マイケル・ハドソン:中国の不動産危機 - 誰が損を被るんや?
https://michael-hudson.com/2026/09/chinas-property-crisis-who-takes-the-loss/
投稿者:Michael 2026年9月26日(土)
超帝国主義、ドル体制、金融化、そして中国の経済転換 南南持続可能性対話
司会:Lau Kin Chi教授(香港・嶺南大学、グローバル持続可能性大学)
インタビュー書き起こし
Lau Kin Chi: ほな最初の質問やけど、アメリカの連邦債務は40兆ドルにもなっとるやん。これは新しい形の超帝国主義なんかいな?ほんで、この40兆ドルっちゅうのは、ほんまのところ何を意味しとるんやろか?
Michael Hudson: 米国債のうちの一部は、民間の保有者が持っとるんや。短期債の財務省証券(Treasury bills)とか、2年までの中期債(notes)とか、長期債(bonds)の形でな。その割合がだんだん増えとるんやけど、実は単なる法定通貨の電子マネーで作られた債務なんよ。連邦準備制度(FRB)が政府のためにカネを作って、同じ額の米国債を銀行システムから買い戻すわけや。せやから、アメリカ経済にも貨幣創造にもほとんど影響あらへん。ただの不換紙幣やからな。けどな、1971年にアメリカがドルと金の交換をやめてからは、この債務が、外国政府の貯蓄を国際通貨の形で受けとる主な器になってきたんや。
今はな、他の国々の財務省や中央銀行が、新しい貯蓄でまた金を買いよるねん。ドルを買うのを前より心配しとって、自分らの金準備をアメリカから出して、イギリスや自国に移す国まで出てきとる。ドルが危ななってきただけやのうて、金かて自分の手で持ってへんかったら危ないんや。せやからオランダがこの前、アメリカに預けとった金を返してくれて言うたんや。1930年代から40年代にかけて金がアメリカに流れ込み始めてから、1971年にアメリカが金との交換をやめるまで、何世代もずっと預けとったやつやで。この金は外国の中央銀行がアメリカに置いとったか、イギリスに移しとったんや。ロンドンの金プールは、ナポレオン戦争が終わった1815年にイギリスが金本位制に入ってからの、昔ながらの金市場やったからな。
オランダはな、アメリカが自分らの金を勝手に没収せえへんやろか、て信用できひんって言うたんや。ユーロ圏が2022年にロシアの預金3,000億ドルを没収したみたいにな。この不信感は、アメリカが公的債務をほんまに払うんかどうか、ていう話だけには収まらんと広がっとるんよ。
サウジアラビアやほかのOPEC諸国も心配しとる。アメリカのイラン戦争のせいで赤字が膨らんどるさかい、その穴埋めに米国債を売り始めたらどうなるんや?ベネズエラやロシアにやったみたいに、米国債を凍結されるんちゃうか?て。トランプは「払われへん、そんなんしたらドルが傷つく、それは戦争行為や」て言うかもしれん。1975年にアメリカが、OPEC諸国に石油輸出で稼いだオイルダラーの使い道を指図した時の合意は、そんなもんとちゃうかったはずやのにな。
アメリカは世界に二つの要求を突きつけとって、独自の経済政策を進めようとする国の中央銀行に対して、債務を払う気があるんかどうか怪しなってきとるんや。OPEC諸国には、石油貿易で稼いだ黒字を全部アメリカに送って、こっちに置いとけって求めとる。はっきり言葉にはされへんかったけど、輸出黒字をアメリカにドルで投資するのが当たり前、ていうのが1975年当時の世の中の仕組みやったんや。けど今はもう、そういう世の中とちゃうねん。せやから、ドナルド・トランプが何するか、誰にも分からへん。サウジみたいな国がドルから抜け出すのを怖がっとるんも、2018年からトランプが、西アジアでのアメリカの戦争費用は全部OPECが払え、て言うとるからなんや。10年、20年前にさかのぼる分までやで。
トランプはこう言うとる。イランと戦うんは、あっちが通行料を取ろうとしとるからや、アメリカの違法な戦争への賠償金、もしくは賠償金の前払いとしてな、て。ほんでOPEC全体の石油収入、売上の20%をアメリカに払え、て言うとる。サウジや近東の産油国を、まぁ言うてみたらアメリカ自身から守ってやっとる代金や、ちゅうわけや。要するにこれは用心棒代の強請りやんか。せやから他の国々もビビってしもて、「アメリカが金融システムを武器にしとるんやったら」て言い出すわけや。外国の預金を脅すっちゅうことやで。政府の預金でも、公的な預金でも、民間の預金でも、今は全部リスクにさらされとる。わしらは海賊行為の時代におるんや。
Lau Kin Chi: 二つ目の質問やで。連邦債務がもうめっちゃ高い水準にあるのに、FRBがついこの前みたいに金利を上げたり、インフレ抑えるために高いまま据え置いたりしたら、政府が債務の資金調達コストを抑えなあかん事情とぶつかるんちゃうやろか?
Michael Hudson: 金利が上がれば上がるほど、政府が債券保有者に払わなあかん利子も増える。これを避けるたった一つの方法は、発行された債券をFRBが買い上げて貨幣化することや。わしが聞いたところでは、FRBは長期債を買いよるらしいで。30年債で利回りが5%超えとるやつまでな。FRBがその債券を買うて、そこから利子を受けとったら、その利子を財務省に返すわけや。せやから、民間投資家や外国政府、外国の投資家から長期債への需要が足りひんかったら、全部ぐるぐる回るだけの話になる。
けど問題はここからやで。長期債の金利が上がったら、経済全体の金利が上がるんや。たとえば不動産ローンやけど、今は30年ローンが多くて、金利が7.2%を超えとる。財務省の債券が5.2%やから、新しい買い手が払わなあかん住宅ローン金利が押し上げられとるわけや。30代で結婚して、家族持って、家を買いたい思うたら、ローンの利払いがめっちゃ高うつくんよ。
せやから家が買われへん。住宅販売は落ちとる、買える人がおらんからな。ほんで今の持ち主も売られへん。ローンを完済せなあかんけど、そんな余裕ないんや。昔の低金利のローンを新しい買い手に引き継ぐこともできひん。せやから不動産市場は凍りついとるんや。実際に買われとる不動産は、ほとんどプライベート・キャピタルの会社が買うとる。家賃でえげつない利回りが出せるからな。信用で不動産を買う代わりに、銀行が住宅ローンの金利で稼いどった分を、自分らで全部取れるんよ。ほんでアメリカの人口が賃貸市場に追いやられるにつれて、家賃を吊り上げとる。せやから家賃は、借金して家を買う時の高い金利負担を映して上がっとるんや。
つまりアメリカは、持ち家の国から大家経済に変わりつつあるんや。新しい大家は大方、プライベート・キャピタルの会社、Blackstoneみたいなどでかい会社やな。投資家の多くがこういう会社から資金を引き揚げようとしとって、Blackstoneは、持っとる不動産を売られへんから、引き出しを求める人らに払えへん。実態はポンジ・スキームみたいなもんやで。
こんな高金利のせいで、資本市場が固まってしもとるんや。連邦予算そのものよりずっとそっちが問題やねん。政府が払わなあかん利子は、見た目にはとんでもない額に見えるけどな。問題は民間部門の債務にあるんや。
財務省の利子の多くは、結局FRB経由で自分に払っとるみたいなもんやから、ほんまには払われてへんのよ。せやけど財務省が払う高金利が、経済の他の部分の金利水準を決めてしまう。今はその水準が高いんや。昔は普通やったんやけどな。
長期金利の話をするなら、要は不動産の話なんや。1940年代からアメリカでは、主に30年ローンで不動産が賄われてきた。年配の買い手やったら10年ローンのこともある、65歳とか75歳で退職するやろて見られるからな。銀行業務の80%が不動産ローンや。ほんで、あんたが持ち家の人でも借家の人でも、どっちにしても高い家賃を払わされとるんやで。高うなった住宅ローン金利に絞られとるだけやのうて、車のローンやクレジットカードの借金みたいな、ほかの借金にも絞られとる。電気代もえらい勢いで上がっとるしな。特に人工知能とか、経済全体のコンピューター化で電力需要が跳ね上がったせいや。しかも異常気象で保険料まで上がっとる。
こういうことが重なって、持ち家の人は家を売るのが難しなる。持っとる不動産に釘付けになってしまうんよ。家持ちでおること自体が、ほとんど重荷になってきとる。ほんでその重荷のせいで、若い世代が、親や祖父母がやったようなことをでけへんのや。銀行に行って「これだけ稼いでます、収入の25%を返済に回せます」て言うてな。今の銀行は「それやと元本を返す余裕があんまりありませんな、30年に延ばしましょか、いや元本を減らさへん利払いだけのローンにしましょか」て言うんや。永遠に利子だけ払い続けるわけや。買い手は、自分の不動産に対する借金を減らしていかれへん。これが金利上昇の影響やで。政府自身への影響を超えてな。
Lau Kin Chi: ほなな、『超帝国主義』の中で、もともと先生は、外国の中央銀行がドルの黒字を米国債に還流させて、アメリカが自国の国際収支赤字を賄えるようにしとった、て書いてはったやん。最近になって、この政府間のドル還流が、だんだん外国の民間投資家によるアメリカ株や債券の購入に取って代わられとる、て指摘してはるよね。これは、同じ金融帝国が別の資金源を使うとるだけなんやろか?それとも、システムの性質そのものが根本的に変わったっちゅうことなんやろか?
Michael Hudson: システムは確かに変わりつつあるで。アメリカは、オバマ大統領のゼロ金利政策(ZIRP)で、史上最大の債券市場ラリーと、それに伴う株式市場バブルを作り出したんや。2008年に銀行詐欺とジャンク住宅ローン危機が起きた時の金利から、ほんの何分の一かまで下げたんやで。銀行は不良債権をぎょうさん作っとったけど、政府はジャンク住宅ローンの分まで銀行を救済して、経済に金を溢れさせたんや。銀行が被害者に貸した詐欺まがいの融資は、帳消しにはせえへんかった。
銀行は借り手を差し押さえて、家から追い出して、売らせたんよ。ジャンクローンの金利が払えへんかったからな。最初の1、2年は利子なしの誘い水ローン(teaser loan)やったけど、そのあと満額の利子が課される時に、巨額の一括返済(バルーン)がやってくる仕組みやった。デフォルトが山ほど出て、大手のプライベート・キャピタル会社が乗り込んできて、そういう不動産を買い占めて大儲けしたんや。家はジャンクローン危機の被害者から、不在地主の会社に移っていったわけや。
FRBは経済に金を溢れさせて、金利を1%の何分の一まで押し下げた。そのおかげで金融投資家や投機家は、低金利で借りて高利回りの資産を買うて、裁定取引の利益を得られるようになったんや。銀行から1%未満で借りて、配当が7%、8%の株を買えたんやで。差額は自分の懐に入る。あるいは、家やほかの不動産を買うて、家賃を稼げたわけや。えらい規模の裁定取引やったな。
低金利は株式市場のブームも呼んだ。それが外国資本を引きつけたんや。アメリカ人が低金利で借りられただけやのうて、外国人も日本に行って超低金利で借りて、円をドルに替えてアメリカ株を買えたんや。それがアメリカの国際収支赤字の穴埋めを助けたんよ。海外での軍事支出のせいやし、貿易赤字のせいでもある。貿易赤字は、金を金で増やす純粋な金融操作に金が回って、実物の産業投資に回らんかったから、脱工業化が進んだ。それが結果やな。
ドルの赤字は、1971年にアメリカが金を離れたあとに外国政府に還流されただけやのうて、アメリカの株式・債券ブームの波に乗ろうとする民間部門にも還流されるようになったんや。金利が5%から1%に下がった時、債券価格は上がった。金融投機家は安く借りて、利回りの高い債券や配当率の高い株を買えたし、値上がり益も得られたわけや。金利が下がって債券価格が上がり、株価も上がったし、不動産価格も上がった。これで、焦げついとった住宅ローンで損を出すはずやった銀行も救われた。ローンが回復したからな。
大事なのはな、この金融のプロセスが、「資本」としての資産価格の値上がり益と、目先の所得の裁定機会の両方を生み出した、ちゅうことや。金融資本家にとっては大盤振る舞いやったわ。せやけど、アメリカ経済の大部分の人にとっては、賃金労働者階級は横ばいのままやった。この莫大な金融の富は、金融資産と不動産の富の形で作られたんや。その85%以上が、最も豊かな上位10%の手に集中したと、わしは思うとる。ほんで外国の上位10%の富裕層も、このただ乗りのおこぼれにあずかったんや。経済はポンジ・スキームに変わっていったわけで、それがゼロ金利政策が終わった時に減速した。ほんで今の金利上昇は、2008年から2026年まで続いた長い資産価格の上昇を、暴落させる恐れがあるんや。
金利が上がったら債券価格は下がるはずやのに、株式市場はまだ下がってへん。プライベート・キャピタルの投資家や中間層の投資家、年金基金が株を買い続けとるからな。せやけど最大手の金融投資家らは、金融化ゲームは今のところ終わりや、て警告しとる。大口の投資家は売っとるし、小口の投資家は大手のマネー・マネージャーから資金を引き出そうとしとる。米国長期債や金、短期の米国証券を買うて、稼いだ分の評価額を守ろうとしとるんや。一番賢い投資家は、2008年の暴落以降みたいに値上がり益を狙うんはもうやめて、単に資本の評価額を守ろうとしとる。多くの国が国際収支危機に入って、支払いの連鎖が断ち切られそうな気配やからな。各国がどうするかは、まだ見通せへんのや。自国の経済を最優先にするんか、それとも自国のドル建て債券保有者への支払いを最優先にするんか、次第やからな。
想像してみ。あんたがグローバル・サウスの国で、石油価格も肥料価格も食料価格も、今年の後半に急に上がったとするやろ。その国は、債券保有者や銀行、IMFへの返済期限が来た分を払えるかどうか、決めなあかんようになる。それとも、乏しい外貨準備を使うて、高くなった石油代を払って補助金を出して、家や企業が明かりや暖房をつけられるようにするか。トラックや鉄道が、生産物や輸入品を運ぶディーゼル燃料を確保できるようにするか、どっちを優先するかや。
世界の多くの国は、2022年以降のドイツみたいになるやろな。アメリカがロシアから石油とガスを買うのをやめろて迫ってからのドイツや。ドイツの産業は閉鎖し始めて、失業が出たやろ。それが今年の終わりまでに、多くの国のモデルになりそうなんや。この高リスクな環境で何が起きるか、誰にも言われへん。けど株や債券に投資するリスクは、めちゃくちゃ跳ね上がったで。主にアメリカの石油戦争と、トランプが他の国々を強請って国際的な海賊みたいに振る舞おうとしとるせいや。
Lau Kin Chi: ほな中国に話を移そか。先生は前から、中国が銀行業と貨幣創造を公共事業として保っとることが、産業の金融化を防ぐ上で大きな強みや、て論じてはるよね。同時に、地方政府が土地金融に頼ったことで、金融と不動産のFIRE部門の共生関係ができてしもた、とも指摘してはる。
Michael Hudson: 共生関係て言うたら、家を買う人やオフィスビルを買う人は、その物件を買うためにローンを組まなあかん、ちゅうことや。自分が住む家を、100%の所有権で信用買いするには、たいてい一人の現役生活まるまる、つまり家族の現役生活の全部をかけて稼がなあかんのや。ローンが要るし、それは稼いだ収入から返していくわけやな。
たいていの人は、家賃の値上げに振り回されるより、住む家が欲しいんや。せやからローンを組んで持ち家にする。それが中間層の一員である証みたいになっとって、銀行が絡んでくる。アメリカ、イギリス、北欧諸国では、銀行融資の80%が不動産向けなんや。
中国の不動産の資金調達の仕方は独特やで。町や村や都市が、自分らの地方予算を、不動産開発業者に土地を貸すことで賄うんや。ほんで開発業者が銀行と話をつけて、新しい住宅やオフィスの建設資金を調達して、個人の買い手にも貸すんよ。多くの場合、中国の銀行は「まあどうにか買い手が見つかるやろ」ぐらいの期待だけで、開発業者に貸してきたんや。
それと比べて、アメリカの銀行が大手開発業者に貸す時は、たいてい借り手に目論見書を出させて、建てようとしとる建物のアパートを事前販売できるか、市場を試すんや。十分な数の買い手が、その建物のアパートを買う契約にサインしたら、それが銀行の融資条件を満たしたことになる。
建物が建ちあがっていくのを見たら、買い手はもっとサインしていく。ほんで建物が完成する頃には、たとえアパートが全部は売れてへんかっても、少なくとも銀行への返済を始められるだけの収入は生まれるんや。個人の買い手や投機家、不在地主が、別の銀行からローンを組んで、買うアパートの代金を開発業者に払う。ほんで開発業者は、建物の建設と販売のために銀行から借りた金を返せるわけや。
けど中国では、多くの銀行が──中央銀行の中国人民銀行が直接やない、人民銀行から資金を供給された銀行がやな──開発業者に貸しとった。その建物のアパートを買う契約にサインした人の存在を、市場調査で確認することもなしに、誰かが開発業者に貸したんや。中国はそれを求めへんかった。
恒大集団(Evergrande)、それに他の会社もたぶんそうやけど、「建てれば客は来る」ていう漠然とした期待だけで、建物を建てたんや。それが単なる願望やったと分かったわけやな。多くの地域で、買い手は来えへんかった。せやから建物は半分しかできてへんし、アパートやコンドミニアムや協同組合住宅の買い手もついてへん。建設は減速した。この全過程に、市場からのフィードバックが一切なかったんや。
中国は、アメリカや西側諸国がやってきたような、連邦政府の資金を地方に分ける、ていうやり方を取らへんかった。地方を助けるために、連邦政府は自力で資金を調達する負担を地方に押しつけたんや。ほんで地方が売れる主なものといえば、不動産の賃借権と、その将来の立地地代(rent-of-location)やったんよ。
なんで政府はこんなことを許したんか?わしが思うに、その理屈は、都市にどう発展せえと指図せえへんようにする、ちゅうことやったんや。どの都市が一番効率的な財政の組み方を見つけるか、様子を見たかったんやな。市場競争みたいなもんで、中国が民間の産業企業にいろんな分野でイノベーションを起こさせたのと同じやり方や。産業ではそれが成功した。せやけど、地方の社会支出を不動産のリースで賄うのは、そういうイノベーションとは違うんや。頂点を目指す競争やのうて、底辺への競争になりかねん、ますます無謀になるだけや。
町や村や都市は、土地を売り切りにしたわけやなくて、長期で開発業者に貸したんや。ほんでこの仕組みが回るように、政府は銀行に、この土地を借りる権利とその上に不動産を建てる権利を担保に貸すための金を、渡さなあかんかった。開発業者は銀行を必要としたし、たぶんほとんど同じ銀行やろけど、建物を建てる資金を貸してもらって、その上さらに、個人の買い手やオフィスの入居者に所有権を買わせるための金まで貸すようにしたんや。
わしが「共生関係」て言うたんはそういう意味や。不動産が金融化されたっちゅうことや。習近平主席は、「住宅は住むためのもので、投資のためのものやない」て、至極もっともなことを言うたやろ。けど多くの中国人は、多くのアメリカ人やヨーロッパ人がやったのと同じことをしたのも、無理ないんや。「家は投資や、めちゃくちゃ安全な投資やんか、実物がそこにあるんやから」て言うてな。
世界中で、人はここニューヨークにコンドミニアムを買って賃貸に出したがるやろ。借りた住宅ローンの返済と、税金や基本的な維持費を払っても、家賃収入の方が多く入るんや。ニューヨークは、こういう不在地主制を防ごうとして、二重課税制度を導入しとる。わしは自分が住むコンドミニアムに、固定資産税を一つ払っとる。けど他の階に同じ間取りのアパートがある。投資家がそれを買うても、自分が実際に住んでへんかったら、不動産税は高くなるんや。狙いは不動産の投機を抑えることやな。住宅は住むためのもので、投機で買うためのもんやない、ていう考えや。
これが、銀行の住宅ローンで賄われた、あるいは自己資金で買われた不在地主制に、ニューヨークやほかの都市が対処しとるやり方や。ほな中国はこの状況にどう対処するつもりなんやろ?開発業者が、市場があるという保証もなしに物件を建てたことには、確かに手を打ったやろ。ほな、その開発業者に融資して、建物を建てるための信用を出したり、地方に土地のリース代を払わせたりした銀行はどうなるんや?中国は銀行を潰すつもりなんか?
恒大集団だけが悪いんやのうて、恒大に貸した銀行も悪いんや。西側諸国なら開発業者が、アパートを買う人が金を持って現れてくれると期待するだけで、ただ突っ走ってアパートを建てるのを防ぐために、普通は使うとる監督体制が、なかったんやからな。市場調査はどこにあったんや?アメリカの法律で言う「デューデリジェンス」はどこや?
建てる人も買う人も、少なくとも自分らは実物のあるものを建てとる、と思うとる。物質的なもんやからな。統計は、これを資本形成として数えるやろ。ほんで確かにそれは資本や、ただ架空の評価額の資本やけどな。生産コストはあるけど、市場価値はない。誰も買わへんからや。それが今、中国の直面しとる問題なんや。
Lau Kin Chi: ほな不動産市場が弱くなって、地価の上昇が鈍っとる中で、中国がだんだん地価税(land value tax)を使うて土地の地代を取り込もうとしたら、その移行はどう管理したらええんやろか?そういう改革は、すでに住宅ローンを抱えとる世帯の債務負担とどう調整したらええんやろ?
Michael Hudson: 中国の政策で、何がそんなに独特かっちゅうとな、最も効率的な形で経済を作り直そうとした時、車輪の再発明をせなあかん立場におったことや。自分らを低コストの生産者にして、同時に労働の生産性と生活水準を上げるために、どう工業化するかを決めた時、中国は独力で、古典派経済学の論理を再発見したんや。価値と価格と地代の理論、マルクス主義で頂点に達した古典派政治経済学をな。でも中国は、その論理を自力で、新たに作り出したんよ。
アダム・スミスからリカードォ、ジョン・スチュアート・ミル、マルクスまで、マルクス主義自体は、価値論と地代論に焦点を当てた、この初期の古典派経済学説の一つの表現にすぎんかった。せやけど中国のマルクス主義の見方は、主に資本と労働の関係、賃金労働を雇うことから生まれる利潤の源泉に焦点を当ててきた。共産党は、中国の労働者が産業に、特に民間の手にある産業に抑圧されへんようにしたかったんや。けどこの焦点は──ロシアの共産主義と同じで──ナポレオン戦争後のイギリスとは違うし、フランスやドイツ、アメリカが自分らの産業の離陸期にやったこととも違ったんや。産業資本主義で離陸した西側諸国は、どこも革命的で、経済を封建制の名残、とりわけ地主階級から解き放とうとしたんや。イギリスの産業家は、リカードォの議論を採用したんよ。地主に地代を最大化させとったら、イギリスを世界の工場にはでけへん、て。最初は食料を生む農地の地代からやな。農業の地主らは、食料価格を吊り上げる保護主義政策を要求した──ナポレオン戦争が終わった1815年に通った穀物法(Corn Laws)や。後になると、主要な地代は都市の不動産からのものになった。ヨーロッパの産業寄りの政党は、世襲の不在地主階級から、土地の地代を税で取り上げようとしたんや。
産業国家は、土地を丸ごと没収したわけやない。土地価格の値上がり──だんだんそれは立地地代になっていったけど──を計算して、その値上がり分を税で取り上げて回収したんや。それが、ジョン・スチュアート・ミルと自由党によれば、理想的な課税ベースやった。イギリスを世界の工場にするには、労働や産業やなくて、土地やその他の経済的地代を課す手段に課税せなあかん。理想は、地主に課税して、経済を独占と独占地代から解放することやった。運輸や通信を私的に独占したら、生活費も事業コストも上がるからな。産業資本主義の精神は、そもそもそういう地代の負担を削ることやったんや。
19世紀半ばまでに、ジョン・スチュアート・ミルらは、これを社会主義と呼んだ。社会主義は産業資本主義自身の政策やったんや。封建制の名残から、特に、アダム・スミスの言う「自分が種を蒔かへんかったもんを刈り取りたがる」私有化された地代取りの階級である地主から、自らを解放するための政策やな。ミルも、地代は不労所得やという似たような考えを述べたんや。地主は寝てる間に地代(と地価の値上がり分)を受けとる、てな。
けど地代は、生産に必要な労働やサービスに対応する所得やない。古典派の価値と価格の理論は、まさにそこにあるんや。市場価格が固有のコスト価値を超えた部分、つまり地代のことや。古典派経済学者全員が、マルクスに至るまで使う主な分析ツールは、価値、価格、地代の概念で、地代は市場価格が費用価値を超えた部分、費用価値は社会的に必要な生産コストとして定義された。マルクスにとって価値は生産コストで、産業家の正常な利潤も含んどった。マルクスは、産業資本家が労働を組織したり、研究開発をしたり、原材料の供給を組織したり、市場を組織したりして、生産的な役割を果たすと言うたんや。せやから産業資本家は利潤を得る資格があり、それは価値の一要素、具体的には剰余価値、つまり産業家が労働の生産物を売る価格が、労働に実際に払わなあかんかった分を上回る上乗せ分なんや。
けどマルクスは、地主は生産的な役割を果たさんて書いた。独占者もや。正常な利潤率を超えて価格を吊り上げても、それは生産への貢献やない。労働と資本を犠牲にしとるんや。地代もそうやし、昔ながらの略奪的な英国流、英国とオランダ流の銀行業もそうや。こういう地代を生む活動は、運輸、通信、医療、教育、銀行業みたいな自然独占と一緒に、公的機能にせなあかんかった。全部社会化されるべきやったんや。
でも西側社会は、最も重要な公共インフラである銀行業を、社会化するところまでは行かなかった。私有のままやったんや。それが、中国が西側経済を上回る成果を出せた理由なんよ。中国には、自分らのために儲けるだけが目的の国内金融部門がなかったからな。
中国にとって、貨幣は財やサービスの生産を賄うために作られるもんで、不動産も実際に使うための使用価値のためのもので、地代を生む手段としてやなかったはずなんや。不動産部門を見る時、中国は、西側経済を特徴づける、地代、独占地代、金融的な不労所得をめぐる、一世紀にわたる議論を受け継がへんかった。マルクスは、その地代と利子の議論を『資本論』の第2巻、特に第3巻に回したんや。産業資本主義に固有の剰余価値や価値を、地代と利子を論じる前にまず論じたかったからや。
『資本論』第1巻でのマルクスの価値論は、リカードォの労働価値論を拡張したもんで、労働の価格に基づいとる。「ほな、どの価格の話をしとるんや?」て問うたんや。労働者が受けとる賃金か?それとも産業資本家が労働の生産物を売る価格か?その差が剰余価値や。剰余価値の概念が、古典派価値論へのマルクスの大きな貢献やった。せやから第1巻に入れたんや。そこが新しかったからな。
『資本論』の残りの巻は、この労働と資本の関係を、もっと広い経済の文脈に置いたんや。その多くは──いやたぶん最大の部分は──生産過程の一部やなかった。地代を搾り取る部分の先頭に立ったのが、土地貴族と金融寡頭制やった。これが地代取りの部門で、不動産、独占、金融が筆頭やったんや。
この非生産的な経済活動は、中国だけの問題やなくて、グローバル・マジョリティ全体の問題でもある。今、この人たちは、アメリカ中心の経済システムに代わる別のシステムに、世界がどう進むかを決めようとしとるんやからな。大問題は、そのシステムをどう定義するかや。
北京大学やほかの中国の大学で話した経済学者や学生の大半が、わしにこう言うた。アメリカで経済学を学んだ中国人学生が優遇される風潮がある、ヨーロッパで学んだ学生もな、て。グローバル・サウスの多くの国でもそうや。問題は、アメリカで教育を受けた学生が、産業資本主義がほんまにどうやって離陸したかを教わってへんことなんや。どうしてあれだけ生産的になったんか、をな。
西側の新自由主義的な反政府の「自由市場」経済学は、経済的地代なんてもんは存在せえへん、と主張する。価値と価格は本当は同じもんや、と言うんや。人が高い価格を払うたら、それが価値や、以上、っちゅうわけや。経済的地代は生産コストやなくて、せやから最小化すべきもんや、ていう古典派の考えは、新自由主義的な古典派以後の経済学で教育を受けた学生には、勘定に入ってへん。
この問題は、こういう教育を受けとる他の国々だけやのうて、アメリカとヨーロッパ自身にとっても同じや。その結果が盲点になって、アメリカとヨーロッパの脱工業化を招いたんやで。
中国が今、不動産で苦しんでるのは、アメリカ・イギリス病にかかったように見えるところや。ローンで買う人が銀行に払う利子も含めた価格で、不動産を金融化する病気やな。
わしは中国の税制についてはよう知らん。労働と資本がどう課税されとるかの詳細も分からへん。アメリカ経済ほど、中国経済を研究してへんからな。でもな、中国が、ある住宅用地を別の用地より価値あるものにする立地地代というもんを見据えたら、それが自然の一部やっちゅうことは、自明やと思うで。立地地代は、これからもずっと存在するもんや。よう立地のええ物件には、人がもっと払ってもええと思うからな。交通機関に近かったり、学校に近かったり、公園や美術館、そのほか大方公共的な性格のアメニティに近かったりするわけや。ほな、中国はこの現象にどう対処するんやろな?
古典派のやり方なら、土地の価値地図、つまり敷地価値地図を作ることやな。交通機関に近い敷地ほど賃貸価値が高いのを示す地図や。アクセスが悪い敷地は、立地地代が低い。
課税で取り上げられるんは、中国経済が豊かになって、交通が良うなって、地域のアメニティが増えるにつれて上がる、不動産の評価額の値上がり分や。今までこういう物件を買うための住宅ローンの利子として銀行に払ってきた分を、これからは土地税として払うわけや。中国がこれを急にやったら、今の持ち家世帯は、その税を払いながら、同じ経済的地代について銀行にも払う、ちゅうことが出来へんようになる。デフォルトが出るやろな。この土地の地代を担保にした住宅ローンで利子を得てきた銀行は、支払いを受ける権利を失う。政府が救済せえへんかったら、銀行は潰れるやろ。
何をするかは中国次第や。政治的な問題は、もし土地税、立地地代税があったら、開発業者は土地のリース代を、市や地方に払う金をどこから得るんや、ちゅうことやな。
彼らは、わしが説明した金融と不動産の共生関係を金融面で再建する一環として、連邦(中央)と地方の財政の問題を解かなあかんやろな。
Lau Kin Chi: ありがとうございます。中国は、地方政府の資金調達、土地金融、国有銀行の信用を使うて、大規模な都市化とインフラ開発を進めてきたわけやん。この積み上がった債務については、政策担当者が、低い金利で期間延長したりリファイナンスしたりすべき債務と、減額(write down)すべき債務を、区別せなあかんと思うんやけど。
Michael Hudson: それは、さっきの答えの最後で、わしが提起し始めた疑問やな。中国はすでに、まさにそのための債務解決チーム(debt resolution teams)を作っとる、とわしは理解しとる。投資家が、不動産価格が上がって土地価格の「資本」利得が得られるやろ──実際は、彼が「寝てる間に」得る地価の評価益なんやが──て期待して、単に賭けで不動産を買ったんかどうか、を問うとるわけや。
それとも、その持ち主は普通の働く家族なんか?そういう人らを傷つけたくはない。この問題への対処は、債務解決チームがやることになるやろな。
中国は、西側帝国主義の植民地やった過去の名残から自分を解放するのに、革命が必要やった。今度は、不動産金融、それに国と地方の財政という考え方の、最後の要素と戦わなあかんようになっとる。国と地方の財政の関係を解決して、経済的地代にどう課税するかを決めて、その過程で、銀行への土地地代の支払いを終わらせなあかん。(銀行には、実際に建てられた建物の価値に対しては支払われる──市場が成り立つと見込んで建てられたもんやったらの話やけどな。)
中国が豊かになるにつれて、家を買う金を持つ人が増える。ほんで稼ぎが増えれば、世界中どこでもそうやと思うけど、地位を上げる方法は、ええ家を買うことや。せやからそうするんや。ほんで豊かさが増すと、地価の上昇が起きる。
課題は、それが投機の手段にならんようにすることや。それを解決するのは簡単な話や。土地の地図を作るんや。中心部の立地から周縁部の立地まで、ピークがある地図をな。ほんである人数の家族にとっての標準的な賃貸価値が、上がるパターンを見る、ちゅうわけや。
建物の評価額のうち、地代に当たる部分に税をかければええ。そうすれば住宅価格は、賃金所得に対して低い割合に保たれる。増えた所得を、不動産バブルに乗ろうとして不動産投資に回す誘惑もなくなるはずや。不動産が金融化されて、投資の手段になるのを避けられる。それが習主席の実現したいって言うとることや。物件の立地による値上がり分に課税で取り上げれば、住宅とオフィスビルの価格を経済全体で押し上げてきた、不動産の金融化と投機を抑えるという問題は、解決するんやで。
土地税こそが、経済を低価格に保つもんや。それがデイヴィッド・リカードォ、ジョン・スチュアート・ミル、それにマルクスが設計したもんで、のちに社会主義と呼ばれるようになった。銀行と不動産の利害が、それを攻撃して、反古典派の反動を後押しした。その反動が今も西側の経済学カリキュラムを支配しとるんや。新自由主義の本質はそこやで。
振り返って言うなら、土地税があれば中国とその町の発展を賄えたやろな。けどそれは、開発業者やその住宅ローン銀行にとって、債務で膨れた販売価格を減らすことになったやろ。中国は最も抵抗の少ない道を行ったんや。でも今は状況が変わった。ほんで一つの税制から別の税制に変えるコストは高い。それが、中国が対処せなあかん問題や。せやから、あんたが言うように、問題はこれをどう解きほぐすか、や。その政策は、わしが思うに、解決チームを任命して、誰が値上がり分の損失を負担するかを決めさせる、ちゅうことやろ。彼らは現実的な解決策を出してくると、わしは信じとる。ただ、一部の銀行は、純資産を減額されるやろな。
Lau Kin Chi: ほな、『超帝国主義』の中国語版の第3版が、もうすぐ出るんやね。50年以上前に、先生は『超帝国主義』の中で、アメリカが債務システムを使うて、国際収支赤字を世界的な金融力に変えた仕組みを分析してはった。前の版と比べて、第3版での一番大事な改訂点は何やろか?世界のどんな変化が、その改訂のきっかけになったんやろか?
Michael Hudson: 1944年の、戦後経済秩序をどう作るかをめぐる、イギリスとアメリカの議論を拡充したんや。ケインズは、アメリカが押しつけようとした債権者寄りのルールを防ごうとした。国際収支が赤字の国に、厳しい緊縮のルールを課すルールをな。イギリスは、1944年のイギリスへの融資の見返りに、アメリカにある種の貿易上の譲歩をせなあかんかった。インドやほかの植民地に、第二次世界大戦中に貯めた貯蓄を、イギリスの中で使わせなあかんかったスターリング圏の要件を、終わらせなあかんかったんや。インドらは、連合国に売った原材料や食料やほかの製品の代金をイギリスで貯めとったからな。
けどアメリカは「あかん、自由市場が必要や」て言うたんや。国は好きなところで金を使えるようにせなあかん、ヨーロッパの植民地大国が、資本統制で市場を独占したらあかん、てな。アメリカはこの時、世界最大の工業生産国で、最大の債権国でもあった。1930年代の大恐慌の時、第二次世界大戦の足音が近づく中で、ヨーロッパや他の国々が、資金をアメリカに移しとったからや。せやからケインズは言うたんや。「アメリカが債権国として大きくなっていく中で、債務を払うために緊縮を強いられるようなことは避けたい。他の国々はますます債務漬けになっていくやろ」て。ケインズは、また大恐慌や世界経済の二極化が起きるのを避けるための仕組みを提案した。ある国が慢性的な黒字国になったら、慢性的な赤字国に対するその請求権は、対応する債務とともに帳消しになる、ちゅうもんや。
それがまさに、1931年に起きたことや。連合国間の債務とドイツの賠償が帳消しにされたんや。ケインズは、この慣行を戦後経済秩序のルールに書き込まなあかん、と言うた。彼が勧めたことは、まさに今日、やらなあかんことなんや。1945年にアメリカが設定した自由貿易環境と金融化のルールの結果として積み上がった外国債務を全部払わなあかんとしたら、多くの国がこの先の不況をどうやって生き延びられるんや?こうした債務は帳消しにせなあかん。払いきれへん。払わせたら世界を不況に突き落とすことになるんやからな。
この章では、ケインズとイギリスが、アメリカの設計した戦後の債権者寄りの経済秩序が、他国を貧しくするやろ、とどれだけはっきり理解しとったかを示しとる。彼は、慢性的な債務国の債務は免除されるべきやと考えたんや。その債務国たちは、成長を犠牲にして緊縮計画を課され、自国の経済成長の促進よりも、外国の債権者、主にアメリカの債権者への支払いを財政の最優先にせえ、と言われたんやから。ケインズが特に念頭に置いとったんは、イギリスやった。
もう一つ、米国債本位制が、1971年に、海外での軍事支出のせいで金から離れざるを得んようになってから、アメリカに他国を犠牲にした只飯(free lunch)を与えてきた、その仕組みの議論も明確にしようとしたんや。『超帝国主義』は、アメリカが金を離れた1年後に出版された。ほんでわしは、それを最新のものにしたわけや。
あれからどうなったか?今は1971年から55年になる。金を離れたことは、結局アメリカに利益をもたらした。外国政府、そして今は外国の民間投資家も含めて、彼らへの債務である米国債というIOUを作り出したからな。外国政府の貯蓄が米国債の形で流入するこの仕組みは、アメリカが返済する能力も、返済するつもりもない只飯なんや。この仕組みをどう動くのか、わしは詳しく書いて、最新のものにしたで。
この新版の『超帝国主義』は、『Killing the Host(宿主殺し)』と一緒に読むとええで。この本は、西側の産業資本主義が金融資本主義に取って代わられた経緯を扱っとる。第一次世界大戦のあと、ほとんどの経済学者が世界中がそうなるやろて期待したような、社会主義への進化やなくてな。それと、その後に書いた『Destiny of Civilization(文明の運命)』もや。これはKin Chiのグローバル大学グループのためにここで行った講義がもとになっとって、西側資本主義が産業資本主義から金融資本主義へ移行したことを、さらに詳しく論じとる。この移行が脱工業化をもたらして、ほんで中国やほかの国々が、産業成長がどう発展して自然に社会主義へ進化するはずやったかという、元の古典派モデルにかなり近い政策を提供する存在として現れた、その経緯を書いとるんや。これは19世紀の古典派政治経済学者らが信じとったことで、マルクスだけやなくて、政治的立場を問わず全員がそうやった。
Lau Kin Chi: ありがとうございます。ほな、Michael、社会主義が第二次世界大戦のあとの一つの選択肢やったって、今おっしゃいましたよね。今の時代、社会主義を代替案としてどう思わはりますか?
Michael Hudson: 社会主義いうんは、ほんまは産業資本主義が、封建制の名残から自分を解放するための政治闘争なんや。地主貴族や、自分らを貴族にしようとする寡頭制と戦った点で、革命的やった。独占からも、金融部門に支配されることからも、自分を解き放つことを目指しとった。中国は、貨幣創造と信用配分を、中国人民銀行の手にある公共事業として保つ、という大きな決断をした。せやから中国は、貨幣創造を使うて、独立した金融部門やなく生産と流通の部門を賄える、世界で唯一の国なんや。中国には、企業乗っ取り屋の階級も、企業の支配権を買うために金を作る銀行もない。会社を空っぽにして、自分に配当を払って、中国をイギリスのテムズ・ウォーターみたいなもんにしてしまうような連中がおらんのや。マーガレット・サッチャーも、レーガノミクスのロビイスト階級もおらん。西側の産業資本主義を破壊して、西側を脱工業化した資本主義にしてしもた金融化を、中国は避けてきたんや。産業資本家が古典派政治経済学と呼んだ種類の社会主義を実現できる力を、中国に与えたのはそれなんや。
せやから西側のマルクスへの反対は、アダム・スミスへの反対でもあり、ジョン・スチュアート・ミルへの反対でもあり、経済を私有化された経済的地代や金融化から解放する方向に産業資本主義を導いた教義全体への反対なんや。中国は反資本主義や言うて攻撃されとるけど、実際は同じ基本的な論理に従うとるだけなんや。他の国はそうしてこなかったけどな。
Ashley Dayman: 先生に、アメリカが韓国に対して行っとる強請りの試みについて、もうちょっと詳しく話してもらえへんかなと思うたんですけど。
Michael Hudson: アメリカは韓国を脅しとるんや。韓国が、アメリカに3,500億ドルを投資して払うなら、その代わりに、韓国の物品とサービスに対する違法な関税を25%から15%に下げてやる、と言うてな。その合意は1年前になされて、韓国は、アメリカで何か儲かる投資先が見つかるやろて期待しとった。けど政府が、いろんな韓国企業に「アメリカに投資して儲かりそうな先はどこや」て聞いても、アメリカの労働者は高度な工場や生産手段を建てる訓練を受けてへんかったんや。せやから韓国は、自国の労働者をアメリカに送ろうとした。台湾も、コンピューター・チップの生産者をここに移そうとして、全く同じ問題にぶつかったんや。
韓国人は、ビザが切れた時に不法移民として逮捕された。多くは強制送還されて、南部で外国人扱いされて、韓国に逃げ帰らなあかんかったんや。せやから韓国は、どうやって利益を出せるか、まだ悩んどる。最近、韓国は、今年の後半にエネルギーと食料の輸入で、とんでもない額の金を払わなあかんと気づいた。3,500億ドルをドナルド・トランプの要求に払うために、どこから金を出せるんや?
トランプは、この3,500億ドルは、アメリカが朝鮮と戦うのにかかった費用全部の分でもある、と言うとる。朝鮮に、第二次世界大戦全部で落とされた分より多くの爆弾を落とした費用も含めてな。朝鮮を打ち負かして服従させるために、アメリカはえらい金を使ったんや。アメリカは朝鮮と平和条約を結んだことがない。法的にはまだ戦争状態や。ほんで今、被害者から賠償金を取ろうとしとるんやで!
トランプは今、韓国が3,500億ドル払わなければ、韓国からの輸入品に対する関税を上げると脅しとる。それやと、韓国の輸出事業の大部分が破綻しかねん。韓国は、中国の情報技術やコンピューター・チップを買うのをやめて、中国に払っとった額の7倍から10倍を、アメリカの独占価格で払え、と言われとる。
ご想像の通り、韓国は、アメリカが2022年以来、ドイツに対してロシアからの石油とガスの輸入をやめるように要求して、ドイツ産業を破綻させたのを見とる。ほな先のことを考えて、イランがついにアメリカを西アジアから追い出して、ホルムズ海峡でどの船を優先して通すかを決めるようになったら、何が起きるか想像してみ。
イランは、韓国や日本は、優先順位が低い、と言うかもしれん。西ヨーロッパと同じで、こういうアメリカの衛星国は、稼いだ利益をアメリカに渡すだけやからな。日本は6,500億ドルをアメリカに払うと約束した。イランは、グローバル・サウスの国々、グローバル・マジョリティの国々、それに上海協力機構(SCO)のメンバーを優先するやろ。中国、ロシア、イランが中核になって一緒に動いて、BRICS諸国を招くようになる、とわしは思うとる。ただしBRICSの一部としてやなく、BRICSはえらい曖昧な組織やからな。本物の合意は中国、ロシア、イランの間でなされて、彼らは、アジアやアフリカの同盟国、それにたぶんアメリカから独立しとるラテンアメリカの国々を、当然優先するやろ。
韓国と日本は、戦争でアメリカに負けたから貢ぎ物を払え、と言われとる。国というのは、敗北すると、征服者に従属して、意志の力をほとんど失ってしまうところがあるんやな。第二次世界大戦後のドイツがそうやったようにな。見ていて、ほんまに残念や。せやけど韓国は、炭鉱のカナリア、いや「金鉱のカナリア」やな。いつになったら韓国は、3,500億ドルなんて、アメリカへの輸出で稼げる利益を超えとる、と言い出すんやろ?何十年も前に日本の企業経営者らと話した時は、新日鉄や他の日本企業は、まだプランBを持っとった。
アメリカから関係を移すための緊急時対応計画やった。せやけどそれは50年前の話や。韓国や日本に、今もそんな人がおるんかどうかは分からん。企業部門にも、まして政府にはな。けど韓国と日本の唯一の希望は、トランプとアメリカ議会が課しとる条件では、アメリカとの貿易から経済的な利益や恩恵を得る方法がない、と言うことや。わしが韓国やったら、中国やロシアと話をして、アメリカ市場を失う、というよりもう諦める話をするな。韓国には、トランプに払うためだけに3,500億ドルを使う余裕はあらへん。そんなの無理や。韓国の経済を、中国、ロシア、イランの経済ともっと統合する方法はないんか?それには、たぶん北朝鮮も、脱ドル化した世界システムの一部として含まれるやろな。
Lau Kin Chi: ありがとうございます。ほな、Vincent Wangさんが質問したいそうです。
Vincent Wang: 産業資本主義の内側での、地代の関係について、Hudsonさんにお聞きしたいんや。わしの見方やと、現代中国の生産組織の中には、金融機関やなくて、直接金融の力を行使してへんもんがある思うんや。せやけど、労働を組織する中では、第1巻と第3巻で分析された二つのメカニズムを組み合わせとるように見えるんよ。Hudson教授は、マルクスの『資本論』にえらい言及してはった。わしが思うに、労働過程を通じた剰余価値の生産と、プラットフォームへのアクセスやアルゴリズム、雇用上の地位の支配による追加的な所得の抽出とは、別もんや思うんや。下請けの仕組みや、価格設定、アクセス、評価の支配も同じで、雇用の義務や社会的保護のコスト、安全上のリスクを、請負業者や労働者に転嫁するもんや。
質問はこうや。この種の現象を「制度的に生み出された経済的地代」と呼ぶのは、妥当な分析概念やと思わはりますか?それとも、これは単なる労働搾取と見なすべきなんか、あるいはこの現代の産業資本主義そのものの内側の、生産組織の中で生み出された新しい経済的地代の形と見なすべきなんか?
Michael Hudson: マルクスは、まさにこの生産的労働と非生産的労働の問題について、『剰余価値学説史』で3巻もかけて書いたんや。あんたが話とる産業企業の経済的地代の多くは、独占地代や。アメリカは、1890年にシャーマン反トラスト法を作る先頭に立ったし、セオドア・ローズベルトはトラスト・バスターとして大統領に選ばれた。アメリカには、正常な利潤率がどの時点で、必要な利潤を超える経済的地代になるのか、報告された利潤のどの要素が不必要な生産コストになるのか、を決めてきた長い伝統があるんや。
マルクスが経済学に貢献したんは、大部分が会計やった、というのはそのためや。彼は「会計士の守護聖人」と呼ばれとる。EBITDA、つまり利子・税・減価償却前利益の会計形式を開発したんや。彼は、地代取りの金融的な背景も含めて、経済全体を分析する広い会計システムを作った。せやから、あんたの言う通りなんや。
国民所得・生産勘定を作るなら、今日の西側の億万長者の大半みたいな、大成功した企業の利潤のうち、どれだけが実際は独占地代なんか?それを研究するために、会計の形式が要るんや。1971年から72年にニュースクール大学で国民所得会計を教えた時、わしは、死後に編集されたマルクスの『剰余価値学説史』を教科書にした。生産的労働と非生産的労働、投資、所得についての指針としてな。
Lau Kin Chi: ほかに質問はないようですね。Hudson教授には、少し休んでもらわなあかんと思います。もう1時間半になりますし、まだこの後、数時間したら別のインタビューもありますから。ほんまにありがとうございました。ほんとにお体を大事にして、あんまり無理せんといてくださいね。
Michael Hudson: 今はやらなあかんことがほんまに山ほどあるんや。世界全体が二極化しとって、文明がどの方向に進化するかを決める危機の中におる。これは文明の危機やで。その影響で、世界経済は作り直されることになるやろな。ドナルド・トランプが、たくさんの国々を一つにまとめて追い込んで、「代わりの道を見つけへんかったら、全員アメリカに貢ぎ物を払わされるぞ」て教えたおかげでな。
Lau Kin Chi: ほんまにありがとうございました。Michael、どうかお体を大事にしてください!


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