ラリー・C・ジョンソン:2026年10月18日 3題
https://sonar21.com/ansar-allahs-missiles-have-learned-to-hit-someone-taught-them/
アンサール・アッラーのミサイルは当てることを覚えた。誰かが教えたんや。
2026年10月17日 ラリー・C・ジョンソン
イエメンでのサウジの戦争のほとんどの期間、アンサール・アッラーの弾道ミサイルは、軍事的いうより政治的なもんやった。やかましいし怖がらせはするけど、決定打にはめったにならへんかった。2017年の時点では、このグループのミサイルは弾頭を軽くしてあることが多うて、狙ったとこにはほとんど当たらん、と報じても妥当やったんや。サウジの防空網がぎょうさん撃ち落として、残りは何もない砂漠に落ちとった。
今はもうそんな絵姿やない。この夏に対立が再燃してから、10月5日以降だけでサウジの空港5か所がフーシの攻撃を受けて、20人が死んで、何百人も負傷しとる。10月10日には、AFPがリヤドのキング・ハーリド国際空港が被弾した瞬間を撮影した。フーシがアラムコの施設に命中させたと主張したときは、連合軍は誤解を招く主張やと言うたけど、独立系のジャーナリストらは、リヤドの製油所の上に火と煙が上がっとるのを報じとる。これは、街のどっかそのへんに落ちる面制圧の兵器やない。1,000キロ以上も離れた特定の施設に、地域でも指折りの密度の防空網を相手に当ててきとるんや。
わしは軍歴の間ずっと、目標選定と作戦計画の周りで仕事してきた人間やから、このパターンが何を意味するんかは分かる。長距離での精度は、ロケットモーターが良うなったからというて出るもんやない。スカッド系のミサイルが慣性誘導だけで飛んだら、飛行の間じゅうずっと誤差が積み重なるし、再突入体がそこにさらに誤差を足すんや。数百メートルの外れから数十メートルにまで持ってくるには、飛行の終盤で軌道を修正せなあかん。衛星航法の更新か、機動する再突入体か、終末シーカーを使うてな。どんなハードウェアを使うにしても、正確な目標座標も要る。そのどっちも、サアダの山の中でアンサール・アッラーが自前で作れるもんやない。
ミサイル本体がイラン系の血筋なんは、まともに争われてへん。けどイラン自身の精度向上の出どころを見たら、その源は一つやのうて、二つ候補がおるんや。
一つ目はロシアや。2020年にイランがアイン・アル=アサドを攻撃してから、ファテフ系のミサイルはロシアの衛星航法システムGLONASSを使うとる、ちゅう話がしつこく出とる。イランが、暗号化されて妨害に強い軍用のGLONASS信号を使うには、ロシアが暗号鍵を渡さなあかんのや。
二つ目は中国で、わしはこっちも軽う見たらあかんと思とる。中国の北斗(BeiDou)衛星群はGPSより規模が大きいし、その制限付きの認可ユーザー向けサービスは、妨害やなりすましに耐えるように作られとるんや。中印…やのうて中国とイランの関係を追いかけとる研究者らは、2015年にBeiDouをイランの軍事インフラに統合する合意があったと報じられとること、それから、2021年の戦略的パートナーシップのあとに北京が暗号化された軍用信号をテヘランに開放したとの報道を指摘しとる。ある説明によると、イランがアメリカのGPSからBeiDouへの乗り換えを終えたんは2025年6月、あの12日間戦争の直後やった。元フランス情報機関のトップ、アラン・ジュイエは、それ以降のイランのミサイル精度の向上は、BeiDouへのアクセスで説明するんがいちばん筋が通る、と論じとる。テヘランは、そのどれも確認したことはない。ただ、使える情報源は全部使うとるし、どれにも頼ってへん、と言うだけや。
ほんまのところは、イランは両方使うとるんやないか、とわしは睨んどる。ほんでどっちの衛星群に頼っとるにしても、同じ理屈が成り立つ。民生用のオープン信号は、サウジやアメリカの電子戦がまっさきに妨害するもんやからな。そんな環境の中でも当て続けるミサイルは、保護された軍用信号を使うとるんで、それを許可できるんはモスクワか北京だけや。イランがそれを持っとるなら、イエメンに送っとるミサイルにも同じもんが載っとると考える理由は、なんぼでもある。
目標選定の層も、同じ方向を指しとるんや。2024年にウォール・ストリート・ジャーナルは、ロシアがイエメンにおるIRGCを通じて、フーシに衛星データを渡しとると報じた。ワシントンも、中国の商業衛星会社がフーシの攻撃を支える画像を提供したと、公に非難しとる。正確な座標は精密攻撃の半分や。自前の衛星を持たん運動体が、他人の目ぇを必要とするのは当たり前やろ。
「Google Earthを使うてるだけや」
論評家の中には、これを一蹴する連中もおる。誰でもGoogle Earthから座標なんか抜けるんやから、アンサール・アッラーに外部の助けなんか要らん、滑走路か製油所の座標を入れて撃つだけや、とな。
その議論は、「目標がどこにあるか知っとること」と「それに当てられること」を取り違えとる。
精度には、二つの別々の誤差の予算がある。軍の目標選定ドクトリンでも、この二つは別に扱うんや。一つ目は目標位置誤差、つまり狙い点がどこにあるかをどんだけ正確に知っとるか。二つ目は兵器の誤差、つまりミサイルが与えられた座標に、実際どんだけ近づいて飛べるか。この二つは合成されて、大きいほうが支配的になる。無料の商業画像は、一つ目を良うした。サウジの空港みたいな、大きくて、固定されとって、ようけ撮影されとる施設なら、Google Earthの座標は水平方向で数メートル以内に収まることもよくある。1990年代からしたら、それは本物の変化や。そこは、そうやないて言うつもりはないで。
けど、座標は単なる数字や。そこに向かって操舵でけへんミサイルには、何の役にも立たへん。慣性誘導で飛ぶスカッド系のミサイルは、降りてくるときに再突入体がふらつくから、座標がどんだけ完璧でも数百メートル外れるんや。5メートルの精度の座標を500メートルの精度の兵器に入れたら、出来上がるんは500メートルの兵器や。ええ座標をええ命中に変える唯一の方法は、飛行の終盤で軌道を修正できる誘導システムなんや。衛星航法の更新、機動する再突入体、終末シーカー。Google Earthの議論は、その技術が要るっちゅう話を片づけてくれるわけやない。その技術がもうあることを前提にしとるだけなんや。
二つ目の問題もある。衛星航法の誘導は、受け取る信号の質以上には良うならへんし、民生用GPS信号は、戦時にサウジやアメリカの電子戦がまっさきに妨害するもんや。電磁環境が争われとる中でも目標を見つけ続けるミサイルは、無料で暗号化もされてへん信号で動いとるわけやない。GLONASSでもBeiDouでも、保護された軍用信号へのアクセスは、その衛星群を持っとる国からしか来ようがないんや。
最後に、商業画像は一瞬を切り取ったもんで、数週間前、数か月前のもんやったりする。今夜どの格納庫に航空機がおるんか、製油所のどの部分が動いとるんかは、教えてくれへん。施設だけやなくて価値の高い狙い点を叩くには、最新の情報が要る。2024年に報じられたロシアの衛星データが提供するんは、まさにそれやねん。
Google Earthは話の一部ではある。固定インフラを狙うんが、世界中のあらゆる非国家主体にとって楽になった理由は、それで説明がつく。けど、イエメンの運動体のミサイルが、狙ったとこに届き始めたんはなんでなんか、は説明してくれへん。それには誘導パッケージと航法信号が要る。ほんで、アンサール・アッラーはそのどっちも作ってへんのや。
供給の連鎖
連鎖を組み立て直すのは難しいことやない。イランは、ミサイルと訓練と、現地におるIRGCの顧問を出す。ロシアか中国か、あるいは両方が、アメリカには切られへんもんを出す。保護された軍用の航法信号、GLONASSかBeiDouや。ロシアはもう目標データを出しとると報じられとるし、中国は商業画像を供給しとる。アンサール・アッラーは、発射機と意志を出すわけやな。
なんでモスクワや北京は、そんなリスクを取るんやろか。地図を見てみ。アメリカは、イランとの戦争のために、空母打撃群2つと強襲揚陸即応群をアラビア海に置いとる。サウジの防空迎撃弾が、イエメンのミサイル1発に撃たれるたびに、その分はその戦いに回せへんなるし、サウジの空港や製油所が混乱するたびに、リヤドがワシントンと歩調を合わせることの政治的コストが上がる。ロシアにとっては、西側がウクライナに流してきた兵器や目標選定の支援と、同じ理屈や。中国にとっては、アメリカの海軍力を西太平洋から遠いとこに釘づけにしとく、低コストのやり方なんや。どっちも、一発も撃たんでええし、ミサイルに自分の名前を載せる必要もない。
