2026年10月23日金曜日

ペペ・エスコバルとマーティン・ジェイ:(ペルシャの)火山の下で他2題

https://strategic-culture.su/news/2026/10/22/under-the-persian-volcano/

(ペルシャの)火山の下で

ペペ・エスコバル

2026年10月22日

ウクライナ戦線では、ワシントンが、完全な「メンツ保ち」モードに切り替えようとしとるんかもしれん。なんせ、帝国と、右往左往する西側にとって、404国での戦略的敗北の規模は、目が眩むほどやさかいな。そこへ、イランでの戦略的敗北、さらにイエメンがサウド家を容赦なく叩き続けとる件が加わる。名人ラブロフは、こう言い当てた。「西側は、二度と、条件を押しつける主役にはならん」

トランプがモスクワに見せた、あの野放図で前代未聞の譲歩の数々を受けて、多極的な、ポリセントリックな世界秩序へ、もっとまっすぐな道筋を見出したい――そんな誘惑は強いやろう。そやけど、ほんまに暗い雲は、次から次へ垂れ込めてくる。

西アジアの死のカルトと、エプスタイン・シンジケート全体が、MICIMATT(レイ・マクガバンの名定義による、軍・産業・議会・諜報・メディア・学界・シンクタンク複合体)に散らばるネオコンのロシア嫌いの群れ全部を押さえ込んで、イランを、疑う余地のない、唯一無二の国家安全保障上の非常事態に仕立て直してしもたんや。

7項目を飲むか、さもなくば出て行くか

今週の初め、パキスタンのアシム・ムニール元帥が、急ごしらえでイスラマバードからテヘランへ飛んだけど、結局、何も仲介できるはずがなかった。

ムニールは、重要人物には全員会うた。国会議長のガリバフに、ずばり訊いた。イランと米国の行き詰まりを解く解決策には、何が要るんや、と。ガリバフはきっぱり答えて――しかも会談中に少なくとも8回は繰り返した――ワシントンは、イランの7項目の条件を実行せなあかん、と。これは基本的に、何回も死んだ猫みたいなあの覚書(MoU)――トランプが署名して、ほんで自分でぶち壊したやつ――の要約や。

この7項目は、前回のイラン・米国の間接交渉で、カタール経由で、トゥイードルダムとトゥイードルディー――ウィトコフとクシュナーや――に最初に提案されたもんや。

ペゼシュキアン大統領と、最高国家安全保障委員会(SNSC)のモフセン・レザイ書記も、それぞれの会談で、まったく同じことを強調した。それこそが、ムニールが「社会病質者の親玉」に伝えるべきメッセージや。

イラン側の公式筋は確認せん。確認されとるんは、思いっきりスピンをかけたアメリカ側の版だけや。けど、ムニールは、レザイ、ペゼシュキアン、ガリバフに対して、最後通牒をアメリカから預かってきたかもしれん。核計画を捨てろ、さもなくば大規模な攻撃を受けるぞ、主な標的はピッケル山(Pickaxe Mountain)や、と。

7項目に加えて、モフセン・レザイは、核の塵ひとつ、イランの外には出さへんと、ムニール――つまりホワイトハウス――に、改めて伝えた。交渉に戻れる唯一の可能性は、ワシントンが7項目を受け入れることや。

アラグチ外相は、本質に何度も立ち返る。「アメリカは、戦争目的のうち、どれひとつ達成できてへん」。ほな、因果の連鎖は避けられん。軍事的勝利はない(体制転換もない)。経済的コストは耐えがたい。政治状況は維持できん。そやから、唯一の出口は7項目や。

しかも、テヘランは時計を回しとる。

並行して、イエメンの嵐の向こう側では、サナアも時計を回しとる。

アラムコは、米国とイスラエル、ISISの型のサラフィー・ジハード主義のごろつきどもの生命線やし、永遠の戦争への特権的な資金源でもあるんやけど、それが今、アンサール・アッラーの直接の射程に入っとる。イエメン側の狙いは「テロの資金源を干上がらせる」ことや。

