マイケル・ハドソン:最後の1ユーロまで
https://michael-hudson.com/2026/10/to-the-last-euro/
マイケル・ハドソン:アメリカの勢力圏に落ちていくヨーロッパ
聞き手:グレン・ディーセン、2026年10月23日
グレン
みなさん、おかえりなさい。今日はマイケル・ハドソン教授に来てもろたで。教授にはええウェブサイトがあって、記事も動画もそろっとるんや。概要欄にリンクを貼っといたから、ぜひ教授の素晴らしい仕事を追いかけてや。また番組に出てくれて、ありがとうな。この長い議論の一員になれて嬉しいわ。さて、世界ではいろんなことが起きとるな。ええことはあんまりないけど、とにかくいろいろ起きとる。外交の面で一つ動きがあって、トランプが、自分とウラジーミル・プーチンと習近平の三者会談をやりたがっとるみたいなんや。
つまり三つの大国が会うて、世界が乗り切ろうとしとるこの難しい時代を整理しようっちゅうわけや。もちろん、三者とも目的も世界の見方もバラバラやで。ほんで、アメリカと一緒に自由主義的覇権のもとで自分らが世界を集団的に仕切るつもりやったヨーロッパの連中は、震え上がっとる。これをまたヤルタやて呼んどるんや。しかも、えらい悪者扱いにしたヤルタ像でな。トランプが仕掛けとるこの大国外交を、教授はどう見とる?
マイケル・ハドソン
言うとくけどな、そもそもの始まりは、トランプがウクライナをめぐってロシアと取引したがったことなんや。その大きな動機は、トランプがペルシャ湾でイランと戦争になるやろと見込んどることやで。ほんで、あいつがわかっとるのは、片方でアメリカとEUがロシアの石油、ガス、ディーゼルの輸出を孤立させる努力を続けて、もう片方でイランと戦争を始めて、そのイランがペルシャ湾の石油輸出を止めるような形で返してきたら、何年か続く世界恐慌になってまうっちゅうことや。
OPEC諸国から世界の石油供給の2割を削って、そのうえロシアまで孤立させるなんてできへんのや。世界中が経済的にも金融的にも大混乱になって、アジアやグローバル・マジョリティ、グローバル・サウスの経済を国際収支危機とその結果の債務危機に放り込んだアメリカとヨーロッパに、みんなが背を向けるからな。そやからトランプは、石油の戦線を二つ同時に抱える余裕はないて悟っとるんや。ほんで、主な標的はロシアやのうてイランなんや。
そこで、この計画に中国も入れて、三者の取り決めにしようとしたわけや。あんたがヤルタ2.0て呼んどるやつやな、アメリカの報道でもそう呼ばれとるで。この狙いはな、少なくともウクライナ戦争、つまりNATOがロシアに仕掛けとる戦争へのアメリカの関わりに決着をつけることだけやない。「今からはEUの戦争や、アメリカの戦争とちゃう」て言うことなんや。それにトランプは、ロシアとの取引でもう十億ドル稼ごうともしとる。大統領の任期中に、特別な取引でこれまでに個人で25億ドル稼いだそうやで。
ほんで、ウクライナの、いや、元は東ウクライナやったロシア領の鉱物権でも、ロシア本土でもええ、原材料やレアアースなんかの取引をロシアとまとめられたら、自分も、金の出し手も、ホワイトハウスに集めた一味も、個人的に儲かると考えとるんや。そこに中国も絡ませたいんは、ロシアに対するEUの戦いが中国にまで広がっとるからやな。
トランプは、EUがもうロシアからの石油やガスやその他の資材の輸入を止めたんやから、同じことを中国にまで広げろて迫っとる。つまり、中国の情報技術も人工知能もインターネット技術も輸入するな、全面的にアメリカの独占企業に頼ることに essentially 同意せえ、特にインターネットとAIでや、っちゅうことや。しかも、メタやグーグルやその他のアメリカ企業にヨーロッパが課税するのを止めさせようとしとる。あいつらはヨーロッパに税金を一切払わんで済む仕組みを作っとるからな。
ヨーロッパが、独自のインターネットや人工知能や情報技術の会社を育てて、自給自足してアメリカの独占に頼らんで済むようになるのを、何としても防ぎたいんや。ほんで、この三者の取り決めでトランプが語っとるのが、「勢力圏を分けようやないか」っちゅう話や。19世紀にイギリスやヨーロッパの国々がそうやって安定させて、ナポレオン戦争が終わった1815年から第一次世界大戦まで、全面戦争を避けたんやて言うとる。
けどな、あいつが「勢力圏」て言う時の本音は、要するに「影響力」なんや。ヨーロッパ、それに日本と韓国に対するアメリカの勢力圏を固定する、っちゅうことやな。当然、ロシアと中国には警戒感がある。両方とも、勢力圏には興味ないて言うとる。ロシアはヨーロッパのことなんか全然気にしてへん。アメリカと合意を結ぶのは大歓迎。
「ヨーロッパは全部そっちのもんや。うちらは、もう石油とガスをヨーロッパに輸出できへんのを受け入れた。ペルシャ湾の石油が危機になっとる今、これから数年は世界中で石油もガスもディーゼルも肥料も不足するからな。客はなんぼでもおる。うちらは東に向く」て言うんや。ロシアがやりたいのは、ほっといてもらうことだけや。そやから、ウクライナでの平和を望むんは親ロシアやて言うても、これはロシアの利益には全然関係ない話なんや。ロシアはもうヨーロッパへの関心を失っとるからな。プーチン大統領やラブロフ外相の演説を読んでみい、中身は全部そうやで。
次に、トランプがどんな取引でも自分と家族のために金儲けしようとしとる、その中身を見てみよか。あいつはロシアにこう言うとる。
「ガスプロムやルクオイルの投資がいろいろあるやろ。ほんで、ほんまにヨーロッパから手を引く気があるなら、宙に浮いとるノルドストリームの権利をうちらに売れや」てな。「今はあのパイプラインは誰も使うてへん。うちらがヨーロッパの指導者らに圧力かけて、ヨーロッパの経済的自殺を決断させたからや。マクロン、メルツ、イギリス労働党の個人的な得のためなら、あいつらはみんな喜んでそうするんやけどな。その権利をうちらに売ってくれたら、ヨーロッパにこう言えるんや。『もうロシアと戦う必要はないで、ロシアはあんたらに興味ない、あんたらは取るに足らん存在やからな。取るに足らんのやから、うちらに頼るしかないやろ。うちらが、ロシアと中国以外では世界で唯一の地域大国なんやから』てな。」
そういうわけで、プーチンに持ちかけとる取引はな、ノルドストリームの石油をヨーロッパに売るんやったら、ヨーロッパは、もう形になりつつあるこういうことをやれる、っちゅう話や。ヨーロッパの野党は全部、支持を伸ばしとる。
今の戦争推進、反ロシアの政党が、これから二年以内に政権から追い出されるのは明らかなんや。次に入ってくる党は、前回の放送で話したと思うけど、ヨーロッパ自身の利益のために動いて、ロシアのガスと石油を買いたがるやろう。ほな、ドナルド・トランプの家族と政治的支持者が、ノルドストリームのパイプラインとそれに付随するルクオイルの持ち分を買えたら、「ロシアと貿易してもええで」て言えるわけや。ロシアはもうヨーロッパに特別割引価格なんか出さへんで、出す必要がないからな。インドに石油とガスを割引で出すのも、もうやめるのと同じことや。
石油、ガス、ディーゼル、肥料の世界価格は、これから上がっていくんや。アメリカの投資家がノルドストリームとそれに関わるロシアとの石油取引を乗っ取るような取引をしたら、そこには、ヨーロッパが払わなあかん値段に輸送費をただ乗せるだけで、巨大な独占利益を得られる機会があるわけや。ロシアのガスプロムや他のノルドストリームの投資家が慎重に避けてきた、その独占的な輸送価格を課せるうえに、アメリカは政治的な締めつけ点も持てるんやで。
「ロシアの石油やガスを今買うとるヨーロッパの国があったら、そこへのパイプラインのガスの供給を止めたる。ヨーロッパがドイツ経済にやったのと同じことを、そいつらにしたるわ」て言えるんや。そやから、アメリカがロシアや中国と勢力圏の取り決めをまとめようとするこの一連の動きは、まだ支配を保てると期待しとるその地域に対する自分の支配を固定して、ヨーロッパが自分の利益に従うのを防ぐためなんや。
ヨーロッパが「もしかしたら、うちらの政治指導者が約束したこのアメリカへの依存は、うちらには負担が重すぎるんちゃうか。うちらの繁栄も、産業の回復も、輸出も投資も、アメリカとよりも、アジアやグローバル・マジョリティ、グローバル・サウスの、もっと急速に成長しとる経済とのほうが、ずっとうまくいくんちゃうか」て言い出さんようにするためや。これが、アジアのどこかで開かれるかもしれん今度の会談の、大きな政治的背景やで。
