2023年1月25日水曜日

北欧2国のNATO加盟協議 トルコ側意向で無期限停止へ

https://sputniknews.jp/20230125/2nato-14698158.html

2023年1月25日, 02:01

スウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構の加盟をめぐる両国とトルコの協議が、トルコ側の意向で無期限で停止されることが分かった。トルコ外交筋はスプートニクに対して次のように話している。

「我々の要請によりトルコ、スウェーデン、フィンランドの3カ国協議は無期限にわたり停止された」

21日、スウェーデンの首都ストックホルムのトルコ大使館前で、デンマークの極右政党党首のラスマス・パルダン氏がイスラム教の経典「コーラン」を燃やす騒動があった。スウェーデン当局はパルダン氏に対して活動許可を出していたとされており、トルコをはじめ世界のイスラム諸国が批判。外交問題に発展している。

トルコのエルドアン大統領はこの事件を受け「このような抗議活動を許可するのであれば、NATOへの加盟問題についてスウェーデンがトルコの支援を得ることはできない」と述べ、強い不快感を表明していた。

トルコ外務省も、事件が欧州におけるイスラム嫌悪、人種差別主義、差別のレベルを指摘しているほか、これはスウェーデンが署名したテロ組織のプロパガンダを防ぐことに関する3カ国間(トルコ、スウェーデン、フィンランド)の覚書の義務に明らかに違反していると非難している。

スウェーデン・フィンランドのNATO加盟問題

スウェーデンとフィンランドは5月、ウクライナ情勢を受けNATO加盟を申請。だが、エルドアン大統領は、2国がトルコの反政府テロを支援しているなどとして拙速な加盟に待ったをかけた。

新たなNATO加盟には既存の全加盟国の承認が必要なため、トルコの同意が必須となっている。6月にはNATOのストルテンベルグ事務総長の仲介のもと、北欧2国が反政府テロ組織を支援しないことを引き換えに、トルコが加盟を承認することで大筋合意。その後、トルコがテロリストとみなしている活動家らの身柄引き渡しなどをめぐり、協議が続けられていた。

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スウェーデン首相、NATO加盟が最重要と述べ、トルコとの対話を呼びかけ

25.01.2023

NATO加盟に関するトルコ・スウェーデン・フィンランド間の協議は、アンカラの要請により無期限で延期された。これは、ストックホルムでトルコのエルドアン大統領が胴上げされたり、言論の自由を謳歌してトルコ大使館の近くでコーランの写しが燃やされるなど、注目のデモが相次ぐ中で起こった。

スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相は、最近のストックホルムでのコーラン焼却事件後、イスラム圏でスウェーデンに対する抗議がますます激しくなる中、記者会見でNATO加盟の早期実現が重要であることを強調した。

「スウェーデンのみんなに、深刻さを認識してもらいたい。これは現実だ。第二次世界大戦以来、最悪の事態だ」とクリスターソン氏は現在の地政学的状況について述べた。「国家安全保障上、我々とフィンランドが早くNATOに加盟すること以上に重要な問題はない」とも述べた。

フィンランドのペッカ・ハーヴィスト(Pekka Haavisto)外相は、NATO加盟に反対している唯一の同盟国であるトルコとの不和により加盟が停滞しているスウェーデン抜きでNATO加盟を進めなければならない可能性を示唆し、この記者会見を行った。

クリスターソン氏は「フィンランドのフラストレーションは理解できる」と述べ、スウェーデンが「永久に排除される」のであれば、フィンランドはNATOから締め出されることはないと強調した。同時に、トルコとの「対話の機能強化」を求め、交渉過程での「冷静さ」を求めたことを強調した。

「スウェーデン国内でも世界でも、この信じられないほど熱くなった雰囲気は、スウェーデンの安全保障にとって良くないと思う」とも述べた。

ここ数週間、ただでさえ複雑なNATOの協議は、同じクリスターソン氏によれば、トルコが無理な要求をしたことで、注目される数々の論争によってさらに悪化している。ストックホルムではクルド人集会の最中にトルコのエルドアン大統領が胴上げされ、スウェーデンの新聞社がエルドアンをあざける漫画コンテストを開催し、右翼政治家でハードライン党首のラスマス・パルダンがトルコ大使館近くでコーランのコピーを燃やし、それを言論の自由のためだと言い出したのである。

パルーダンが当局の許可を得て放火を行ったにもかかわらず、クリスターソンはコーラン焼却を非難し、不快な思いをしたすべてのイスラム教徒に「同情」を示した。その後、クリスターソン氏は、スウェーデンのNATO招致を弱体化させようとする勢力や、スウェーデンの他国との関係を損ねようとする「挑発者」が「スウェーデン内外に」存在することを認めた。

とはいえ、今週初め、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、ストックホルムでのコーラン焼却事件を受けて、スウェーデンはトルコのNATO支援を期待できないと強調した。その後、後者2カ国のNATO加盟の見通しをめぐるトルコ、スウェーデン、フィンランドの3カ国協議は、アンカラの意向により無期限で保留されることになった。コーラン焼却は、イスラム世界にも波紋を広げた。

コーラン騒動は、遠大な表現の自由と国家の現実的な目標との間にあるスウェーデンのジレンマを捉えている。以前、トルコの身柄引き渡し要求を認めた際、人権擁護団体として自認するスウェーデンのイメージを放棄したとみなされ、野党から非難を受けた政府は、アンカラをなだめようとする中で、「イスラム主義勢力に甘えた」とも同盟国から非難されたのである。

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