2016年11月24日木曜日

エドワード・スノーデンさんの質疑応答2

前にも紹介したけれど、同じムービーが違うタイトル出ていた。あらためて見たら紹介していなかった部分でもいいことを言っているので、詳しく紹介します。

Edward Snowden talking about New President Donald Trump
https://www.youtube.com/watch?v=98eabjjAEz8

Q:PGP(メール暗号化テクノロジー)の製作者がトランプ大統領について質問

政府の監視システムという点に関していえばトランプ政権だけの問題ではなく、世界のどこの政府にも共通の問題、たとえば裁判所を経ずに盗聴するということなどがある。つまり個々の政権の政策とか方針とかではなく、権力がどう使われるのかという問題だ。テクノロジーは地域、言語の違いを乗り越えて人々がコミュニケーションを紡ぐためのツールであり、人々をエンパワーするものだ。利益、権力などのために使う組織もある。でもちょっと違う方法で考えてみよう。
人と人が、たとえば電話で会話をする。その内容を盗聴することができるいっぽうで、それを暗号化することもできる。今回の選挙をきっかけに、世界中の人々にそういうツールを提供することが義務だと思うようになった。

Q:次期大統領とスノーデンさんについて

私個人ではなく「私たち」の問題と捉えてもらいたい。ブッシュからオバマにかわるとき、グアンタナモを閉鎖してくれると期待したけれど、まだ閉鎖されていない。同じように次期大統領に過度に期待するのも、また過度に畏怖するのもやめておこう。結局のところ彼は大統領なのだから、政治家をどう動かすかという我々の問題なのだ。

Q:アメリカ企業について。アメリカ企業を(個人情報を政府に通報するかという観点から)信じていいのか?

今年6月13日にオバマ大統領は人民のEメールを見たりしない、大衆監視などしないと報道された。
10月16日にヤフーがウェブメールを政府にスキャンさせていることがわかった。つまり企業を信頼できるかどうかっていうのはアメリカだけの問題ではない。イギリスは3月に西側世界でもっとも過激な大衆監視法を成立させた。ノルウェーもドイツも似たような動きを政府がしている。
君を顧客と呼んでいる企業は君ではなく政府に忠誠を誓っているかもしれない。ACLUという組織は政府から情報提供を求められた時、顧客の電話番号と通話開始・終了時刻のデータを渡した。それしか必要じゃなかったので、それしか集めてなかったからだ。企業なら不必要な情報を集めるべきじゃない。

Q:2013年以来、個人情報保護に関する一般の関心が低下していることについて。

関心が薄れていくのは仕方がないことだが、ひとつだけ忘れてならないことがある。
カウンターテロリズムのためという名目で収集された情報はテロリズム防止のためにまったく役立っていないとCIAの情報担当副部長が言った。つまり収集された情報はテロリズムを防止するのではなく、経済、外交、社会的影響に関わるもの、つまり誰が権力を持つか、ということがテーマなのだ。
政治家があなたの権利の一部を国家に譲渡しなさい、という。権利とは何百年ものあいだ尊い犠牲を出しながら我々民衆が勝ち取ったものなんだ。これを思い出して欲しい。

Q:どんな情報があればボストン、パリ、ブリュッセルなどであったようなテロを防ぐことができるのか?

ボストンマラソンのテロは大衆監視が行われる中で発生した。注意喚起が出ていた。ブリュッセルでも同様。
なぜ防げなかったのか?情報が膨大すぎて読み解けなかったからだ。
既存のやりかたは、怪しい個人がいるという情報をもとに、電話を盗聴し、その個人の行動を監視する。カナダでテロを防げたケースは既存の手法であって、マス・サーベイランスではない。怪しい個人が武器を集め、車を呼んで駅に着いたとき、警察がすでにそこにいた。
簡潔にいえば、我々が反対すべきはマスをターゲットにした無差別サーベイランスであって、特定の個人あるいは集団をターゲットにして、裁判所でしかるべき手続きを経た監視ではない。狭く深いサーベイランスといえよう。マス・サーベイランスという個人の権利を侵すようなやりかたは不要だ。

もし強力な政府があって、パンを盗んだら即逮捕、スピード違反もできない、テロリズムの余地がぜったいないような社会ができたとしよう。社会の進歩という観点から考えれば、たとえば奴隷解放、たとえば同性婚、たとえばアルコール解禁、宗教的信条、女性の参政権など、いまの我々が基本的な価値と認めていることは、はじめみな非合法活動だった。法律に書いてあることをすべて禁止できる「完全なる統治」のもとでは、法律を変えることができなくなる。それは暗黒時代といっていいんじゃないか?

Q:我々がパラノイドになるまえにビッグ・ブラザーを止めるような方法はないのか?

技術的な問題も絡むのだが、アイデアはあっても解決法はいまのところない。我々の時代は電脳テクノロジーがたいへんな発達を遂げているというのに、政府も世の中も腐りきっている。メールやネットショッピングの内容は暗号化することができるが、そのトランザクションをしたというデータは残る。メタデータは裁判所の許可なしで集めることができる。だからトランザクションの観点で君の私生活は裸にされる。ひとつの考え方は、君の発信地点がどこにあるか隠してしまうことだ。ラジオ放送みたいなもので、電波塔が発する電波は誰でも受信できるけれど、誰が受信しているかを特定することはできない。

Q:いま我々ができることはないのだろうか?

グーグルでもフェースブックでも彼らはぜったいにデータを消さない。そういうメジャーなものは使わないことだ。もっと広い意味でテクノロジーの観点というなら、暗号化をすること。ブラウザーのプライバシー設定をきちんとすること。完璧ではないけれど、助けにはなる。そして政治的な見かたをして、発言しよう。プライバシーというのは権利の基本なんだ。言論の自由というよりも、もっと根幹的なものだ。たとえば宗教。自発的に入信しようが、生まれながらに臆していようが、君は信仰している。もし君がその他大勢と違う意見、生き方をしているなら、それがプライバシーなのだ。何も悪いことをしていないから自由なんてなくてもいいんだというなら、もう一歩高みをめざしてほしい。そしてそれを我々の世代だけでなく、次の世代までつないでいくことだ。

我々は生まれながらに受け継いだ社会をそのまんまにするのではなく、考え、発言し、行動し、変えていこうじゃないか。トランプが当選したのだからしかたがないというんじゃなくて、もし君がマイノリティーなのであってもなくても、君はボックスにチェックをいれるかいれないかというだけの存在じゃない。投票の前でも後でも、昨日よりは今日、考えることからはじめようじゃないか。

Q:トランプ大統領とプーチン大統領の関係について

両国の関係改善でもし私がアメリカに引き渡されるようなことがあるのかどうか?そしたら私の身の上にどんな危険がふりかかるのか?それを憂慮するくらいなら、私はずっとハワイイにいただろう。私は2013年6月以来、正しいことをしたと思っているし、それに満足している。ドローン爆撃?階段から転落?なんでも起こり得るんだから、明日のことを憂慮しても仕方がない。

Q:これからの人生について

世界をもっとマシな方向に変えていくことができる力がついたような、人々と結びついたという気がしている。人々の権利を尊重する方向で仕事ができるのはとてもいいことだ。もしCIA職員だったら、知りえたことを誰かに言うだけで10年の懲役なんだ。人々のために仕事ができて充足感を感じている。

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