ところがリヤドは、倍賭けして、イエメンの部族の集会を全部爆撃すると脅しとる。そうなったら、さらに100万人を超えるイエメン人が、イエメン軍に加わって、イエメンとサウジの国境へ進軍するやろう。

なんせ、よう訓練されて、超重武装した部族らは、アンサール・アッラーの指導者アブドゥルマリク・バドルッディーン・アル=フーシの指令を待つばかりや。それが出たら、南部の「サウジ」アラビアになだれ込んで、ナジュラン、ジザン、アシールの3州――1934年にイギリスが盗んだ、イエメンの先祖代々の土地――を取り戻す。

払いきれん代償

地獄の蓋が開くんは、今かもしれんし、近々かもしれんし、遅くとも11月末までにはや。もしそれがもっと早う、イスラエルの選挙の前に起きるんやったら、仕掛け人は死のカルトで間違いなしや。社会病質者の親玉は、中間選挙のあとの攻撃のほうがええと思うとる。

死のカルトは、イランの発電所、石油インフラ、軍事目標、核施設への大規模攻撃を準備しとる。テヘランは、米国とイスラエルのどちらの攻撃でも、共同でも単独でも、全面戦争「トータレン・クリーク」として扱うて、報復はあらゆる限度と抑制を破る、と何べんも警告してきた。

イランの内部情報は、死のカルトの選挙日である来週火曜日より前に、大規模な空爆が起きるシナリオに、すべて集中しとる。

何が起きようと、テヘランの報復は、払う代償を、法外なもんにするはずや。イスラエルに対しては、イランは、イスラエルの精油所2か所、ハイファとアシュドッドの港、すべての空軍基地に反撃する。ディモナは、イラン自身の核施設が叩かれたときだけ追加されるんや。

米国の攻撃となれば、発射を許したペルシャ湾の石油王国は、どこでも即座に正当な標的になる。送電網、淡水化プラント、精油所、港、データセンター、米国企業の本社や施設も含めてや。

ホルムズ海峡は完全に閉鎖される。原油価格は急騰する。世界経済は大恐慌に突っ込む。帝国の視点では、それは、ワシントンが、イランにホルムズ海峡を管理させて通航料を取らせるんと同じくらい暗い。実際、それは一国支配の海洋覇権(タラソクラシー)の屈辱的な終わりで、米第5艦隊が、バーレーンのおんぼろ基地に出入りするんにも、許可を求めなあかんことになるんや。

最高指導者モジタバ・ハメネイの上級顧問、モハンマド・モフベルは、「米国とイスラエルが、石油化学インフラや発電所を攻撃したら、イランは9か国を攻撃する」と強調した。

さらに、革命防衛隊に非常に近いファルス通信が、新たな一連の指令を入手した。攻撃にイラン高官の暗殺や民間人の殺害が含まれる場合は、イランの報復には、米国と、戦争に参加するすべての国に関連する政治的な標的が、そのインフラに加えて含まれる、というもんや。

ラブロフとアラグチ、RICを復活させる

こんだけ恐ろしい話の中で、せめてひとつだけ、幸先のええ流れを強調しとこうやないか。ラブロフが最近テヘランを訪れたとき、イランのアラグチ外相は、単刀直入にこう言うた。

「ロシアとイランが、今ほど緊密に協力したことは、我らの歴史で一度もない」

肝心なキーワードは「歴史で一度もない」や。ラブロフとアラグチは、「ヨーロッパから西アジアまで、すべて」について話した。けど特に、この4つや。レバノン、パレスチナ、ウクライナ、イエメン。それに加えて、拡大する経済協力と「核協力」のすべてもや。

