2017年1月15日日曜日

信濃毎日への投稿

拝啓
いつも楽しく拝読しております。
私は新参者の移住者ですが、
かねてから岩波茂雄を生んだ諏訪の風土、そして貴紙のリベラルな編集方針に対し敬意をもっております。
それだけに、去る2017年1月14日付けの社説「メディア敵視の危うさ」について一言申し上げたく存じます。
結論としてメディアが「事実に立脚した正確な報道、公正で的確な評論という王道に徹するほかない。」との貴見には全面的に賛同します。しかしながら、メディアを敵視したのはトランプ氏が初めてではなく、先だって退任演説を行ったオバマ政権においても同様です。例えば昨年11月16日に公開されたユーチューブでは
https://www.youtube.com/watch?v=pV80Wec9IBs
大統領府報道官カービー氏がRT(ロシアントゥデイ)記者に対し、「ロシアの国営メディアであるRTを他メディアと同列に扱うことはできない」と、差別的態度を明言しました。
トランプ氏がマスメディアに対して批判的なのは、その言い方こそ非難されてしかるべきところがあるとはいえ、選挙運動期間中における取り扱いの差はクリントン氏7に対しトランプ氏1であったというデータもあります。
http://www.dailywire.com/news/9967/how-much-does-media-cover-trump-vs-wikileaks-hank-berrien
そして大統領選で予測が外れたマスメディアは、ヒラリー落選をロシアと独立系メディアのせいにして、独立系メディアを「フェイクニュース」と呼びはじめました。しかし古くはイラクの大量破壊兵器疑惑をはじめ、シリアの状況に至るまでフェイクニュースを流してきたのはCNN、ABC、MSNBC、CBSなど大手メディアでした。たとえばシリア戦争についての大手メディアの情報ソースは「シリア人権監視団」ですが、これはルーミー・アブドゥルラーマンなる人がイギリスの郊外に居を構え、たったひとりで運営している団体であり、イギリスはじめ欧州の複数の政府から資金援助を受けていることが2013年4月9日のニューヨークタイムズで明らかにされています。
http://www.nytimes.com/2013/04/10/world/middleeast/the-man-behind-the-casualty-figures-in-syria.html
また去る12月14日に公開されたユーチューブでは、国連シリア・アレッポ調査団の記者会見でエヴァ・バーレット氏により、マスメディアがたったひとりの特派員もアレッポに置くことはないまま、シリア人権監視団とホワイトヘルメット(英国体液軍人が創立し、西欧の多大な資金援助を受けた武装NGOでシリア政府軍兵士殺害疑惑が持たれている)のふたつの団体の情報のみをソースにしていることが糾弾されています。
https://www.youtube.com/watch?v=uap0GwBYdBA
そのような報道姿勢を変えない大手メディアは果たしてアメリカ国民の支持を得たでしょうか?フェイクニュースキャンペーンに賛同したフェースブックはいまやアメリカでもっとも嫌われる企業トップ10に入りました。
私はなにもトランプ氏を持ち上げているわけではありません。岩波書店「世界」2月号に掲載された、宮前ゆかり氏「トランプ政権 ーアメリカの着脱と搾取の系譜」の前半では、トランプ氏の危なさに対しじつに的確な指摘がなされていると思います。しかし残念なことに、同記事の後半において宮前氏は、不正選挙がなければクリントン氏が勝っていたはずなのに、とクリントン寄りの態度を明らかにしています。リビアについて「我々は来た、見た、(カダフィーが)死んだ。」と楽しそうに笑ったヒラリー・クリントンがアメリカ大統領にふさわしい人物かどうか、またリベラルといわれたオバマ氏はノーベル平和賞を受けていながら、アメリカ史上初の2期在任中に1日たりとも戦争をしない日はなかった、と批判された政権であり、そこで国務長官を務めたのがクリントン氏であったことを考えるとき、アメリカのネオ・リベラル政権下で戦争が終わることはなかったはずであり、その意味でトランプ氏はよりましな選択であったと考えています。
インターネットを通じてリアルタイムでニュースを入手できる今日海外ニュースについて公器たるメディアには目利きとしての役割が求められると思います。より広く情報を集め、そのうえで若い人たちに安心して勧めることができる紙面作りを、これまで以上に期待しております。
今後とも益々のご健闘を祈ります。
敬具。

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