エスコバル：G20のバリ舞踊とバイデンの沈静化した言葉

https://asiatimes.com/2022/11/the-g20s-balinese-dance-and-bidens-calming-words/

習近平は、バイデン - むしろ、すべての脚本を裏で書いているコンボ - を額面通りに受け取る理由はほとんどない。

2022年11月16日

洗練された繊細さを永遠に保ち続けるバリ島文化は、世俗と超自然、つまりセカラとニスカラの区別をしない。

セカラとは、私たちの感覚が見分けることのできるものである。セカラとは、私たちの感覚によって識別できるもので、極端に対立するG20において世界の指導者たちが行う儀式的なジェスチャーがそうである。

ニスカラは、直接感じることができず、示唆されるに過ぎないものである。そしてそれは、地政学にも当てはまる。

バリ島のハイライトは、セカラとニスカラの交差点、つまり、大々的に行われた習近平とバイデンの対面（あるいはイヤホンと顔）であったかもしれない。

中国外交部（外務省）は、次の2つのハイライトを選び、本題に入ることを希望した。

1. 習近平はバイデンに、いや、バイデンのイヤホンに、台湾独立は問題外であると言った。 

2. 習近平は、NATO、EU、米国がモスクワと「包括的な対話」を行うことを希望している。

アジアの文化は、バリ島であれ儒教であれ、非対立的である。習近平は、共通の利益について3つの層を提示した。

- 対立や紛争を防ぎ、平和的に共存する。

- 互いの発展から利益を得る。

- ポストCOVIDの世界的な回復を促進し、気候変動に対処し、地域的な問題に協調して取り組む。

3時間半の会議ハG20の会場ではなく、バリの中国代表団の住居で行われた。ホワイトハウスからの要請である。

中国側によれば、バイデン氏は、米国は新冷戦を望んでいない、「台湾独立」を支持していない、「二つの中国」あるいは「一つの中国、一つの台湾」を支持していない、中国からの「デカップリング」を求めていない、中国を封じ込めたいわけではない、と断言した。

中国を封じ込めようとする海峡両岸派、ネオコン、ネオリベラル派には、そう言ってやればいい。習近平が「バイデン」-むしろ裏であらゆる脚本を書いているコンボ-を額面通りに受け取る理由がほとんどない。現状では、我々はニスカラのままである。

ゼロサムゲーム

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、食料とエネルギーの安全保障、持続可能な開発、気候変動問題などを議論するG20を、ウクライナ戦争ですべてが二極化しているときに開催するにはどうしたらいいか、という悪手をつかまされた。

ウィドド氏は最善を尽くし、G20の参加者全員に「戦争を終わらせよう」と呼びかけ、「責任とはゼロではない状況を作り出すことだ」という微妙な含みを持たせた。

G20の多くがゼロサムに固執し、（ロシアとの）対立を求め、ほとんど外交的な会話をしないままバリに到着した。

米国と英国の代表団は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に一歩も譲らないことを露骨に望んだ。フランスとドイツは別問題だった。ラブロフはマクロンとショルツの両氏と簡単に話をした。キエフは交渉することを望んでいないと伝えた。  

ラブロフ氏はまた、Global Southにとって非常に重要なことを明らかにした。  

「米国とEUは国連事務総長に、ロシアの穀物と肥料の輸出制限が解除されることを書面で約束した-これがどのように実行されるか見てみよう。」

アジアでのサミットの定番、G20の前に行われる伝統的な集合写真は、延期せざるを得なかった。なぜなら-他に誰がいるのか-「バイデン」とスナック、米国と英国がラブロフと同じ写真に写ることを拒否したからだ。

このような幼稚で外交的でないヒステリックさは、バリの礼儀正しさ、礼儀正しさ、非対立の精神に対して深く無礼である。

欧米では、「ほとんどのG20諸国」がウクライナでロシアを非難することを望んだということになっている。ナンセンスだ。外交筋は、実際は半々ではないかとほのめかしている。非難したのは、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、イギリス、アメリカ、EUである。非難しないのは、アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、そしてもちろん、ロシアである。

図式的に言えば、「南半球対北半球」である。

共同声明では、"ロシアのウクライナ戦争 "ではなく、"ウクライナ戦争 "が世界経済に与える影響に言及することになる。

EU経済の崩壊

バリ島で起きていないことは、バリ島を余計にニスカラに包んだ。それがアンカラの話になる。

G20を背景に、アンカラではCIA長官ウィリアム・バーンズとSVR（対外情報機関）長官セルゲイ・ナリシキンを代表とする米ロが話し合っていたので、霧が濃くなった。

何が交渉されていたのか、誰も知らない。停戦は可能なシナリオのひとつに過ぎない。ブリュッセルのNATOからキエフへの激しいレトリックは、ある種の和解よりもエスカレートが優勢であることを示唆している。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、「事実上、ウクライナは交渉できないし、交渉するつもりもない」と言った。特別軍事作戦は継続される。

NATOは新しい部隊を訓練している。次の標的は、ザポリジャー原子力発電所とドニエプル川左岸、あるいはルガンスク北部となる。ロシアの軍事チャンネルは、ロシア陣地からわずか30kmのところにあるニコラエフへの冬季攻勢の可能性を進めている。

ロシア軍の真面目なアナリストは、ペンタゴンの真面目なアナリストも知っているはずのことを知っている。ロシアは、その軍事的潜在力のほんの一部でウクライナの戦場に臨んでいる。ロシア軍の正規兵はわずかで、ほとんどはスペツナズ（特殊部隊）である。戦闘は、ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の民兵、ワーグナーのコマンド、カディロフのチェチェン人、ボランティアにほぼ委ねられている。

アメリカが突然話し合いに興味を示し、マクロンとショルツがラブロフに接近したことは、問題の核心を突いている。EUと英国は、ガスプロムなしでは、来年の冬、2023年から2024年まで生き残れないかもしれない。

プーチンのガス遮断で欧州の来年の冬は寒そうだ。

国際エネルギー機関の計算では、全体の赤字は300億立方メートルに近づく。それは、今度の冬が「理想的」な状況であることを前提としている。おおむね暖かい中国はまだロックダウン中、ヨーロッパでのガス消費量はかなり少ない、さらには生産量も増える（ノルウェー？） 

IEAのモデルは、今後12ヶ月の間に2回から3回の価格上昇を想定している。EUの予算はすでに非常事態に陥っており、現在のエネルギー自殺の損失を補填している。2023年末には、その額は1兆ユーロに達するかもしれない。

2023年以降に予測不可能な追加コストが発生すれば、EU経済は完全に崩壊する。産業は全面的に停止し、ユーロは暴落し、インフレが進み、負債はクラブメッド諸国からフランスやドイツまで、あらゆる緯度で腐食することになる。

欧州委員会を率いるドミナトリックス、ウルスラ・フォン・デア・ライエンは、もちろん、EU諸国の利益のために、バリ島のグローバルプレーヤーとこれらすべてを議論すべきだ。彼女の唯一の議題は、ロシアの悪魔化であった。ニスカラはなく、無味乾燥な認知的不協和があるだけだ。