ワシントンとリヤドは、フーシのミサイルの脅威をイランだけの問題として扱うんをやめなあかん。紅海の港での制裁や阻止行動は、ミサイル本体には効く。けど、軌道上から来る信号や、ダミー会社を通して買われた画像には、まったく効かへん。誘導と目標選定の層に正面から向き合うまで、つまりモスクワや北京との外交を通すか、本格的な電子・宇宙の対抗手段を通すかするまでは、サウジの空港は夜のニュースに出続けるやろな。
https://sonar21.com/the-promise-of-false-security/
偽りの安全保障っちゅう約束
2026年10月16日 ラリー・C・ジョンソン
カール・ミラーの新しい報告書によるとな、湾岸諸国は受け取ってもおらん保護にカネを払わされとったんや。ほんで、もう手を引くべき時やと。
何年も湾岸の君主制国家らは、安全保障への道はワシントンとテルアビブを通るんやと言われ続けてきた。アブラハム合意に署名して、イスラエルの防衛・監視技術を買うて、ええ感じのアメリカのファンドに投資したら、守ってもらえるで、とな。ところがこの戦争が来た。サウジの製油所、カタールのLNG設備、地域中のエネルギー施設が攻撃を食らったんや。ミサイルもドローンも、そんなパートナーシップのどれ一つとして止められへんかった。
カール・ミラーは、この戦争の間ずっとわしが湾岸のエネルギー危機の分析で頼りにしてきた人や。その彼が今度は、その安全保障の取引の裏にあるカネと政治に目ぇ向けたんや。新しい報告書のタイトルは、えらい挑発的でな、「湾岸諸国はいかにして、パレスチナにおける経済的・個人的ジェノサイドの資金を出すよう恐喝されたか」ちゅうんや。このタイトルは彼の主張そのものや。ただ、この報告書が読む価値あるんは、ミラーが「自分が主張しとること」と「文書で証明されとること」をきっちり分けとるからや。しかも文書で裏が取れとる記録だけでも、十分に致命的なんやで。
カネの流れを追え:アフィニティ・パートナーズ
報告書の中心にあるんは、アフィニティ・パートナーズや。義父の最初の政権で上級顧問を務めて、アブラハム合意の主要な設計者の一人やったジャレッド・クシュナーが、その職を離れたあとに立ち上げた投資会社やな。湾岸の政府系マネーは、ほとんどすぐに流れ込んだ。ミラーは、公に報じられとる出資約束をこないに再構成しとる。
投資家 報じられた出資約束額 備考
サウジ公共投資ファンド 20億ドル 最初の出資約束
UAEの投資家(最初のラウンド) 2億ドル超 2023年の報道
カタールの投資家(最初のラウンド) 約2億ドル UAEと同程度
カタール投資庁とアブダビのルナテ 15億ドル 2024年のラウンド、2025年3月に報道
ファンドへの出資約束の合計 約45億ドル うち約39億ドルが湾岸マネーやと特定できる
出典:カール・W・ミラー『偽りの安全保障っちゅう約束』(2026年10月16日)、公開報道から編集。出資約束は、実際に払い込まれた現金とは別もんや。
手数料もちゃんと後からついてきた。2024年9月までに、アフィニティは外国人投資家から管理手数料として約1億5,750万ドルを徴収しとった。そのうち8,700万ドルはサウジ公共投資ファンドからや。2026年3月の議会宛ての書簡では、2025年分でさらに6,000万ドル超と見積もられとる。その二つの期間を合わしたら2億1,700万ドル超やがな。ところが2024年7月の時点で、ファンドが実際に投じとったんは約11億ドルだけ。投資家が約束した額の37%ほどなんや。ミラーの結論はこうや。実績の見せ方に比べて、報酬が多すぎる。アフィニティが投資をしたんは確かやけど、湾岸の出資者が実績のある利益を見る前に、運用者のほうがたんまり報酬をもろとったんやと。
カネの行き先
報告書でいちばん爆発力があるんは、そのカネの一部がどこに行き着いたんかっちゅう部分や。アフィニティは、イスラエル最大級の保険・投資グループ、フェニックスに出資した。間接保有で最大10%まで認める許可のもとでや。2026年7月に持ち株の4分の1を売ったあとも、まだ約7.4%を持っとる。そのフェニックスは、イスラエルの防衛企業をずらっと並べて持ち分を持っとってな。国内最大の兵器メーカー、エルビット・システムズに少なくとも2億6,500万ドルの持ち分があると報じられとるし、ドローン用カメラや砲弾の信管、装甲車の部品を作っとるメーカーにも保有がある。フェニックスのポートフォリオを調べた研究では、ヨルダン川西岸の入植地、エマニュエルとエフラットの住宅への融資や、占領下の東エルサレムにあるショッピングモールの80%の権益も報告されとる。
国際司法裁判所(ICJ)は2024年7月の勧告的意見で、占領地におけるイスラエルの入植事業は違法やと認定した。国連安保理決議2334もそうや。つまり、一部はアラブとイスラエルの平和ちゅう約束で集められた湾岸のカネが、少数株主の持ち分とはいえ、イスラエルの兵器産業と入植地がらみの事業に関わる会社の中に、今おるわけや。
ミラーは、ここでの限界をきっちり押さえとるし、わしもそうせなあかん。この関わりは間接的なもんや。フェニックスの7.4%を持っとるからて、アフィニティがフェニックスのポートフォリオ全部を所有しとるとか指図しとるとか、そういうことにはならん。それに、彼が挙げとる入植地への融資は、アフィニティが出資する前に行われたもんや。けどな、パレスチナ国家樹立を公に支持しとる湾岸の政府にとったら、自分らの政府系資産がこの鎖のどっかにおること自体が、耐えられへんはずやで。
UAE:保護として売られた依存
報告書の二本目の筋は、安全保障についてや。アブラハム合意以来、アラブ首長国連邦(UAE)はイスラエルの防衛産業と深い関係を築いてきた。2021年3月には、UAEの防衛コングロマリットEDGEとイスラエル航空宇宙産業(IAI)が、対ドローンシステムを共同開発することで合意した。しかもそのプロジェクトを、はっきり合意と結びつけてや。2021年11月には、同じパートナーが無人水上艇を発表した。海上の安全保障や、石油・ガス事業に使えるもんやな。それとは別に、アブダビのムバダラは2021年に、イスラエルのタマル・ガス田の22%に10億2,500万ドルを払うた。
ミラーの見立てでは、この一体化でUAEの安全保障上の自律性が損なわれたんや。外国の供給業者が重要な機関の中に入り込んで、政府の行動の自由が縛られたと。彼は、イスラエルがUAE政府を支配しとるとは言うてへんし、記録もそれを示してへん。彼の議論はもっと微妙で、わしに言わせたらもっと大事なもんや。自分らの重要システムを、外国の供給業者抜きでは動かすことも、修理することも、取り替えることもできへん国は、そのシステムに対して主権があるとは言えへん、ちゅうことやねん。
偽りの安全保障という命題
ここが報告書の核心や。政治的なアクセスと高度な兵器は、保護とは違う。湾岸諸国は、対ドローンシステムや監視ツール、ワシントンでの特別な出入りを買うた。けどミラーに言わせたら、彼らに要ったんは、油井から支払う客のとこまで石油とガスを流し続ける能力やったんや。生産、精製、電力、パイプライン、港、海運、決済システムのことやな。対ドローンシステムは、はっきり決まった脅威なら打ち破れる。けど、製油所が稼働し続けるとか、パイプラインが送り続けるとか、タンカーが買い手に着くとかは、保証でけへんのや。今年の出来事が、それを証明してしもた。パートナーシップは、派手なファンファーレで発表された。それやのに、インフラはお構いなしに叩かれたんやで。
出て、取り戻して、主導権を握り直せ
ミラーの提言は、ずばりや。湾岸の政府とその政府系ファンドは、トランプ・クシュナーの金融関係から手を引いて、イスラエルの防衛・監視の供給業者への依存を置き換えるべきや、と。具体的にはこうや。
一つ目、新規の出資約束も、更新も、拡大も、ぜんぶ止める。二つ目、契約上使える権利はあらいざらい使って、ファンドの持ち分を引き出すか、移すか、売るかして、資本を回収する。そのうえで、運用者が受け取った手数料、成功報酬、その他の利益の全面的な説明を求める。三つ目、データ、ソフトウェアの鍵、管理者アクセスを、外国の供給業者から取り戻す。ただし、肝心なシステムを止めてまわんように、慎重な順番でやること。四つ目、代わりの安全保障は、政治的な約束やのうて、実証された性能と主権的な管理をもとに買う。ほんで五つ目、その間ずっと、石油とガスの収入の鎖を守ること。
彼は、この報告書が何を証明してへんかについても、同じようにはっきりしとる。法律上の意味での恐喝は立証されてへんし、ワシントン、テルアビブ、アフィニティをつなぐ一つの指揮系統も、誰かの個人的な刑事責任も立証されてへん。そういう問いには、調査する側が、具体的な約束、脅し、決定、支払いをつなぎ合わせる必要がある。けどミラーの言いたいことは、湾岸はそんな証明がのうても動ける、ちゅうことなんや。手数料は文書で裏が取れとる。関わりも文書で裏が取れとる。約束された保護が機能せんかったことは、湾岸の製油所の上に立ちのぼる煙で目に見えとるやんか。
わしの見方
湾岸諸国は、こういう取引を売りつけられたんや。イスラエルと関係を正常化せぇ、その技術を買え、大統領の娘婿と一緒に投資せぇ、ほしたらアメリカとイスラエルが守ったるで、とな。彼らは自分らの側の約束を守った。それやのに、保護は届かんかった。彼らのカネは、政治的なコネのある運用者に手数料として払われて、間接的にイスラエルの兵器産業と入植地経済に流れ込んでいった。その一方で、自分らの石油とガスのインフラは燃えとったんや。
ミラーの助言は、正しい助言や。出ろ、カネを取り戻せ、自分らの安全保障の主導権を握れ。リヤドとアブダビとドーハの支配者らは、シンプルな問いを自分らに投げかけてみるべきやな。そもそも自分ら、いったい何を買うたんや、ちゅうことをな。
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なんでイランは席を立たへんかったんか
ラリー・C・ジョンソン 2026年10月16日
トランプは2018年に核合意を破り捨てよった。せやけどテヘランはそれから1年も合意を生かし続けたんや。それは弱さやない。戦略やったんや。
わしはこの記事をずっと倉庫に寝かせて、出すええタイミングを待っとったんや。今夜、マリオ・ナウファルがイランについての討論会を開いてな、ロバート・バーンズとマット・タルディオが出とった。ところがマットがデタラメと嘘をえらいぎょうさん垂れ流しよったもんやから、JCPOAに何があったんか、ここできっちり記録を正すべき時やと思たんや。マットの名字に「RE」の接頭辞をくっつけたろかとも思たけど、人格攻撃の道には行かんとこと決めた。代わりに、事実だけを扱おやないか。
2018年5月8日、ドナルド・トランプは、アメリカが「包括的共同行動計画(JCPOA)」から離脱すると発表した。イランがその3年前にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国と結んだ核合意や。トランプは合意で解除されとった制裁を全部復活させて、さらに「最大限の圧力」とか呼ぶ政策で上乗せしよった。イランは合意に違反してへんかった。国際原子力機関(IAEA)はイランの核施設すべてに査察官を置いとって、イランはちゃんと約束を守っとると何べんも認定しとったんやで。
ワシントンのほとんどの連中は、テヘランも同じようにやり返すやろと思とった。査察官を追い出して、遠心分離機を回し直して、爆弾に向かって突っ走るやろ、とな。政権の中には、そうなってくれたらええのにと期待しとった者もおった。次の一手の口実になるからや。ところがイランは逆をやった。まるまる1年、合意の制限を全部守り続けたんや。濃縮度は3.67%のまま、備蓄は300キロ未満、IAEAには扉を開けっ放し。なんでそうしたんかを理解したら、イランの指導者らが実際どう考えとるんかがよう分かるし、アメリカの論評を支配しとる「無謀な政権」ちゅう戯画も崩れるんや。
アメリカを悪者の立場に追い込んだ
最初の理由は正当性や。合意に留まることで、イランは争いの構図を「イラン対世界」から「アメリカ対その他みんな」に変えてしもたんや。国連安保理決議2231が承認しとった合意を破ったんは、テヘランやのうてワシントンのほうやった。ヨーロッパもロシアも中国も、みんなそない言うた。何十年ぶりかで、イランが外交の上で優位に立ったんや。しかも指導者らは、その立場を手放したら2015年より前に自分らに制裁をかけとった連合がまた結束してまうことも分かっとった。
