マイケル・ハドソン:西側を食い尽くした借金システム
https://michael-hudson.com/2026/08/the-debt-system-that-ate-the-west/
著者:マイケル 2026年8月29日(土)
2026年8月20日
グレン・ディーセン:皆さん、お帰りやす。今日はマイケル・ハドソン教授にお越しいただいとります。教授のお仕事とご自身のウェブサイト、両方フォローすることをぜひお勧めしたいと思いますわ。概要欄にリンク貼っときましたで。また会えて嬉しいですわ。
マイケル・ハドソン:わしもまた来られて嬉しいで。
グレン・ディーセン:先生は政治経済についてほんまにようけ重要な本を書いてこられましたよね。『古代の崩壊』みたいな本では、金融の歴史についても扱うてはります。
で、今日はその歴史の一部について先生とお話ししたいと思うとったんですわ。いま金融危機がどんどん加速しとるように見えて、システム全体が明らかに持続不可能で、崖っぷちに向こうとるように見えるいまだからこそ、この歴史をちゃんと理解しとくことがめっちゃ大事やと思うんですわ。
歴史を通じて、人間いうんはいつも「今の現状はずっと続く」思い込みがちやけど、結局それはいつも一時的なもんに過ぎんかった。せやから歴史を踏まえたら、このシステムの変化と連続性、それに代替案についても理解できるんちゃうかと思うとります。
そういうわけで、それが今日わしの一番の狙いでした。一歩下がって歴史を見て、今わしらがどこにおるんか、もうちょっとよう分かるようになりたいと。で、めっちゃ大きい質問になりますけど、過去を振り返ることで今のシステムについて何が学べるんでしょうか?あるいは、何が「不変のもの」やと先生は見てはりますか?たとえば金融システムにおける寡頭制的な傾向とか、そのへんどう見てはります?
マイケル・ハドソン:そうやな、わしがこの50年間やってきた仕事のほとんどは、借金と銀行業の歴史を書くことやったんや。
70年代の終わりにはもうはっきりしとってん、グローバルサウスの国々が借金危機に陥っとって、西側経済のほとんどが「景気循環」呼ばれとったもんが、実は単なる景気循環よりずっと重大な何かになっとったっちゅうことがな。景気回復のたんびに、借金の水準はどんどん高うなっていきよった。これがもう持続不可能になりつつあるいうんは明らかやったんや。
で、わしはそれがどないして始まったんか知りたかった。せやからハーバードのグループを率いて25年間かけて、メソポタミアやエジプト、イスラエル──古代中東、今で言う「西アジア」やな──の経済史を書いたんや。何が西側をそれ以前のすべてとこないに違うもんにしたんか、そこを見たかったんや。
で、あんたの質問への答え方として一番ええのは、こういうことやと思う。今日の政治的な言い回しやら金融的な言い回しは、アメリカとヨーロッパを「民主主義」やと言うて、中国やアメリカ主導の同盟に属してへん国々を「独裁国家」呼ばわりして対比させとるやろ。せやけど彼らが「独裁」いう言葉で実際に指しとるのは、混合経済のことなんや。19世紀までは、それは「社会主義」呼ばれとったもんやねん。
基礎インフラへの政府投資、補助金付きの料金、独占レント(超過利潤)を防ぐための政府の反トラスト法や独占禁止法──19世紀にヨーロッパとアメリカの産業資本主義が推し進めた運動全体は、経済レントに課税して排除し、土地レントを自然な課税ベースとして課税し、独占レントの発生を防ぎ、最終的にはお金と信用そのものを公共事業にすることを目指しとったんや。これ全部、金融資本主義が自分自身の生活コストや事業コスト、コスト構造全体を下げて、もっと効率的になるためにやりたかったことなんや。
んで、効率的になる方法いうんは、サッチャー時代のイングランド以降に見られるような、鉄道や通信みたいな自然独占の民営化を防ぐことやったんや。実際のところ、アメリカが定義する「独裁」いうんは、1980年代にマーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンがやったことより「右」寄りの、政府の何らかの役割のことを指しとるに過ぎんのやで。
わしは何が西側をそれ以前のもんと区別しとったんか見てみたんや。それは民主主義やなかった。アリストテレスは自分が知っとった世界中の憲法を研究して、どの憲法も自らを「民主政」と称しとるけど、実際は独裁政やった、言うとる。それがまさに問題の一部やったんや。
西側全体は、それ以前のもの──メソポタミアやエジプトからずっと中国まで、主にアジアの社会やった青銅器時代の社会──とは、自分らが主張する通り、歴史的にほんまにユニークやったんや。そんで、最初の3,000年間の経済文明のテイクオフ全体を特徴づけとったんは、「中央の支配者」がおったことなんや。
歴史家らは、こういう支配者をどう性格づけたらええか、はっきりとは分かっとらへん。メソポタミアやエジプトでは「神聖王権」と呼び、中国を統治した儒教では「皇帝」と呼んどる。
そんで、中央権威──王やら神殿やら皇帝やら──の役割いうんは、民衆の繁栄を維持することやったんや。それこそが民主主義いうもんの本来の意味やとされとるはずやろ。
まあ西側は、民主主義いうんは投票箱を通じて──人々が投票することで──達成されるもんやと信じとる。せやけど初期のローマとギリシャの憲法を見てみたら、政治権力は全部貴族──地主と債権者──の手に集中しとったんや。投票はできても、誰に投票しようが、どんどん略奪的になっていく寡頭層が権力を握って、残りの民衆を借金地獄に追い込んでいったんや。
んで実際、ローマ帝国──古典古代を吸収したあの帝国──を滅ぼしたんは、まさにこの借金のダイナミクスやったんや。同じ借金のダイナミクスが今日も起こっとる。
せやけど文明最初の数千年を見てみたら──それがまさに『そして彼らの借金を赦せ』いう本のテーマやし、わしのハーバードでの研究や『企業の神殿』いう論文集のテーマでもあるんやけど──メソポタミアからエジプト、中国まで、アジア全体の文明のテイクオフをこんなに違うもんにしたのは、「借金が、それを返済するための経済成長より速いスピードで膨れ上がることこそが、最大の不安定化要因や」いう認識やったんや。
それが、あらゆる支配者にとっての基本的な政治指針やったんや。彼らが見とったこと──そしてアリストテレスやプラトンに至るまでの古代文献全体が扱うとったこと──は、借金が返済能力よりも速く膨らんでいくこの傾向やった。そして、それが起こると、債務者は債権者に対する隷属や束縛、果ては奴隷制や農奴制にまで陥っていく傾向があったんや。
それが西側に起こったことなんや。同じ「借金の二極化」いうダイナミクスが、今日も起こっとる。
んで、アジアの発展をこないに違うもんにした、そして中国の発展や離陸を今日の西側の金融政策とこないに違うもんにしとる要因は、金融寡頭層の発生を防いだいう事実なんや。
わしが50年代にシカゴ大学で学んどったとき、必読書の一つがプラトンの『国家』やった。『国家』全体のテーマは──ソクラテスがこう言うところから始まる──「めっちゃ敵意を持っとる人間から武器を借りたとして、その武器を返したら、そいつはそれを使って人を殺したりろくでもないことをするとする。それでも返す義務はあるんか?」いう話や。
それが彼の出発点になって、こう続くんや。「もしあんたが略奪的な寡頭層に借金を負うとって、そいつらがあんたから返してもろたカネを使って、また別の人間を借金漬けにして隷属させるとしたらどうなんや?」って。長い議論の末、ソクラテスが出した解決策は──「哲人王」いう訳で伝わっとるやつやな。
せやけど実はあれ、哲人王いう話とはちゃう違うんや。ソクラテスが言うたんは「わしらの時代の主要な経済問題──お金への愛、富への執着──にどう対処するんや?お金と富いうんは一種の経済的・社会的な力で、それは依存症になるもんや。それをどう避けたらええんや?」いうことなんや。
んで、ソクラテスが出した解決策は、金融的な富も財産も持っとらん、まだお金の中毒者になっとらん支配者を持つことやったんや。皆さんご存知の通り、そんなことは実際には起こらんかったんやけどな。ほな古代はどないしてこれを止めたんか?
メソポタミアからエジプト、中国まで、わしらが持っとる文献全体に通底する原則は、「支配者──何と呼ぼうと──の役割は経済的バランスを維持して、民を豊かで不幸せやない状態に保つことや」いうもんやった。搾取を防ぎたい。人々が債権者に隷属して逃げ出してしまうことを防ぎたい。せやかて軍隊や城壁、あらゆる公共インフラを作るために民衆が必要やからな。
西アジアの支配者全員に共通しとった分母は「借金の帳消し」やったんや。シュメールとバビロニアからハンムラビ、ずっと下ってレビ記25章のユダヤのヨベルの年まで、その文言はまったく同じやった。新しい支配者が即位したときとか、周期的なタイミングとか、干ばつや洪水で作物が育たんかったときとかにな。
返済不可能な借金の積み上がりが社会を貧困化させて、債権者が残りの民衆に君臨するようになるのをどう防ぐんか?バビロニア、シュメール、そしておそらくしばらくの間はエジプトでも、あらゆる新しい支配者は治世の始まりに、農民の個人債務を帳消しにすることから始めたんや。商業債務やない──そっちは全部無傷のまま残された。せやけど市民の未払い債務、穀物の借金は帳消しにされた。そんで債権者に質入れされとった債務奴隷──奴隷そのものやのうて、労働として債権者に質入れされとった市民とその家族──は解放されたんや。困窮した状況下で耕作者が作物の権利と一緒に質入れしとった土地も、彼らに返却されたんや。それが中核やったんやな。
その伝統は、西側では最初っから完全に欠けとったんや。そんな伝統を確立する術なんて、中央の支配者──神聖な王、支配者、ファラオ、皇帝──なしにはあり得へんかった。その役割は、借金が返済能力より速いスピードで膨らんで社会を二極化させることのないよう監督し、規制することやったんやからな。
それがまさに今日の西側経済で起こっとることなんや。第二次世界大戦の終わりからずっと着実に借金が積み上がってきて、それが今日わしらが目にしとる危機そのものなんやで。
その借金は、経済の残りの部分を貧困化させんと返済できるレベルをもう超えてしもとる。まるでIMFの緊縮プログラムを、これまでのグローバルサウスの借入国だけやのうて、先進工業国自身にも課しとるようなもんなんや。それがわしらが直面しとる問題やねん。
んで、中国のテイクオフを見てみたら、なんで中国だけがこの流れから免れとるんか?中国はお金と信用創造を政府──中国人民銀行──の手に留めとる。アメリカの銀行が果たしとるような役割を演じる独立した金融階級を持ったことは一度もあらへん。企業買収の融資、不動産購入のための貸し付け、工場や機械、有形資本形成への投資やのうて資産の買い占めに融資する、みたいな役割やな。
西側経済で金融が貸し付けとる目的いうんは、その大部分が非生産的なもんや。https://michael-hudson.com/2026/08/the-debt-system-that-ate-the-west/
西側を食い尽くした借金システム
著者:マイケル 2026年8月29日(土)
2026年8月20日
グレン・ディーセン:皆さん、お帰りやす。今日はマイケル・ハドソン教授にお越しいただいとります。教授のお仕事とご自身のウェブサイト、両方フォローすることをぜひお勧めしたいと思いますわ。概要欄にリンク貼っときましたで。また会えて嬉しいですわ。
マイケル・ハドソン:わしもまた来られて嬉しいで。
グレン・ディーセン:先生は政治経済についてほんまにようけ重要な本を書いてこられましたよね。『古代の崩壊』みたいな本では、金融の歴史についても扱うてはります。
で、今日はその歴史の一部について先生とお話ししたいと思うとったんですわ。いま金融危機がどんどん加速しとるように見えて、システム全体が明らかに持続不可能で、崖っぷちに向こうとるように見えるいまだからこそ、この歴史をちゃんと理解しとくことがめっちゃ大事やと思うんですわ。
歴史を通じて、人間いうんはいつも「今の現状はずっと続く」思い込みがちやけど、結局それはいつも一時的なもんに過ぎんかった。せやから歴史を踏まえたら、このシステムの変化と連続性、それに代替案についても理解できるんちゃうかと思うとります。
そういうわけで、それが今日わしの一番の狙いでした。一歩下がって歴史を見て、今わしらがどこにおるんか、もうちょっとよう分かるようになりたいと。で、めっちゃ大きい質問になりますけど、過去を振り返ることで今のシステムについて何が学べるんでしょうか?あるいは、何が「不変のもの」やと先生は見てはりますか?たとえば金融システムにおける寡頭制的な傾向とか、そのへんどう見てはります?
マイケル・ハドソン:そうやな、わしがこの50年間やってきた仕事のほとんどは、借金と銀行業の歴史を書くことやったんや。
70年代の終わりにはもうはっきりしとってん、グローバルサウスの国々が借金危機に陥っとって、西側経済のほとんどが「景気循環」呼ばれとったもんが、実は単なる景気循環よりずっと重大な何かになっとったっちゅうことがな。景気回復のたんびに、借金の水準はどんどん高うなっていきよった。これがもう持続不可能になりつつあるいうんは明らかやったんや。
で、わしはそれがどないして始まったんか知りたかった。せやからハーバードのグループを率いて25年間かけて、メソポタミアやエジプト、イスラエル──古代中東、今で言う「西アジア」やな──の経済史を書いたんや。何が西側をそれ以前のすべてとこないに違うもんにしたんか、そこを見たかったんや。
で、あんたの質問への答え方として一番ええのは、こういうことやと思う。今日の政治的な言い回しやら金融的な言い回しは、アメリカとヨーロッパを「民主主義」やと言うて、中国やアメリカ主導の同盟に属してへん国々を「独裁国家」呼ばわりして対比させとるやろ。せやけど彼らが「独裁」いう言葉で実際に指しとるのは、混合経済のことなんや。19世紀までは、それは「社会主義」呼ばれとったもんやねん。
基礎インフラへの政府投資、補助金付きの料金、独占レント(超過利潤)を防ぐための政府の反トラスト法や独占禁止法──19世紀にヨーロッパとアメリカの産業資本主義が推し進めた運動全体は、経済レントに課税して排除し、土地レントを自然な課税ベースとして課税し、独占レントの発生を防ぎ、最終的にはお金と信用そのものを公共事業にすることを目指しとったんや。これ全部、金融資本主義が自分自身の生活コストや事業コスト、コスト構造全体を下げて、もっと効率的になるためにやりたかったことなんや。
んで、効率的になる方法いうんは、サッチャー時代のイングランド以降に見られるような、鉄道や通信みたいな自然独占の民営化を防ぐことやったんや。実際のところ、アメリカが定義する「独裁」いうんは、1980年代にマーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンがやったことより「右」寄りの、政府の何らかの役割のことを指しとるに過ぎんのやで。
わしは何が西側をそれ以前のもんと区別しとったんか見てみたんや。それは民主主義やなかった。アリストテレスは自分が知っとった世界中の憲法を研究して、どの憲法も自らを「民主政」と称しとるけど、実際は独裁政やった、言うとる。それがまさに問題の一部やったんや。
西側全体は、それ以前のもの──メソポタミアやエジプトからずっと中国まで、主にアジアの社会やった青銅器時代の社会──とは、自分らが主張する通り、歴史的にほんまにユニークやったんや。そんで、最初の3,000年間の経済文明のテイクオフ全体を特徴づけとったんは、「中央の支配者」がおったことなんや。
歴史家らは、こういう支配者をどう性格づけたらええか、はっきりとは分かっとらへん。メソポタミアやエジプトでは「神聖王権」と呼び、中国を統治した儒教では「皇帝」と呼んどる。
そんで、中央権威──王やら神殿やら皇帝やら──の役割いうんは、民衆の繁栄を維持することやったんや。それこそが民主主義いうもんの本来の意味やとされとるはずやろ。
まあ西側は、民主主義いうんは投票箱を通じて──人々が投票することで──達成されるもんやと信じとる。せやけど初期のローマとギリシャの憲法を見てみたら、政治権力は全部貴族──地主と債権者──の手に集中しとったんや。投票はできても、誰に投票しようが、どんどん略奪的になっていく寡頭層が権力を握って、残りの民衆を借金地獄に追い込んでいったんや。
んで実際、ローマ帝国──古典古代を吸収したあの帝国──を滅ぼしたんは、まさにこの借金のダイナミクスやったんや。同じ借金のダイナミクスが今日も起こっとる。
せやけど文明最初の数千年を見てみたら──それがまさに『そして彼らの借金を赦せ』いう本のテーマやし、わしのハーバードでの研究や『企業の神殿』いう論文集のテーマでもあるんやけど──メソポタミアからエジプト、中国まで、アジア全体の文明のテイクオフをこんなに違うもんにしたのは、「借金が、それを返済するための経済成長より速いスピードで膨れ上がることこそが、最大の不安定化要因や」いう認識やったんや。
それが、あらゆる支配者にとっての基本的な政治指針やったんや。彼らが見とったこと──そしてアリストテレスやプラトンに至るまでの古代文献全体が扱うとったこと──は、借金が返済能力よりも速く膨らんでいくこの傾向やった。そして、それが起こると、債務者は債権者に対する隷属や束縛、果ては奴隷制や農奴制にまで陥っていく傾向があったんや。
それが西側に起こったことなんや。同じ「借金の二極化」いうダイナミクスが、今日も起こっとる。
んで、アジアの発展をこないに違うもんにした、そして中国の発展や離陸を今日の西側の金融政策とこないに違うもんにしとる要因は、金融寡頭層の発生を防いだいう事実なんや。
わしが50年代にシカゴ大学で学んどったとき、必読書の一つがプラトンの『国家』やった。『国家』全体のテーマは──ソクラテスがこう言うところから始まる──「めっちゃ敵意を持っとる人間から武器を借りたとして、その武器を返したら、そいつはそれを使って人を殺したりろくでもないことをするとする。それでも返す義務はあるんか?」いう話や。
それが彼の出発点になって、こう続くんや。「もしあんたが略奪的な寡頭層に借金を負うとって、そいつらがあんたから返してもろたカネを使って、また別の人間を借金漬けにして隷属させるとしたらどうなんや?」って。長い議論の末、ソクラテスが出した解決策は──「哲人王」いう訳で伝わっとるやつやな。
せやけど実はあれ、哲人王いう話とはちゃう違うんや。ソクラテスが言うたんは「わしらの時代の主要な経済問題──お金への愛、富への執着──にどう対処するんや?お金と富いうんは一種の経済的・社会的な力で、それは依存症になるもんや。それをどう避けたらええんや?」いうことなんや。
んで、ソクラテスが出した解決策は、金融的な富も財産も持っとらん、まだお金の中毒者になっとらん支配者を持つことやったんや。皆さんご存知の通り、そんなことは実際には起こらんかったんやけどな。ほな古代はどないしてこれを止めたんか?
メソポタミアからエジプト、中国まで、わしらが持っとる文献全体に通底する原則は、「支配者──何と呼ぼうと──の役割は経済的バランスを維持して、民を豊かで不幸せやない状態に保つことや」いうもんやった。搾取を防ぎたい。人々が債権者に隷属して逃げ出してしまうことを防ぎたい。せやかて軍隊や城壁、あらゆる公共インフラを作るために民衆が必要やからな。
西アジアの支配者全員に共通しとった分母は「借金の帳消し」やったんや。シュメールとバビロニアからハンムラビ、ずっと下ってレビ記25章のユダヤのヨベルの年まで、その文言はまったく同じやった。新しい支配者が即位したときとか、周期的なタイミングとか、干ばつや洪水で作物が育たんかったときとかにな。
返済不可能な借金の積み上がりが社会を貧困化させて、債権者が残りの民衆に君臨するようになるのをどう防ぐんか?バビロニア、シュメール、そしておそらくしばらくの間はエジプトでも、あらゆる新しい支配者は治世の始まりに、農民の個人債務を帳消しにすることから始めたんや。商業債務やない──そっちは全部無傷のまま残された。せやけど市民の未払い債務、穀物の借金は帳消しにされた。そんで債権者に質入れされとった債務奴隷──奴隷そのものやのうて、労働として債権者に質入れされとった市民とその家族──は解放されたんや。困窮した状況下で耕作者が作物の権利と一緒に質入れしとった土地も、彼らに返却されたんや。それが中核やったんやな。
その伝統は、西側では最初っから完全に欠けとったんや。そんな伝統を確立する術なんて、中央の支配者──神聖な王、支配者、ファラオ、皇帝──なしにはあり得へんかった。その役割は、借金が返済能力より速いスピードで膨らんで社会を二極化させることのないよう監督し、規制することやったんやからな。
それがまさに今日の西側経済で起こっとることなんや。第二次世界大戦の終わりからずっと着実に借金が積み上がってきて、それが今日わしらが目にしとる危機そのものなんやで。
その借金は、経済の残りの部分を貧困化させんと返済できるレベルをもう超えてしもとる。まるでIMFの緊縮プログラムを、これまでのグローバルサウスの借入国だけやのうて、先進工業国自身にも課しとるようなもんなんや。それがわしらが直面しとる問題やねん。
んで、中国のテイクオフを見てみたら、なんで中国だけがこの流れから免れとるんか?中国はお金と信用創造を政府──中国人民銀行──の手に留めとる。アメリカの銀行が果たしとるような役割を演じる独立した金融階級を持ったことは一度もあらへん。企業買収の融資、不動産購入のための貸し付け、工場や機械、有形資本形成への投資やのうて資産の買い占めに融資する、みたいな役割やな。
西側経済で金融が貸し付けとる目的いうんは、その大部分が非生産的なもんやったんや。借金レバレッジによって金融的な富を生み出す──人々に不動産や株、債券を買うためのカネを貸して、その値段をさらにお金を作って不動産や株や債券をもっと高い価格で買わせることで吊り上げていく、いうやつやな。せやから2009年以降のアメリカ経済の成長のほとんどすべてが、金融的な性質のもんやったんや。有形の産業投資の形は取らんかった。労働者全体、ましてや中間層の生活水準の向上いう形も取らんかった。この金融的な富は全部、人口のうち一番裕福な10%、特に一番裕福な1%の手に集中してしもたんや。前にも話したと思うけどな。
んで、5,000年前に歴史記録が始まって以降、より成功した経済いうんは何やったんか?社会や経済を成功させたんは、この金融的な二極化を避けて、富を──債務者に対する債権請求という形の債権者の富や、株や債券、不動産みたいな財産所有という形の富──やのうて、別の形で築くことやったんや。不動産いうんは賃借人に対する債権、債務者に対する債権や。それは経済レントなんや。
アダム・スミスやジョン・スチュアート・ミル、マルクス自身を見てみても──19世紀の産業資本主義の教義全体は、本質的にこう言うことでこの問題を解決しようとしとったんや。「わしらは、すべてのお金が借金を返済して利益を上げる能力を高めるために創造されて、その利益がさらに長期的な研究開発と有形資本形成、もっと多くの工場、もっと多くの雇用に再投資されることを確実にしたい」とな。それが古典経済学の教義全体やったんや。第一次世界大戦まで、世界全体がその方向に向こうとるように見えとった。
そんで第一次世界大戦が全部を変えてしもたんや。ドイツの賠償金と連合国間の債務に関する講和条約は、全部「親債権者」的なもん──債権者を優遇する関係のシステム──やって、結局ドイツだけやなくヨーロッパの多くの国々を貧困化させてしもた。イギリスは1926年にゼネストが起きたし、フランスは自国のハイパーインフレを経験したんや。
そんで第二次世界大戦後、アメリカはほぼ単独で戦後経済がどう運営・構築されるかを設計する立場に立った。んで「よし、今回は賠償金なし。連合国間の債務もなし。せやけど、また『親債権者』的なルールにするで」言うたんや。
そんで、アメリカの交渉担当者とジョン・メイナード・ケインズの間で、まるまる議論になったんや。ケインズは「もし戦後経済を第一次世界大戦後のヨーロッパ経済みたいにしたないんやったら、貿易赤字を通じて国際収支赤字を続けとる国、その赤字をまかなうために借りた借金の返済にどんどんカネがかさんどる国──そういう国の借金を帳消しにする何らかの仕組みが必要や。こういう国の借金を減免しなあかんし、アメリカみたいに恒常的に黒字を出しとる国の債権を減免して、赤字を出しとる国──たとえばイギリスがそうなると予想されとった──の借金を帳消しにする権限を持った新しい国際銀行が必要なんや」言うたんや。ケインズはイギリス財務省のために働いとったからな。
アメリカ側はそれを拒否して、ケインズの提唱した「バンコール」やその銀行の代わりに、債権者側寄りのルールと緊縮を債務国に押し付ける「国際通貨基金」を作ったんや。
そんで90年代終わりから2000年代初めにかけては、まるでペストみたいにIMFに頼ることを避けようとする国々が出てきた。緊縮プログラムを課されても、実際には借金を完済できるようになんてならんいうことを、彼らはよう分かっとったからな。むしろ経済を弱らせてしまう。新規の資本投資や生産手段、農業、産業、輸送、インフラから、収入を債権者への支払いへと転用してしまうんやから、破壊的なもんなんや。
かつてグローバルサウスの国々だけに課されとったもんが、今やアメリカとヨーロッパの経済にも課されとるいうわけや。同じダイナミクスによって、彼らも貧困化させられとるんやな。
せやから突然、わしらは何度も何度も何度も繰り返されてきた、この太古からのダイナミクスの中に、また身を置いとることになるんや──借金が返済能力より速く膨らんで、減免せなあかんようになる、いうやつやな。もし借金を、市民や労働力、今や企業や政府までもの返済能力に見合ったレベルまで減免せんかったら、1920年代に見られたような停滞と同じことになってしまうんやで。
ケインズが指摘した問題いうんは、この借金の重荷が債務者を貧困化させるだけやのうて、アメリカみたいな債権国に支払われたカネが、単に金融的にカネを増やすためだけに使われるいうことなんや。それは株式市場のブームを煽ることに使われる。そんで最終的にはクラッシュで終わって、債権者すらも一掃されてしまうんやで。
「こういう戦後の取り決めがどう始まったんか」いう研究はようけあるんやけど、たとえば1871年の普仏戦争の講和がその一例や。あれはドイツが、戦争に負けたフランスに賠償金の支払いを求めたときで、フランスは金本位制に移行した。ドイツも金本位制を採用した。あれが金本位制がほんまに広がった時やったんや──19世紀初めに早々に採用しとったイギリスから、他の国々へとな。
まあドイツは金本位制を採用して、他の国々にも金での支払いを強制した。ドイツの市場はえらい繁栄して、結局は鉄道と株式市場のバブルに行き着いて、それが自壊してしもたんや。
借金の積み上がりいうんは、債務国の富を破壊するだけやのうて、債権国自身の富も破壊するんや。それがまさに今日わしらが置かれとる状況や。金融化されたアメリカとヨーロッパの経済は、この富を、単にもっと金融的にカネを増やすための融資に使うてきたんや。実際、銀行融資のほとんどはそのためのもんやったんやで。んで、アメリカが金融的に自分を支えられとる唯一の方法いうんは、本質的には、債務者に利子を払うためのカネを貸し付けることなんや。
これは16、17世紀にはうまいこといかんかったし、いつも結局はポンジ・スキームに終わるんや。それが今日、西側全体が直面しとる問題の本質やねん。あんたの質問への長い答えになってしもたけど、それがわしらが話してきた大きな歴史的枠組みなんや。
グレン・ディーセン:先生は「今それが終わりに近づいとる」言わはりましたけど、それを終わらせに向かわせとるメカニズムいうんは何なんですか?もし借金の帳消しが起こらんかったら、結果はどないなるんでしょう?先生が言わはったように、それは債務者を傷つけるだけやのうて、最終的には債権者すらも一掃してしまうわけですよね。
マイケル・ハドソン:連邦準備制度によると、アメリカの人口の40%はまったく貯蓄があらへんのや。給料日から給料日まで、その日暮らしで生きとる。その結果、彼らはクレジットカードで生活しとるんや。クレジットカードの金利は19%から始まって、延滞料はさらに高うて、実効金利は30%を超えることもあるんや。
つまり、生活の帳尻を合わせるためだけ──基本的な生存のためだけ──に借りるこの消費者債務は、3年ごとに倍になっとるいうことなんや。せやけど賃金水準はそうやない。賃金は上がっとらへん。
こういう借金を返済せなあかんということが、アメリカの大多数の人々にとって消費支出を切り詰めることを強制しとる。んで連銀の報告によると、消費支出の増加分の半分は、一番裕福な10%の人口によるもんで、しかもそれは高級品──イタリアのファッションの輸入品やら、車やら、ヨットやら、そういうもんなんや。
せやけど賃金労働者にとっての国内市場は縮んでしもとる。税金や医療保険、クレジットカード会社への借金返済、住宅ローンや自動車ローンの銀行への返済を払うたあとに残るカネで、彼らが十分な支出をできへんからなんや。アメリカや外国の産業が生産する商品を買うだけの余裕があらへんのや。
借金が経済より速く膨らんでいくこの傾向の結果いうんは、脱工業化なんや。所得が債務返済に費やされてしまって、循環的な流れの中で本来強化・維持されて経済的繁栄と成長を着実に増やしていくはずの、自分らが生産したもんを買うことに使われへんからな。
グレン・ディーセン:あと、先生が書いてはる戦争と近代銀行業の関係についてもお聞きしたいんですわ。これもかなり興味深うて、関連性のある話やと思いますんで。
マイケル・ハドソン:ああ、それについては1、2ヶ月後に出版される本があるんや。十字軍から第一次世界大戦までの国際銀行業がどう発展したかの歴史や。んで、わしが見つけたんは、なんかユニークなことなんや。
国際銀行業を作って国際銀行を後援したのは、教会自体──ローマ教会──やったんや。それによって、キリスト教の反高利貸し教義を全部ひっくり返してしもたわけや。ローマは本質的に、自らの支配に抵抗する国々に対する宗教的・政治的な戦いを始めようとしたんや。十字軍いうんは、正式な十字軍が始まるずっと前から、ドイツとの戦い、そのあとフランスとの戦いという形ですでに始まっとったんや。
十字軍いうんは、ローマの支配に抵抗した他の西方キリスト教国に対するもんやったんや。ローマと教皇庁にとっての問題は、軍を雇うだけのカネがそんなにあらへんかったことやった。スターリンが第二次世界大戦後に教皇について皮肉ったように、彼らには軍隊があらへんかったんや。ほな、どないしたらええんか?
彼ら〔ローマ教会〕は11世紀から、ノルマンの武将たちを勧誘し始めたんや。たとえばイングランドの征服王ウィリアム──彼は武将やった。「あんたがイングランドを征服して、わしらに封建的な忠誠を誓って、ペテロの献金という形でわしらに貢納することを約束して、わしらの教会があんたの領土全体で司教を任命することを許してくれるんやったら、わしらはあんたの支配を後押しして聖化したる」言うたんや。司教いうんは教会財政を仕切る立場やった。教会はヨーロッパ全土で最大の地主・レント受取人やったからな。ウィリアムはそれに同意して、本質的にイングランドをローマの封土にすることで王にしてもろたんや。
そのわずか10年ほど前に、ローマは南イタリアとシチリアを征服した武将とも同じ契約を結んどったんや──その契約書の写しはわしの本の中で論じとる。ローマ教会は「あんたをシチリアの王にしたる。ロベルト・グイスカルドよ、あんたの王権を後押ししたる。あんたはわしらに忠誠を誓わなあかん。わしらの指示に従わなあかん。そんで、あんたの領土における教会財政を管理する司教の任命権──叙任権はわしらのもんや」言うたんや。
そういうふうにして彼らは王になったんや。11世紀の終わりまでには、ヨーロッパの他の王国もこれに反対し始めた。せやから教皇が2人おる状況になった。んで、ドイツが後援する教皇に対抗して、ローマ教皇の方は「ビザンツを支援しよう。ビザンツ帝国がトルコの侵略に脅かされとる。それを救おう。エルサレムをムスリムから救おう」言うたんや。
そんで、見事な広報活動の勝利によって、ヨーロッパ全ての国の王たちを戦いに向かわせるよう組織したんや。せやけど実際の狙いは、コンスタンティノープルとビザンツ帝国を征服することやった。彼らはまずエルサレムに行ったとき、そこを略奪した。エルサレムはキリスト教徒をムスリムから守る必要なんて実はあらへんかったんや。ムスリムはキリスト教会の存続を許しとったし、反キリスト教的なことは何もしとらんかったからな。
そんで13世紀までに、十字軍はコンスタンティノープル自体を略奪して、本質的にそれをローマ教会に吸収しようとしたんや。東方の司教区はこれ全部に反対した。ローマ教会と東方正教会の分裂が起こったんや──コンスタンティノープル、アンティオキア、エルサレム、アレクサンドリアいう五大総主教座のうち四つがな。彼らはこれ全部にある種抵抗したんや。
ローマ教会──いわゆる「帝国教皇制」──は「ドイツやわしらの支配に抵抗する他の国々とも、まだ戦わなあかん。ほな、そのカネをどないして調達したらええんか?」言うたんや。
ノルマンの武将たちは軍隊は持っとったけど、戦争を遂行するだけのカネはあらへんかった。バチカンが北イタリアの銀行家や、アルプスのすぐ向こう、カオールの銀行家(カオール人)を後援したんや。んで教皇特使が、ジョン王の息子であるイングランドのヘンリー3世みたいな王のところに銀行契約を持ってきて、「あんたの息子をシチリア王にしたる。ドイツとビザンツ教会がシチリアと南イタリアの都市を支配しとるからな。やる気あるか?」言うたんや。
1215年に自分らに課税しようとしたジョン王にすでに反対しとった諸侯らとの、まるまる一つの戦いがあったんや。マグナ・カルタいうんは、戦争のために課税しようとする王たちに対する諸侯の戦いやった。その課税は本質的に借入──銀行からの借入──によって賄われることになっとったんや。教皇は、王への利子付き債務を阻もうとしとったという理由で、マグナ・カルタを後押ししとった諸侯を破門したんやで。
50年後には同じことがまた起こった。今度はヘンリー3世に対して諸侯が戦った。ヘンリー3世は教皇に従うために課税しようとしとったからな。んで、また新しい教皇──その時の教皇──が、これに反対する内乱の指導者らを破門したんや。そんで本質的に、借金を聖化して、借金に反対する者を敵視して、キリスト教の反高利貸し教義全体を丸ごと逆転させて、北イタリア人やその他の国際的な銀行家からなる国際的な銀行階級を作り出したんや。ローマが後押しする王たちに、他のヨーロッパ諸国、そして最終的にはビザンツ帝国自体に対する宗教的・政治的な戦争を戦わせるための融資をさせるためにな。
そんで教会はすでに11世紀に、教皇たちがまるごと一つの戦略を書き記した問題への取り組みを始めとったんや。その戦略いうんは、「わしらに世俗の王国を支配する権利があるんやったら、その王国の政府をローマ教会の一つの腕にせなあかん。どないしたらそれができるんか?」いうもんやった。
「カネによってや」いうのがその答えやった。彼らの財政政策を支配することによってな。んで財政政策いうんは、基本的にはまず教会によって決められるもんや。そんで二つ目には、王たちに、わしらが雇った武将──主にノルマン人──の軍を養うために、これらの王国から貢納を得るために、わしらが支持する財政政策に従うという忠誠を誓わせることによってな。
その後数世紀にわたって、古代とはまるで違う国際銀行業が発展していったんや。この国際銀行業を、世界中どこであれそれ以前のものすべてと違うもんにしたんは、それ以前は──古典古代にすらも──実はほんまの意味での銀行業いうんは存在せんかったっちゅうことなんや。
金融寡頭層は存在しとったんやけど、高利貸しでカネを稼ぐことは反社会的な行為やと見なされとったんや。高利貸しと利子の間に区別なんてあらへんかった。利子を取ること自体が全部「高利貸し」と呼ばれとった。んで、商業活動でカネを稼ぐいうことも、めっちゃ搾取的なもんやと認識されとったんや。
指導的な貴族の家系は皆、自分らの金融業務全部を、解放奴隷やら奴隷やら、自分ら以外の外部の誰かに委任しとった。プテオリみたいな都市全体で、解放奴隷が富裕層のために銀行家として働いとる、いう例もあった。せやけど「銀行家階級」いうもんはあらへんかった。融資のほとんどは商業貿易向けか、単なる消費者向けの高利貸しやったんや。特に、贅沢な生活水準を維持したい裕福な貴族向け、あるいは生活のためにカネが必要な貧しい人向けやったんやな。
十字軍の間、そしてそれ以降に起こったことは、ヨーロッパでは完全に違うもんやったんや。多くの銀行家の家系は貿易金融でカネを作っとったけど、貸金業でカネを作っとったわけやなかった。んで彼らが融資を始めたとき、それは貧しい人らや他の商人向けやなかった。他の王国を征服する戦争を戦うための、王たち向けやったんや。
んで十字軍が13世紀末に終わったあと、教会はもうこれ全体を支配しとらんかったけど、国際銀行業と王たち──世俗の王たち──はローマからの独立を勝ち取ったんや。特にフランス王フィリップ4世がそうやった。彼は教皇庁をローマから遠く離れたフランスのアヴィニョンに移した教皇を任命したんや。フィリップが教皇ボニファティウス8世を捕らえて交代させたあとにな。王たち自身がこれを引き継いで、戦争──特にイングランドとフランスの間の戦争──を戦うためのカネを貸してくれる、こういう国際的な銀行に依存し続けたんや。それが戦争の大半やったけど、他の王国や新しい武将、王たちも皆、戦うためにカネを借りとったんやで。
カネは貧しい者に貸されたんやのうて、社会の一番裕福な層──王たちや教会──に貸されたんや。んで、その後、フィレンツェやジェノヴァ、ヴェネツィアみたいな個々の都市が、自分らの共同体としての独立を勝ち取るために王たちにカネを払って融資するようになった──彼らは独立しとった──こういう地方の議会制・共同体的な国家が、近代政府の原型になっていったんや。んで、フィレンツェの利点いうんは、たとえば、王室の予算とは違うところにあったんや。
王たちは、こういう銀行家への海外の借金を払えんかった。ちゃんと払うのがめっちゃ難しかったんや。彼らが持っとったのは自分の王領だけで、経済全体に課税することは、自分らの貴族──諸侯──が同意せんから阻まれとったからな。せやから彼らはずっとデフォルト(債務不履行)を繰り返しとった。イングランドでは、王室の宝石を何度も何度も質入れしては失っとったんや。
フィレンツェやその他の都市国家──特にのちにオランダ共和国になる都市群──では、こういう自治体が全人口に課税して、本質的に銀行家の集金代理人として機能する能力を持っとったんや。「フランスやスペイン、オーストリアの王に貸したところで、彼らは返済に必要なカネを調達できへんから、ずっとデフォルトし続けるやろ。せやけど、わしらなら市民全員の富を担保に差し出して、全員に課税できる。専制的なカトリックの王たちからわしら自身を守るために戦争するために必要な海外からの借入の返済を、わしらが優先的に扱う。あんたらのための集金代理人になったる」とな。
歴史家たちは、これを「財政国家」の誕生と呼んどる──何よりもまず、銀行家階級自身に支配された財政政策によって統治される国家のことやな。銀行家たち──国際的な銀行家たち──は、本質的に、11、12、13世紀にローマ教会が敷いたこの超国家的な、ヨーロッパ全体にわたる政府支配を引き継いだんや。これ全部が、銀行家たちと、王政の専制国家がとても及ばんかったほどの借金を積み上げることができた財政国家の手に、世俗化されていったんやで。
グレン・ディーセン:最後の質問になりますけど。この歴史から得られる教訓は何でしょう?わしらは今、どこに向かおうとしとるんか、ある程度見えとると思うんですわ。この過去を踏まえて、先生やったらどんな構造的な変化を提言しはりますか?現状がこれ以上長く続くはずがないのは明らかですからね。
マイケル・ハドソン:今日わしらが置かれとる状況は、金融階級がほぼ政治政策と立法を仕切っとる状況なんや。特にアメリカでは、最高裁判所の「シチズンズ・ユナイテッド」判決以降そうなっとる。あの判決は、企業がPAC(政治活動委員会)を持てる──予備選挙や本選挙に出馬する政治家で、自分らの経済的な支援者の利益を代表することを約束する候補者の選挙資金を出せる、いうもんやったからな。
アメリカでは政治的な投票プロセスそのものが本質的に民営化されて、一番裕福な階層──億万長者階級──の手に渡ってしもたんや。債権者だけやない。今やシリコンバレーも、石油産業も、独占企業、金融利権──19世紀の産業資本主義がまさに排除しようとしとった、財やサービスの生産コストを下げて、産業化してもっと競争力のある経済になるために排除しようとしとった、その特殊利権全部が今、力を持っとる。それが全部、産業資本主義が段階的に廃止しようとしとったまさにその階級によって置き換えられてしもたんや。
産業資本主義いうんは革命的なもんやったんや。封建時代から受け継いだ地主階級から、国際銀行家が王たちが議会にコントロールされへん状態で戦争債務を賄うカネを調達するのを助けるために作った独占企業から、経済を解放したかったんや。銀行業を本質的に産業化して、銀行業を産業的な資本形成に奉仕させたかったんや──19世紀後半のドイツや中欧で起こっとったようにな。イングランドとは対照的にな。イングランドでは、銀行業はもっと短期的で商業的なもんで、国家的な開発戦略の一部というより、そういう色合いが強かったんや。
今日起こっとることは、本質的に金融寡頭層が政治を支配しとるいうことなんや。ソクラテスが警告した通り、アリストテレスが「カネへの渇望」を描写した通りにな。彼らの関心は、労働力の生活水準を上げながら社会の生産を発展させようとしたり、有形資本投資を増やそうとしたりすることやのうて、自分たち自身のさらなる金融的な富の追求に奉仕する法律を制定することにあるんや。
アメリカ主導の西側は、脱工業化しつつある。中国は脱工業化しとらへん。この脱工業化の理由は、金融化なんや。19世紀のあらゆる古典派経済学者らが予想しとった産業資本主義の代わりに、わしらが今持っとるのは、産業的にやのうて金融的に富を生み出す金融資本主義なんや。
んで実際、経済全体を借金漬けにすることによる金融的な富の蓄積いうんは、その経済を貧困化させて、二極化させて、脱工業化させて、それゆえに中国みたいな──19世紀の古典経済学の基本的に同じ原則、アダム・スミス、ジョン・スチュアート・ミル、マルクス、そしてアメリカの経済学者たちが、金融寡頭層が産業や農業全体の経済を犠牲にして自分らの利益のために法律を書くことを防ぐために発展させたその原則──に従っとる国や経済と比べて、競争力を失わせてしまう傾向があるんや。
それが大きな全体像なんや。わしが書いてきた古代についての本、封建時代についての本、近代の財政国家への移行についての本、これら全部がこの話を説明しとって、全部同じ基本原則から出てきとるんやで。
金融システムを監督して、お金と信用が生産手段への有形資本投資に資金供給されるよう、公共インフラを提供するよう、労働力の基本的なニーズを支えるよう確実にする、中央の権威が必要なんや。んで医療、教育、その他あらゆる基本的なニーズ──補助金付きの交通、補助金付きの通信──を安く抑えることで、雇用主にとって経済のコストを下げられるんや。労働のコストが単に労働者自身の賃金だけから支払われるんやのうて、産業雇用主階級が負担せんでもええ形での公的補助によって賄われるようになるからな。それが産業資本主義の戦略やったし、古典経済学の本質そのものやったんや。
それこそが、アメリカの大学のカリキュラムがもう経済思想史を扱わへんようになった主な理由なんや。その思想は、マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガン、ミルトン・フリードマン、そして反政府・親レント資本家的なシカゴ学派全体への、まさに対極やからな。
この広い視点を持ったら、今日起こっとることは、わしが言うた通り、歴史を通じて何度も何度も繰り返されてきたことやとわかるし、そのダイナミクスはいつも同じなんや。
社会は、自分の借金の重荷に、単に銀行が債務者に利子を払わせるカネを創造して貸し続けて、さらに借金を積み上げさせて、さらに利子を生ませて、さらに融資が必要になって、経済全体を巨大なポンジ・スキームに変えてしまう、いう以外の方法でどう対処していくんか?
