2022年9月20日火曜日

考察:ベンガジ事件から10年

https://sputniknews.com/20220912/a-decade-after-benghazi-attack-us-chief-concern-remains-libyan-oil-taps-not-ending-civil-war-1100694665.html

9月11日は、2001年のアルカイダ(※)によるニューヨークとバージニアでのテロ事件と、1973年のチリでの軍事クーデターの記念日であることに加え、2012年には、リビアの内戦下にあるベンガジで武装集団が駐リビア米国大使と他の3人の米国人を殺害した日でもある。

日曜日は、約20人の武装集団が東部の都市ベンガジの外交施設を襲撃し、クリス・スティーブンス駐リビア米国大使と職員のショーン・スミスがいた別荘を焼き払い、2人を殺害し、その後同市のCIA施設を迫撃砲で攻撃し、2人の元米国海軍特殊部隊員が死亡してから10年目にあたる。

この攻撃を成功に導いた情報とセキュリティの失敗は、米国で政治スキャンダルとなった。しかし、その1年半前に行われたNATOによる同国への介入は、汎アフリカ主義の指導者ムアンマル・カダフィの打倒と処刑をもたらし、同国を内戦状態に陥れたが、同様のレベルの精査を受けたことはない。

以下略。

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クリス・スティーブンス大使がピースコー出身者であったこと。それが我が輩がこの事件をはっきりと憶えている理由のひとつだった。我が国の青年海外協力隊は、せいぜいがJICA職員を輩出するくらいであって、外務省の上級職員になった例は知らない。ピースコーは「エコノミック・ヒットマン」のジョン・パーキンスもそうだが、キャリアのダイナミズムにおいて日本の比ではない。

それにしても、将来有望な青年の成れの果てが、ベンガジの別荘でシリアの反政府武装勢力に武器を密輸する算段をしていて焼き殺される。なんという損失だろう。国家とか軍隊という組織の非情冷酷さがやりきれない。

我が輩がぼちぼち読み進めている石光真清の手記。このシリーズの隠された主題は、愛国心あふれる個人と、その個人を利用したあげく踏みにじるような国家・軍隊組織との関わりである。

第4巻の巻末に「僕のおじさん」という文章を寄せているのが、元大蔵省官僚の橋本龍伍。橋本龍太郎の親父である。つまり石光真清の甥っ子の息子は大臣になったというわけだ。なんという人脈。

蓋し浮世の栄華・毀誉褒貶と、楽しい人生というのはなんの関係もない。クリス・スティーブンスのように大使閣下となって国家のダーディージョブを遂行中に焼き殺されることもある。石光真清のように、愛国心の溢れるあまり軍隊をやめて自腹でスパイ活動を行い、帰国したら三等郵便局長として困窮生活を送ることもある。それに比して、興亜塾生としてモンゴルにわたり、それからチベットに行き、帰国してクリーニング店主として余生を過ごした西川一三の生きざまのほうが、愛国心や毀誉褒貶よりも魅力的に思えるではないか。

閑話休題。敗戦から77年を経て、「ドイツ主導のもとEUが団結しロシアを封じ込める」という。これは1930~40年代のナチと同じ道を歩んでいるかのようだ。

どこをどう刺激したらドイツ人が民族感情を高揚させ、一丸となって戦争に邁進するか、すでに英米に分析され、扇動手法もスケジュールも策定されているのではないか。

同様に日本人も、エネルギー供給ルートを断ったとたん右傾化して軍国化し、一丸となって不条理な戦争に突き進むのか。そしてそれも分析され、マッピングが済んでいるのだろうか。

挙句の果てに日独両民族ともふたたび潰されるのか?それとも30年間続いた世界的バブルがその前に弾け、「失われた20年」と馬鹿にされつつ超低空飛行で過ごしてきた我が国の生きざまが、なんとなく評価されるようになるのか?



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