経済協力とは、特にINSTC(国際南北輸送回廊)のことや。BRICS/SCOのパートナー3か国、ロシア、イラン、インドをつなぐ回廊やな。

去年、イランで撮った、私のINSTCのドキュメンタリーを見てや。

混沌の帝国は、制裁、脅し、爆撃に頼る。ユーラシアの統合は、インフラ建設、貿易拡大、主権を持った協力に頼る。そやから、ラブロフとアラグチは、もう一回RICを復活させなあかんかった。元々は、プリマコフ・トライアングルとして構想された、ロシア・インド・中国のつながりやけど、今回は、インドの代わりにイランが入る。

ラブロフは、新しいRICが、三者サミットを通じて、ペルシャ湾に「共通の安全保障の仕組み」をつくることを提案した。それは、RICがホルムズ海峡のための統一的な枠組みを定めることに等しい。

帝国の反応は、さらなる右往左往やろう。なぜなら、これは、また「安全保障の不可分性」の話やからや。2021年12月に、ロシアが米国とNATOに提案した、あれや。あのときは「無反応という反応」で返された。

レバノン、パレスチナ、ウクライナ、イエメンについて、ラブロフとアラグチは、最重要の最前線をしっかり押さえとった。そこには、片側に混沌の帝国とその同盟国・属国があって、もう片側に、ロシアとイランの同盟国がおる。

もちろん、すべてはつながっとる。帝国の軍事的圧力の弧は、ウクライナからイエメンまで伸びとる。それに対する反撃の核心は、そうした圧力への抵抗を(強調は筆者)、どう調整するかにある。

経済協力では、イランもロシアも、制裁の津波の下にある。両国の銀行はSWIFTから追放されて、石油輸出も厳しく制限されとる。そやから、両国間の貿易は、米ドル、西側の金融システム全体、米海軍が支える海洋覇権を、迂回せなあかん。

制裁を迂回するノウハウは、イランとロシアが、グローバル・サウス全体と共有できるもんかもしれん。現地通貨での決済、物々交換、陸路の回廊、INSTC、カスピ海を渡る貿易を通じてな。

ほんで、また話はホルムズ海峡――イランが掌握しとる海峡――に戻る。ペルシャ湾の石油王国は、完全にパニックや。ロシアは、イランとも湾岸とも、堅いパイプを持っとる。ラブロフは、全員とぴったり歩調が合うとる。彼は、湾岸の懸念をテヘランに持ち込んで、逆に、テヘランの条件を湾岸に伝えた。

ラブロフは、何回も死んだ猫みたいなイスラマバードMoUこそが、進むべき唯一の道やと強調した。これは、習近平がオーバルオフィスでトランプに言うたことと、まったく同じや。イランの指導部がテヘランでアシム・ムニールに言うたことと、まったく同じや。

彼はさらに、ペルシャ湾の石油王国は、気持ちを入れ替えて、イラン、それにイラクやヨルダンのような近隣国を含むアラブ諸国と、真剣な安全保障対話を始めなあかん、そこにはアラブ連盟、イスラム協力機構(OIC)、国連安保理の常任理事国も巻き込むべきや、とも強調した。

繰り返すけど、安全保障の不可分性や。

制裁で無きに等しいほど叩かれとるイランとロシアは、確かに、かつてないほど歩調を合わせて、共通の戦線ですべてを調整しとる。その一方で、追いつめられたエプスタイン・シンジケートは、自分らで作り出した「永遠の戦争」の悪夢から、抜け出せんままや。

https://strategic-culture.su/news/2026/10/22/truth-about-burnham-russia-meddling-claims-in-brexit-vote/

バーナムが言うてる、ブレグジット投票へのロシア干渉説の真相

マーティン・ジェイ

2026年10月22日

イギリスでは、まだ「ロシア人が攻めてくる」いうバカげた話が押し立てられとるんや。しかも今回は、軍の偉いさんや諜報機関の人間やのうて、首相本人からや。それも、イギリスとEUの初のサミットを数日後に控えて、さりげない形でな。アンディ・バーナム。政界よりも中古車屋のほうがよっぽど似合うんちゃうかと思えるこの男が、最近とんでもない爆弾を落としよった。治安機関から、ロシアが2016年のイギリスのブレグジット国民投票に「干渉しようとした」と聞かされた、言うてな。事件から10年も経って、イギリスの諜報機関が突然そんな結論を出してきたんや。この発表の前の年は、ほぼ毎年、逆のことを言うてきたのにやで。ほんなら、いったい何が起きとんねん。

バーナムの前には、でっかい課題がある。勢いを増しとる保守党や、いまだにたいした支持基盤を持っとる改革党に対して、壊れたイギリスを直す政策なんか自分では何も持ってへんのに、どうやって政権を保って選挙に勝つんか。彼の答えは、過去を振り返って、それを直すことで有権者の心をつかもういうもんや。直す必要がないもんでもな。その政策分野のひとつが、イギリスとEUの関係や。再加盟のための国民投票をもう一回やる可能性もあるんや。本人は、やらへんと約束しとったのにな。ロシアについての発言が出てきたんは、ひとつにはそこからや。実際には、ロシアがブレグジット国民投票に干渉したいう証拠は、ひとつもない。野党議員まで、ここ数日で、センセーショナルな主張の裏づけを出せ、と彼に求めとる。バーナムは、イギリスをブリュッセルに戻すための論拠を組み立てとって、ロシア干渉の嘘は、その構成要素のひとつや。せやけど、大事なひとつやで。

もうひとつ、並行して言うたら、彼はEUの考えに完全に足並みを揃えとる。ヨーロッパの加盟国は全部、ロシアとの戦争に備えて、国防にもっと金を使え、いうやつや。ただ、メルツやマクロンと同じで、彼もイギリス国民には言わへんことがある。迫っとるロシアとの戦争いうんは、彼とメルツとマクロンが、自分らと自分らの支持基盤を権力の座に残すための政治的な復活劇として、まるごと作り出そうとしとる戦争や、いうことや。理屈はそんな難しゅうない。歴代の政権は、経済も、エネルギーも、雇用を生む長期プロジェクトへの投資も、ひどい仕事ぶりやった。売れるもんは全部売り払うて、いまは、どんなアホでも続けられへんとわかる、とんでもない高さの借金頼みで国を回しとる。NATOが崩壊した後始末も、ウクライナ戦争が終わったときに、西側の高官らが戦争ビジネスから何十億もかすめ取ってたスキャンダルが明るみに出ることも、負いきれへん。そやから、ウクライナ戦争は何があっても続けなあかん。連中は、いわば自分で自分を「ロシア戦争」計画に追い込んでしもたんや。

経済が崩壊して、特に北部を中心に、イギリスのほとんどの町を圧政が覆うのを待つよりも、バーナムみたいなエリートは、戦争か、せめて戦争がすぐそこやと思わせることが役に立つ、と考えとる。怒っとる群衆の目を、放火や略奪から逸らして、自分らの国のために戦うことへ向けさせるためや。これは詐欺や。しかも悲しいことに、うまいこといっとるようや。イギリスのメディアを持っとる億万長者らが後押ししとるさかい、大まかに言うたら、労働者階級も「ロシアとの戦争」いう手口を飲み込んでしもた。

さらに、軍産複合体も、通常ではありえへん額の公金を、がっつり注入してもらえる。大半はもちろんアメリカの金やけど、イギリスにも独自の防衛産業があって、新しい金を必要としとる。ボリス・ジョンソンの件でもわかったように、これも「心づけ」方式で動いて、注文を取るのを手伝うた政治家に、巨額を払うんや。国をロシアとの戦争に備えさせる甘い汁のひとつは、防衛業界に出さなあかん巨額の契約に、それを仕切った連中への、同じ茶封筒もついてくる、いうことや。見返りがこんだけ大きいのに、うちの政治家らが、ロシア戦争の太鼓をもっと派手に叩くのを今まで我慢してきたんは、信じがたいくらいや。

