日本で電力が停止することはないが、輪番停電の可能性は排除できない
https://jp.sputniknews.com/20220616/11571679.html
2022年6月16日, 15:05 (更新: 2022年6月16日, 16:22)
予想される電力逼迫を背景に、この夏と冬、日本政府は企業や市民に対し、できる限りの節電を呼びかけている。近年、日本では火力発電所が続々廃止され、一方で、原子力発電所については、政府は電力会社にしかるべき許可を出すのを急いでおらず、安全審査をパスした場合でも、その再稼働に向けたプロセスはかなり緩やかなペースで進んでいる。電力不足の原因は、世界的なエネルギー価格の高騰、そしてウクライナ情勢を受け、ロシアからLNG(液化天然ガス)の今後の輸入についての状況がはっきりしないというリスクである。
6月7日に開かれた経済産業省の会議では、その状況の分析と対策がテーマとなった。電力逼迫の問題は、この夏にも東京エリアを襲い、冬にはその他の地域にも広がるものと見られている。これより前、萩生田光一経済産業相は、「夏には、東京、東北、中部の電力の予備率が3.1%にまで低下する」と警告し、「冬にはこの指標がマイナスになると予測されている。そこで我々は、日本全土で可能な限り、節電をお願いしたい」と述べた。
「予備率」というのは、需要に対する余力がどれくらいあるかという指標であり、電力を安定供給するにはこの数値が少なくとも3%必要とされる。しかし、この冬、その指標はかなり低下する可能性がある。
試算によれば、東京ではこの数値が0.6%、その他の6エリアでは1.3%にまで低下することから、輪番停電の可能性がある。日経新聞の評価によれば、2022?2023年にかけての冬に寒さが厳しくなった場合、国内の電力不足はおよそ350万kWに達するという。必要な電力のうち、およそ150万kWは複数の火力発電所の再稼働によって得ることができる。一方で、もしも日本がロシアからのLNGの輸出が停止すれば、さらに400万kWの電力を失うこととなる。
経済産業省は、すでに試算を行い、電力の需要と供給のバランスが崩れた場合の対策について発表している。とりわけ、稼働を停止している火力発電所および安全審査に合格した原子力発電所を最大限に利用し、エネルギーのバランス状況をモニタリングし、節電を徹底し、既存のエネルギー資源供給の契約と先物取引を拡大するとしている。また対策の中には、「合理的な省エネルギー」問題における産業企業、地元政府、消費者の協力、また必要となった場合の計画停電の警告や点検体制も含まれている。
極東研究所日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員は、日本にとってこれは、福島第一原発事故の結果とすべての原発の閉鎖と同様の脅威と直面していることを意味していると指摘する。
「日本がOPEC(石油輸出国機構)に産油量の引き上げを要請する可能性も除外できません。日本にはさまざまなタイプの燃料を使った火力発電所が400以上あります。そしてそこで、今でも電力のおよそ70%以上が生産されています。その主な燃料はLNG、石油、石炭で、LNGはその全体のおよそ70%を占めています。日本にLNGを供給している国は、オーストラリア、ブルネイ、中東諸国、ロシアなど少なくありません。近年は、日本のLNGの輸入全体のうち、ロシアからの供給が占める割合は8.8%ほどになっていますが、しかしサハリンは日本から最短距離にあります。岸田首相が「サハリン2」プロジェクトからの撤退を望まないと表明したのもこれが理由です。燃料費の要らない再生可能エネルギーの利用の増加に伴い、エネルギー企業は収益性が低くなってきた火力発電所の稼働を停止するようになっています」。
「しかし、日本は今、そのいくつかを稼働再開させる必要に迫られています。そして日本は再生可能エネルギーの進展に積極的に取り組んでおり、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成すると宣言しています。並行して、節電技術の開発も進めています。原子力発電について言えば、日本には原子力規制委員会の安全検査を通過した原子力発電所が17ヶ所ありますが、地元政府の許可が得られないことから、4ヶ所しか稼働していません。これが日本の現実です。政府は地元政府との合意に基づいて決定を下しています。そしてほぼすべての問題をめぐって、世論を納得させなければなりません。これは節電についても同様です。日本人は、全体として、かなり規律正しいので、今、こうすることが必要であり、国民全員にとって、そして国全体にとって有益なことであると説得することになるでしょう」
0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム