2023年7月10日月曜日

門外漢の考察:NATO 北大西洋条約機構

考察シリーズの続きである。最初はアメリカ、つぎにEU、この第3弾がNATOである。

外務省HPによると、つぎのとおり:

北大西洋条約に基づく同盟。 略称はNATO (ナトー)。 1949年にベルギー、デンマーク、フランス、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、イギリスの西欧10か国とアメリカ、カナダの全12か国により発足。 冷戦後に旧東側の諸国も加わり、2022年4月時点での加盟国数は30か国。

話題の第5条について、国営政見放送のHPによるとつぎのとおり:

第5条は、加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、これを加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使が規定されていて、軍事同盟であるNATOの根幹をなす条項です。2001年のアメリカの同時多発テロについて、NATOはアメリカへの攻撃とみなして、史上初めて第5条を発動しました。

さて、直近の事情。

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https://www.rt.com/news/579372-erdogan-ukraine-deserves-nato/

2023/07/08 05:50

ウクライナはNATO加盟に「値する」 - エルドアン大統領

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、ウクライナはNATOに加盟する「資格がある」と主張した。彼は、ウラジーミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領と土曜日にイスタンブールで会談した後、そして来週リトアニアで開催される主要なNATO首脳会議に先立ち、共同記者会見で語った。

「ウクライナがNATO加盟に値することは間違いない」とエルドアン大統領は記者団に語り、アンカラがキエフに「連帯」を示し、「具体的な援助」を提供したと付け加えた。

ゼレンスキー氏は、エルドアン氏の支持を知り「喜んでいる」と述べ、会談の中で「ウクライナのNATO招請の問題を提起した」と付け加えた。

トルコの指導者はまた、モスクワとキエフに「和平努力に戻る」よう求めた。トルコは昨年、和平交渉を仲介した後、紛争を終結させるために「最も激しい努力」をしたと主張したが、交渉は最終的に頓挫した。

「公正な和平は敗者を生み出さない」と彼は指摘した。

金曜日、クレムリンは、ゼレンスキーとエルドアンの会談を「非常に注意深く見守る」と述べ、両首脳が何を話し合うのか「興味がある」と付け加え、アンカラとの「建設的なパートナーシップ」を強調した。

ゼレンスキー大統領とのブリーフィングでは、トルコ大統領は8月にロシアのプーチン大統領を招いて会談を行うことも発表し、ウクライナ紛争が続く中、黒海の港に食料品を流し続けることを目的とした穀物輸出取引の延長を希望していることを表明した。

「私たちの希望は、2ヶ月に1度ではなく、少なくとも3ヶ月に1度は延長されることです。私たちはこの点で努力し、この協定の期間を2年に延ばすよう努力する」とエルドアンは述べた。

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これはあきらかにエルドアン翁が、ゼレンスキーを交渉の場に引きずりだすためのレトリックでしょう。とはいえ、「西のトルコ、東のコリア」とは我輩の格言。ややこしい立地ゆえ二枚舌三枚舌で国家を存続させてきたのがこの2地域である。自分らが関係ないかぎり、3枚舌くらいまでは笑って眺めるのがいい。

ここまで言われたら、ゼレンスキーは仮にも一国の代表として、外交辞令で答えないわけにはいかない。

さてRTのポッドキャストのクロストークで、あるゲストいわく、イギリスはOUNに多大の資源を注ぎ込んできた。ゆえに、いまさら手を引くわけにはいかんと云々。

OUNとは何かというと、たいへんややこしい。ウィキの冒頭部分だけをざっと訳すると,

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https://en.wikipedia.org/wiki/Organisation_of_Ukrainian_Nationalists

ウクライナ民族主義者の組織、ウクライナ軍事組織

ウクライナ民族主義者組織(OUN、ウクライナ語ローマ字表記: Orhanizatsiya ukrayins'kykh natsionalistiv)は、1929年にウィーンで設立されたウクライナの民族主義組織。ウクライナ軍事組織と、若者を中心とした小規模な急進的民族主義右翼グループを統合した。OUNは戦間期に第二ポーランド共和国領内で活動した最大かつ最も重要な極右ウクライナ人組織であった。

OUNは主に第二次世界大戦の前、最中、直後に活動していた。そのイデオロギーは、1929年からはイタリアのファシズムに、1930年からドイツのナチズムに影響を受けた。民族的に均質で全体主義的なウクライナ国家を建設することを目標に、暴力、テロリズム、暗殺で戦略を追求した。

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OUNは、ファシズムを信奉する暴力的ネオナチである。アゾフタルの製鉄所跡に立てこもって、挙句のはてに投降したアゾフ大隊はこの直系である。ちなみにこないだトルコが釈放した捕虜の中にアゾフの幹部がいたので、ロシアが文句を言った。トルコがロシアを怒らせるようなことをわざわざしたのは、上述と同じく、そこまでやられたらゼレンスキーとしても、トルコが用意した交渉の場に出ざるを得ないだろう。おそらくロシアはそこまでわかっていて、いちおう怒ったふりをしているに違いない。

ゼレンスキー政権がネオナチとずぶずぶの関係っていうのは、西欧はよぉーくご存知だった。

さて、NATOに新しいメンバーを加えるためには、全員一致しなければならない。いつもごちゃごちゃ言うのは、トルコである。フィンランドはトルコが賛成したから、こないだ加盟できた。スェーデンは、トルコが反対しているので加盟できない。トルコいわく、スェーデンがクルード独立過激派をかくまっている。さらにこないだスェーデンは、イラク出身のクリスチャンがコラーンを燃やすのを黙認したので、火に油を注いだ。

なんでそんな面倒くさいトルコをメンバーにしているかというと、トルコがNATOで最大の軍隊だから。そして、トルコなしでは、中央アジア進出ができない。これはロシア潰しとならんで、NATOのもうひとつの野望である。中央アジアをなんとかできたら、中国に背後から嫌がらせできる。

ウクライナがNATOに加盟したらどうなるか?第5条があるので、30カ国が速攻でロシアと戦争である。もちろん核兵器が行ったり来たりする。欧州もアメリカも核兵器で攻撃されたことがないので、恐怖は無限大。「白人の頭上に核弾頭を落とすか?」

戦術核と(アメリカのたてわけで)言われる小さな核弾頭でも、広島長崎の最低3倍のエネルギー。広島長崎では合計22万5000人が即死した。3倍なら人口密集地に1発で70万人くらいが即死する。

アメリカもNATOも、通常兵器でロシアに勝つことができない。核兵器を使うとすれば、偽旗作戦しかない。偽旗作戦をどこで実行するか?ウクライナが NATO未加盟であれば、おそらくポーランド。ポーランドも、ロシアもそれをすでに予想して対策を考えている。

ロシアはブラフをしない。粛々と、ごりごりと、実行する。NATOもアメリカもそれを知っている。ウクライナを加盟させるわけにはいかない。

ウクライナ政府は世界有数の腐敗ダーティー国家で、私腹を肥やすためにウクライナの若者を「肉挽き機」のような戦場に送り込んでいる。ロシアに勝てるわけないので、いわゆる「毒喰らわば皿まで」のやぶれかぶれ状態である。それをNATO加盟国が知らないわけがない。ゆえに、外交辞令がどうであろうとNATO加盟はあり得ない。出来レースで、誰かが反対する。

あるいは万が一、ウクライナが加盟したとする。そのとたん、トルコ、ハンガリー、フィンランドなどは速攻で辞める。スェーデンも、一番やんちゃなことを言うポーランドも場合によっては辞めるだろう。

ロシアは、ウクライナがNATOに加盟してもしなくても、ただいま勝っている戦争を辞める理由はあんまりない。

例えばこんな事態を想定しようか。ウクライナはオデッサからモルドバに至る黒海北岸をすべて失い、内陸国になる。交易はポーランド経由に限定される。西のほうでは、白人である誇り以外に何も持たないウクライナ人難民が数百万人居住する。ずーとそのまんま居住し続ける。欧州はロシアのエネルギーを失い、ハイパーインフレなので仕事がない。ウクライナ政府が闇市場に流した武器が流通する。アラブ系とアフリカ系の有色人種移民とウクライナ移民の紛争が内戦化する。いまのフランス各地の暴動が線香花火程度だったね、と懐古調になるくらい混乱する。

・・・と、あんまり楽しい想像は出てこない。あってもなくても、どうでもよくなったNATOは瓦解させられる。


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