グレン
ノルドストリームのどこがそんなに肝なんやろな?おもろいのは、イタリアの元首相ロマーノ・プローディ――欧州委員会の委員長もやった人やけどな――が、その予測を言うとったんや。完全な支配とまで言うたかは自信ないけど、少なくともアメリカは、再開する前に投資家になりたがるやろ、てな。つまり大きな話としては、ロシアのエネルギーがヨーロッパに行くこと自体は問題やなかったんや。それがアメリカの管理下にあるべきやったっちゅうことやな。アメリカが運営して、金を稼ぐべきやと。それでヨーロッパをアメリカの勢力圏に押し込むんやから、筋も通る気がする。
シアについて教授が言うたことも、おもろいな。ロシアからもそう聞こえてくるからや。経済を東に移しとるって言うとるやろ。昔は、ヨーロッパとの経済統合は政治統合への一歩で、もっと大きなユーラシアの安全保障の枠組みを作るもんやと思うて、割引を出しとったわけや。そやけど、それが全部窓の外に消えて、東に目を向けとる今、教授の言う通り、もう別に気にしてへん。そやから、経済的な割引を出すことにもそんな興味がないんや。
それでもな、二、三週間前にわしはモスクワにおって、プーチンがヴァルダイで演説しとったんや。ロシアはヨーロッパとのエネルギー関係を回復するつもりはあるのか、て誰かが聞いた。ほんなら「そら、もちろんあるで。けど今は、中国やインドと競争せなあかんで」て答えた。もう特別扱いの立場はないっちゅうことや。教授が言うとるのは、つまりそういうことやと思う。けど、この状況でヨーロッパはどうなるんやろか。ヨーロッパが栄えるには、経済のつながりを多様化したいはずやと思うんや。エネルギーも、いろんなとこから調達したいはずや。
自分らの未来を自分らでコントロールして、ある程度の自律性を持ちたいはずやろ。アメリカの勢力圏に入ることは、ヨーロッパ経済の発展にどう響くんやろな。ほな、お願いするわ。
マイケル・ハドソン
ヨーロッパはアメリカがノルドストリームを買うことを、単なる投資やと見とるて、あんたは言うたな。
投資っちゅうのは、支配なんや。その支配は、経済的な支配でもあり、政治的な支配でもある。
問題はこうや。ロシアがヨーロッパに侵攻できて、ヨーロッパがウクライナと一緒に戦わなあかんような戦争を、ロシアのほうから始めるかもしれへん、っちゅう、まるでロシア軍が攻めてくるのを防いどるみたいな、この虚構の並行世界に、ヨーロッパはあとどれだけ住んでいられるんやろか。これは前にあんたの番組で話したけど、もう、よその国に侵攻する余裕のある国なんかないんや。ロシア軍はポーランドを通り抜ける途中で、ズタズタに切り刻むやろ。
ロシアがヨーロッパに侵攻して得るもんなんか何もないて想像するのは、ばかげとる。ロシアが望んどるのは、ほっといてもらって、軍事予算を減らすことだけやとわしは思うで。ヨーロッパかて軍事予算を減らしたいはずやろ。ヨーロッパの政治家が今、何に対処せなあかんかを見てみいな。パリやフランス全土、それにほかのヨーロッパの国々――イタリアもそうやけど――でのストライキやデモは、全部こういうことに反対しとるんや。EUが自分らに課した奇妙な金融と財政の制約のせいで、ヨーロッパは社会支出を削ったわけや。しかもそれが、金融政策のせいやなくて、世界の石油貿易の支配を保つためにトランプがロシアとイランに仕掛けた戦争で、物価が吊り上げられとるまさにその時にや。
戦争に反対しとる人らは、こう言うとるんや。「政府は、家に明かりをつけて暖房を入れるのに、もっと金を払わなあかん家計を補助してくれ。産業も補助してくれ」てな。「うちらヨーロッパは、2024年のドイツみたいな姿にならんようにするには、どないしたらええんや。ロシアのガスと石油が来んようになった時のドイツやで」。ペルシャ湾での世界の石油貿易の途絶は、ロシアの石油貿易の途絶よりも、さらに深刻なんや。
