2022年3月18日金曜日

ロシアの凍結ゴールドはいずこに?

 日経ビジネスオンラインのウクライナ危機特集で武田安恵さんいわく、
ロシアが買ったゴールドは金融制裁で売る方法がなくなってしまった、と。

もし売るつもりで買ったのならたしかにそのとおりだが、ここでぺぺ・エスコバルが興味深い指摘をしている。
https://thecradle.co/Article/columns/7975

ショートカットすると、ユーラシア経済ユニオンに、ロシアのゴールドに裏付けられ、人民元で国際決済を行う銀行をつくるのではないかという憶測だ。

さてゴールドについて、マシュー・ピーペンブルクというスイス人が興味深いことを言っている。
https://goldswitzerland.com/why-gold-will-rise/

ショートカットして面白いところだけを取り出すとこうなる。
アメリカは基軸通貨保持国として、イランやベネズエラやキューバをちまちまと虐めているうちはよかったのだが、ロシアのFX準備金を凍結するという暴挙に出た。そのコンティンジェンシーは計り知れないもので、「NYタイムズやCNNに出るような30台の若造アナリストの想像が及ぶところではない。」
ロシアに起こることは中国にも起こる、と北京はとうぜん考える。アメリカ自身が、米国債は信頼できませんよ、ドル建てで西欧銀行に預金するのは凍結してくれというようなものですよ、ロンドンやウォール街にゴールドを預けるのは人質ですよ、と宣伝している。

いまや、米国債はダンスパーティーであんまり魅力的でない少女。誰がその娘をダンスに誘うのか?相手をするのはFRBしかいない。FRBはドルを無限に出せるから、といっても裏付けは必要。

支出削減?アメリカGDPの25%が政府支出。支出削減すれば米国債と株価は泥沼に沈没する。

ではどうするのか?
SLR (Supplementary Leverage Ratios:補足レバレッジ比率)を一時停止するのがひとつの方法。「平易な英語では、これは民間銀行が米国債を無料で購入するためにより多くのレバレッジをかけることができるという意味。」 

だからスイス人は言う:ゴールドを買っておきなさい、と。

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我輩は金融の素人なのでよくわからないのだが、2007年のリーマンショックの時、ふつうならカネを貸してもらえないような人たちが住宅ローンを借り、その債権を銀行がちらし寿司みたいに盛り盛りにしてレバレッジを20何サイクルもかけて売りまくった。ひとたび不良債権化すれば(そんなん初めから不良債権だったのだが)、リーマン・ブラザーズが潰れるくらいの規模になりました、と。

なるほど、驕れる帝国はこんなにもあっさりと潰れてしまうのだ。
あとは想像力だ。

アメリカが1971年にやめてしまった金本位制、もっとも信頼性のある金融市場を、ロシアと中国がユーラシアを舞台に再建する。ロンドンで事実上差し押さえられているベネズエラのゴールドもそこに合流し、ロシア、イラン、ベネズエラ、マレーシア、中東のエネルギーを中国、インドが人民元決済で買い付ける。
もちろんエネルギーだけではない。穀物、金属、レアメタル・・・当然ながら先物市場も。

ちょっと前にマレーシアのマハティールさんが小さな声で「金本位制のアジア共通通貨」を提唱したことを憶えているだろうか?
https://www.freemalaysiatoday.com/category/nation/2019/05/30/dr-m-moots-currency-backed-by-gold/
プーチンさんそれを、ロシアらしいやりかたで、中国をまきこんで、さらにダイナミックなかたちで実施しようとしているのだ。

ところで習近平さんがこのところ慎重な物言いに終始しているのはなぜか?
蓋し、中国人は知っている:白人同士が白人の頭上に核爆弾を落とすことはないだろうが、あいつら有色人種には平気で核弾頭を使う、と。

さて、銀行と、ゴールドを収蔵するヴォールトはどこに置くのだろう?
我輩なら「帝国の墓場」アフガニスタンにする。

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