2016年11月21日月曜日

開発業界をめざす若い人たちのこと

一橋大学の学生さんで世界を回っていた人がコロンビアで殺されてしまった。
歳をとると、若い有望な人が死んでしまうのがこたえるなあ。
あちこちで留学生とか、若い人たちの世話をしてきた我が輩としては、ほんとうに残念なことだと思う。
殺されてしまった若者は国際協力に興味があった、って国営放送は言っていたけど、自分を差別化しようとして世界に出かけたのかもしれない。

何年かまえに仕事でイスラマバードに住んでいたとき、世界食糧機構のインターンできていた日本人学生に下宿を提供したことがあった。我が輩はそのとき、日本政府の国際協力を実施している独立行政法人の契約の仕事をしていたのだけれど、その学生から、その独立行政法人も含めて国際協力(いわゆる開発業界)に就職するのと、大学院で修士号を取るのと、どっちがいいと思うか、と質問された。
そのとき我が輩は、「卒業して官の世界にはいるのは必ずしもお勧めできない。」と答えたのが彼女にはショックだったようだ。だってその独立行政法人は、就職先希望としてトップランキングに入っているのだから。

その時の答えに多少付け足しておきたいと思ったので、備忘録としてここに書いておこうと思う。

西欧による国際協力業界を仕切っている国連では、修士号を持っているのがまず出発点。それでもひと昔前までは、開発学とか国際関係学とかいう学問が分野として確立していなかったので、極端なはなし、大学で西洋音楽史を学士号をとって、大学院で教育学で修士号をとった人でも、国際協力業界に就職することができた。ちかごろはそれもうるさくなって、学士号の専攻と修士号の専攻が連続していないと、なぜそうなのか、何を勉強したのかをしつこく聞かれたりするらしい。ま、しつこく聞くくらいなら、あっさり落とすんだろうけど。競争率高そうだしね。

日本の開発業界も同じトレンドで、たとえば前述の国際協力をしている独立行政法人の関連団体で、日本の開発サービスを請け負っている、具体的には機材調達などのロジスティックスを専門にやっている法人で働く若い人たちは、ほぼみんなといっていいくらい修士号を持っている。つまり、修士号を持っていて、英語が堪能で、みなすごく有能で、そしてロジスティックスなのだ。

そして人気沸騰の独立行政法人本体はどうなのか?ここは学士号でも入る人は多いのだが、出発点は技術協力とか資金協力のロジスティックスなんだけど、大きな組織にはいった駆け出しのころはどこでもそんなもんだ。そしてたぶん、数年やっているうちにちがいが見えてくるんだろうな。たとえば技術協力に比べて、資金協力は動かす資金が10倍くらい多いので、出世コースの人材は資金協力分野に収斂することになる。つまり、出世競争で銀行家と同じ資質が求められるわけだ。

これから日本政府の国際協力分野で活躍しようと思うなら、メガバンクで数年間経験をつんで、それから協力業界に転職するほうがいいかもしれない。極端なはなし、だけど。

もし国際機関で活躍しようと思うなら、くわしいことはよくわからない。ずいぶん昔に大学を出て国連職員になった団塊の世代の人と知り合いになったことがあったけれど、彼はなぜか突然、国連を辞めて英語学校の先生になった。またニューヨークにいたとき、ニューヨークの国連本部のことを知っている人いわく、「フィリピン人脈で仕切られている」云々というはなしだった。本当かどうかは知らないよ。そして別の人で、日本の外務省から国連職員に転身した人は、いまコンサルタントをやっている。
たぶんどこの大組織でもいろんな派閥があって、本当に有能で(家柄とかも含めて)ラッキーな人はそれを飄々と乗り越えていくんだろうけれど、そうでない人はそれなりに大変なんだろうな。パリやジュネーヴでカフェオレとクロワッサン、と思っていたらテロに見舞われたり、南アフリカかよ・・て腐ってたら意外とよかったり。それはまあ、どんな組織でもいっしょだよね。組織としては全体で最適化できればいいわけなので。

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