2017年4月5日水曜日

サウジの原油、中国の鉄、オーストラリアの不動産。

Rig Count Continues To Threaten Oil Price Recovery, Saudis Cut Prices To Asia (Again)
Mar 31, 2017 1:05 PM
http://oilprice.com/Energy/Oil-Prices/Saudis-To-Cut-Crude-Prices-To-Asia-Again.html
アメリカのシェールオイルのリグ数が上昇 =>=> 原油価格上昇が困難に。サウジは中国向け原油価格を再度値下げ。
アメリカのシェールオイルのリグ数が11週連続で増加し、いまや662。これは2015年9月以来で最高の数字。いっときの原油価格急落の影響で、穴を穿っただけの状態で放置された油井はまだまだ数千あるそうな。なにかと話題になるパーミアン油田の油井がフル稼働したら日産30万バレルになるという。
シェア低下でパニック状態のサウジはこの5月にもアジア(=中国)向けアラブライト価格を下げるとの噂。サウジは3月末に4月出荷分価格を値下げしたばかり。アジア市場でライトオイルはミディアム・ヘヴィーに比べ在庫が潤沢なので価格下げ圧力が強いとのこと。
スポット市場も弱く、ディスカウントで売られている。イラン、クェート、イラクの価格もサウジに続くのが通例なので、今後しばらく原油価格はあがりそうにない。

China's Record Iron Ore Glut: Enough To Build 13,000 Eiffel Towers
Mar 31, 2017 12:50 PM
http://www.zerohedge.com/news/2017-03-31/chinas-historic-iron-ore-glut-enough-build-13000-eiffel-towers
ちょっと前に「中国鉄鋼業界は減産する、と中国が嘘をついたのがバレて鉄鉱石価格が急落」というのを書いたばかりなのだが、中国もOPECも鉄と石油の違いはあれ、減産していると嘘をいいつつ増産しているのは同じ穴の狢。
中国が嘘をつくのは珍しいことではなく、GDP、金保有高、資本流出、借金についての嘘はバレたばかり。しかしながら鉄の場合ちょっと事情が異なり、減産=>鉄市場がタイト=>鉄鉱石価格が2倍に上昇=>「環球経済回復!」=>ハウジングバブル再過熱、となったので罪が重い。
ロイターによると中国の鉄鋼石在庫は過去最高レベルでエッフェル塔が1万3千コ以上つくれる量なのだとか。
中国各地の主要港でキャパ限界まで溜め込まれている多くは良質鉄鋼石なのだが、中国政府はそれにもかかわらずオーストラリアのフォーテスキューメタル(業界第4位で中・低質鉄鋼石が主流)から書い続けている。(訳注:そのへんの政治的背景については誰も何も書いていないけれど。)
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嘘がバレて鉄鋼石価格が急落したら、それがバブル崩壊のきっかけになるんじゃないか・・・というのがロイターの紙背のメッセージです。

Australia Has The World's Worst Money-Laundering Property Market
Apr 1, 2017 8:13 PM
https://www.macrobusiness.com.au/2017/03/report-australia-worlds-worst-money-laundering-property-market/
トランスペアレンシー・インターナショナルによるとオーストラリアの不動産市場はマネーロンダリングとの結びつきで世界最悪なのだとか。
名指しされているのはオーストラリアのみならずカナダ、イギリス、アメリカ。以下、国際透明レポート( Doors Wide Open: Corruption and Real Estate in Four Key Markets )からの引用。
マネーロンダリングのうち不動産を仲介にして行われているのが30%。(2011-2013年実績)その取引の多くはペーパーカンパニーやトラスト名義で行われ、デューディリジェンスはほぼゼロ。なんで犯罪者がそんな簡単に不動産を買うことができるのかという理由トップ10はつぎのとおり:

1.「これはマネーロンダリングです」という基準が不適切。
2. 法制度の不備
3. 外国企業が簡単に不動産を買える。
4. 金融機関がデューディリジェンス重視のあまりキャッシュ取引に注意を払わない。
5. マネーロンダリングの疑いがある取引を通報するシステムが不十分。
6. 有名政治家関係者ならフリーパス同然。
7. 不動産屋の資格制度がない。
8. マネーロンダリングがどういう結果になるか誰もわかっちゃいない。
9. 監視が長続きしない。
10. 罰則がない。

そもそもオーストラリアでは不動産取引業がマネーロンダリング取締法やカウンターテロリズム法(2006年)の対象とされていない(ついでながら弁護士も公認会計士も対象にはいっておらん)のでいかなる書類も提出する必要がない。そしてこれはオーストラリアに限らずカナダもアメリカもそうなのだが、キャッシュトランザクションについて金融機関がぜんぜんチェックしておらん。ちなみにオーストラリアの場合、中国人バイヤーの7割がキャッシュで支払う。
てなことを10年も前からファイナンシャル・アクション・タスクフォースなるフランスの組織が申し立ててきたのだが、政治家は無関心らしく、オーストラリアの不動産に中華マネーは蓄積されてきたのであった。
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蓋し、中国がオーストラリアから中・低品位鉄鉱石を買い続けるのはそのためだったのか!?

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