2015年6月29日月曜日

「なぜあらゆるものが供給過剰なのか」

http://ourfiniteworld.com/2015/05/06/why-we-have-an-oversupply-of-almost-everything-oil-labor-capital-etc/

ここにはとても大事なことが書いてあるような気がしたので、丁寧に読んでみようと思う。超訳に思いついたことをメモしつつ。

「エネルギーの世界は製造の世界と違って、生産すればするほど効率化=コスト低下にならない。逆に、増産しようとすれば深堀しなければならないので、コストが増大する。石油も石炭も同じ。炭鉱夫の仕事はより危険になり、時給が増加する。ざっくりと西暦2000年ごろからエネルギーコストが急カーブで増えている。普通の製品なら作れば作るほどコストが下がるのだが、エネルギーはそうじゃない。」
「メタル、鉱物資源、真水などもコストがあがっている。真水の場合は脱塩と輸送のコスト。こういう作業は省人化・合理化できないのだ。」
エネルギーコストの上昇率が賃金上昇率を超えた時点で、「値段がさがればエネルギー消費は無限に増加する」という仮説が崩壊した。なぜなら可処分所得が減ったから。だからエネルギーが安値のままなのに需要が伸びない、と筆者はいう。

製造業の管理者なら誰もが考えるように、製造機械に人をはりつけて、そのスピードをあげれば(=エネルギーを投入すれば)作業員ひとりあたり、時間あたりの製造個数が増えて製品ひとつあたりのコストが低減できる。エネルギーは比較的安く無限にあると思われているので投入しやすい。いくら製造スピードをあげても、労働者の賃金は変わらない。いろんな製造業がグローバル化で最適化をおそろしいスピードで進めたので、身の回りにいろんな製品があふれるようになり、エネルギー需要も増えたので原油がバレル100ドル超になり、シェールオイルなどコストの高い掘削技術でも採算がとれるようになった。しかし労働者の賃金はそのままか、あるいはグローバル化で安くなり、可処分所得がへったので、身の回りにあふれる製品を買うことができなくなった。原油は供給過剰で値段がさがったけれど、労働者の可処分所得はさがっているので安いからといっていくらでも買える、というものではない。
エネルギーの終着点でこういうことが起こっている。エネルギーの供給元、たとえば産油国はどうなのか?
産油国の財政はエネルギー輸出にたよっていて、国民に対して補助金などもそこから出している。エネルギー(原油)価格が下がると、財政を直撃する。石油会社が減産すると、法人税収がさがるうえに、解雇される人がでてきて失業保険も払わなければならず、ダブルパンチを食らう。しかたがないので新規インフラプロジェクトを凍結したり延期したりすると、外国(エネルギーの受け取り国)のプラント屋とかゼネコンの仕事がなくなる。仕事がなくなると解雇とか発生するので、産油国、消費国ともに困る。
キモはエネルギー価格が上下したらどうなるのかではなく、いつまでたっても可処分所得が上がらず、エネルギーが在庫豊富で安値でも使われないことである。世界規模でデフレなのである、と。

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