EUとアメリカは、ロシアの製油所を爆撃するための道具としてウクライナを使うて、ロシアがヨーロッパと取引できる力を一切潰そうとしとった。その結果、一番割を食うんは、アメリカやのうてヨーロッパなんや。ほな問題は、メディアが煽り続けとるこの夢、つまり、うまくいかんことは何でもロシアのせいやっちゅう夢に、ヨーロッパがあとどれだけ抵抗できるかや。学校への支出削減や、生活費の上昇に合わせた退職年金の引き上げ凍結への反対は、全部ロシアに焚きつけられたもんやて主張しとるんやで。人が自分の利益のために動くのに、ロシアの焚きつけなんかいらんやろ。
デモしとる人らが、ロシアや中国やどこかの国が地政学的に得をするかどうかなんか気にしとるとは、わしは思わへん。あの人らが欲しいのは、第二次世界大戦以来ずっと続いてきた社会民主主義的な仕組みのもとで、ヨーロッパが差し出してきた補助や。この社会民主主義的な仕組み――生活水準を守る義務、労働者のための賃金と生産性の上昇、雇用の拡大――その全部が、窓の外に捨てられとるんや。ヨーロッパの国は、軍需企業を肥やして、ロシア相手にやらなあかんとされとる想像上の戦争を戦うために、GDPの5%を軍事に使わなあかん、って言い張っとるからやで。
前にも言うたと思うけど、プーチンは「戦争はそんな高くつかへん。二日、いや二時間で終わるかもしれん。一日で終わる。ヨーロッパはもうなくなるやろ」て言うたんや。ほんで国際株式市場では、ヨーロッパの軍需産業企業が売り込まれとる。国際的な投資家が、こんなことは結局どれも実現せんて見抜いとるからやと思うで。ヨーロッパが、ほんまにこれをやれる政治的な道筋なんか、どこにもないんや。
問題の一つはこうや。ロシアとの戦争を望んどる戦争推進階級、戦争推進グループは、戦争に踏み切る力を保つために、何をするんやろか。ここには予見できる動きがいくつかあると思うで。今のヨーロッパにとって、えらい危険な時期なんや。今のヨーロッパ政府を握っとる戦争推進派が、「二年後にはわしらは選挙で追い出される。戦争ができる最後のチャンスや。ヨーロッパ全体が原子爆弾で消し飛ばされる、最後のチャンスや」て言うとるんやからな。どんなに狂うて聞こえても、これがロシアとの戦争に残された最後のチャンスなんや――まるでウクライナが勝てなかった以上に、ヨーロッパがロシアに勝てるかのようにな。今、フランスやドイツやイギリスを治めとる党は、政権から外れる。ほんで一番の危険は、その連中がロシアの船舶への攻撃を加速させることや。もうフィンランド、スウェーデン、バルト三国、北欧諸国から準備が見えとる。攻撃する――バルト海をNATOの湖にして、ロシアの船がバルト海を使えんようにするための準備や。
そこにはカリーニングラードも含まれる。ロシアのバルト海の港で、ロシアにとってはクリミア、つまりウクライナやった土地のロシアの港と同じくらい、それなりに大事なとこや。これは明らかに、ロシアが石油を運ぶのを邪魔しようっちゅう試みなんや――ヨーロッパ向けやない。ロシアはむしろ「うちらはタンカーを出す。心配せんでええ。ヨーロッパには売らんし、あんたらがアメリカに払うと約束した値段より安く売ったりもせえへん。そやけど、ヨーロッパ以外の国に売るために、タンカーを出さなあかんのや」て言うとる。好きにしたらええ、うちらはアフリカや南米や、残りの世界全部に売りたいんや、てな。
それでもNATOはこれを止めたがっとって、カリーニングラードとバルト海全体をめぐって戦争をちらつかせとるんや。ほな、ロシアはどうするんや。タンカーに並走させて航空機を送り始めたし、ロシアのタンカーに乗り込んで乗っ取ろうとしたエストニアの船は、もう止めたで。そやけど、スウェーデンやほかのヨーロッパ諸国によるロシアのタンカーの拿捕は、すでに起きとる。これはロシアに対する宣戦布告なんや。ほんで言うた通り、戦争はごく短くなるやろうし、えらい血まみれになるやろう。ロシアは、できる限りのことをしてきたと思うで。「どうか気づいてくれ、うちらはあんたらに興味ない。あんたらはいらん。あんたらとは一切関わりたない」てな。ロシアがヨーロッパの国になって、ヨーロッパの文化を持てたかもしれんて思うとったこと自体、自分らを蹴りたい気分なんやろ。そのヨーロッパ文化の結果を、うちらは見てきたんや。それはアメリカの文化や。金融化した経済や。反労働の経済や。縮んどる経済や。もう民主的でもなんでもない経済で、啓蒙時代のヨーロッパの自己イメージなんか跡形もないんや。うちらはただほっといてほしいだけや。ほっといてくれたら何も起きへん。けど、うちらを脅して傷つけるなら、独立を守るために反撃せなあかんし、孤立しとることをはっきりさせなあかん。
新しい脅威が生まれたんや――ベルリンの壁に相当するもんがな――それで、アメリカの新自由主義・ネオコンのディープステートの単なる傀儡国家でしかないヨーロッパ人から、自分らを守りたいんや。
グレン
ほな、戦争が一番ありそうな結末やと見とるんか?ヨーロッパをアメリカの勢力圏にするこの計画の中で、誰かが絶対に抵抗するはずやと思うんや。それに、ヨーロッパ人かて、今のウクライナの件で見とるように、アメリカがロシアと取引をまとめようとするんを、何らかの形で妨害するはずやろ。教授は船の拿捕とカリーニングラードへの脅しのことを言うたな。ロシアの主権資産を、恒久的に盗むこともできるわけやし。
そやけど、これからの二年で、この人気のない戦争屋のエリートらが全員選挙で追い出される――ていうのもな、あの連中が静かに闇に消えていくとは、わしには思われへんのや。今ヨーロッパで起きとることを見るのは、えらい奇妙な気分や。まともな軍隊もないのに、この軍国主義やからな。ようわからんのや。で、教授は連中が戦争に走ると見とるんか?
マイケル・ハドソン
ヨーロッパの指導者らは、新しいウクライナになりたがっとるんや。アメリカでの言い方で言うたら、アメリカは「最後のユーロまで」ロシアと戦う気がある、っちゅうこっちゃ。ウクライナにはゼレンスキーのネオナチ政権を傀儡として据えて、最後のウクライナ人まで戦わせとる。ヨーロッパもアメリカも、そのウクライナ人のことなんか気にしてへんのにな。アメリカは、ヨーロッパの産業と経済的な黒字の最後のユーロまで使うてでも、ロシアと、それに中国にも対するこの戦いに加わらせる気なんや。
全部が、ここ数週間にEUが結んだ合意に結びついとる。中国とのハイブリッド車や電気自動車の自動車貿易をめぐる貿易協定や。今何が起きとるか想像してみいな。イランに対する戦争と、ことによるとロシアの孤立が続くことの結果として、ディーゼルや石油やガスの値段がまた上がるんやで。
これは電気自動車への移行を促すやろう。電気自動車は、少なくとも電気の供給があれば、原子力であれ――ドイツは原発をやめたけどな――太陽光や風力であれ、ディーゼルやガソリンに頼るより安くつくようになるからや。そやから、アメリカとヨーロッパには、これが将来の流れになるっちゅう認識があると思う。ほんでヨーロッパは、中国を説得して全体的な取引をまとめようとしたんや。これを持ち出しとるんは、また、ヤルタ2、三者の合意の話やからや。この世界の分割で、中国の役割は何なんか。
ロシアは、ヨーロッパから切り離されるのは大歓迎や。すでに何年も貿易制裁と付き合うてきて、その制裁のおかげで、かつてヨーロッパから輸入しとったもんから独立できたからな。もうバルト諸国やヨーロッパの農産物や乳製品には頼ってへん。EUがロシアへの流入を止めた、必須のもんの何からも独立しとるんや。制裁の効果っちゅうのは何や。国を、自分らに頼らざるを得んようにすることや。ヨーロッパの制裁は、ロシアの保護関税が独立したロシア産業を作るために果たしたはずの役割と、同じ役割を果たしたんや。
ヨーロッパの制裁は、ロシアにこの全部への備えをさせたことになる。けど、中国は同じようには感じてへん。中国は今でも、ヨーロッパを輸出市場として見とるんや。特に自動車と産業の輸出、それに原材料の輸出全部がそうや。ほんで、ヨーロッパと交渉しとる。「ええか、この中国人に対する戦いはアメリカの戦いや。向こうは、世界の支配者は一つしかあり得ず、それはアメリカでなあかんと思うとる。単極の力をまだ保てると信じとる。さあ、あんたらはどっちに立つんや。世界は割れとるんやで」て。ほんで、西ヨーロッパとロシアが離れていくのと同じように、アジア、グローバル・マジョリティ、グローバル・サウスは、独自の金融機関や貿易関係や投資関係の別の仕組みを、えらい速さで自分らで作っとる。ほな問題は、アメリカが本質的にこの紛争、この「黄禍論」の紛争の裏におるんやから、ヨーロッパはこの全部のどこに収まるんやっちゅうことや。そこで中国は、自動車輸出で合意する気になったんや。去年の85万台やったと思うけど、そこから今年は電気自動車やその他の車で、たぶん35万台に減らす、ていう合意や。