グレン・ディーセン:民主主義いうんは投票箱を並べるだけのもんやのうて、むしろこの寡頭層への権力の移譲を防ぐことやと捉えるべきなんですね。いつもお時間割いてくれてありがとうございます。他に何か思うことはありますか?
マイケル・ハドソン:あと1時間でも話せるで。もちろんや。これ全部について、もっと詳しく突っ込んでいくこともできる。たとえば、ドルの未来はどうなるんか?それについてもあんたとよう話してきたよな。
このシステムでは、政府自体が債務者なんや。以前は基本的に政府債務いうもんはあらへんかった。政府が本当の意味で借金を抱えるようになったのは、これが初めてのことなんや。十字軍以降の経済──国際銀行業の離陸──によって、政府は自国の債権者だけやのうて、国際的な銀行家に対しても借金を抱えることになったんや。んで、アメリカが今、自国の労働力や産業に対抗するIMFの親債権者的なルールを支持しとるにもかかわらず、その借金は返済せなあかんいう話になっとる。
政府は「わしらが発行した米国国債やその他の借金を全部返済する方法なんてあらへん。この政府IOU(借用証書)を、あんたらの通貨として使こうたらどうや?このお金は実際に金と交換されるようなもんやない。それ以上の裏付けなんて何もあらへん。わしらは単に国際収支の赤字を戦争支出や海外投資のために使うとるだけで、経済に流し込んどるだけなんや。『それはわしらのドルやけど、あんたらの問題や』」と言うとるんや──アメリカがドルの金交換を停止した直後、テキサス州知事で当時財務長官やったジョン・コナリーが言うたようにな。
他の国々はこれを見て、せやから国際準備の増加分のほとんどすべては、米国政府のIOUやのうて金や外国通貨、果ては暗号通貨いう形を取るようになっとる。欧州連合は今や、米ドルより金の方を準備通貨として多く保有しとるんやで。
アメリカはこれ全部にどう対応するんか?ここで、あんたとよう話す政治的な次元の話になってくるんや。トランプは自分の税制政策によって、ヨーロッパ経済やその他の経済に貢納を課そうとしとる。「アメリカ市場へのアクセスにはカネを払わなあかん。重い関税を払わなあかん。あらゆる形で見返りをよこさなあかん」とな。
彼〔トランプ〕は、これまでアメリカが負担してきた軍事費用の全部を、ヨーロッパに払わせたい言うとる。ヨーロッパの財政政策は今や、本質的にその税制政策の面でNATOの一支部になってしもとる。中東でも同じことや。トランプは「OPEC諸国に、わしらがそこでやっとる戦争の費用全部を払わせたい」言うとるんや。
それが今の対立の本質やねん。それが、おそらく今年末までに国際的な不況につながるやろう石油貿易の崩壊の理由なんや。
トランプが「イランにホルムズ海峡での貿易を支配させて、関税や手数料、通過料を課させるわけにはいかん。わし、ドナルド・トランプは、わしらが防衛のために払っとる戦争の対価として、OPECの石油貿易の20%を取りたい」言うとる。
そうなると、ペルシャ湾岸諸国は「ちょっと待てよ、あんたらはわしらを守っとるわけやない。あんたらがわしらを経由してイランを攻撃したら、イランはわしらの石油生産を攻撃して、わしらを潰してしまうやろ。あんたらがここに置いて、わしらがカネを払っとる軍事基地、あんたらがカネを出しとる戦争は、わしらを守っとらへん。すでにわしらの石油生産の多くを破壊してしもたし、わしらの石油貿易を止めてしもたやないか」言うとるわけや。
これが、アメリカとペルシャ湾岸諸国の間で今起こっとる行き詰まりなんや。んで、イランの立場は「アメリカがわしらの石油輸出を阻止するんやったら、ペルシャ湾からはもう石油輸出なんて一切あらへんようになるで」いうもんや。イランは「今や、外国、つまりこの石油を消費してる欧州やアジアの国々次第や。彼らは自分らの経済のためにこの石油を全部必要としとるやろ。トランプのわしらに対する石油戦争を止めるために、彼らは何をするつもりなんや?」言うとるんや。
これが今、話全体の形を決めとる。んでこの多くは、アメリカの対外債務に絡めて語られとる。他の国々は、この石油貿易を止めてしもて、欧州やアジアを経済的な不況に追いやりかねん戦争に資金供給するために、米国国債やIOUの形で自国の借金を保有し続けるんか?世界の石油貿易の25%、肥料貿易、ヘリウム、そして関連貿易全部が縮小しとるんやからな。
それが今日わしらが直面しとる危機なんや。そんで、それは以前わしらが経験してきたのとはまた違う種類の危機、借金の危機なんや。せやけど基本的にはそれが背景なんやで。
グレン・ディーセン:いつも通り、ほんまにありがとうございました。いつも勉強になりますわ。視聴者の皆さんには、また改めて先生のウェブサイトを見て、著作もそこに投稿されとる素晴らしい動画も含めて、先生の仕事をフォローすることをお勧めしたいと思います。ほんまにありがとうございました。
マイケル・ハドソン:ここに来られて良かったで。わしが言うてきたことはかなり学術的やったと思うけど、これ全部について歴史的な視点を提供する唯一の方法がそれやからな。それが今日あんたに頼まれたことやったしな。


0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム