2023年9月11日月曜日

トルコ、大英博物館に盗品の返還要求

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=56265

2023年09月06日付 Cumhuriyet 紙

トルコ文化観光省文化財・博物館総局密輸対策局局長のゼイネプ・ボズ氏は、2000点あまりの収蔵品が30年間に渡って盗難されていると判明したロンドンの大英博物館には、アナトリアから持ち込まれたと見られる重要な収蔵品があると話した。ボズ氏は、作品の状態について把握するために、同博物館に書簡で問い合わせ、併せて返還要求をしていることを明らかにした。

■「適切に保管している」とのコメントにショック

文化観光省文化財・博物館総局密輸対策局局長のゼイネプ・ボズ氏は、大英博物館で起きた盗難事件は受け入れ難いとし、「大英博物館で起きたこの盗難事件は我々にとって非常にショッキングであった。大英博物館を含む多くのヨーロッパの博物館は、収蔵品がどれだけ適切に保管されているかについて、声を大にして主張をしている。何年にもわたり、トルコから持ち込まれたものも含めた収蔵品の返還を求めている各国に対し、『我々は(収蔵品を)適切に保管している。全世界のために保存している。』との回答があるのみだ。このような主張をする博物館で、盗難事件が起きているなど予想もできないであろう」

■「返還要求に回答なし」

大英博物館で起きた盗難事件に対して専門家が嘆いていると話したボズ氏は、「アナトリアから持ち込まれた品々も大英博物館にあるため、懸念しており、同博物館と連絡をとり、作品の状況について問い合わせている。収蔵品は、同博物館が主張するほど適切には保管されていないことや、同博物館がそれらの品々を収蔵する理由がないことを表明し、アナトリアから持ち込まれた収蔵品を、もとの場所であるトルコに返還するよう求めた。大英博物館からは未だに回答を得られていない。(この返還要求については)新しい動きとも言える。しかし、我々はこの要求を取り下げる予定はない。博物館から収蔵品に関しての弁明は得られていない。しかし、我々が理解する限りでは、盗難された収蔵品は、それぞれ異なるコレクションの中に収蔵されていたようだ。もちろん確実な情報ではないが。この疑問についてもはっきりした回答を得るために、トルコ外務省を通して送った書簡に、返答を求めていることを記載した」と話した。

■「アプローチを変えるべきだ」

ボズ氏は、アナトリアから奪われ、各国へと持って行かれたすべての品々が、トルコの文化財としての観点から特に重要であること、目下の(大英)博物館にも、アナトリアから持ち込まれた非常に貴重な収蔵品があることを述べた。

ボズ氏は、「もちろん、すべてトルコに帰属すべきものである。クニドスのライオン、ネレイド・モニュメント、アドゥヤマン県サムサットから出土したステラ、そしてその名が文化財の密輸の象徴としてよく引き合いに出される、ロバート・ヘクト氏が大英博物館に売却した3つの銀杯など、多くの収蔵品に関してあらためて話し合いを持ちたい。

この収蔵品返還要求は、新しい話ではない。長年にも渡って何度も収蔵品の返還要求に関して大英博物館と話し合いを持ってきた。しかし、この(返還という)解決法に辿り着くことはできていない。大英博物館のある規則の存在のためである。この規則により、収蔵品の返還をすることができないのだ。もちろん、これは綿密な構想により練られた規則である。というのも、大英博物館のコレクションは各地から集められたものだからだ。もちろん、収蔵品の中にはイギリスで発掘された作品もある。しかし、博物館のコレクションの多くが各地に所属すべきものであることは自明である。大英博物館は収蔵品返還に関する方針を変えるべきである。それは現状から明らかだ。大英博物館の収蔵品返還に関して、より協力的なアプローチを期待している。」と話した。

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