2026年7月8日水曜日

マイケル・ハドソン:アメリカが認められへん、負けた戦争

https://michael-hudson.com/2026/06/the-war-america-cannot-admit-it-lost/

イラン、ホルムズ海峡、脱ドル化、そして世界経済危機について

日付:2026年6月24日(水)

南南対話・持続可能性フォーラム

司会:ラウ・キンチー教授(嶺南大学、香港グローバル大学、中国)

ゲスト:マイケル・ハドソン

冒頭とテーマ設定

ラウ・キンチー:アメリカもイランも「自分らが戦争に勝った」言うてますけど、この二つの宣言についてどない思わはります?結局どっちが勝ったと思われます?

1. 誰が戦争に勝ったんか

マイケル・ハドソン:そもそも二つの違う戦争があるんやで。ドナルド・トランプが戦っとる戦争て何やと思う?あいつの戦争は自分の懐を肥やすためのもんやねん。株式市場の値動きを操作して儲けとるんや。朝になったら「和平や、みんな合意した」言うて、そう言うたその周りの連中は前もって株を先物で買うて、コールオプションも仕込んどる。ほんで株価がドーンと跳ね上がる。そこで大儲けして売り抜けるんや。せやのに次の日には「すんません、交渉決裂しました。イラン爆撃します」て言い出す。でもそう言う前に、もう空売りしとるんやで。つまり株価が下がる方に賭けとるわけや。それでまた大儲けするっちゅう寸法やねん。

株式市場のトラッカーたちが突き止めたんやけど、トランプが発言する15分とか30分前に、株価が上がるか下がるかの賭けがどわーっと急増するんやて。トランプとその家族、周りの取り巻き連中、みんな株で儲けとるんや。で、あんたの言うてる「アメリカがイランを征服するんか、それともイランが主権を守り抜くんか」っちゅう戦争の話やけど、そらもうイランが望んどったこと全部達成しとるがな。軍事的に言うたら、アメリカは何一つ達成できてへん。世界中がもう見抜いとるんや、アメリカ軍は毛沢東の言葉借りたら「張り子の虎」やて。ミサイル防衛は機能せぇへん。爆弾はイランの防衛網をすり抜けて命中しとる。

飛行機はイラン領空を飛んだら撃墜されてまうんや。つい昨夜も、数時間前の話やけど、アメリカの偵察機が「様子見に行くで」言うて飛んだんや。ほんならパイロットが「うわ、なんやこれ!クラゲみたいな編隊組んだドローンの群れがこっちに突っ込んでくる、もう脱出せなあかん、撃たれとる!」言うて機体から脱出したんやて。せやからアメリカの兵器は使い物にならへんのや。それに二つ目やけど、アメリカがペルシャ湾、西アジア、そして世界中でやっとる軍事基地展開の建前は「共産主義から守ったる」やった。

言い換えたら「あんたの国が自国の利益で自主性を主張するんは、うちの国家安全保障への脅威やから、その脅威はあんたらを不安定にすることでしか解決できへん」っちゅうことやねん。まぁ、とにかく「イランのテロ、ロシアのテロ、中国のテロからあんたの政府を守ったる」て言うわけや。アメリカの外交方針に従わへんもんは全部「テロ」呼ばわりや。イスラエルの場合は、うちらは爆撃してジェノサイドやってもええけど、パレスチナ人が反撃したらそれは「テロ」やねん。ヒズボラが反撃しても、イランが支援するどのアラブ・イスラム勢力が反撃しても「イランはテロ組織や、うちらのはちゃう」て言うんや。うちらはいつも「防衛」してるだけやと。

ほんでヨーロッパがロシアとウクライナを攻撃して、サンクトペテルブルクとモスクワをミサイルで爆撃しようとして、ドネツクとルガンスクの民間人を攻撃し始めて、それでロシアが2022年2月に住民保護のために特別軍事作戦を始めたら、それが「ヨーロッパへの攻撃」て呼ばれるんやで。実際はヨーロッパがロシアを攻撃して負かそう、第二次世界大戦をもう一回やり直そうとしてることへの反撃やのにな。せやから、パレスチナの人らが自分らを爆撃・射殺しようとしてるイスラエル軍に反撃したら、その反撃が「テロ」て呼ばれるんや。こういうのが全部繰り広げられとる中で、アメリカは軍事的に負けただけやなくて、戦争に負けたらどないなるかっちゅう脅威にも直面しとるんや。ふつう戦争に負けたら賠償金払わなあかんやろ。

せやからアメリカとイスラエル、そして今度はアラブ首長国連邦まで、国連やら裁判所がイランとパレスチナに賠償金支払いを命じるんを先手打って阻止しようとしとるんや。昨日もエミレーツが「うちの領土からアメリカ機が離陸した結果、イランに空港爆撃されたんやから賠償金要求するで」て言い出したんや。トランプは二日前も昨日も「イランを征服したら、イランの歳入と石油輸出収入の半分を全部うちに払わせて、征服にかかった費用の弁済に充てる」て言うとる。

残りの半分は、イランに攻撃された「同盟国」にも払わせるらしいわ。まぁ、その主な同盟国はもちろんイスラエルやな。せやから、イランには石油輸出収入は一銭も入らへんっちゅうわけや。要するにトランプが言うとる「勝利のプラン」はこういうことなんや。うちの考えでは、アメリカはもう負けとる、勝てる見込みなんぞあらへんけど、トランプの言い分では「うちらがイランを征服して、その石油収入を全部支配下に置く」ちゅう話やねん。というのも、その収入は全部イラクやベネズエラの時と同じで、米ドル口座に振り込まれることになるんや。ほんでその口座からイランの名目で賠償金を支払わされる、アメリカを負かすためにかかった費用の弁済としてな。

イランは自衛したことでアメリカにこの費用を負担させた、それがイランを「テロリスト」たらしめとるっちゅうわけや。自衛することがアメリカの語彙では「テロリスト」を意味するんやで。ほんでもう半分の石油収入は忠実な同盟国イスラエルに渡る、あんたを爆撃しようとしてきたイスラエルの飛行機や爆弾に対して自衛したことで、あんたが攻撃したことになっとるイスラエルにな。せやから、トランプが定義した戦争の結果でいうたら、アメリカは完全に負けとるんや。ほんでイランだけやなくて、世界中でな。あの750から800ほどある軍事基地、あれは他の国を守るためのはずやったのに、アメリカは他の国にこの基地の駐留費まで払わせとるんや。まぁ建前は、この基地が革命やらアメリカの気に入らんもの、特に自国のリーダーから、その国の政府を守るためやった。

例えば、1953年のモハンマド・モサッデクみたいなんが選ばれたら、それに対して守ったるでっちゅう話やった。せやけど、これで他の国は考え始めたんや。「この基地から得られるもんは何もない、脅威だけや」と。それどころか、アメリカの航空機や軍隊がこの基地から飛び立って他国を攻撃しとるから、今度は他の国がこの基地を攻撃し返してきて、うちらまで攻撃されとるやないか、と。せやからアメリカが「軍事的安全保障を提供したる」て言うてたもんが、逆に不安定要素になってもうたんや。それが原因でエミレーツも爆撃された、エミレーツとサウジアラビアにも米軍基地があったからやな。これはロシアがラトビアとエストニアで直面しとる問題と同じやで。

ミサイルがラトビア上空を飛んで、ロシアはどうしたもんか決めなあかん状況になっとる。まぁ国際法では、ある国の領空を通過して自国を攻撃するミサイルがあったら、その国は攻撃したことになって、攻撃された国は反撃する権利があるんや。せやけどアメリカはまた話をこんがらがらせて、反撃をまるで「戦争の発端」みたいに描くんや。それがアメリカが法廷でやろうとしとる建前やねん。まぁ、実際に誰が誰を攻撃したか、誰が誰に賠償するべきかを決めるってなったら、アメリカやヨーロッパの同盟国、日本なんかは何年も何年も話をこじらせるつもりやで。

これは「ローファー(法廷戦術)」ってアメリカで呼ばれとる戦術や。遅らせて遅らせて遅らせる。チャールズ・ディケンズが書いた小説にもあったやろ、何年も何年も続く裁判で、みんな弁護士費用払うて破産してまう話が。まぁイランはそれを分かっとって「なるほど、アメリカの法廷戦術は分かった。せやから裁判で賠償金取るんはやめて、ホルムズ海峡を通る船に通行料を課すことで取り返したる」って言うとるんや。要するにイランが言うてるんは「アメリカから賠償金を取ることは、まぁ無理やろな、ベトナム爆撃の賠償金も払うてへんし」ってことや。

アフガニスタンにもリビアにも、破壊しといて賠償金なんぞ払うてへん。イラクにも払うてへん、その石油は今もアメリカがドル建てで支配して売っとるくせにな。一銭も払うてへんのや。アメリカは第二次世界大戦以降、一度も戦争に勝ったことあらへん。ベトナム、イラク、アフガニスタン、リビア、シリア、どれも勝ってへん。ただ立ち去っただけや。「負けました」て言わんと、無政府状態と荒廃した政府だけ残してとっとと去ってったんや、その国を戦場にしてもうた挙句にな。アメリカが今も軍事力でしか維持でけへん世界支配、それは戦後1945年に享受してた経済的・金融的支配がもう無理やから、軍事力だけが頼りっちゅうわけやねん。

まぁ結果として、どう見てもアメリカは勝ってへん。せやけどアメリカは「負けました」て絶対言わへんから、膠着状態みたいに見えるんや。せやからイランが言うとるんは「アメリカ、イスラエル、エミレーツから賠償金は取れへん、国連が投票して『イランが被害者や、アメリカに勝った』て決めても関係ない、どうせ取れへんことは分かっとる。せやから全世界の石油輸入国に払うてもらうで」ってことや。何でそれが公正なんかっちゅうと、あんたらは「無関係な傍観者」やからやて。まぁ、そこまで無関係でもないけどな。「うちらが払わへん代わりにあんたらに請求するんは、あんたらがアメリカとイスラエルの攻撃を止められへんかったからやで」ってことや。

ほんで、ホルムズ海峡やペルシャ湾を通る石油輸出の収入を、アメリカ、イスラエル、エミレーツからの攻撃で受けた被害の復興に全部充てるつもりやと。世界のみんな、その攻撃を止めようとせえへんかったやんか、と。アメリカとイスラエル、エミレーツに制裁を課したんか?アゼルバイジャン産の石油をトルコがイスラエルに売っとったんを止めさせたんか?イスラエルとの経済取引や投資を止めたんか?

せやから、あんたらがこの攻撃側の貿易・経済連合の一員である限り、石油代金は高うつくで、というわけや。この状況作ったんはあんたらやからな、国連みたいな軍事的強制力のある世界秩序を作らへんかったからやで。攻撃されとる国を守る仕組みが世界にないんやったら、攻撃者、アメリカが「アフガニスタンやイラクでやったんと同じように、イランでもやったる」って、去ってしまって傷跡だけ残す、みたいなことが繰り返されるんや。

まぁこれは世界秩序のルール違反やろ。世界のみんなが、何かしらの国際法を強制する仕組みを作らなあかんのに、ただ「あぁ、アメリカとイスラエルがやったんは気に食わんな、ジェノサイドはあかん、民間人殺すのはあかん、学校爆撃して子供撃つのは特にあかん」て言うだけで、じゃあ実際に何をするんや?っちゅう話になるんや。まぁ、それを考えるんは世界の他の国の仕事やな。アメリカとNATO、その属国の拒否権に縛られへん新しい国連を作る必要があるかもしれへん。この新しい国連は1945年の国連憲章と同じ原則を持ちつつ、独自の軍事力と、国際法違反した国に制裁を課す経済力を持つべきやと。

ほんでこの場合、世界の多数派、グローバル・マジョリティが、アメリカ、エミレーツ、西ヨーロッパに貿易・金融制裁を課せるようにする必要があるっちゅうことや、ロシアとかその他世界平和を乱す国への攻撃に対してな。これで答えになっとる?

アシュリー・デイマン:はい。

マイケル・ハドソン:質問を広げて言うけどな、うちらが話してる「戦争」ちゅうのは世界戦争なんや。アメリカ対世界全体、っちゅう構図で「うちらがあんたらを支配したる」って話や。アメリカが世界を支配できるんか?戦争はまだ続いとるんやで。せやから、誰が戦争に勝ったかなんて言い切れへんのや。バトルはイランが勝った。せやけど戦争そのものは続いとるんや。

2. ホルムズ海峡と世界経済への衝撃

アシュリー・デイマン:ほな、戦争の一環としてホルムズ海峡が長期間封鎖されたわけですけど、これの世界的な経済影響はどないなると思わはります?アメリカ、西側諸国、グローバル・サウス、グローバル・マジョリティの国々それぞれについて。

マイケル・ハドソン:うちがニーマの「ダイアログ・ワークス」番組やらうちのサイトmichael-hudson.comに転載されてる他のインタビューで言うてることやけど、この戦争の影響で今年もう不況が起こっとるんや。せやけどこの不況は1930年代以来最も深刻な世界不況になるやろな。1930年代は金融的要因、ドイツの対連合国賠償債務や、その債務がまたアメリカへの連合国間債務の元になっとったっちゅう国際債務問題が原因やった。それに対して今回は、単なる金融的不況やのうて、技術的・実物生産的な要因が原因なんや。石油は少なくとも今年いっぱい、まともな量が復旧でけへんやろな。

これがどういう意味かっちゅうと、世界中の石油価格がめちゃくちゃ高騰して、あちこちの産業が採算合わへんようになるっちゅうことや。プラスチック会社、化学会社はナフサ(石油由来のプラスチック原料)を確保でけへんくなる。農業は液化天然ガスやガス輸出から作られる肥料や尿素を確保でけへんくなる。アメリカではもう作付け時期終わっとるのに、肥料が手に入らへん。特に深刻な不足のひとつが、ディーゼル燃料と航空燃料の組み合わせや。灯油系の航空燃料が足らへん。旅客機が飛べへん、小都市への支線便で採算取れへんようになって、航空便と航空会社の数がドーンと減っとる、価格もどんどん上がっとるんや。

けど特にヤバいのがディーゼル燃料の問題やな。ディーゼルはトラック輸送とか船舶輸送にほとんど使われとる。石油も同じや、船にも使われるし、輸送にはディーゼルが要る、それが特に品薄なんや。ほんでもっと悪いことに、ディーゼルはIT企業がAIシステム構築のために設置しとるコンピューターチップシステムのバックアップ発電機にも使われとるんや。ほんで彼らが供給会社と結んどる契約は、トラックとか他の燃料使用者より優先されるようになっとるんや。

せやから、ディーゼル燃料、航空燃料、石油、鉱山で使う硫黄(これも石油由来や)の価格が上がるだけやなくて、実際にこれらが手に入らへんくなるっちゅう事態になっとるんや。それって生産チェーンの断絶を意味するんや。生産にいろんな投入物が必要で、そのうちひとつでも欠けたら、生産ライン全体が止まってまうんやで。それがアメリカ経済だけやなく、特にヨーロッパ経済、そしてアジア経済の多くが置かれとる状況なんや。もちろん、一番きついのはグローバル・サウス、アフリカや南米の国々やな。裕福な先進国がディーゼル燃料も航空燃料も化学品も肥料も全部自分らのために買い占めて独占したら、グローバル・サウスの国々に大きなしわ寄せがいくんは想像つくやろ。

そのしわ寄せで工場が大規模に閉鎖されることになるやろな。食料生産も減るやろ。せやったら彼らはどないするんや?世界中で食料価格が上がるやろな、みんな食べなあかんからな。それが一番大事なことや。せやから彼らはどうすんねん、っちゅう話やけど、各国は「外貨準備を何に使うか」決めなあかんようになるんや。IMFの政策指導のせいでずっと財政が締め付けられて、常にアメリカや西ヨーロッパに依存させられてきたから、外貨準備自体もそんなにあらへんのやで。せやから、外貨を石油に使うんか?

工場を動かして生産して、トラックや車をガソリンで走らせるための電気やガスを買うんか?それも外貨を使わなあかんことのひとつやな。せやけど今度は、病気に対応するための食料や医薬品も輸入せなあかん。まぁ、それも緊急やわな。せやのに、今年満期を迎える対外債務の返済っちゅうのはそこまで緊急ちゃうやろ。この債務は全部ドル建てなんや。アメリカがやってるみたいに自国通貨を刷って世界市場にばら撒く、なんてことはでけへん。この債務はうちらの通貨建てちゃうから、うちらの通貨をドルに換えて売らなあかんのや。

そうなったら為替レートが急激に下落するやろな。これはもう東アジアに特に打撃を与えとる。日本、韓国、その他アジアの通貨は軒並みドルに対して下落しとるんや。ほんで石油価格やドル建ての全部の価格が上がっていくと、自国通貨が下落しとるせいで、その価格上昇がさらに増幅されるんや。これはまさに1920年代のドイツと同じ状況やで、あの時ドイツが賠償金を払う唯一の手段は、マルクを刷り続けて外国為替市場に投げ込み続けて、為替レートが破綻してハイパーインフレになるまでそれを続けたっちゅう話や。アジアでは1998年のアジア通貨危機の再来を見ることになるやろな、しかも今回のはあの時の何倍も深刻なやつやで。

アジアはどないしたら、自国通貨の下落から身を守れるんや?下落したら、アメリカやヨーロッパのハゲタカ投資家がやってきて「よっしゃ、約30年前にやったんと同じことをやったるで」て、あんたらの産業、土地、不動産、インフラ、ホテル、欲しい資産を安いドルで買い叩くんや。せやから、あんたら債務国からうちらへの資産移転が起こるんやで、石油や食料を輸入できずに為替レートが下落した国から、な。結局、自国の資産を売って、国家主権まで失うことになるんや。

ほな、アジアの国々はこの状況からどう自分らを守るんや?これが今起こっとるダイナミクスなんや。1920年代を振り返ったら、ある国が他国にどれだけ払えば為替レート下落で経済危機・政治危機・無秩序を招くか、っちゅう議論が山ほどあったんや。それを研究せなあかんっちゅう話やな。残念ながら、この1920年代の金融史は大学で教えられてへんし、特にアジアの国々はアメリカに学生送って経済学を学ばせとるけど、そこの教育にはこの歴史の研究が含まれてへんのや。うちの『Super Imperialism(超帝国主義)』って本と、国際金融理論についての議論の歴史を書いた『Trade, Development, and Foreign Debt』って本、この二冊は両方とも中国語に翻訳されて出版されとって、中国全土の教科書として使われとるんや。

せやから少なくとも中国人はこれを読めるわけや。『Super Imperialism』は昔から日本語にも訳されとるし、他の本も英語で手に入る。せやから、うちが説明しとる視点を理解するんはそんなに難しないんやけど、主流メディアではそれが繰り返されへんのや、そのメディアの多くはアメリカ人や外国投資家に支配されてて、国際問題をあたかも「すぐ元通りになる」みたいに描こうとしとる。元通りになんてなれへんのに。危機の中での「普通」って何やねん。うちらは「普通の危機」に突入しつつあるんや、通常の経済とは違うんや。危機に起こることはすごく明確や、それは崩壊やで。この崩壊の実例はぎょうさんあるんや。

繰り返しになるけど、1920年代がその大きな実例で、それが結局ジョン・メイナード・ケインズとハロルド・ムールトン(アメリカ)の議論、「ドイツは賠償金を払える余裕なんぞない」っちゅう論と、シカゴ学派の理論家みたいなマネタリスト・強硬派の「どんな国でも何でも払える、賃金を十分下げて、通貨供給を十分縮小して、深い不況を起こせばええだけや、不況があれば返済の助けになる」っちゅう論との論争を生んだんや。まぁ、それはただのナンセンスやけど、それが経済学として通用しとるんや。それこそがノーベル賞が与えられてきた対象そのものやで。その見方によれば、金持ちになる方法は労働者を貧困化させて、政府を廃止して、政府インフラを外国人に売り払うことなんや。

それが主流経済学の正体で、それが学問としての経済学をジャンク・サイエンスに変えてもうたんや。

3. 石油価格、通貨下落、そして「正常化」という幻想

ラウ・キンチー:そうですね、マイケル、これは大事なポイントやと思います。表面上は、ブレント原油価格が戦前水準の75ドル前後に戻ってますよね、3月に138ドルまで上がってから。これで「なんか元通りになってきたんちゃう」っちゅう印象を与えてます。せやけど、あんたが説明してくれたように、輸送・供給状況は戦前水準に戻ってへん。それにアジア通貨の下落もある、韓国ウォンは2%以上、日本円もほぼ2%下落してる、一方で中国の為替レートはほぼ安定してます。ドル建ての石油価格が下がってるように見えても、下落してる通貨の国は石油代金をもっと払わなあかんことになる。この為替レート効果に加えて、石油市場に「正常化」の印象を作り出すための操作や画策もあるんでしょうか?

マイケル・ハドソン:うちが話す経済学者はみんな、市場がこんなに盲目なことに驚いとるんや。市場は先を読んどる、っちゅう印象があるやろ。せやけど、先を見れる人なら誰でも分かるはずなんや、3週間から1ヶ月後には、石油からディーゼル、尿素まで、石油由来のもの全部が価格がドーンと上がる、少なくとも倍にはなるやろな。みんな分かっとるんや。問題は「なんでまだ石油価格が上がってへんのか」っちゅうことや。それは商品市場の組織のされ方が超短期的やからやで。明日どうなるか、次の日どうなるか、それしか見てへんのや。せやからトランプとその側近、インサイダー連中がこんなにも市場で儲けられるわけや、次に何をするか分かっとるからな。

トランプが「イラン爆撃するで」て言うたら、市場は下がって石油価格は上がる。「和平やで、元通りになるで」て言うたら、市場は戻って価格が下がる。金融投資家の時間軸って、1日か2日、せいぜい1週間なんや。4週間先なんて見てへん。もし4週間先を見たら、価格が大暴騰するだけやなく、株式市場も大暴落するし、多くの企業がデフォルトして倒産するやろな。石油を採算の合う価格で確保でけへんかったら、生産を止めるしかないからや。アメリカから西ヨーロッパ、アジアの多くの地域まで失業が広がるやろうな。

中国は免疫があるんや、なぜなら中国は長期的視点を取っとるからやで。中国は「うちらはここに投機市場なんぞない、24時間後や来週の値動きに賭けて素早く儲ける経済ちゃう」って言うんや。「うちらは1年後、10年後にどこに向かうかを見とる」と。それで1年後にどこに向かうかは明らかに大惨事なんや。せやから中国は既に大量の石油備蓄を蓄えて自分を守っとって、石油や尿素、その他値上がりして世界的に不足するあらゆる原材料の輸出を止めとる。つまり先を読んどったわけや。せやけど西側諸国にはそういう発想があらへん。

西側は短期思考で生きとる、それが結局彼らを敗者にするんや。せやから経済的な敗者がおって、この前も話しとった戦争、その戦争は軍事の領域だけやなくて、今では経済・金融の領域で戦われとる、それがどの国、どの経済、どの経済システムが勝つかを決めることになるんや。まぁ、どんな経済システムが勝つかはうちには明らかやで。それはアメリカ、ヨーロッパ、新自由主義の西側が持ってる金融システムやのうて、産業社会主義的な立場やな。

政府自身がお金を作って公共事業に融資して、生産性と生活水準を上げる有形投資に融資するための信用と通貨を創出するべきや、っちゅう考え方や。それが中国を西側からこんなにも違うものにしとって、それこそがアメリカが中国を「最大の敵」と見なす理由なんや。単に人種差別的にアメリカ人が中国人を嫌っとるだけちゃう。もちろんそこには人種差別も大いにあるけど、アメリカ人をこんなに反中国的にさせとるんは、中国の経済システムがアメリカの、1980年代にマーガレット・サッチャー、ロナルド・レーガン、新自由主義者連中が導入した新自由主義システムより、はるかに成功しとるから勝ってしまうっちゅうことなんや。

せやから他の国が「うちらの経済も中国と同じ構造にしたい、自国産業と農業を守って、独立した産業自立を補助金つけて、自前の食料供給を怠って輸入危機に陥らんようにしたい、基幹産業を独立させたい、自然独占は公共事業として維持したい」って言い出したら困るわけや。それこそが19世紀にアメリカを豊かにした戦略やし、19世紀のドイツ、18世紀後半から19世紀のイギリスを豊かにした戦略やねん。ヨーロッパの国は全部保護主義で、民間セクターと並んで積極的な政府セクターを持つ混合経済やったんや。

1980年代から西側では政府が解体されてもうた一方で、中国がやっとることは車輪の再発明や。中国が今日従っとる政策は、まさにアメリカが19世紀に取っとった政策、ヨーロッパの工業国が取っとった政策と同じなんや。他の国はまだ1980年代に始まったサッチャー・レーガンの新自由主義戦略に従っとって、結局その経済は全部今日のドイツ経済みたいになってもうたんや。ドイツ経済を見てみいや。それが冷戦の結果、新自由主義の結果や。イギリス経済見てみい。首相ばっかり変えとる。まるで経済を変える代わりに首相を変えたらええみたいにな。経済全体は依然としてすごく新自由主義的で、イギリスは実質的に公的医療、公的住宅、銀行・信用管理して産業を促進し住宅価格を低く保つっちゅう考え全部を解体してもうたんや。

これ全部マーガレット・サッチャーとトニー・ブレアが解体したんや。労働党でさえ、新自由主義を押し進める点で保守党よりさらに右寄りやったんやで。公共交通システムを取り上げて、バス路線や鉄道を民営化した。採算合わへん路線のバスは走らんようになった。医療システムは、彼らが「人が生き続ける価値より費用の方が高い」と判断した医療処置を全部やめてもうた。これ全部、彼らの国にとって大惨事やったんや。

せやのに、代わりの選択肢はなかった、なぜなら新自由主義者は基本的に金融セクターに支えられとって、国の富を支配しとった、そしてどの国でも一番の富裕層が政府を支配する傾向にあるからや。社会主義政府が金融寡頭勢力の発展、政府の切り分け、あらゆるもんの民営化を防がん限りな、鉄道もバス路線も住宅も交通システムも通信システムも、経済全体に奉仕するはずのもんが、ただの独占企業になってもうたんや。

4. 株式市場の暴落は来るんか

ラウ・キンチー:ほな、マイケル、株式市場の暴落は予想されますか?

マイケル・ハドソン:今んとこはもっとゆっくりした暴落になるやろな。株式市場の投資家には、1945年から2025年まで80年間続いた西側経済の成長全体が終わりを迎えとる、っちゅう現実を認めたない気持ちがあるんや。彼らはこの傾向がずっと未来にも続くと思い込んどるんやけど、もう全部終わりなんや。この問題が構造的なもんやって認めるんをためろとる。ほんで多くの株はペンション基金(年金基金)が保有しとる、なぜならアメリカでは年金を公的予算から賦課方式で払う代わりに、多くの年金が積立方式に移行させられたからや。アメリカの労働者は、給与から15%っちゅう重い税を取られて、それを株式市場に投資して自分の社会保障のための積立をさせられとるんや。

これは「ペンションファンド社会主義」とか「ペンションファンド資本主義」って呼ばれるようになったんや、つまり労働者に重税を課して、その金を株式市場に投資させて、株保有者、そしてアメリカの株保有人口の10%が全株式の90%近くを保有しとる、その10%、特に富の大半が集中しとる1%のために株価ブームと資本利得を作り出しとるっちゅうわけや。せやから、年金と年金基金・投資信託との連動全体がこうなっとるんや。家族は「老後のために貯蓄せなあかん、株買え」って言われてきた。

まぁ、こういう家族は今、「株や債券買うべきか?」って悩むことになるやろな。持ち続けるしかない。分かっとるのはインサイダーの連中だけや、彼らは株式・債券市場、そして不動産市場を、自分らのために資本利得・資産価格の上昇、不動産価格の上昇、債券価格の上昇、株価の上昇を作り出す手段として仕組んどったんや、そして彼らはもうゲームオーバーやって分かっとる。せやから彼らは売り抜けるんや。実際、うちが知っとる大口投資家はもう株式市場から手を引いとる。彼らは元本を守るために国債に金を移しとる、もう儲けようとはしてへん。

株式・債券市場でキャピタルゲインを狙うんはもうやめとる。株式市場が下がり続ける中での損失から自分を守ろうとしとるだけや、そしてある時点で企業が破産・デフォルトし始めて、それが決済の連鎖の断絶を引き起こして、突然の暴落につながるんや。まぁ、それが暴落の仕組みなんや。決済の連鎖の断絶がいつ起こるかは絶対分からへん。運輸会社かもしれん、航空会社かもしれん、実際もうここ数ヶ月で航空会社が破綻しとるやろ。都市もまた財政破綻するかもしれへん、不動産会社、そして特に他の企業から金の90%くらい借りとるプライベート・エクイティ企業もな。

プライベート・エクイティ企業が優良企業を買収して、「どうやってこれで儲けよか」って考える。まず労働者をレイオフし始める。資産を売り払って自分らに配当する。経済を「クラピファイ(腐らせる)」するんや。これはアメリカの語彙で最近生まれた新しい言葉やで、「腐敗化」と「糞化」ってな、「武器化」と並んでな。貿易を武器化する、っちゅうんが去年のアメリカ外交政策の「今年の言葉」やった。せやから、こういう新語が英語に導入されるんや。せやから、総じてどえらい締め付けが起こっとって、決済連鎖の断絶と破産は、自国通貨を刷って対外債務を払えへん国、つまりアメリカと違う国で一番深刻になるやろな。

グローバル・サウス、ヨーロッパ、アジアの国々で一番深刻になるはずや。

5. ドル覇権と脱ドル化

アシュリー・デイマン:ペルシャ湾で起こったことが、ドル本位制、ドル覇権、脱ドル化にとってどういう意味を持つんでしょう?

マイケル・ハドソン:まぁ、アメリカが他国の通貨を没収し続けてきたからな。イランの貯蓄も、それにアメリカのヨーロッパ同盟国、ユーロクリア銀行はロシアの貯蓄3000億ドルを没収したんや。トランプ自身が1週間前に「イランが返せ言うとる金は、アメリカの金ちゃう、あいつら自身の金や、その口座を凍結しとるだけや」って言うたんや。「もし返さへんかったら、他の国は米ドルで貯蓄するのが怖くなるやろ」ってな。まぁ、彼は脱ドル化を理解しとるわけや、それがまさに起こる影響やねん。他の国は「アメリカが『中国との戦争に備えとる、中国との関係を断って輸入をやめてうちから買え、せやなかったら金と外貨準備を全部没収するで、イギリス銀行にベネズエラの金を没収させたみたいに、イラクの外貨準備を没収したみたいに、リビアの外貨準備と金を全部没収したみたいにな』って言うんやったら」って気づき始めとるんや。リビアの金はどこ行ったんや?誰も知らへん。イラクの金は?誰も知らへん。せやから各国は今、金を返してくれって要求しとるんや。多くの国はロンドンかニューヨーク連邦準備銀行の地下に金を預けとった、借り入れの担保として使うためとか、ロンドン金市場、世界の主要な金市場やからそこで売買せなあかんかもしれへんからな。

せやけど、みんな急に「この金は自国に置いといたほうがええな」って気づいたんや。特にヨーロッパ諸国は自分らの金を全部返してくれって要求しとる、そして各国が自分らの金を要求すると同時に米ドルからも離れていっとるんや。「自分らの利益のために行動して、誰と貿易するか自分らで決める」ってな。「中国から買うかアメリカから買うか自分らで決める、どの国と良好な貿易・関係を持つか自分らで決める」って言うと、アメリカは「あかん、あんたらに決めさせへん、うちらの言う通りせな石油やガス買われへんように制裁するで、たとえばロシアから買うのを止めさせる、イランやロシア、キューバや、まぁ過去のベネズエラでもええけど、うちが気に食わん国全部、あんたらにも制裁させるで、うちがその国を支配するためにな」って言うんや。

「ロシア、中国、イランを支配するために、あんたらを支配せなあかんのや。せやからうちらに支配させろ、誰と貿易するか、どの通貨で貿易するか、外貨準備をどこに保管するか、うちらに決めさせろ」ってわけや。「米国債やアメリカ株・債券を買って貯蓄するんか、金を買って貯蓄するんか、それとも互いの通貨、あるいは中国の通貨を買って貯蓄するんか」ってな。脱ドル化っちゅうのは、他の国が自分らの主権を主張して、誰と貿易するか、どの通貨で貿易するか、自分らで決めることを意味するんや。イランの条件の一つは、ホルムズ海峡通行の料金と通行税をドル以外の通貨で建てることなんや。

詳細は日々決まっていっとるとこや。トランプは「自由貿易になるで」って言い続けとるけど、イランは壁に書かれた文字が読めとるんや。うちが言うたように、イランの立場は「これからずっと、16世紀にイギリスに征服されてホルムズ海峡での過剰な料金・通行税徴収を阻まれる前の状況に戻すで」ってことや。「これからうちらは、海峡の向こう側のオマーンと一緒にホルムズ海峡を支配して、通過する石油全部に通行税を課して、アメリカ、イスラエル、エミレーツがうちの経済に与えた損害の弁済に充てるで」ってな。トランプはイランが公式に通行税を取り始める前に60日間の猶予を求めるプレッシャーをかけとる。

せやからイランは「よっしゃ、通行税は取らへん、けどサービス料は取るで」って言うとる。「タンカーや船をどこに操縦したらうちらが仕掛けたかもしれへん機雷を避けられるか、うちらの保証が要るやろ?船を爆破させたないなら、案内してもらうために手数料払え」ってな。せやから彼らは違う語彙を使うて、実際どんな種類の通行税を取っとるんかを説明しとるんや。これは今も展開中の話やな。アメリカは「よっしゃ、60日間はイランがドルで金を受け取ることを認める、60日間は金を没収せえへん」って言うとる。

まぁ、イランは絶対「はっ、あいつらは何度も約束破ってきたやん」って思うとるはずやで。せやから、彼らはドルの使用について非常に慎重になるはずや、トランプはいつでも気が変わりうるからな。トランプの財産は「約束を破る芸術」で築かれたんやで。それがアメリカの不動産市場で彼が人を騙して財を成したやり方なんや。せやから、イランはめっちゃ慎重になっとる。石油の輸出はほとんど中国に送られとる、なぜならイランは分かっとるからや、アメリカが「イランのタンカーを爆撃せえへん、石油を没収して海賊行為せえへん」って約束したことをな。ほんでトランプ自身が「うちらは今や海賊や、イランの石油を没収できる」って言うたんやで。

せやけどイランは政治的に理解しとる、もしこの石油を中国に売ったら、それが中国にこのタンカーを守る利害関係を生むってな。「もしアメリカがタンカーに乗り込んで、中国が注文して代金払うたイランの石油を盗もうとしたら、うちらは報復するで」って中国が言うわけや、まぁ具体的に何をするかは言うてへんけどな。でもうちの見立てでは、アメリカは中国とこの石油を巡って軍事的対立をする準備なんぞしてへんはずや。せやから、イランは当然、その代金を中国通貨で受け取るようにしとる、他の多くの国と同じようにな。脱ドル化っちゅうのは、アメリカに右も左も金を没収されるような状況を避けようとすることを意味するんや、イラン、ベネズエラ、ロシア、その他リビア、イラク、アメリカが金をひっつかめる相手全部な。アメリカは海賊国家になり果てたんや。

6. グローバル・サウスにおける債務モラトリアムと債務帳消し

シット・ツイ・ジェイド・マーガレット:脱ドル化に加えて、あんたは債務帳消しも推進してますよね。ほな、今のこの状況で、グローバル・サウスはどないな形で債務帳消しを採用できるんでしょうか?

マイケル・ハドソン:まぁ、彼らはそれを一緒にやるんが一番強い立場にあるんやで。彼らは「アメリカが世界の石油・食料価格に危機を作り出して、その危機がうちらのドル建て対外債務の返済を不可能にした。せやから、この危機が続く限り、あるいはドル建て債務を返済でけへん状況が続く限り、債務返済のモラトリアムを宣言する。うちらは自国の国益を最優先せなあかん、乏しい外貨準備を使うて経済崩壊を防ぐ、家を暖め、車やトラックを走らせ、企業が工場や機械を動かして、大量失業を招く閉鎖を避けさせなあかんからな」って言えるんや。

せやから、彼らは一致団結して「アメリカが引き起こした金融危機がある」って言わなあかんのや。これはまさに1982年に始まって1980年代を通じて続いたラテンアメリカ債務爆弾と同じで、最終的にブレイディ・ボンドで債務減免になったやつと同じや。実際のところ、グローバル・サウスの国々が「モラトリアムやで」って言うとる間に、彼らはこの債務が「不当債務」やっていう論理を準備しとるんや。このサイトで、エリック・トゥーサンとうちが数年前に不当債務の概念について話したことがあったんや。エリックが今まさにその時のインタビューを編集しとって、うちがそれをラウ・キンチーに送って、近々公開してもらう予定なんや、この債務がなんで不良債権なんかっちゅう論理の全体像をまとめるためにな。

みんなこれを「不良債権」って呼んどるけど、まるで返済でけへんのは債務者側の問題みたいに扱っとるんや。せやけど今回の場合、これは不良な貸付やったんや。この融資はIMFが、他の国がどうやってこの債務を返済できるかまるで計算せんと行われたもんやねん。「あぁ、返済でけへんのやったら、インフラ、鉄道、水道システム、土地をアメリカの投資家に売り払わなあかんな」って言うわけや。うちの見立てでは、他の国は「あの世界はもう終わった」って言うようになるはずや。新しい国際経済秩序ができつつあって、IMFと世界銀行、アメリカ外交政策を導いてきた新自由主義の原則全体が終焉を迎えとる。あの世界はもう終わって、うちらは今、初めて自国の経済発展を目指しとるんや。

7. BRICSと新たな金融秩序の模索

シット・ツイ・ジェイド・マーガレット:多くの左派知識人が、BRICSがまだ新しい世界的金融の枠組みを構築できてへんことを批判してます。あんたのお考えは?

マイケル・ハドソン:まぁ、BRICSには実際のところ独自のアイデンティティなんてあらへんのや。軍事独裁政権から進歩的な社会民主主義国家まで、釣鐘型のカーブみたいに幅広い。BRICSには独自通貨があらへん、なぜなら独自通貨を持つにはBRICS政府が要るし、全加盟国が何をするか決めるようなBRICS政府なんてもんはあらへんからや。せやから今出てきとるのは自然発生的な連合なんや。脱ドル化と新自由主義への代替を可能にしとるんは、初めて他の国々が、アメリカ経済にもう依存する必要がないくらいの臨界質量を持つようになったことなんや。一番強力な国はもちろん中国、それに石油輸出国・原材料輸出国・穀物輸出国のロシア、そして今度はイランが加わっとる。せやから、三つの国があるわけや。

中国、ロシア、イランは自分らが従うルールを定めつつある。他の国もこのルールに加われるんや。彼らは正式なBRICS政策としては加わらへん、なぜなら多くのBRICS加盟国はそこに加わらへんからやな。インドは「うちらの忠誠はアメリカとイスラエルにある、加わらへん」って言うやろな。あとラテンアメリカでアメリカの支配下にある国々も、「中国、ロシア、イランに追随するで」って言うたら、政府が攻撃されて指導者が暗殺されるやろな。それがアメリカの政策、レジームチェンジや。指導者を殺せば、その経済は政策を実行する者を失う、っちゅう考えでな。せやから、この自立経済グループに加わる一番強い立場にある国々は、主に近隣のアジア諸国になるはずやな。

そしてそこにアフリカ諸国が加わるかもしれへん。それがアメリカ、イスラエル、フランスがスーダンでアルカイダのテロリストを支援して乗っ取りを図らせとる理由や。エミレーツは特にスーダンでテロリストに資金提供しとる。エミレーツはイスラエル、アメリカに続いて「テロ国家」と呼べる存在になりつつある、正直、うちはエミレーツが数年後まで生き残るとは思ってへんのや。あんな醜悪な外交政策の役割を果たしとったら、イランや他の国がそれを許さんやろうな、特にエミレーツのIT分野へのアメリカの大規模投資がアメリカへの依存を固定化しとるからな。せやから、アフリカでの戦いが続いて、おそらく南米でも、ブラジル中心に、この連合に加わろうとする国が出てくるやろう。せやから、うちらが話しとるのは非公式な連合や。BRICSは忘れてもええ。

各国政府と経済哲学の間には共通政策を持つには格差がありすぎるんや。共通政策になるんは、IMF、世界銀行、そして国連そのものへの代替として、このアジア連合が発展させる制度やろな。他の国はどっちのグループに従うか選べるんや。西側の衰退、アメリカ、西ヨーロッパ、日本、そしてアメリカの属国フィリピン、オーストラリアに従うか、それとも成長しとる世界経済の一部になるか、選べるんやで。それが基本的に起こることや、非公式に始まって、徐々に公式化していくやろな。

8. FRB、金利、そして金融危機

アシュリー・デイマン:マイケル、新しいFRB議長についてどう思われます?それとFRBは今見てはる、あるいは今直面してる経済危機にどう対応すると思われます?新議長についてはどうですか?

マイケル・ハドソン:それは興味深いな。新しいトップのウォーシュは、うちがちょっと専門的すぎて今説明しきれへんかもしれん、非常に専門的な点を指摘したんや。ここ数年、FRBはただ電子マネーを刷って、財政赤字、今や1.5兆ドルの軍事予算とトランプ政権の減税で生じた赤字を賄うために使うとった。まぁ、FRBがやっとることは、電子マネーで銀行システムから国債を買うて、銀行システムに資金を注入することなんや、2009年以降のゼロ金利政策(ZIRP)の時と同じようにな。ウォーシュは前回のインタビューで話したベセント財務長官と同じことを言うとった。

「FRBの国債保有を巻き戻して民間セクターに任せなあかん」ってな。まぁ、これは金利を、ほとんどの家庭が新しい住宅を買うのに手が届かへんようなレベルまで押し上げることになるやろな、住宅ローンの金利がめちゃくちゃ高くなって、アパートを借りる方が実は安上がりになる、あるいは彼らはただ親と一緒に住み続けるしかない。まさに今起こっとることやな。せやから、信用が引き締まって、この信用引き締めがプライベート・エクイティが他の企業を買収するのを妨げることになるやろな。プライベート・エクイティ企業は買収した企業を最後にもう一回搾り取って、破産した抜け殻を残していく、こうしてあんたらは金融化の最終段階、大量倒産、破産、失業を目にすることになるんや。

せやから、基本的にアメリカ経済は閉塞状態になるやろう。それがウォーシュとベセントがコミットしとることなんや。トランプは多分これを理解してへんと思うで、金融政策を理解してへんからな。

9. アメリカ国内政治とイランへの譲歩の可能性

ラウ・キンチー:アメリカが常に約束を反故にすることを考えると、今この覚書についても、トランプはもう自分の言葉を翻して「賠償には一銭も出さへん」とか言うてますよね。今回は、中間選挙が近づいとる中で、国内の圧力、つまり国民や有権者からの圧力が、イランへの本当の譲歩を強いることになると思われますか?

マイケル・ハドソン:いや、有権者が何を望んどるかなんて関係あらへん、彼らの選択肢は全く同じ立場を取る二つの政党の間しかないからや。民主党はトランプよりさらに好戦的やで。民主党はトランプがイランに譲歩しようとしてることを批判しとる。「トランプは何もするべきちゃう」って言うとるんや、「うちらの忠誠はイスラエルにある、うちらの選挙資金はAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)とシオニストから出とる」ってな。「うちらのテレビ広告費を賄う選挙資金は全部シオニストから払われとる、彼らはうちらにイランへの戦争支持とイスラエル支持を求めとる」って。せやから、両者忠誠なんや。ほんで今この二日間で、アメリカでドナルド・トランプが11月に控えとる選挙に向けて、投票できる人を絞る新しい選挙登録法を提案したんや。

移民が投票できんようにしたい、あるいは民主党地区の人々が投票できんようにしたい、まぁいろいろやな。ほんで彼は「戦争非常事態をいつでも宣言できる、投票の前日にでもな」って言うとる。「イラン爆撃を決めて『戦争非常事態や、選挙を延期せなあかん』って言えるんや」ってな。たとえ選挙が行われたとしても、政策には全く違いがあらへん、それどころか、共和党よりも民主党のほうがさらに好戦的な政策なんや。せやから、アメリカの世論や政治プロセスが上院にも下院にも大統領にも閣僚連中にも何の影響を与えることもない、っちゅう希望はあらへんのや。アニタかアリスが何か質問あるか聞いてみよか。

10. 米・イラン覚書とイスラエルの立場

アリス・チャン:この覚書はアメリカとイランの間のもんですよね。イスラエルはこの当事者やあらへん。せやったら、なんでみんなこれが機能すると期待するんでしょう、なんでこれを真剣に受け止めるんでしょう?

マイケル・ハドソン:それを真剣に受け止めるのは、書面上、この覚書に定められた原則がイランが達成したかったこと全部を固定しとるからやで。ほんでこれは実質的に、アメリカが公式に印刷物で「イランは主権を勝ち取った、アメリカはそれを征服できへんかった」って認めることになるし、イランには60日後に過去に課しとった通行税を再設定する権利がある、っちゅうことになるんや。せやから、基本的にこの覚書はこの60日間の猶予期間を設けて、全世界に「約束を守らんかったんはアメリカとイスラエルや」って示すことになるんや。ほんでイスラエルは「うちはどんな合意にもサインせえへん」って言うけど、イスラエルはアメリカの衛星国やろ。イスラエルがイランに落とした爆弾は全部アメリカ製の爆弾やったんや。

イスラエルはアメリカに支えられとる、せやからアメリカはいつでもイスラエルを止められるんや。必要なんはトランプがネタニヤフに電話一本かけて「レバノンでの戦闘やめろ」って言うだけや。せやのに、ネタニヤフは止めへんかったやろ。せやから、イスラエルが署名者でないことは関係ないんや。アフガニスタンも署名者ちゃう、シンガポールも署名者ちゃう。彼らはこの件のプレーヤーちゃうんや。決めとるのはアメリカや。ヨーロッパも署名者ちゃう。アメリカの属国は署名者ちゃう。せやけど、明らかに戦いはアメリカとイランの間のもんや。ほんでも、特に中国・ロシアとの連携の中で、イランは「自分らは侵略者ちゃう」ということを示したいんや。石油貿易を閉鎖して世界不況を悪化させとる破約者は、アメリカとイスラエルの、アメリカの完全な黙認のもとでの違反や、っちゅうことを示したいんやな。

トランプがネタニヤフを批判する時、これは単なる公的なショーやで。彼はアメリカの世論調査を見とるんや。アメリカの世論はイラン戦争に反対に転じてきとる。イスラエルにも反対に転じてきとる。せやから、トランプは「ほら、うちはネタニヤフに攻撃するなって言うたで」って言いたいんやけど、実際には彼の内閣全体がシオニストで、彼自身がシオニストなんや。まるで別の電話で「ビビ(ネタニヤフ)、うちが言うとることは無視してええで、あれは公的なアピールのためだけやから」って言うてるようなもんやで。イスラエル側は多分「あぁ、あれはアメリカ国民に不人気にならんためやろな、けど実際にはレバノンでイスラエルがやっとること全部を彼が容認しとることを知っとる」って見とるはずや。せやから、これ全部演劇や、全部見せかけや。ほんでイランは、この覚書によって「誰が法を守る側で、誰が法を破る側なんか」を明確にしたいんやろな。

そして、それはイランに60日間、石油を提供して自国の外貨準備を再建する時間、経済を再建し始める時間、そしてもっとミサイルを作る時間を与えることになる、そうして最終的にイランとイスラエルの戦いが起こった時に「ドカーン!」っちゅうことになるんや。

11. キューバ:市場開放とアメリカ攻撃のリスク

アシュリー・デイマン:アメリカがキューバに軍事攻撃を仕掛けたり、政権転覆を試みたりするリスクは高まってるんでしょうか?キューバが最近やってる政策変更、市場開放をさらに進めてアメリカの攻撃を避けようとする動きについてどう思われます?

マイケル・ハドソン:まぁ、キューバは自分らの指導者が生き残るために必要やと思っとることをやっとるんやろな。アメリカが軍事的にキューバを傷つける能力を持っとって、制裁でその経済を破壊できることも分かっとる。アメリカは「優しさでキューバを殺す」こともできるんやで。キューバに十分な支援と貿易と投資を与えて、キューバがアメリカとの同盟を喜ぶような状況を作ることもできたはずなんや。せやけど、それはアメリカの考え方ちゃう、なぜなら現政権を憎んどる古いバティスタ派のファシスト、ルビオとその一族みたいなんがようけアメリカに来とるから、キューバとの互恵協定を結ぼうなんて試みは絶対起こらへんのや。キューバとしては、「うちらが勝ってあんたらが負ける」しかありえへん、キューバはただ生き残るためにできることをやろうとしとるだけやな。

せやから、彼らが何をやろうと、これ以上の代替案があるとは思ってへんのやろな。うちは近年キューバに行ってへんから、彼らと直接話してへんのやけどな。

ラウ・キンチー:せやけど、アメリカがキューバを攻撃するっちゅう脅威は結構リアルなもんやと思われますか?

マイケル・ハドソン:ああ、確実にそうやな。それはイランで起こっとることから注意を逸らすことになるやろ。ある段階では、偽旗作戦みたいなもんがあるかもしれへん、キューバがアメリカを攻撃しとる、みたいな見せかけをな。それでアメリカは「報復しとるだけや」って言うんやろ。アメリカは侵略者として、常に「攻撃を受けて反撃してるだけの被害者」を装うんや。せやから、まぁもちろん、リアルな脅威やで。それが理由で、キューバは今すごく心配しとって、この攻撃を遅らせるために何らかの譲歩をせなあかんと感じとるんや。

12. ガザ、ヨルダン川西岸、そして集団処罰の論理

ラウ・キンチー:同時に、ガザでのジェノサイドは続いてます。

マイケル・ハドソン:そうやな。イスラエルの主要な政治家が言うたように、「パレスチナ人がおらんくなるまで」続くやろな。彼らは聖書に登場するアマレクの概念を持ち出して、「主がアマレクを皆殺しにせよと命じた」って言うとる。トランプとクシュナーはまだガザを観光地に変えたいと思っとる。イスラエルはヨルダン川西岸と南レバノンでのキャンペーンも加速させとる。これは階級戦争であり、人種差別戦争であり、宗教戦争でもあって、千年王国的な福音主義的世界観に結びついとるんや。

アシュリー・デイマン:イスラエルが次世代の出現を防ぐために意図的に子供を殺しとる、っちゅう話を聞いたことがあります。

マイケル・ハドソン:それは指導者自身から聞いた話やろな。彼らは事実上、こう言うとる。「うちらが子供を殺すのは、彼らが大きくなったら、うちらがやったことにめちゃくちゃ怒って、うちらを殺したいと思うようになるからや、それが彼らをテロリストにする」ってな。「うちらは彼らの親を殺した、彼らが知っとる人を殺した、彼らの家を破壊した、せやから彼らはうちらに怒るやろう。もし彼らが自分らを守ろうとしたら、その自衛はうちらへの攻撃と定義される、せやから彼らを殺すことがうちらの自衛として提示されるんや」ってな。それは住民の士気をくじく意図もあるんや。アメリカがこのアプローチを先駆けたんやで。アメリカは、ウクライナと同様に、学校や病院を爆撃して、医師・記者、特に子供を殺すことに焦点を当ててきた、これで住民がめちゃくちゃ不幸になって降伏し、レジームチェンジを要求するようになる、っちゅう理論やな。

期待されとるのは、人々が今のリーダーを排除して、アメリカ寄りのリーダーを据えて、それで殺戮が止まることを願う、っちゅうことなんや。せやけど、子供を殺すことは人々にアメリカ寄りのリーダーを求めさせるようにはならへんのや。むしろ彼らはこの紛争を存亡の危機として捉えて、自分らの政府の周りに結束して、経済とペルシャ湾輸出を通じた国際石油貿易を支配しようとする試みに反撃するんや。

締めくくり

ラウ・キンチー:ありがとうございました、マイケル。すごく参考になりました。書き起こしと動画を準備して、2、3週間後にまた連絡して、事態がどう展開したか見てみましょう。どうぞお体大切に。

マイケル・ハドソン:何か起こるやろな、間違いなく。ありがとう。

参加者一同:ありがとうございました。皆さん、さよなら。

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