2026年6月15日月曜日

マイケル・ハドソンとリチャード・ウルフ:支配がもたらす帝国の罠

https://michael-hudson.com/2026/06/when-control-becomes-the-imperial-trap/

When Control Becomes the Imperial Trap

2026年6月10日(水)

ニマ・アルコルシッド: みなさん、こんにちは。今日は2026年6月4日(木)でして、親愛なるリチャード・ウルフとマイケル・ハドソンに来てもらいました。マイケル、また来てくれてありがとうございます。まずロバート・ケーガンの最後のインタビューの映像から始めたいんですわ。中東情勢とトランプの状況についての発言やねんけど、ケーガンってのは筋金入りのネオコンで、イランと中東相手の大戦争を煽ってた人物やということは知っての通りですわ。せやけど今は、トランプの言うてることに全然賛同してへんねん。こんなことを言うてましたわ。

ロバート・ケーガン(映像): 未来がどないなるか、もうはっきり見えてきよった。イランが海峡を支配しとる。米軍がそこを武力で奪い返せる見込みは、どこにもあらへん。トランプかて明らかにそんなことしたないんや。ということはつまり、海峡は「新しい管理者」のもとで開き続けるっちゅうことや――イランの管理のもとでな。誰を通して誰を通さへんか、どれくらいのペースで、いくらの値段で、全部イランが決めるようになる。遅かれ早かれ通行料も取るようになるで、そらそうやろ。

これでイランは地域でも世界でも、ものすごい影響力を持つことになる。もうそれが現実に出てきとるで――レバノン情勢でトランプがどう動いてるかを見てみい。どんな選択肢があるんか、わしには見えへん。この戦争はもう負けたんや。問題はそれをいつ認めるかだけやで。トランプはもちろん認めたないから、いまこうしてどっちつかずの、身動きの取れん状態になっとるわけや。

米国には選択肢がない、そう思う。この失敗は、残念やけど長引く失敗になる――長期的な戦略的ダメージを伴う失敗にな。地域の力関係が劇的に塗り替わるっちゅうことや。戦争が始まる前はイスラエルがダントツで地域最強やった。イランはボロボロで、弱くて、孤立しとった。でも戦後は、イランが海峡を握ることで、イランが仕切る側に回る。

湾岸諸国はイランと手打ちするようになるで。もうそうなりかけとる。イランはイスラエルの行動に対しても影響力を行使するようになる――いまレバノンでそれが起きとるとおりにな。イランはイスラエルのベイルート爆撃を止めよと要求した。で、トランプがネタニヤフに電話して「やめとけ」と言うた。これが今後の姿や。イスラエルはとんでもない孤立に追い込まれていく。イランは日本や韓国みたいな、はるか遠くの国にまで影響力を持てるようになる。そういう国はみんな、湾岸のエネルギーに完全依存しとるわけやからな。そのアクセスをイランが握るんや。

ニマ: リチャード、聞かせてください。ケーガンが言うてること、それとトランプが世間に向けて言うてることの間に、何か繋がりはあると思いますか?いまの政権を動かしてる連中の頭ん中では、こんな風には感じてへんわけですやん。あいつらは全然違う認識で、「俺たちは勝ってる、ここに居続けるんや」と思うてる。せやから、この二日間で米国とイランの対立が起きたわけで、封鎖かてまだ続いてるし。トランプは封鎖を解くと言うてたのに、ぜんぜん解いてへん。だから双方の間でけっこう重大なエスカレーションが起きてるわけです。何が起きてると思いますか?

リチャード・ウルフ: あの映像のキモは「支配」いう言葉やと思いますわ。ケーガンみたいなネオコンが話すとき、あいつが嘆いとる、あいつがそないに悔しがっとるのは、支配を失ったことやねん。本人がはっきり言うてたやろ。支配の形が変わった、米国の支配やのうなった、「新しい管理者」、イランの支配に移ったと。ケーガンにとってそれは、とてつもない、あり得へんほどの恐怖や。それが問題の本質や。残りのことは安っぽいたわごとに過ぎへん。

たとえば「失敗やった」とか言うてるやろ。何を言うてんねん。どんな考え方やねん。世界史的な大転換が起きてるのに、それを「失敗」のせいにしよる。失敗なんてしょっちゅうあるもんや。それがこれほどの結果をもたらしたとなれば、聞かなあかん問いがある――なんでこうなったんや?という問いや。せやけどケーガンにはその問いが立てられへん。答えはこうや:あんたらは支配を失いつつある帝国なんや。それが今起きてることや。何年もかけてゆっくり進んできて、今は加速しとる。イランはずっと大国やった。今は、その力がどれほどのもんか、はっきりしてきただけや。なんでか?世界全体が変わったからや。イランはもうかつてのイランやない。

ロシアと中国とBRICSを味方につけたイランや。まったく別の話になったんや。ケーガンが自分のイデオロギーの目隠しに囚われてへんかったら、もう少しましな話ができたはずや。せやけどあいつには想像もできへん。ちなみにトランプかて先日、まったく同じことをしよった。「イランがホルムズ海峡を支配しようとしとる、誰にも支配させへんぞ」と言うたんや。誰にも支配させへん。婉曲表現やな。お前が支配しとったんやろ。ずっとそうやったんやろ、この大ぼら吹きが。

今は誰かほかの者がそれをやろうとしてるから悔しいふりしてるだけで、最後にはぼろを出す。「誰にも支配させへん。わしらが目を光らせとく」と。誰も騙されたらあかん。あいつは何らかの支配権を保ちたいんや。そして理解でけへんのは、もうそれができへんということや。これは根本的な、一瞬の認識や――非常に限定的で、最小限の、一瞬の認識。わしらがずっとここで言うてきたことの。あなたも、わしも、マイケルも、長い間話してきた:帝国の衰退っちゅうことや。これがまさにそれや。帝国が重要な航路を失うた。今はほかの誰かの手に渡った。

こいつらはみんなびっくり仰天しとって、「失敗やった、教訓を活かせば次は防げる」と思いたがっとる。違うで、あんちゃん、失敗やない。衰退していく帝国がはまり込む罠のひとつや。あいつらは去年も同じことをやっとったことを忘れてもうてる。同じ国、同じ二人で、12日で戦争を止めなあかんくなって、目標も達成できんかった。去年も学べへんかった。今もまた学べへん。違いはただひとつ、今やイランは望む望まへんに関わらず、世界中に示してしまった――世界の秩序が変わりつつあるっちゅうことをな。最後にもう一点。ケーガンには見えてるんや、なぜならそれが奴にとって一番大事なことやから、これがとんでもない結果をもたらすということがな。

せやけどまたしても、これはこの戦争のせいやと思うとる。違う。帝国の衰退のせいや。遅かれ早かれ地球上のすべての国が、湾岸諸国だけやのうて、再計算しとるということや。世界が変わった。米国と西欧は分裂した。どちらも昔ほどの力はない。ロシアと中国が新たな大国として台頭しとる。そりゃみんな新しい取引をするわな。ラテンアメリカもそうや。メキシコもカナダもそうや。もうそれが始まってる。これ全部が「失敗」か?やめてくれ。これは、自分に何が起きてるか見たくない米国人の精神構造の問題や。

マイケル・ハドソン: リチャードが「衰退する帝国」と言うたとき、その意味は、わしらが一年間ずっと議論してきた問題の失敗のことや。米国の国際戦略、「国家安全保障戦略報告書」に書かれた戦略は、世界の石油貿易の支配に基づいてきた。「支配」いうのは、他国が石油にアクセスでけへんようにする能力のことや――工場を動かすために、家を暖めるために、石油化学品を作るために、肥料を作るために必要な石油をな。

つまりその支配手段は、米国が他国に対してカオスを作り出す能力を持ち続けることで「安全」やと感じるということや――相手が米国の外交政策と、トランプが去年の関税で各国に押しつけた諸々の合意に従わへん場合にな。アメリカ市場へのアクセスを望むなら、他国の石油輸出に制裁を課さなあかん。ロシア、イラン、当時はベネズエラも対象やった。

米国の戦略の全体像は、世界の石油貿易、食料貿易(食料を必要とする国に対して)、そして今ではインターネットとAIの独占を支配することで、コントロールするということや。せやから米国はこれを簡単に手放すつもりはない。ケーガンはほぼ「失敗したと認めなあかん」と言うてるようなもんやが、まるでトランプに挑戦状を叩きつけとるみたいや。「どうするつもりや? 指をくわえて見てるのか?」とな。

さて、今日は株式市場が大きく上がった。トランプが「イランを攻撃するつもりはない」と言うたからや。イラン側がアメリカ人を殺さへん限り、攻撃せぇへんと約束した。でも直近二日間で何が起きたか、もう見えてるやろ。米国はサラミ戦術で、ちょっとずつイランのホルムズ海峡支配能力を削ごうとし続けるんや。もうやっとる。タンカーに「トランスポンダー切って、こっそり通り抜けろ」と命令しとる。イランはそれを阻止しとる。

米軍はわかっとるんや――イランがこっそり通り抜けようとしてるタンカーを探知しようとレーダーを使えば、米国はすかさずそのレーダー源を爆撃して、イランの監視能力を潰しにかかる。この衝突を平和的に解決する方法がわしには見えへん。交渉でも無理や、なぜならトランプには交渉できるカードがなく、米議会が何かに合意するとも思えへんし、合意するとしてもほぼ「何もしない」やろ。イスラエルが何をするかも制御でけへん、そっちもほぼ「何もしない」やろ。結局、何らかの形で戦場でしか決着はつかへん。

あなたの番組に来た多くのゲストが「二週間前に戦争が起きると思った」「先週末に起きると思った」「来週末に起きる」と言い続けてる。米国が探りを入れ続けとるのを見れば、そのうちイランが何らかの反応をせざるを得んようになるのは見えてる。

中国はイランに反応させたくなくて引き止めようとしとる。なぜなら中国は、イランが米軍基地だけやのうて、米国の航空機がイラン攻撃に使ってる空港や領空を提供してる首長国や国々まで巻き込んで叩くことを望んでへんからや。これは結局、今年初めに起きてたかもしれんかった展開と同じ結末を辿ることになりそうや。

去年2025年にも、イランがイスラエルを追い詰めて攻撃できたのに控えた場面があった。どちらにせよ、その状況がまた積み上がってくると思う。なぜなら米国は文字通り「他国が石油を得られへんようにできへん限り安全やない」と言うてるわけやし、まさにそれこそがイランが自らの力で成し遂げたことやからや。イランはこう言うてる。「米国がロシアを孤立させ、わしらを締め上げ、ベネズエラの石油を押さえることで、あなたらの石油供給を支配しとるんやったら、わしらが先手を打つ。あなたらへの石油供給を遮断したる」とな。

残念ながら、この遮断の影響は回復するのに何年もかかる。世界的な不況を引き起こすことになる。

せやけどわしらがホルムズ海峡の石油供給を遮断する目的は、みんなにわしらを守ってもらい、石油の自由貿易の世界を作ること――イランともロシアとも取引でき、ひょっとしたらベネズエラも解放されて石油を自由に輸出できる世界を作ることや。そこで問題になるのは、世界の石油供給を誰が握るか、ということや。米国かイランか。本質はそこに尽きる。米国はおとなしく引き下がることはせえへん。そうなれば、石油貿易に何らかの断絶が生じる可能性は高い。

まさに米国が他国を脅すために実現しようとしてきたことを、イランがやっとるわけや。イランは脅しとしてやってるんやない。自国の石油取引能力を守るために、そして自由に石油輸出国として世界に復帰するためにやっとるんや。米国は依然としてイランのタンカーを妨害しようとし続ける。イランのタンカーを拿捕して何もできへんようにする。当然イランも反撃する――米国の攻撃が出発しとる軍事基地を攻撃するやろ。アメリカ人が死ぬ。そしてまた元の木阿弥や。

リチャード・ウルフ: ちょっと付け加えさせてくれ。別の角度から見てみよう。米国では長年、「米国の安全保障には世界全体を支配することが必要や」と言われてきた。ちょっと立ち止まって考えてみい。これは狂気の沙汰やで。どんな狂気かというと、「世界は米国とソ連によって支配されていた、ソ連が消えた、やから今は米国だけが支配している」と思い込んでる人間の狂気や。子供みたいな話やで。世界は何の帝国によっても支配されたことなんかない。やからこそ世界はまだ存在しとるし、すべての帝国はもう消えた。どっちの方が深いか、それだけで分かるやろ。

米国の精神構造では、世界のあらゆる場所を支配せなあかん、なぜなら、と言うて何を白状してるかをよう見てみい――世界のどんな遠い場所でも、地理的に遠かろうと、富でも軍事力でも世界的影響力でも遠かろうと、そこで何らかの経済的・政治的動きが芽吹けば、やがてそれが米国を脅かすかもしれない、やから先手を打って叩く、ということや。

ベトナムで何をしてたんや?アフガニスタンで何をしてたんや?ベネズエラのマドゥロと奥さんを眠りの中から引っ張り出して何をしてるんや?答えはこうや「我々の安全保障に必要な措置を講じとる」。なるほど、ベトナムがいつかアメリカを脅かせるポジションになるかもしれないから、北が南を支配するのはまずいと?イランが核兵器を持つかもしれないから潰すと?でもここで一点、それも別の問題やけど。イスラエルが核兵器を持っとることは周知の事実やで。やったらイランが持ってもええんちゃうか。

これはどういうことや?米国は同盟国のイスラエルには「持っていい、持つべきや」と判断し、イランには「持つな」と言う。これが世界帝国の振る舞いや、そういう決定を下すっちゅうのはな。みんなに言うとくで。イランが核兵器を欲しいと思う日が来たら、核を持つロシア、中国、あるいは北朝鮮に頼んで手に入れる。そしてその決定はあっちで下される、こっちやない。なぜならそれが今の現実やから。なんでか?帝国にはもうそれを止める力がないからや。

そもそもの狂気は、あの小さなロジックの動き方にある。通俗的に言えばこうや:「向こうで戦う方が、こっちで戦うよりましや」。これで世界全体が、どんな発展の可能性も最終的には何かに繋がるかもしれないからという理由で、どこでも攻撃し戦う論理的な場所になる。違う、そんなやり方で世界は動いてへん、99%の場合はな。理由は単純で、いまに繋がる話でもある。別の道があるんや。

あなたは世界全体を支配でけへん、認めよう。最初からできへんかったんや。やからこそ多くの戦争を、莫大な人命と資源と失われた機会を犠牲にして戦ってきた。経済学には「機会費用」という非常にシンプルな概念がある。どんな資源の使用に対しても、そのコストは、その用途に使ってしまったために他にできないすべてのこと、それが機会費用や。わしらが維持してきた軍隊の機会費用は何やったんか。そんな問いは禁タブーや、なぜなら全てを支配しようとしとるから。

代替案はこうや:世界は交渉と妥協のプロセスやと理解する。支配するんやない、互いに壊し合わへんように合意を目指して動く。ケーガンよ、あなたがやっとるのは支配しようとし続けることで、失敗したと嘆いとる。違うんや、坊や、失敗なんてのは問題の一番小さい部分や。あなたは自分の足元から崩れていくものにしがみつこうとしとるんや。イスラエルは絶望的な状況にある国で、その絶望が今まさに一段と深刻になったという事実に直面させられたところや。なんでか?

米国と同じで、軍事を選んだからや。安全保障とは周囲のすべてのアラブ国家、すべてのイスラム国家を支配することだと。でもそれは希望のない、終わりのない仕事や。できへん。今や軍事力を持ってもできへん。イスラエル軍を米軍が後ろ盾にしても、もはやできへん。米軍がそれをできへんようになった。終わりや。隣国と折り合いをつけるか、消えるかや。どこかでイスラエルはそれを分かっとるはずや。ガザで今レバノンで見られる狂乱した行動は、問題を何も解決せえへん。

でも認識が欠けとるのは、別の道があるということや。それは外交の道、一種の外交や。国際連盟でもなく国際連合でもなく、こうした事態を防ぐための何か別のメカニズムを作り上げようとする外交な。米国はそれをせえへん。もはや世界を支配でけへんくなって、「ルールに基づく国際秩序」でアメリカ第一を実現しようとしたあげく、今度はルールを投げ捨てて直接やろうとしとる。同じ失敗の繰り返しや。問題は「どうやるか」やない。問題は、自分が実際にどんな状況にいるかを根本的に誤認してることや。

マイケル・ハドソン: リチャードが挙げたいくつかの点を順番に論じたいんやけど。リチャードは正しく言うてくれた、米国の政策は支配に基づいとると。そしてそれを「狂気」と呼んだ。

さて、今日のニュースを読みながら、わしは社会病理(ソシオパソロジー)に倣って新しい言葉を作ったんや。「地政病理(ジオパソロジー)」や。社会病理というのは共感の欠如だけでなく、その欠如が虐待的な行動をもたらすことやが、地政病理とは国家や民族への共感の欠如が虐待的な形で世界を構造化しようとすることや。

これが「支配」の教義の本質や。われわれが相手にしとるのは、振り返って見れば、西洋と他の国々との数百年にわたる病理的な関係や。長年にわたる支配の手段は、英国の「自由貿易帝国主義」やった。実際そう呼ばれとった。自由貿易ができて他国が英国を世界の工場として依存するようにし向けられれば、彼らは食料と原材料を不平等な交換で提供し続け、英国との貿易赤字をどんどん積み上げていく。

それを補うために英国から借金をせなあかんくなり、貿易依存は金融依存、債務依存に変わっていく。そして反論しようとすれば、世界中に張り巡らせた英国海軍と軍事基地によって、軍事依存もすでに確立されとる。

それが18世紀の英国植民地主義の本質やった。19世紀には英国の自由貿易論と貿易帝国主義として現れた。そして第二次世界大戦後、米国がドルを基軸とした自由貿易と債権者中心の国際金融システムを通じて世界経済を組み直したやり方や。貿易支配、特に石油や原材料の貿易支配を通じて、そして米国の投資家が多くのグローバルサウス諸国の原材料生産者を支配することを通じて、世界を全面的に詳細に支配する手段へと仕立て上げた。かつての産業資本主義が初期に唱えたこととは正反対のことをな。

他国は何らかの形で対応せんと、自分たちを救えへん、この病理的な関係から。この支配の行使方法のひとつが、国際関係と経済についての思考方法を支配することや。神話は、米国中心の貿易システムからすべての国が利益を得てきたというものや。米国はそれを「自由貿易」と呼ぶが、米国自身はそのルールから免除されとる。実態は米国中心の貿易と米国中心の金融システムや。多極化や相互扶助の正反対やな。

地政病理の背後には「エコパソロジー(経済病理)」がある。経済がどう発展するかについての病理的な経済理念や。この支配の外交政策を支える米国のネオリベラル戦略と経済観は、1980年代のフリードリヒ・ハイエク、マーガレット・サッチャー、ミルトン・フリードマンにまで遡る。

もし彼らが歴史の最初まで遡って、文明の出発点をこの「自由市場原理」で考えたとしたら、相互扶助でなく、公平さや公正さや他者への配慮でなく、そういう原理で文明を始めようとしたら、文明は決して離陸せえへんかったやろ。今日われわれが達成した地点は、この病理的な行動から脱け出さんことには国際経済が離陸でけへんという地点や。そしてそれには臨界質量、かつては代替選択肢を持てへんかった規模の国々が必要やった。今まさに、中国、ロシア、そして今やイランの台頭によって、その基盤が生まれつつある。

イランの政策が他の国々に代替案を考えさせてると思う。「もちろん、原材料、信用、技術に依存する国はいつもあるやろ。でもそれは搾取的でなくてもええんや」と言わせとる。国際的に搾取的な状況があるなら、解決策は自給自足、つまり主権を取り戻して自分の運命を自分でコントロールすることや。おそらくそっちの方向に文明は動いてると思う。それがイランをめぐる今の闘いを文明論的な問いにしとるもので、まさにケーガンやネオコンが彼らなりの「文明との闘い」として位置づけてきたことや。

リチャード・ウルフ: ニマ、マイケルが今言うたことをはっきりさせとこう。産出量と投入量の関係で言えば、分業した世界の方がずっと効率的かもしれへん。

でも米国の支配的地位のせいでそれを実現でけへんから、米国も他のすべての国も、自給自足に向かわせられとるんや。それは途方もなく非効率や。その理由は、人間が効率的なものと非効率なものの違いを理解でけへんからやない。理解できる。せやけど非帝国主義的な形でそれを実現する方法を見つけられへんのや。それが問題や。せやからありとあらゆる富と資源を諦めることになる。そして中心部と周縁部の格差は解消されるどころか、この内向きの自給自足によってかえって固定化されてしまう。これが今わしらが直面してる皮肉な状況や。具体例を出そう、少しばかり波紋を呼ぶかもしれへんけどな。

マイケルもわしも、経済学の大学院で最も刺激的だったサブフィールドが「経済開発論」やった世代の人間や。最も多くの学生を引きつけたサブフィールドで、わし自身もそうやった。第二次世界大戦後、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの貧しい国々を見て、「どうすれば貧しくなくなるか」がエキサイティングな課題やった。すでにわしらが享受しとるような、きちんとした医療、きちんとした教育、きちんとした生活を実現するための近代化を目指す国々を助けようとしとった。

わしらの同期の多くが国連などに入って世界中で働いた。問題はこうや――彼らは助けられへんかった。わしらは知らぬ間に、彼らを従属的な地位に固定化しとったんや。証拠は何か。今もそこにいとるからや。発展でけへんかった。依然として非常に貧しく、豊かな国との格差はむしろ広がった。

大きな例外がひとつある、中国や。なんで重要かというと、わしらは誰も中国に行かへんかった。中国は禁じられた場所やった。1949年に毛沢東が勝利してから1970年代のニクソン・キッシンジャーの訪問まで、中国は国交がなく、誰も何もしてへんかった。わしら経済開発専門家の恩恵も受けてへんかった。

結果:中国はずっとよくやった。わしらが助けた国々は中国ほどの成果を出せへんかった。それは問題や。これが分かれば問わなあかん:いったい何が起きとったんか?ケーガンみたいな人間に聞けば「いくつか失敗があった」と言う。またこれや、些細で馬鹿らしい。わしらが助けられへんかったのは、帝国を維持・運営することで忙しかったからや。それが大学でわしらに言われた内容のすべてを圧倒してしまった。

せやからわしらが成功できなかったのは当然や。わしらを招き入れた政府も成功できへんかった。ならず者国家とされ、あらゆる手で妨害された政府が――軍事基地その他すべてを含めて――わしらを凌駕し、年々それを続けとる。まるで体制そのものを嘲笑うかのようにな。

最後に言いたいことはこれや:アジア・アフリカ・ラテンアメリカのすべての国が、わしの言うたことを理解し、チャンスを一度も与えてくれなかった死にゆく帝国から、願わくば新しい機会を与えてくれるかもしれない新しい勢力へと乗り換える必要があると気づく日が来る。それが米国の問題や。それを理解でけへんなら、年がら年中、一つ失敗してはまた次の失敗を繰り返すことになる。

マイケル・ハドソン: リチャードが多くの人が開発経済学に集中したと言うてくれたが、わしも嬉しいで。わしは1970年代に三年間、国連訓練調査研究所(UNITAR)で国連のために働いた。そこですぐ気づいたのは、ある一群の開発経済学者たちが研究してたのは「どうすれば開発を、米国に有利でない形で起きないようにできるか」ということやった。

世界銀行が開発に反対する急先鋒やった。「開発のためのパートナーシップ」という報告書を出したが、わしはそれをレビューして、わしの著書『超帝国主義』で「後進性へのパートナーシップ」と呼んだ。世界銀行は、農業で自国の食料を生産し米国農業と競合するようになる国には、一切融資しないよう徹底した。わしは修士論文を書いて、超帝国主義でも一章を割いた。世界銀行のすべての国別経済審査で言われてたことは、「フランクリン・ルーズベルトが農業調整法でやったことと本質的に同じことをしなさい。家族農業を守りなさい。公的な農産物市場サービス、農業普及サービス、種子供給サービスを整備しなさい。貿易関係を発展させて食料依存を支えなさい」ということやった。でも世界銀行の実際の行動はそのすべての逆をやった。なぜなら、それは米国の国家安全保障には合わへんから。

やから世界銀行のトップには軍人が据えられた。最初の総裁ジョン・J・マクロイから始まり、国防長官のロバート・マクナマラで頂点に達した。開発理論が米国の国家安全保障の「支配」戦略に合わせて歪められ、開発の概念全体が乗っ取られた。「開発とは米国企業に来てもらってあなたの石油、鉱山、森林、原材料の支配権を買い取ってもらうことや。公共サービスと公共インフラを民営化することや。そして米国の金融会社と企業に来て発展させてもらうことや」という意味にすり替えられた。開発経済学の理念が完全に乗っ取られたんや。

国連でそういう指摘をしたとき、「ローマクラブ」に資金を出してた銀行家ら、アニェッリ確か、それに何人か、はっきり言うてきた――もし彼らが首にならへんかったら、UNITARへの資金をすべて引き上げると。実に露骨やった。ローマクラブの根本的なメッセージは「先進国以外の非白人の人口が多すぎる。それは非効率やから人口を抑制しなければならない」というものやった。

皮肉なのは、世界銀行に対するわしの批判の大部分を普及させたのがカトリック教会やったことや。「解放の神学」として広まり、わしの最初の本はまさにこの問題を取り上げたためにカトリック教会から出版された。その人口論こそが、開発経済学全体の歪みの一部やったからや。そしてそれが結局、この分野が今の経済学の学生にとってほとんど関心を持たれなくなった原因のひとつになった。

ニマ: リチャード、ここまで話してきた内容を踏まえて聞きたいんやけど、トランプはこれが終わりやと理解して何か手を打つと思いますか?ウクライナ戦争から手を引く、中東戦争から手を引く、あるいは、オフランプとしてキューバへの新たな戦争があり得ると言う人もいて、それはわしの目には完全な災害の処方箋に見えるんやけど、「イランには勝てへんかったけどラテンアメリカで新しい勝利を掴む」みたいなことで、あの政府を倒してわしらに有利な者を据える、ベネズエラでやったようにな。トランプは米帝国の限界を理解すると思いますか?それともイランでも勝てへん、ウクライナでも終わりにでけへん状況で、新たな戦線を米国のために開くと思いますか?

リチャード・ウルフ: トランプやその政権の中に、今日わしらが話してきたことへの何らかの認識が見えないか、ずっと探してる。見えへん。どこを見てもな。わしの判断では、マドゥロとベネズエラにやったことの理由はこうや、それ以上はでけへんかったから。ベネズエラには反対勢力が十分おる。文字通りの植民地体制を打ち立てようとすれば、あの国でいつまでもゲリラ戦を戦い続けることになる。そしてベネズエラ周辺のすべての国に同情者がおって、身を隠せる場所がある。これは非常に危険や。

キューバも同じ問題を抱えとる、ただ島国やから周辺に隣国がないという点は大きな利点になる。でも大きな不利点は、半世紀もの異なる考え方の積み重ねや。米国が今キューバを攻撃すれば、まさに半世紀間描き続けられてきた「外から来る悪の勢力」が本物やったと証明することになる。

せやからキューバの人々と今後何年も大変な関係を抱えることになる。難民の問題もある。どこへ行くんや?彼らは誰や?旧来の親カストロのキューバ人か?百万人のキューバ人が今すぐメキシコや中米に入ってきてほしいか?問題は山積みや。

ハバナを爆撃しようとカラカスを爆撃しようと、そういう気持ちよさはあるかもしれへん。せやけど世界にとってそれは何や?超大国が小さくて貧しい国と戦争しとる。それが真実で、そう見られる。それは役に立たへんで。それがウクライナで負け中東で負けた埋め合わせのために、そう見えようと実際にそうであろうと、やってるように見えるなら、状況をさらに悪化させるだけや。

繰り返しになるが、状況がそうなんやから。どちらかや。世界との新しい向き合い方に転換するか、次々にこういう状況にはまり込み続けるか。少し歴史を振り返ってみよう。キューバとベネズエラが左傾化したのは、米国の植民地主義への反発の結果や。バティスタを倒したのはカストロで、バティスタは米国の代理人やった。砂糖を作り、フロリダでは許されなかったギャンブルと売春をフロリダの目と鼻の先でやらせるキューバを作るための。ベネズエラもチャベスが権力を握るまで百年にわたる搾取的な体制があった。そういう国々で起きた革命、キューバではカストロを、ベネズエラではチャベスを生んだその革命が代表してきたものは、それ以来ずっと強くなり続けとる。

あいつらを永遠に戦い続けるつもりか?次の革命を引き起こすことを考えへんのか?二つの戦争も治められへんくせに、三つ目も四つ目も始めたいか?あなたの庭先だと言うかもしれへんが、世界はかつてのように切り離されとらへん。中国はラテンアメリカ全域で活動しとる、すべての主要港で、すべての主要国で。

中国は十年以上にわたってブラジル経済の重要なプレイヤーになっとる、ブラジルを研究すれば誰でも知っとることや。今や彼らはラテンアメリカ太平洋岸最大の港を運営しとる。それが現実の基盤やで、経済学者のマイケルとわしがずっと直面してきた現実。中国の経済的重要性は過去35年間毎年、今年も例外なく、米国よりも大きく速く成長し続けとる。年々米国に対して相対的に強くなっとるが、米国はそれが何を意味するかについて、常にそうであったのと同様に盲目や。今もなお「中国ピボット(中国への軸足の移動)が必要や」と言うとる。

違う。5年前、10年前、15年前、20年前、25年前、30年前に中国が何を成し遂げとるかを理解して、それが何を意味するかを自問すべきやったんや。そうすれば、何かを解決するための手を打てたかもしれへん。代わりに、ただ中国を妨害しようとして「気をつけろ」と教えようとしとる。なんで中国の国内戦略石油備蓄がわしらより大幅に多いと思う?なんでそうなったか分かるか?ちなみに今、それが高い原油価格から中国を守っとる。ホルムズ海峡の閉鎖からも守っとる。中国はすべての準備を整えてきた、イランが今やってることに備えて。これは米国の「失敗」やない。終わりゆく帝国の現実を直視することへの意図的な拒絶や。

マイケル・ハドソン: リチャードが「ここからどこへ?代替の未来にどうやって辿り着くか」という問いを立ててくれた。以前にも言うたが、このイランをめぐる戦争はある意味で第三次世界大戦に似とる。すべての国が軍事的に戦うという意味やない、その結果においてという意味や。第一次世界大戦の結果は政治秩序全体の変容やった。皇帝を追い払うた――ツァーリからカイザーまで、欧州の王たちは追い落とされ、残った王は純粋に儀礼的な存在に格下げされた。貴族も縮小した。政治的変容も起きた、経済的変容も。

今日、わしが思うに、この闘い――世界の石油貿易の性格はどうなるか、米国の手で他国に対してカオスを生み出す兵器として使われ続けるか、それともイランが他国と取引でき、ロシアが石油を輸出でき、ベネズエラが解放されてマイアミやトランプではなくカラカスに石油輸出の収益が入るような、本当の意味でのオープンな貿易が実現するか――この闘いの結果は、本当に新たな国際経済秩序を必要とする。

その言葉は1970年代に使われとった。みんなが「新国際経済秩序」を語っとった。でも離陸できへんかった。米国が依然として経済を絞め上げとって、加盟条件として拒否権を持っとったすべての国際機関でそれを維持しとったからや。

今、初めて各国が言いつつある:「米国の拒否権がある国連を維持しても、何の執行力も生まれへん。ネオリベラルな米国支配と事実上の帝国主義を運営方針とするIMFと世界銀行を維持しても、わしらには新しいIMFと世界銀行が必要や。新しい通貨制度が必要や」と。それが第一次大戦と第二次大戦の結果やった。ドルと債権者中心のルールを世界経済に定着させた。

今日の新国際経済秩序とは、グローバルサウスの国々の債務の重荷を軽減せなあかんということや。もし石油と肥料の価格が高騰する中で外国債務も払い続けなあかんとしたら、彼らはどうするんか。これはすべて国際的な経済秩序の全面的な再構築を必要とする。それがわしらの試みてきたことやし、あなたのサイトはそれを議論してきた数少ない場所のひとつや、今後数年の展開を。

ニマ: リチャード、締めに何か付け加えることありますか?

リチャード・ウルフ: いや、言いたいことは言えたと思う。ケーガンのあの映像は興味深かった。確かではないけど、彼の妻はヴィクトリア・ヌーランドやったと思う。ウクライナの惨事を引き起こす大きな一歩を踏み出したことで有名な人物で、今は他の連中と一緒にロシアを責める先頭に立っとる。自分たちのやってきたことはすべて美しく正しかったのに悪の他者に壊されたと思いたいためにな。その考え方、その死にゆく帝国の子供っぽくて小意地悪な根性は、見抜かれ、理解されなあかん。

マイケル・ハドソン: オバマ政権下でのことで、これはトランプや共和党だけの話やない。オバマも、ヒラリーも、民主党も含めての話や。党派を超えた問題やということを見逃してほしくない。

リチャード・ウルフ: まったくその通りや。強調しとこう。つい最近の大統領選挙を思い出してみい、二年も経ってへんやろ。三人の候補者、トランプ、バイデン、そしてカマラ・ハリス、誰ひとりとして、いかなる瞬間にも、衰退する帝国について、あるいはそれに対して何をすべきかについて、何か言うたか。ない。代わりに、問題に向き合うことの代わりに、同じ情けない勝ちどきを上げとる。「われわれは世界最高の国や」と。クリントンが「アメリカを再び偉大に」というトランプのスローガンの意味が分からへんかったの覚えとるか?「どういうこと?わしらはすでに偉大やで」と言うとった。そこに全てが詰まっとる。「かつてほど偉大やない」というテーマに少なくとも触れた右翼。「そうや、わしらは偉大や」と返してきた民主党。これはアホの極みやで。「戦争は失敗やった」と同じくらいのアホさ。そう、そうやな。何も説明でけへんとき、何でも「失敗やった」で片付けられる。

マイケル・ハドソン: 社会病理は自己治癒せえへん。エコパソロジーも地政病理もそうや。隔離せなあかん。

ニマ: ありがとう、ほんまにありがとうございます、リチャードとマイケル、今日も来てくれて。また来週に。さよなら。

リチャード・ウルフ: さよなら。

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