パトリック・ブキャナンによるアレッポの教訓・・・トランプ政権のために
そのうち「マスコミに載らない海外記事」のおじさんが翻訳してくれるかと思うのだけれど、とてもいい内容なのでざっと書いてしまいます。
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Lessons of Aleppo — for Trump
http://buchanan.org/blog/lessons-aleppo-trump-126212
ヘンリー・キッシンジャーが1968年にいわく、
「いまの世界でアメリカの敵になるのは危険なことだ。」
しかしアメリカの友人になるのは致命的だ。南ベトナム人ならわかってくれると思う。
いまならアレッポがそうだ。アメリカが支援する武装勢力が人権無視のやりたい放題をやったあと、そこから間違った教訓が引き出されようとしている。
ワシントンポストいわく、
これはアメリカが介入するタイミングが遅すぎたからである、と。
いわく、
「アレッポは西欧の道徳的・政治的決意のメルトダウン・・すわなちアメリカのリーダーシップが崩壊したことを示している。」
「アサドの残虐行為に介入しなかったこと、アサドによる化学兵器使用というレッドラインを無視したことによりオバマ政権は真空地帯をつくりだし、そこにプーチンとイランの革命防衛隊が入ってきた。」云々。
そもそも介入するのがバカなのだが。アレッポの流血
は介入主義のなれの果ての姿なのだ。
2011年8月18日、オバマ大統領いわく、
「シリア国民のためアサド大統領は退任すべきだ。」
西側指導者は声を揃えていわく、
「アサド辞めろ!」
アサドはそれに応えてシリアにおける「アラブの春」を壊滅させた。エジプトではモバラクが追放されたというのに。
アメリカが反政府軍に対する支援をはじめたとき、アサドはヒズボラ、イラン、そしてロシアに支援を求めた。
アレッポ奪還はそれらアサド支援国の活躍があったからこそである。結果としてアラブとイスラム世界でのアメリカの威信は失墜した。
なぜ(アメリカは)大失敗したのか?
第一に、アサドがアメリカを攻撃したわけでも恫喝したわけでもなかったので、そのアサドに退任を求めるにあたり、アメリカは国益ではなく、民主主義をもちだした。いわく、アサドは独裁者である。すなわち独裁者は悪である。アサド辞めろ!と。
しかし誰を後任にするか、誰も考えがおよばなかった。
アサドの敵であり、西欧にとって望ましい後任はアル・ヌスラ戦線、すなわちアルカイーダつまりイスラム国のシリア支店だった。当時イスラム国はラッカのベースキャンプで人間の首を斬りまくっていた。
アメリカはアレッポで「グッド」な反政府派を支援し、ラッカで「バッド」な反政府派を爆撃し、アサドに退任を求めた。
なんとアホな外交方針なのだろう。
そのときアメリカ国民は蚊帳の外に置かれ、何も知らされなかった。
イラクとアフガンで十年以上も戦争を続けたあとなのだ。誰がシリアを統治してもアメリカの国益なぞぜんぜん関係ない。だから、イスラム国やアル・カイーダじゃなければいいじゃないか(というのが世論だった。)
そこにオバマ大統領の「レッドライン」発言。化学兵器を使ったらアメリカ軍が動くよ、という警告だった。これを止めたのが下院の決議。アメリカ軍がシリアで軍事行動を起こすのを否決した。ジョン・ケリーはアメリカ軍の空爆の可能性は「信じられないくらいすくないだろう」としか言えなかった。
2015年、アサドが形勢不利になるとプーチンが空爆を開始し、ヒズボラとイランも介入をはじめた。なぜか?ロシア、ヒズボラ、イランはアサド政権存続に大いなる国益がかかっていたからだ。
イランにとってアサドは対サウジ、対スンニの鍵であり、テヘラン、バグダッド、ダマスカス、ベイルートとつらなるシーア三日月地帯に必須の存在だった。
ロシア、ヒズボラ、イランにとってシリアは時間と金と人命を賭けるに足る存在であり、そして現時点で勝ちつつあるのだ。
さてトランプ大統領がここから教訓にすべきこととは?
それは、中東戦争に介入しないこと・・・下院が採決し、アメリカ世論が一致団結し、アメリカの国益が脅威にさらされており、かつ、いつ戦争がどういうふうに終わるのかあっきりした絵図が掛けているなら話は別だが。なぜなら、戦争はしばしば政権交代をもたらすからだ。
トルーマンの朝鮮戦争。リンドン・ジョンソンのベトナム戦争。2006年に下院で共和党が破れ、2008年に民主党オバマが就任したときはイラク戦争。ワシントンのシンクタンクやメディアの社説欄でイラン戦争が云々される(キナ臭い時代になる)と、トランプ政権の終焉が近い。トランプ大統領におかれては、2011年のウェストポイント士官学校の卒業式でボブ・ゲイツが垂れた訓示を参考にしてもらいたい:
「大規模軍をアジアもしくは中東もしくはアフリカに送るべし、と大統領に進言する国防長官がいたら、その長官の頭を検査させるべきだ、とマッカーサー将軍が遠慮がちに言いました。」と。
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Lessons of Aleppo — for Trump
http://buchanan.org/blog/lessons-aleppo-trump-126212
ヘンリー・キッシンジャーが1968年にいわく、
「いまの世界でアメリカの敵になるのは危険なことだ。」
しかしアメリカの友人になるのは致命的だ。南ベトナム人ならわかってくれると思う。
いまならアレッポがそうだ。アメリカが支援する武装勢力が人権無視のやりたい放題をやったあと、そこから間違った教訓が引き出されようとしている。
ワシントンポストいわく、
これはアメリカが介入するタイミングが遅すぎたからである、と。
いわく、
「アレッポは西欧の道徳的・政治的決意のメルトダウン・・すわなちアメリカのリーダーシップが崩壊したことを示している。」
「アサドの残虐行為に介入しなかったこと、アサドによる化学兵器使用というレッドラインを無視したことによりオバマ政権は真空地帯をつくりだし、そこにプーチンとイランの革命防衛隊が入ってきた。」云々。
そもそも介入するのがバカなのだが。アレッポの流血
は介入主義のなれの果ての姿なのだ。
2011年8月18日、オバマ大統領いわく、
「シリア国民のためアサド大統領は退任すべきだ。」
西側指導者は声を揃えていわく、
「アサド辞めろ!」
アサドはそれに応えてシリアにおける「アラブの春」を壊滅させた。エジプトではモバラクが追放されたというのに。
アメリカが反政府軍に対する支援をはじめたとき、アサドはヒズボラ、イラン、そしてロシアに支援を求めた。
アレッポ奪還はそれらアサド支援国の活躍があったからこそである。結果としてアラブとイスラム世界でのアメリカの威信は失墜した。
なぜ(アメリカは)大失敗したのか?
第一に、アサドがアメリカを攻撃したわけでも恫喝したわけでもなかったので、そのアサドに退任を求めるにあたり、アメリカは国益ではなく、民主主義をもちだした。いわく、アサドは独裁者である。すなわち独裁者は悪である。アサド辞めろ!と。
しかし誰を後任にするか、誰も考えがおよばなかった。
アサドの敵であり、西欧にとって望ましい後任はアル・ヌスラ戦線、すなわちアルカイーダつまりイスラム国のシリア支店だった。当時イスラム国はラッカのベースキャンプで人間の首を斬りまくっていた。
アメリカはアレッポで「グッド」な反政府派を支援し、ラッカで「バッド」な反政府派を爆撃し、アサドに退任を求めた。
なんとアホな外交方針なのだろう。
そのときアメリカ国民は蚊帳の外に置かれ、何も知らされなかった。
イラクとアフガンで十年以上も戦争を続けたあとなのだ。誰がシリアを統治してもアメリカの国益なぞぜんぜん関係ない。だから、イスラム国やアル・カイーダじゃなければいいじゃないか(というのが世論だった。)
そこにオバマ大統領の「レッドライン」発言。化学兵器を使ったらアメリカ軍が動くよ、という警告だった。これを止めたのが下院の決議。アメリカ軍がシリアで軍事行動を起こすのを否決した。ジョン・ケリーはアメリカ軍の空爆の可能性は「信じられないくらいすくないだろう」としか言えなかった。
2015年、アサドが形勢不利になるとプーチンが空爆を開始し、ヒズボラとイランも介入をはじめた。なぜか?ロシア、ヒズボラ、イランはアサド政権存続に大いなる国益がかかっていたからだ。
イランにとってアサドは対サウジ、対スンニの鍵であり、テヘラン、バグダッド、ダマスカス、ベイルートとつらなるシーア三日月地帯に必須の存在だった。
ロシア、ヒズボラ、イランにとってシリアは時間と金と人命を賭けるに足る存在であり、そして現時点で勝ちつつあるのだ。
さてトランプ大統領がここから教訓にすべきこととは?
それは、中東戦争に介入しないこと・・・下院が採決し、アメリカ世論が一致団結し、アメリカの国益が脅威にさらされており、かつ、いつ戦争がどういうふうに終わるのかあっきりした絵図が掛けているなら話は別だが。なぜなら、戦争はしばしば政権交代をもたらすからだ。
トルーマンの朝鮮戦争。リンドン・ジョンソンのベトナム戦争。2006年に下院で共和党が破れ、2008年に民主党オバマが就任したときはイラク戦争。ワシントンのシンクタンクやメディアの社説欄でイラン戦争が云々される(キナ臭い時代になる)と、トランプ政権の終焉が近い。トランプ大統領におかれては、2011年のウェストポイント士官学校の卒業式でボブ・ゲイツが垂れた訓示を参考にしてもらいたい:
「大規模軍をアジアもしくは中東もしくはアフリカに送るべし、と大統領に進言する国防長官がいたら、その長官の頭を検査させるべきだ、とマッカーサー将軍が遠慮がちに言いました。」と。
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