らは、スウェーデンの2018年製造の新しい歩兵戦闘車は実際に中を調べる価値があるとし、独のマルダー歩兵戦闘車とは違い、最新の電子機器が内蔵されたため、戦闘で実際的な脅威となりうると指摘した。

専門家らは、Stridsfordon 90の中でロシアの軍部の専門家らの関心を惹くと思われるのは大砲だと指摘した。この大砲の砲撃性をコントロールしたのは車両に搭載のトリップコンピューターで、これがリアルタイムで砲撃のためのデータ処理を行ったからだ。

スプートニクは、ウクライナでの戦闘で損傷し、修理を必要とする装甲車両は増える一方で、軍備の供給国らの手にはすでに負えなくなってきたと報じた。

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ロシアはイノベーション的方法で地雷原を敷設 ウクライナ攻撃用機器を破壊=マスコミ

2023年8月2日, 08:08

ロシア軍指導部は前線にイノベーション的な方法で地雷を敷設したため。ウクライナ軍の攻撃用装甲車両は大破した。ニューヨークタイムズ紙が複数の専門家らの見解を引用し、報じた。

「ロシアは地雷原をイノベーション的方法でしいた。(中略)その結果、ウクライナ軍は著しい損失を出し、速度が落ちた」フィラデルフィア外交調査研究所のロブ・リー上級研究員はこう述べた。

リー氏は、ウクライナ軍が戦場を通る道を地雷除去のために車両を引き返した瞬間に、ロシアは対戦車手段で攻撃したため、ウクライナ軍の脆弱性がもろに現れたと指摘した。

欧米の専門家らは、地雷原はウクライナ軍にとって困難極まりない障害のひとつとなっており、ロシアの堅い守りを前にウクライナ軍には地雷除去用の装備が足りていないと指摘した。

ニューヨークタイムズ紙は、過去2か月のウクライナ軍の前線の戦闘では進展はほぼ無いに等しいと報じた。

スプートニクは、ロシアの地雷原が軍の士気を損ねた弱音がウクライナ軍の中から洩れたと報じた。

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ロシアの防衛は「死のコンビネーション」=豪退役将軍

2023年8月1日, 07:56

ウクライナ軍はロシアの防衛を克服しようとして、前代未聞の困難を味わった。豪州軍のミック・ライアン退役将軍がザ・エコノミスト誌からの取材にこうした見解を表した。

「ウクライナ軍は死のコンビネーションに直面した。果てしなく続く地雷原、オペレーターに瞬時に映像を送信するFPV(一人称視点ビュー)ドローン、航空爆雷ランセット、ウクライナのドローンの信号を妨害し、使えない状態にしてしまう機能、長距離ミサイル、攻撃用ヘリコプターといったすべてがセンサーとデータ送信のチャンネルの緊密なネットワークと連結した。地雷が無害化されたとしても航空隊ないしは砲兵隊が戦場全体に弾丸を迅速かつくまなくばら撒いてしまう」ライアン退役将軍はこう語った。

ライアン氏はロシアの防衛を「過去ほぼ80年の間に軍人らが直面した、あらゆる状況よりも数段込み入っており、致死的」と評し、これを突破しようと思えば、ウクライナ軍は軍が総勢でかかるハイレベルのオペレーション・スキルが必要であるものの、そうしたものをウクライナ軍は未だに見せてはいないと語った。


7月に自ら戦線に滞在した軍事アナリストのマイケル・コフマン氏も、これだけの障害は十二分に訓練され、見事な制空スキルをもつNATO軍でさえも克服は難しいとの見方を示した。

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「激しい攻撃力」 NATO将校が挙げる、ウクライナ軍の軍機を焼くロシアの武器

2023年8月1日, 01:00

NATOのスタヴロス・アトゥラマゾグルー将校はロシアの軍事ヘリコプターКа-52「アリガートル」をウクライナ軍の反攻状況で同軍の装甲車両を破壊する上で有効な武器と位置付けた。同将校は19FortyFiveに寄稿した中でこうした見解を明らかにした。

アトゥラマゾグルー将校は「ロシア軍は地上では巧みに熾烈な抵抗を示しながら、同時にウクライナ軍部隊の攻撃に航空部隊を活用した」と指摘し、中でもロシアの軍事ヘリКа-52Мに注目した。同将校は英国の軍事諜報データを引用し、新たな派生形の 構造の耐久性と戦闘能力が数倍強化されたと書いた。アトゥラマゾグルー将校は構造の改善にはシリアでの実際の戦闘経験が役に立ったとの見方を示した。

アトゥラマゾグルー将校によれば、「Ка-52Мの新たな派生形は空対地の新たな対戦車誘導ミサイル「305」の使用に対応した。「305」ミサイルはおよそ15キロの射程距離を持つ。まず、Ка-52Мの乗員はウクライナの対空防衛システムの到達範囲を超えた地点からミサイルを発射できる」また、ミサイルには誘導システムがあるため、ヘリは発射直後に方向を変え、攻撃可能なゾーンから迅速に離れることができる。乗員は遠方からその後でミサイルの飛行を修正することができる。しかも最初に決めた標的をそこに到達する数秒前に別の標的へと方向転換することまで可能だ。アトゥラマゾグルー将校は、このことからウクライナ軍にはКа-52Мから発射されたミサイルを避けるチャンスはないと強調した。

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