うちの指導者らには、もう何の目新しさもない。ただ、もはや指導者やなくなった、いうだけや。バーナムのスクリーン上の魅力は、列車のコンパートメントで出会うた田舎の学校の先生みたいなもんや。話しかけたらすぐ後悔する。ほんまに何も言うことがないからな。新しい考えもない。新しい計画もない。彼は過去に取り残されとって、イギリスを直すふりをしながら、そこに居続けるしかないんや。問題は、国も世界も変わってしもうて、しかも急速に変わっとることや。イギリスが離脱したEUは、今のEUとはもう違う。フランスとドイツの経済はぼろぼろや。長年のまずい統治、ウクライナみたいなひどい外交の悪ふざけ、エネルギーみたいに裏目に出た国内政策の判断の多さのせいや。EU自身も、フォン・デア・ライエンの下で、オーウェル的な超国家になって、根っこまで腐っとる。しかも、自分らの政治生命を守るための、全く同じ詐欺をやっとる。ロシアとの戦争や。アメリカは急速に衰えとって、BRICS諸国が、古い世界秩序のバランスを取る新しい世界経済の大国として台頭しとる。バーナムが持っとるんは、過去に属する古い考えと、嘘だけや。大臣ら本人でさえ、ロシア干渉説にはまったく真実がないと認めとるのに、彼はそれを売り歩いとる。誰かの古いネタを使い回す、老いぼれの芸人みたいにな。ほんまのとこ、バーナムは、特にドイツのメルツ首相から、極右はロシアの資金で動いとる、いうストーリーを広めてくれ、と圧力を受けとる(もちろんそれは、イギリスのバーナムにとっても都合がええ)。せやけど実際、唯一の「外国の干渉」は、ウェストミンスターにおけるイスラエル・ロビーの暗い力と、その金や。それにしても、なんでイギリスのジャーナリストも論客も、ひとりとして、この選挙干渉の非難の明白な偽善を指摘せえへんのや。どの超大国もやっとることやのにな。2014年には、アメリカ人が、西側寄りの指導者をウクライナで権力の座につけるために、SNSの影響工作に50億ドルを使うた、と自慢したんやで。あれは「干渉」やなかったんか。

https://strategic-culture.su/news/2026/10/20/saudi-airport-bombing-stark-reminder-of-mbss-fragile-hold-on-power/

マーティン・ジェイ

2026年10月20日

サウジの空港爆撃は、MbSの権力基盤のもろさをはっきり思い出させる

ムハンマド・ビン・サルマンは、指導者いうもんについて仰山学んどるとこやけど、その先生をやってるんがフーシ派や。最初の教訓は、アラブ世界では、隣の国からの軍事支援の約束なんか全部あてにならん、いうこと。2つ目は、イエメンの戦争を止められるんはイランだけや、いうことや。

今年の2月末からこっち、トランプとアメリカは対イラン戦争で大負けしとるように見えるさかい、中東でのトランプの遺産がどないなるんか、言い表すんは難しい。けど、最近の決断で、えらい賢かった言えるもんがひとつだけある。フーシ派を叩かへんかったことや。

イエメンのこの集団は、アメリカの空爆を受けても権力を保つ方法を育ててきたんや。山岳地帯に潜んで、できるだけ散らばって、地域でいちばんタフな戦闘員らや。2025年3月にトランプがフーシ派への自分の空爆作戦を打ち切ったんは、おそらくあのドナルドが中東でやった中で、いちばん賢いことやった。あいつらは強すぎるし、粘り強すぎる。紅海でアメリカの船が襲われる代償が大きすぎる。それをわかっとったんやな。

ほんで今は、サウジの若い皇太子ムハンマド・ビン・サルマンにとってしんどい時期や。夜もよう眠れてへんやろな。眠れとったらの話やけど。2015年に、主にサナアの民間人を狙うて、結婚式まで何べんも空爆する作戦に踏み切ったんは、いまごろ後悔しとるかもしれん。皇太子の空軍は今もフーシ派を爆撃しとって、今回は海岸線沿いや。バブ・エル・マンデブ海峡の締めつけを破ろういう狙いや。そやけど、フーシ派がやり返して、リヤドの主要空港を、えらい勢いで爆撃した。これは地域の指導者全員にショックを与えたし、皇太子にゴマすった記事ばっかり書くことに慣れきったドバイ拠点のメディアは、まず書かんやろうことを浮き彫りにしとる。若い国と若い指導者の運命は、ナイフの刃の上でバランスとってる、いうことや。

皇太子が、なんでそこまで治安に神経質で、クーデターの脅威にピリピリしてるんかについて、多くの専門家は、こう指摘しとる。サウジのパイロットのひとりが、積んでるもんを皇太子の宮殿に落とす日が来るんは、時間の問題や、と。それが政権が倒れる火種になる瞬間で、指導者が夜中にこっそり抜け出して、ロンドンかタンジールか、ひょっとしたらカリフォルニアあたりに現れる、いうことや。MbSはフーシ派との戦争の様子に気を揉んどる。この戦争は全然うまいこといってへん。けど、いちばんの心配は、フーシ派がサウジに攻め込んで、政治的に国を不安定にすることやない。王族の中で、十分な数の王子らの信頼が、臨界点を超えてしまうことや。そうなったら、暗殺されるか、いつでも逃げ出せるチャンスを与えられるか、どっちかや。空港への攻撃は、まさにその臨界点やった。MbSの指導力と、彼がやらかす判断ミスが目に見えて明らかになったし(空港は何か月も前に閉めとくべきやった。けどそれやと敗北主義に見える)、フーシ派のどんな攻撃にも、国全体がどれほど無防備か、いうことも見せつけた。この無防備さが問題やねん。そもそもフーシ派との対立のレベルを上げたんは、若い皇太子本人や。しかも彼は、指導者になって最初にやった政策のひとつとして、何百人もの王子を高級ホテルに閉じ込めて人質にして、巨額の金をむしり取った。その王子らは、みんな表向きは皇太子を国の指導者として拝んどる。けど、いつまで続くんやろな。

ロンドンを拠点にする中東・北アフリカの論客サミ・ハムディは、こう言うとる。「これはビン・サルマンにとって、存亡に関わる事態になるかもしれん。UAEとフーシ派にイエメンで叩かれて、トランプには金だけ取られて見捨てられて、ネタニヤフには、助けてほしかったら正式に招待せえ(つまり国交正常化や)と言うて侮辱されて、いちばんの親友のトゥルキ・アル・シェイクは、儲からんボクシングの試合と終わりのない乱痴気騒ぎで、金をむしり続けとる。そこに国際的な同盟国は、彼のために戦うのを拒んで、誰が見ても屈辱と受け取る合意に彼を押し込もうとしとるんや」

MbSであることには、孤独がつきもんらしい。サウジはいつも、偉大で重要な国になる寸前に見えるのに、なかなかそうなれへん国や。最近のMbSは、露出の多い西洋のパフォーマーのポップコンサートを許す、ダイナミックな地域の指導者いう評判を築いた。そやけど、砂漠の巨大プロジェクトは、ひっそり縮小されて、ほとんど図面から出ることもなかったんや。

MbSがフーシ派から学ぶほんまの教訓は、あいつらは単純に強すぎる、いうことや。しかもトルコとパキスタンは、リヤドの軍事的な味方やと名乗り出とったのに、不思議なほど静かや。これをアラブ人への裏切りと呼ぶ人もおるやろう。

伝説的なエジプトのジャーナリストで、地政学の物書きでもあるアブデル・バリアトワンは、こう問いかけとる。「なんで皇太子ムハンマド・ビン・サルマンは、アラブとアメリカの同盟国に失望して、裏切られたまま『当然』のように暮らしとるんや。トルコとパキスタンはどこにおるんや、メッカ同盟はどこに行ったんや。戦争を止めるために仲介に名乗り出とるんが、イランだけやなんて、恥やないか?」

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