けどそれは、全体的な合意と引き換えやった。その合意には、国際法で違法なほかの関税や制限をヨーロッパが中国に課した場合に、中国が世界貿易機関に行ってヨーロッパを訴える権利も含まれとる。ほな、もうヨーロッパの化学産業が「見てみい、EUが中国と結んだこの素晴らしい合意を。中国は車の輸出を減らすことに同意したやないか。化学品でも同じ合意をどうやったら結べるんや」て言うとるんや。そしたら中国は、そこには合意なんかないて、はっきり言うた。「ヨーロッパにとって自動車貿易が大事なことはわかっとる。あれは工業発展の中心にずっとあったもんやから、ヨーロッパの自動車産業に大量失業を起こしたいとは思わへん。そんなことをしたら、有権者が反中国政策一辺倒を支持するようになるだけやてわかっとるからな」て。
けど化学産業の話になったら、「あんたらヨーロッパ人は、もう自分らの化学産業を自分で潰したやないか。化学品はほとんど石油とガスから作られとるからや。石油とガス由来やないもんでも、硫黄が要る。ほんで硫酸は、石油精製の副産物として作られるんや。あんたらが競争力ないんをうちらのせいにはできへん。あんたらがロシアと戦うたせいで、生産コストを自分で上げたんやから。それはあんたらの問題や。アメリカに後押しされて選ばれた自分らの指導者が守ろうとしとるロシア嫌いを、あんたらが維持できるようにするために、うちらが輸出を減らすことはせえへん。それはあんたらの問題や」て中国は言うとる。ヨーロッパは、「ええか、うちらは過去200年の自由貿易理論を丸ごと拒否することに決めた。一番安い市場で買うと国は得をするっちゅう理論を拒否した。輸入の概念を再定義したんや。輸入は過剰生産の結果や」て言うたんや。ほな、過剰生産が補助金の結果やとするなら、ヨーロッパ人は、自分らの市場を補助しとらん、アメリカも自分の市場を補助しとらんふりをするわけや。中国もほかのあらゆる産業輸出国も自国の産業を補助しとって、EUの共通農業政策は農業を補助しとるのにな。もちろん中国は、ほかの国と同じように自国の産業を補助しとる。けど全体の考えとしては、不均衡があって、ある国が中国から輸入しとるなら、それは中国の過剰生産の結果や、ていうことや。
中国が言うたんは、「ええで。わかった、あんたらの論理に従うわ。うちらの原材料、レアアース、アルミニウム、ガリウム、化学品、医薬品、そのほか全部の輸出をやめたる。あんたらから見たらそれはうちらの過剰生産で、過剰生産は悪いことなんやからな。ええのは自給自足や。自給自足したいんやったら、どうぞお達者で。自分らでアルミニウムやレアアースやガリウムやタングステンや医薬品や、そういうもんを全部作ったらええ」ていうことや。ヨーロッパの報道を読むと、どんな経済理論から見ても、えらいナンセンスや。
特にイギリスの大衆紙、わしが主に読むんは英語やからやけど、そういうところが、こんなナンセンスにどうして引っかかるんか不思議や。けど、フランス、ドイツ、イタリアの政府から出てくる発言がこれなんや。ほんまにめちゃくちゃやで。そやから、アメリカとロシアと中国のこの三者会談から出てくるのは、全部こういうことになるとわしは思うとる。中国の立場は、「うちらは開かれた経済が欲しい。勢力圏はいらん」てなるやろう。自由な市場に任せて、ほかの国が誰と貿易して誰に投資したいか自分で決めたらええ、てな。
もちろん、ドイツやほかのヨーロッパ企業は中国に大きく投資してきた。そこに市場があるからや。ところが、アメリカに投資せえて言われとる。リベレーション・デーの関税を課されたフォン・デア・ライエンのトランプとの合意が、ヨーロッパのアメリカへの投資の約束につながったんや。けど、アメリカに投資して企業が儲かる形で動かす方法を、見つけられてへんのや。アメリカはもう産業としての競争力がないからな。経済を金融化してしもうたんや。
家賃にしても住宅ローンにしても住宅費がえらい高うて、国民の医療保険費も高うて、仕事を得るための教育費も高うて、交通費も高うて、何もかもが全面的に高いレント経済になってしもうとる。ヨーロッパが、フォン・デア・ライエンがトランプの条件に屈して約束したことを果たす方法なんか、ないんや。日本や韓国が、アメリカに行うて約束した巨額の投資を果たせへんのと同じことやな。
アメリカが世界帝国と、海外での軍事支出と、効率的な市場で金を稼ぐっちゅう昔ながらのやり方での支配を維持しようとする、最後のあがきみたいなことが起きとるんや。もう効率的な市場を持ってへん。アメリカ政府が世界最大の公的債務者になった今、かつて持っとった債権者としての力もないんや。
アメリカに残っとるのは、前にも話したように、混乱を起こして、ほかの国の発展を邪魔して、ほかの国がどうにかして貢ぎ物を払い続けるか、アメリカと貢ぎ物的な投資・貿易関係を続けることに同意せんかったら、危機を起こす力だけや。これが世界外交の新しい姿なんや。しかもアメリカの報道でもアジアの報道でも、これだけ広く議論されとるのに、ヨーロッパの報道にはまるで出てこん。そこがわしにはわからんのや。
グレン
いや、わしにもええ答えはないな。なんでこういう方向に議論がいかんのか、全然わからへん。けどな、わしはついこないだ中国から帰ってきたとこで、ジャーナリストらに何べんも、この「過剰生産能力」っちゅう概念が何を意味するんか説明してくれて頼まれたんや。昔はそれを輸出て呼んどったやろ。イタリアのファッションの過剰生産能力とか、フランスのワインの過剰生産能力とか、誰も文句言わへんからな。そこで聞きたいんやけど、アメリカがヨーロッパを勢力圏に取り込みたいっちゅうこの欲望があるとして、ほな中東に対してはどう動くと見とる?
というのも、今の大きな流れは、教授が言うた通り、アメリカは経済で競争できんから、その代わりに軍事力を使うて、国際経済の中で特権的な地位、あるいは排他的な勢力圏を切り開こうとする誘因と意欲が強まっとるように見えるからや。アメリカは中東から引いていくと思うか、それとも排他的な勢力圏を要求すると思うか?今の時点では、どっちに転んでもおかしくない気がするんや。
マイケル・ハドソン
アメリカは中東から追い出されとるように見えるで。第一次世界大戦のあとに起きた、ヨーロッパによる西アジアの植民地後の乗っ取り――19世紀後半にはもう始まっとったけど――が、終わりを迎えとるんや。サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、本質的に過去のもんになりつつある。近東で台頭しとる力はイランで、衰えとる力はサウジアラビアで、あれはテロリスト国家や。親米、親欧州の中東は、二つのテロリスト政府に運営されとるわけや。
マイケル・ハドソン
シリアを運営しとるアルカイダの狂信者ども、シーア派やキリスト教徒や、狂信的なスンニ派サウジのイスラム教徒やない者全部に対するスンニ派のテロリストども、それにそこで戦っとるイスラエルや。ほんで今、イギリスがサウジアラビアに航空機を送って、フランスが船を送っとることからわかるように、近東がアメリカから離れていくとき、ヨーロッパとの植民地後の遺産全体からも離れていくんや。それはイギリスとフランスのことや。ほんで西アジアだけやなくアフリカも、入っとったフランの圏から離れていくのが見えとるやろ。
19世紀のイギリスとフランスのヨーロッパ帝国の終わりが見えとるんや。それがこんな不愉快な、テロの、暴力的な形で終わっとる。西アジアの国々が、主にイランの支援を受けて――そのイランはロシアと中国に直接支えられとって、サウジアラビアやペルシャ湾のほかの地域にあるアメリカ支配下の傀儡政府をどこに爆撃したらええか、インターネットで正確な誘導まで与えとるんやけど――石油とガスやそのほかの輸出品をアジアとアフリカ、グローバル・マジョリティとグローバル・サウスに供給する形に再編成しとるのが見える。
ペルシャ湾、イラク、シリアでのこの戦争は、第二次世界大戦後にアメリカ帝国主義に吸収された、ヨーロッパの植民地主義の遺産から丸ごと離れる動きの一部になるし、世界の分裂の一部にもなる。ヨーロッパは、ロシアとの関係から取り残されたのと同じくらい、この分裂からも取り残される。そこで、また問いが出てくる。西アジアやアフリカやほかの国々なしで、ヨーロッパは誰と貿易して誰に投資できるんや。アメリカ以外の誰と、やで。ヨーロッパは、ロシア、イラン、そして最終的には中国に対するトランプの戦争に、自分を縛りつけとるんや。
これは負ける側や。これから見ていく通り、ウクライナがロシアを軍事的に負かす見込みがないのと同じで、ヨーロッパ人やアメリカ人が、19世紀末から20世紀末まで持っとった世界経済全体の支配を保つ見込みもない。あの世界は、まるごと終わりつつある。
世界のほかの国は、「ほな、新しい国際経済秩序の代わりに、どんな制度を作ろか」て話し合うとる。ヨーロッパとアメリカは、その議論に入ってへんのや。
あいつらにできるんは、自分らを孤立させることだけや。つまり、アメリカが、まだ自分の傀儡国家や衛星国として支配できとる旧世界秩序の部分だけを孤立させるのを、見とるしかないっちゅうことやな。
グレン
わしらは何年も、世界が多極的な力の分布に流れていくのを見てきたわけやけど、西側がどう適応するんかはずっと気になっとったんや。ほんで、今こうなっとる。アメリカが極端な軍国主義に逆戻りして、ヨーロッパはどうしたらええか全然わかってへんみたいで、どんどん端っこに追いやられとる。わしは違う展開を期待しとったんやけどな、これが現実や。終わる前に、最後に何か言いたいことはあるか?
マイケル・ハドソン
西側はどう適応するんかっちゅうことやな。問題は、中国みたいになるかどうかや。それに、これには金融的な背景がある。ヨーロッパ諸国の争いも政治危機も、ほとんど金融が性格の中心なんや。ヨーロッパの金融システム全体、予算の資金のまかない方、ヨーロッパとアメリカの産業資本主義が金融資本主義に変わって、経済が金融化して脱工業化したそのやり方、それが全部や。
どうやって再工業化できるんや。やる方法は一つ、脱金融化するしかない。
ほな、できあがった負債の山を大きく帳消しにせんと、どうやって脱金融化するんや。
どうやって競争力をつけて、世界のほかの国と取引できるもんを持つんや。かつて公共やった公益事業――通信や交通の会社全部が、イギリスのサッチャリズムとアメリカのレーガノミクスのもとで1980年代から民営化されて、高コストの独占企業になってしもうたんやけど――それを民営のまま持ち続けるなら、経済全体が、テムズ・ウォーターの仕組みがロンドンにしたことみたいになるやろう。ヨーロッパとアメリカは、自分らが産業資本主義の論理から外れた間違った回り道をしたて、どうやったら気づけるんや。
その論理は、公と民が混ざった経済を発展させることやった。信用制度も含めた基本的な独占を、公営企業が、金融システムも含めて、長期的で有形の資本投資、経済成長、生産性の上昇、生活水準の向上のために運営する経済や。この問題全体が、19世紀の古典派経済学の中核やったんや。
その次元の議論全部――価値論、価格論、地代とは何か、どうやって価格を実際の生産費に合わせて、レント追求を避けるか――こういう、ヨーロッパの経済議論の中心に一世紀あった議論全部が、どこかで復活せなあかんようになる。それやのに、経済学のカリキュラムからも政治学のカリキュラムからも、消えてしもうとるんや。そやから、結局は、意識の変化、昔は思想と呼ばれとったもんの変化に行き着くんやと思うわ。
グレン
急な学習曲線がわしらを待っとるっちゅうことやな。ハドソン教授、時間を割いてくれて、ほんまにありがとう。教授の洞察に心から感謝するで。この議論を、もっと大きな絵のところまで広げられて、よかったわ。
マイケル・ハドソン
ありがとう、グレン。


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