2023年9月4日月曜日

世界の大手軍需産業が次々とアジア本社を日本へ移転

https://sputniknews.jp/20230902/16972565.html

日本には旨味があるのか

2023年9月2日, 08:00

西側の大手軍需産業の多くが、アジア本社を日本に移転、あるいは移転を計画している。 日本の防衛力強化が背景である。自衛隊では技術的な再装備が進められており、防衛費の大幅な増加と軍需品輸出の拡大が見込まれる。

米航空機・宇宙船開発製造会社ロッキード・マーチンは、最近、シンガポールから日本への本社の移転を完了した。同社は日本に地対空ミサイルシステム「パトリオット・アドヴァンスト・ケイパビリティ・スリー(PAC-3)」とF-35ステルス戦闘機を供給する。これに先立つ2022年6月には、航空、航空宇宙システム、情報技術を専門とする米国企業、L3ハリス・テクノロジーズが日本に子会社を開設した。

これら米国の3社よりもさらに前の2022年1月には、英国のBAEシステムズが日本に子会社を設立した。同社は、次世代戦闘機の共同開発のために日英伊が設立したプログラム「グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)」に参画する。BAEシステムズは、これまでマレーシアを拠点としていた運営監督部門を日本に移転させ、これがアジア地域における事業開発戦略の監督を担当する。

これらの移転について日経アジアの記事は日本への生産移転について明確に言及したわけではないが、海外勢の参入で、かろうじて採算性を維持している日本の軍産複合体の立場を損ねるのではないかと懸念を表している。

スプートニクはこれらの移転の背景には何があるのか、日本の防衛費増大と関係があるのかについて、2人の専門家にコメントを求めた。

高等経済学院、世界経済国際政治学部のオレグ・パラモノフ准教授は、西側の軍産複合体のアジアでの作戦拠点に日本がなりつつあるとして、次のように語る。

「NATOの日本事務所開設が延期された。大手グローバル企業も、それよりも著名度が多少劣る企業も、日本を営業コスト等の経費削減のための拠点としてとらえている。製造協力の計画や、共同製造品の第三国への輸出に許可が下りそうなことも、この関心を後押しする。 これまでは日本はこの分野に制限を設けてきたが、今後は供給者、輸入者ともに数が大幅に増える可能性がある。その意味で、他国との共同製造品はより期待が大きい。いつか日本にNATOの事務所が開設されれば、現在の軍事技術協力が軍事協力に発展する可能性もある。」

サンクトペテルブルグ大学東洋学部のエフゲニー・オスマノフ准教授は、この地域ではなんらかの事態を想定した準備が進められている。こうした条件下で企業にとって重要なのは、予測可能で、比較的安全な場所に管理拠点を設置することだと語る。

「重要なことは、日本はこの地域における米国の主要な同盟国であり、その軍事力に米国が頼る。韓国も米国の同盟国だが、北朝鮮や中国と隣接するため、日本に比べると脆弱だ。日本の管理体制やロジスティクスは他国に比べて整備されており、予測が可能である。日本政府は、なにがなんでもアメリカのいいなりであり続ける。ただし、管理拠点を一か所に集中させることが戦略的に正しいかどうかはわからない。」

日経アジアが懸念するように、こうした企業は日本の軍産複合体の利益を侵害することはないのか?

パラモノフ准教授はこれについては次のように考える。

「日本は、入札がなく、購入が厳格に集中化されていた。その分野に揺さぶりをかけることに興味を持っている。日本のメーカーにとって、これはリスクを伴う。日本の軍産複合体は、下請け企業(部材を供給する中小企業)と緊密に協力している。しかし共同開発の場合、パートナーが欧米企業からの部材購入を強制すレバ、日本の下請け企業は受注を失う。共同プロジェクトの中には、すでに進行中のものもある。」

「次世代戦闘機がそれだが、今後は別の新しいプロジェクトも現れてくる。日本は幅広い分野で軍事製品を生産しているが、弱い部分もある。例えば、航空ドローン。これは日本が手掛けてこなかった分野だ。リスクがあるのは中小企業だけではない。大企業もようやく黒字化したばかりだ。三菱重工や川崎重工は有名だが、西側のパートナーほどブランド力があるわけではない。共同プロジェクトの受益者となり得る西側企業の陰に隠れるリスクがある。」

オスマノフ准教授は、本社を日本に移したことで、多くの問題をより迅速に、より低コストで解決できるようになったものの、生産拠点の移転には話は及んでいないと言う。

「おそらくこれは最初のステップだ。日本での共同開発は可能だが、生産拠点を日本に移すことは、メーカーと日本の双方にとって不利になる。第一に、コストがかかる。第二に、日本自体が労働力不足に陥っている。日本社会はプロパガンダや反中・反露制裁が行われていても、平和主義的だ。彼らにとって安定は重要であり、他人の戦いに入っていく気はない。 確かに、米国は日本にすべての代償を払わせるメカニズムを持つ。全ては地域状況次第だ。脅威は現実となるかもしれない、日本は自分で自国の安全を確保しなければならない、とアメリカは言うかもしれない。」

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