2017年4月19日水曜日

カイザーレポート 第1059回 なんで金が有り余っているのに小売業が撤退するのか

Keiser Report_ High Rent Blight (E 1059)
https://www.youtube.com/watch?v=mXPOimCIXz4

マックス「今日は爆弾でもいろいろあるなかで経済爆弾や富裕爆弾について語ろう。」

ステイシー「今日我々はニューヨークのソーホーからです。給水塔やエンパイヤステートビル、そしてフリーダムタワーも見えます。マックス、あなたは70年代から80年代にここで過ごして、破産や胴枯れの時代を見て来たよね?小売店がつぎつぎと閉店してニューヨーク市は財政破綻。それがいまや経済は活況で家賃は急上昇。金が有り余っているというのに状況は昔とおなじ胴枯れ状態。」

マックス「小売店舗が空き家状態っていうのはふつう不況のときなんだけど、いまは金が有り余っているから空き家が増加している。中央銀行が紙幣を刷りまくるもんだから誰もリース契約を結びたがらない。つまりリース契約が有利にはたらかない。誰もリースで借りたがらないし、家主も貸したがらないから小売店舗が空き家状態なんだ。金が有り余っているのに空き家が増えるっていう矛盾した状態が、アメリカのみならず世界中で起きている。紙幣を刷りまくって無能な統治者の手にまかせたらぜんぜんいいほうにならないっていうことだ。」

ステイシー「ここで70年代と今の状況を比べてみましょ。70年代は新聞が第一面で『ありえないニューヨーク市財政破綻』って書いた。連邦政府が世界の金融センターを見捨てたっていうこと。いっぽう今の状況は連邦政府がニューヨークの銀行資本に対する救済措置をやめることができない。」

マックス「救済をやめることができない。昔は見捨てたっていうのに。ゲロみたいに救済を開陳している。まるでキャッシュの消火栓状態だ。犯罪者みたいな銀行がトランプさん、イエレンさんお願い・・っていうだけでゲロのように金が吐き出される。コストゼロの金がポケットにどんどんはいる。これはモラル的判断力の問題だ。昔はモラルがあったはずの銀行がいまや犯罪者だ。」

ステイシー「あなたはさっき富っていう言葉を使ったけど、いまの状況は富じゃなくてマネーが多すぎるといいたい。70年代、貧困の胴枯れと言われた時代でも、99.99%の人たちの賃金はいまよりずっと価値があった。いまは金余りの状況で賃金は最低レベル。他の統計数字との関連でいえば、70年代に(ニューヨークの)殺人件数は年間3,000件。いまはソーシャルメディアで『なんてことかしら!1年に300人も殺されるなんて!』ってそりゃ昔の1ヶ月の件数でしょ。いっぽう今じゃ中年の自殺率がとんでもなく高くなっている。麻薬の乱用と自殺を含めて寿命が短くなっている。昔は金があったけれど殺人件数が多い。今はカネ余りで自殺が多い。」

マックス「金が有り余っているからウェストサイドで飛び降りるんじゃないかな。銀行家がゼロコストのマネーを手にいれて、マネー中毒症状でどうしていいかわからないから自殺するんだろう。」

ステイシー「ところでここソーホーは家賃の高騰がいちばんひどいところなんだけど、小売業のハイエンドとローエンドの話をしましょうか。ハイエンドといえばラルフ・ローレン。ローエンドがペイレス・シューズ。両方とも店をしめちゃった。ペイレス・シューズは家賃が高くなりすぎたから。ラルフ・ローレンは5番街の店を閉めちゃった。」

ブルームバーグ記事
アメリカ小売業の閉店スピードは過去最速。
クレディ・スイスによると小売業の閉店は前年比ベースですでに前回不況時の(そしてローコストマネーが出回り始めた)2008年を上回っている。2016年の1153件上回る2880件の閉鎖が公表されている。

マックス「フリーマネー(訳注:ゼロコストのマネー)をジハド主義の金融テロリストに与えたら、っていう隠喩でいうと、ハーバードとかイエールみたいなマドラッサで札銀技術を学んだテロリストたちが処女たち(フリーマネー)を手にいれる。倫理的には金を借りたら金利を払わなければならない。10%とか10%とか30%だな。2000%っていうのもありだ。世界はふたつの陣営にわかれる。金利を払うゲットー住民とトランプ一派のフリーマネー住民だ。我々はもちろん高金利ゲットーのほうだ。」

