2015年7月26日日曜日

中国経済:底打ちか底抜けのはじまりか。

7月19日にこんなことを書いた。

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ヒュー・ヘンドリー「どうしてわれわれ投資家がこれを信じていないのか不思議だ。」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NRK7176K50XT01.html

美甘哲秀氏「中国景気は底を打った。」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/071600022/?P=1

どうしてこれを信じられるのか不思議です。
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今回はそのつづき。

上海株式市場の暴落に対する中国政府の対応の背景には、このまま株価が沈没すれば暴動<革命が起こりかねないと判断したことがあると思う。1週間ばかり後になって中国政府は大手企業株(もともと国営企業)の買い支え(=普通の近代国家のやり方)をはじめたのだが、(それがどれほどの効果があるかは別として)すくなくとも当初の脊髄反射は「売るな」「空売りは逮捕する」だった。そこに暴動<革命に対する共産党の怯えを見たのは我が輩だけではあるまい。「売るな」について大勢が従順でなかったけれど、とりあえず暴動<革命は避けられたからこそ、買い支えという近代国家らしいまともな手法を発動したのだろう。

冒頭引用した両氏もたぶん、底を打ったのか底がぬけたのかwktkしながら眺めていて、プロとして底が抜けたわけではないと確信したからこそ、能天気な景気循環論者らしいコメントを発したに違いない。

底が抜ける、というのは暴動<革命であって、もうそうなったら中国は少なくとも文革直後、悪くすれば近代以前に戻るに違いない。7月10日に始まった人権派弁護士たちの身柄拘束が120人に達したことも、中国政府の怯えを裏付けるものだと思う。

中国の東シナ海や南シナ海での横暴さ(にもかかわらず、ではなく)は、対内的にも対外的にも脆弱さを抱えているからだ。ハードウェアの観点から見れば、三峡ダムは犬の肛門のように丸出しで危うい存在だし、ソフトウェアの観点から見れば、人民元が強くなったからではなく、脆弱なので「国際化」という出口を考えついたのだと思う。

それを後押ししたのが外交音痴のアメリカである。

IMF/ADB や世銀がもし柔軟だったら、ユーロの大失敗がなかったら、アメリカが最悪のタイミングでウクライナでクーデターを起こさなかったら、ロシアが経済制裁されなかったら、NATOが最悪のタイミングでロシア国境で示威行為をやらなかったら、(祖父の背後霊に繰られた)シンゾー・アベが強気に出なかったら、イギリスが抜け駆けしなかったら、AIIBもNBB(新BRICS銀行)もきっと固まらなかっただろう。

(ロシアと中国とインドが握手し、パキスタンが同じ船に乗るなんて考えられますか?中央アジアの国々が仲良くなって、ウルムチからイスタンブールまで道路が貫通するなんて考えられますか?)

まさに雨降って地固まる、西洋風にいうと北風と太陽。

一路一帯も新シルクロードも人民元国際化も、そこにしか活路を見いだせないという中国共産党の、たったひとつの出口なのだと思う。塞いでしまうのは戦略としてよくない。

中国経済は沈没しないのがいいし、シルクロード沿道が1400年ぶりくらいに再開発されるのはいいことなんだけれど、中国共産党の明日ばかりは、人事を尽くして(塞いでしまわないで)天命を待つしかない。

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