2016年12月10日土曜日

オバマケア(アメリカの国民皆保険制度)の運命

例によってカイザー・レポート 第1003回
http://www.maxkeiser.com/2016/12/kr1003-keiser-report-obamacare-helped-trump/

ファイナンシャルタイムズの記事から引用:
ノース・キャロライナ州在住のサリーという女性は障害年金を打ち切られ、毎月1400ドルで家計をやりくりしていた。健康状態がよくなく、毎月356ドルのオバマケア健康保険に加入していたが、先月それがいきなり1115ドルに値上げされた。税金控除があるのだがそれでも631ドルの負担になる。



マックス・カイザーは「標準化」と「ネットワーク」に噛みつきます。
「標準化」っていうのは産業革命時のイギリスから始まった。ボルトとかナットの規格だけじゃなくて、人間と人間に対するサービスも規格があてはめられるようになった。1980年代にシティーバンクがATMを導入したときのキーワードは「ネットワーク」と利便性。オバマケアもそうだけれど、西欧が切り開いてきた人権や自由や民主主義にことごとく逆行するような現象だ。

ネットワークというキーワードが出てきたので、ホストのふたりはノースキャロライナ大学医学部付属病院を訪れます。
UNCはハイレベルの医学部と研究機関をもつ総合大学です。この医学部付属病院は民間医療保険会社ブルークロスブルーシールドの医療保険しか受け付けません。まるでソ連のスーパーマーケットです。年間予算は24億ドルで、その25%は政府予算、つまり税金が原資です。しかしノースカロライナ州の住民であり、納税者のひとりであるサリーは、税金で運営されるオバマケアにしか加入しておらず、病気になってもこの病院に入ることはできません。

これが競争原理を導入した公共サービスのなれのはての姿です。価格が高くなり、効率が悪くなるような競争原理っていうのは最悪じゃないか。「だからトランプが当選するんだ」とサリーは言います。オバマケア医療保険は夫婦ふたりでブロンズプランなら1400ドル、ゴールドプランなら2000ドルというアホな価格になってしまいます。

ヒラリーが負けたのは「FBIのせい」「ロシアのせい」などアホなことを言っていますが、ファイナンシャルタイムズのコラムニストは「オバマケアの限界が示したのは医療保険とそのコストのみならず、複雑かつ朝令暮改の公共サービスに絡め取られたと感じた人が多かったからじゃないのか?」


後半のゲストは政治戦略家のマイケル・カーマイケル氏。JFKからバーニー・サンダースまで戦略づくりに参加しました。ヒラリーが負けた原因をカーマイケル氏が列挙します。
1.2014年にキャンペーンを始めたのは早すぎた。
2.明確なメッセージを持っていなかった。「女性大統領」っていうのはメッセージにならない。だからまず女性票を失った。TPPについても明確なメッセージはなかった。過去これほどピンボケの選挙はなかったと思う。ヒラリーはバッグ(政策)を抱えすぎたうえに、クロゼットに隠した荷物が多すぎた。

さてオバマケア=国民皆健康保険制度の将来について。カーマイケル氏はいいます。
「3つの障害がある。ひとつは下院で多数派の共和党。ふたつめは上院で多数派の共和党。みっつめはトランプ大統領。おそらくトランプ氏は大統領就寝後48〜72時間後にオバマケアを葬り去る法案を提出するだろう。」

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ではアメリカの健康保険制度はどこに向かうのでしょうか?それとも現状の惨めなままでしょうか?
もし現状の惨めなままであれば、トランプ氏に投票した大衆は革命を起こすのでしょうか?
アメリカは国民皆保険制度の大先輩である日本に学ぶのでしょうか?

日本はどうなのか?我が輩は放射性重金属が降り積もる千葉県柏市から長野県に逃れてきたので呑気にブログなど書いていますが、学校の事情で、職場の事情で都会を離れられない人達の健康はどうなるのでしょうか?今日もまた放射性重金属を大気中に、太平洋に放出している東電を経産省は潰したいようですが。東電が(首都圏産業が)潰れるのが先なのか、皆が逃げ出すのが先なのか、それとも大地震が先なのか?世はまさに末法の様相を呈してまいりました。

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