この読みは、ほとんど誰も予想せえへんかった形で実を結んだ。2020年8月、トランプ政権は合意の「スナップバック」条項を発動して、国連の制裁を全部元に戻そうとした。ところが安保理15か国のうち13か国がこれを拒否したんや。理由は、アメリカは合意から抜けた以上、その条項を使う資格がない、ちゅうことや。もしイランが2018年に席を蹴っとったら、スナップバックは自動的に、全会一致で通っとったはずや。辛抱したおかげで、イランは国連で守ってもらえたんやな。
ヨーロッパに結果を出す機会をやった
二つ目の理由は経済への期待や。イランにとって合意の値打ちは制裁解除にあった。ヨーロッパは、その一部は守ったると約束したんや。そこでINSTEXちゅう特別な貿易の仕組みを作った。ヨーロッパ企業がアメリカの制裁にさらされんと、イランと商売できるようにするためのもんや。テヘランは、それがうまいこと動くようにヨーロッパに時間をやった。けど、結局うまいこといかへんかった。INSTEXが最初の取引、つまり医療品の出荷を済ませたんは、やっと2020年3月のことや。ヨーロッパ企業は、アメリカ市場とドルから締め出されるリスクを嫌がって、さっさとイランから逃げ出したんや。イランの石油輸出は日量250万バレル前後から、数十万バレルにまで落ち込んだ。それでもイランの指導者らは、ヨーロッパの約束が役に立たんと言い切る前に、まずそれを試さなあかんかったんで、ちゃんと試したんや。
ワシントンとイスラエルから口実を奪った
三つ目の理由は安全保障や。イランの指導者らは、爆弾に向かう動きがちょっとでも目に見えたら、それが軍事攻撃の正当化に使われるて分かっとった。ワシントンやエルサレムのタカ派は、この合意は避けられん事態を先延ばしにしとるだけやと何年も主張してきたんや。イランが席を立っとったら、その主張が正しいて証明してまうとこやった。査察官が現地におる状態で合意の中に留まることで、イランは戦争を売り込むのをずっと難しゅうしたんや。IAEAの報告書こそが、イランにとって最高の防御やったんやで。
これは、イランの指導部が20年にわたって公に保ってきた立場とも筋が通っとる。最高指導者アリ・ハメネイは核兵器を禁じる宗教令を出したし、イランはずっと核拡散防止条約(NPT)の締約国であり続けた。その立場がどんだけ本気かは人それぞれ思うところがあるやろけど、2018年5月以降のイランの行動は、その立場と合うとったんや。
トランプより長生きする方に賭けた
四つ目の理由は時間や。イランの指導者らはアメリカの政治をずっと注意して見とったし、大統領が入れ替わるもんやちゅうことも分かっとった。合意は一つの政権が交渉して、次の政権が見捨てた。ほな三つ目の政権が元に戻すことかてありえる。合意に留まっとけば、その扉は開いたままになるんや。ハッサン・ロウハニ大統領とジャワド・ザリフ外相は、この合意に自分らの政治生命を賭けとったから、橋を焼くよりトランプを待ち切るべきやと主張した。アメリカの約束にずっと懐疑的やったハメネイは、二人にその主張をさせたんや。アメリカが約束を守る側に戻ってくる、ちゅう賭けやったわけや。
なんで辛抱が切れたんか
イランの辛抱は無限やなかったし、無条件でもなかった。トランプの発表からちょうど1年後の2019年5月8日、ロウハニは、イランが段階的に約束を縮小していくと表明した。イランは合意そのものの第36項を持ち出したんや。ほかの当事国が重大な不履行をしとる場合は、義務の履行を止めてもええ、ちゅう条項やな。一つ一つの措置は事前に発表されて、IAEAの監視のもとで実施されて、アメリカが戻って制裁を解いたらすぐ元に戻せるもんやと説明された。2019年7月にイランは備蓄の上限を超えて、4.5%まで濃縮した。11月にはフォルドゥでの濃縮を再開した。
そこへ、テヘランを頑なにする出来事が重なったんや。2020年1月にアメリカがガーセム・ソレイマニ将軍を殺した。同じ年の11月には、イランの核科学者のトップ、モフセン・ファクリザデが暗殺された。2021年4月にはナタンズの濃縮施設が破壊工作を受けた。攻撃を受けるたびに、イランは一歩ずつ返していったんや。20%濃縮、拡大査察の停止、そして最後に60%や。バイデン政権には、2021年と2022年のウィーン協議で合意を復活させるチャンスがあったけど、その協議もポシャった。
テコとしての60%
イランが取った措置の中でいちばん穏やかやないんは、2021年4月の60%濃縮の決定で、よく「テヘランは爆弾に向かって突っ走っとった証拠や」と言われる。けどタイミングと条件を見たら、全然違う話に見えてくるんや。合意復活のための協議がウィーンで始まったんが2021年4月6日。その5日後に、ナタンズの濃縮ホールが破壊工作を受けた。イスラエルの仕業やと広う言われとる攻撃や。イランが60%濃縮を発表したのは、その2日後やった。
この動きは、交渉のテーブルに向けたメッセージやったんや。イランは残りの当事国とアメリカに、約束を果たさへん月が増えるごとに代償がつくで、しかもその代償はどんどん上がるで、と伝えとったわけや。イラン政府のスポークスマン、アリ・ラビイは4月20日に公の場で、他の当事国が義務に戻ったら、この措置は「すぐ元に戻せる」し、濃縮は2015年の合意で決まったレベルに戻る、と言うとった。2020年12月に議会が通した法律、つまり濃縮を引き上げて査察を減らせと命じたあの法律も、同じ作りやった。エスカレートの一つ一つを、制裁解除がないことに結びつけとったんや。
それはテコであって、ブレイクアウト(爆弾への突進)やない。イランは3年にわたってヨーロッパが約束を果たさんのを見てきたし、アメリカが新しい譲歩なしには戻ってけえへんのも見てきた。3.67%に留まったところで、もろたんは称賛だけで、ほかには何もなかったんや。ほかの署名国らに自分らの約束をまじめに受け止めさせるには、賭け金を吊り上げるんが、イランに残された唯一の道具やった。イランが60%まで濃縮したんは、あとで差し出せるもんを手元に持っとくためやったんや。
批判する側が言うこと
批判する連中は、わしの主張に三つの反論をぶつけてくる。一つ目は、イランはミサイル計画やら地域の同盟勢力への支援やらで、最初からずっとアメリカを挑発しとったやないか、ちゅうやつや。せやけど、そのどっちもJCPOAの対象やなかった。合意は意図的に核計画だけに絞られとったんや。合意が可能やったんがその一点だけやったからやな。合意にそもそも入ってへん条件を破ったと言うてイランに責任を負わせるんは、公平な試験やないで。
二つ目は、60%濃縮には民生用の目的がない、ちゅうやつや。それはだいたい当たっとるし、実はそこがポイントなんや。取引材料ちゅうもんは、相手にとって値打ちがなかったら意味がない。60%に値打ちがあったんは、まさにワシントンとヨーロッパとイスラエルを心配させたからや。この期間、イランは90%まで濃縮したことはないし、NPTから抜けたこともないし、査察官を追い出したこともないんやで。
三つ目は、2023年の初めにIAEAがフォルドゥで83.7%に濃縮されたウラン粒子を見つけた、ちゅう話や。イランは、濃縮工程での意図せん変動の結果やと言うたし、IAEAもその濃度の備蓄は報告してへん。粒子は備蓄とちゃうし、備蓄は兵器とちゃう。イランが溜め込んだ60%の物質が増えたんは事実で、その報告の時点で約87.5キロ、その後はもっとぎょうさんや。その増加は危険なもんやった。けど、それは、イランに止まる理由を一個も与えへん圧力政策がもたらした、予想できた代償やったんや。
教訓
この記録が示しとるんは、国際合意が破られたのに対して、まず自制で応じて、それから測りながら元に戻せる圧力で応じて、経済を締め上げられて、軍人や科学者を殺されてから、やっとエスカレートした政府の姿や。これは、最初のチャンスに爆弾を作ったろと決めてかかっとる政権のやることやない。合意を生き延びさせたかったのに、アメリカがそれを許さへんやろと、ゆっくり結論づけていった政府のやることや。
ワシントンにとっても、ここには教訓がある。うまいこと動いとった合意からアメリカが手を引いたとき、もっとええ取引が手に入ったわけやない。手に入ったんは、兵器級に近いウランを持ち、査察官は減って、アメリカの約束を疑うあらゆる理由を抱えたイランやった。イランは、トランプが見捨てたあともJCPOAを1年間生かし続けた。わしらが問わなあかんのは、なんでイランが結局一歩引いたんかやない。イランを爆弾から1年遠ざけとった合意から、なんでアメリカが手を引いたんか、ちゅうことやで。


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