ステイシー「フリーマネーが資産バブルを招いた。バブルは膨れるいっぽうで、社債や国際だけじゃなくて不動産まで膨らんだ。家賃高騰がいかにして都市を殺すかをみてみましょう。これがソーホーの地図。赤い地点が空き家小売スペース。家賃が高すぎるのが一因。リースするほうは家賃を下げたくない。空き家だったら家賃を下げるっていう常識に従う必要がない。1年2年3年くらい空き家状態でもかまわない。80年代なら、物件を担保にして金を借りているから、8年間も空き家なんて耐えられなかった。」

マックス「つまりこういうことなんだ。家主の貸借表には物件が載っている。それを担保に金を借りる。ローンは金利ゼロだ。その借りた金を、ビルは空き家のままどっかの国の国際やらシティバンクの金融商品に投資する。ファンドは3%とか4%を保証する。運営はロボティックスがおこなう。その物件はテナントがはいるだけの価値があるという仮定のもとに担保にされているんだけど、じっさいにローンをコールしたとたんに破綻する。だから物件を空き家状態にしておくことで、ゼロ金利のまま経済が回っているというファンタジーに加担することができる。それを演出しているのがゴールド萬作でありJPモルガンのようなテロリストたちなんだ。ウェストミンスターでテロリストに誰かが殺されたなんて記事になるけれど、イングランド銀行の殺人はもっとあっさりと行われている。」

ステイシー「ここソーホーの家賃高騰について語りましょう。ソーホーはウェストヴィレッジに近い。食肉市場エリアの一部はニューヨーク市の公共事業できれいになっていまや観光地だけど、70年代や80年代は怖くて誰も近づかなかった。ヘルズキッチンと言われたとおりだったよね。」

マックス「食肉市場だから昼間は商業活動が行われているけれど、活動時間以外はそんな感じだった。」

ステイシー「2015年のニューヨーカーいわく・・・」

記事
なぜウェストヴィレッジで小売店舗がシャッター街になったのか?
小売店舗が空き家なのは不況とか犯罪率が高いということだったのだが、ウェストヴィレッジでは不況も犯罪もない。ここでは家賃が高すぎるため、「家賃高騰の胴枯れ」といわれている。つまり物件価値が高くなりすぎて地域経済に貢献しないという、じぇーん・ジェイコブズが書いた The Death and Life of Great American Cities どおりの現象があらわれている。

ステイシー「店が閉鎖されたら麻薬中毒者が入り口に住みついてゴミをちらかす。胴枯れするとガラスが割られ・・」

マックス「そのうちアーチストが住むようになってヒップといわれ、ファンドマネージャーが住みはじめ・・とサイクルになる。クリストファーストリートなんてゲイの街じゃなくてハーバード卒のファンドマネージャーしか住んでいない。まったくアホな話だ。」

ステイシー「オーナーには優遇税制もあるよね。トランプもデベロッパーだけど、多大な損害を被ったら税金を払わないでいい。」

記事
家主にとって投機目的で店舗を空き家にしておくほうがいい。将来的に銀行のように破格の家賃を払ってくれるテナントがはいるのであれば、短期間の家賃ロスは問題ではない。ローカルのカフェに貸して月々5000ドルや1万ドルのはした金を稼ぐより、チェイス銀行に2万ドルとか5万ドルで貸したほうがいいに決まっている。

ステイシー「チェイス・マンハッタンはフリーマネーを享受しているほうだから。」

マックス「いつか高い家賃を払ってくれるテナントを待つっていう意味の投機じゃなくて、じっさいのはなし、安いテナントをいれることができない。そんなテナントを入れたらポンジ詐欺システム全体が崩壊するからだ。低金利で金利システムを運営するしかないという罠に(システムそのものが)はまってしまっている。だからイングランド銀行もリボ金利を抑えるしかない。テロリストに加担してるんだ。」

前半おしまい。

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