アークティックLNG2式典 日本が受け取るガスの量
https://sputniknews.jp/20230721/lng2-16601536.html
2023年7月21日, 15:10 (更新: 2023年7月21日, 22:25)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は20日、日本企業も参画する北極圏の天然ガス開発プロジェクト「アークティックLNG2」で、最初の生産ラインとなる海上構造物を採掘地点に送る式典に参加した。また、建設・運営するノバテク社は、プロジェクトの稼働開始や生産量の見込み、日本を含む海外への輸出の見通しについて明らかにした。
プーチン大統領は露最北部のムルマンスク州を訪問。将来、アークティックLNG2の海上採掘工場となる構造物の建設現場を視察した。プーチン大統領は、プロジェクトが「計画していた時期通りに、必要な品質を伴って実現される」と強調した。
アークティックLNG2は、露天然ガス開発企業「ノバテク」が運営。同社のプロジェクトとしては、すでに稼働している「ヤマルLNG」に次ぐ規模で、完成すれば年間1980万トンの天然ガスを生産する。今年中には最初の生産ラインが稼働を開始し、2024年の第1四半期には660万トンの生産が見込まれる。
日本への追加供給も
ノバテク社のレオニード・ミケルソンCEOは、プロジェクトに参画する日本へのガス供給見込みについても言及した。
「プロジェクトでは権益を保持する我々のパートナーにもLNG供給を実現する。日本側は10パーセントを持っているが、(編注:年間)200万トンの日本市場への供給は確かだ。すでに日本との契約はあり、追加契約も検討されている」
日本財務省の貿易統計によると、2022年1年間で日本が輸入したLNGは約7200万トン。そのうち1割弱の687万トンはロシアからの輸入となっている。これに加え、年間200万トン以上の安価で安定的な供給を、アークティックLNG2から受けられる。
エネルギー権益死守
アークティックLNG2では、日本の三井物産とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)があわせて10パーセントの権益を保持している。日本政府は幅広い分野で露日協力を凍結しているものの、このプロジェクトに関しては、エネルギー安全保障上の観点から撤退しない方針を示している。
日本は今年9月から対露制裁の一環として、「建築及びエンジニアリング分野のサービス提供禁止措置」を導入する。だが、アークティックLNG2と極東ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン1」、「サハリン2」については対象外とすると発表している。
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ロシアからの穀物輸入が激増 なぜ日本は声高に宣伝しないのか
2023年7月21日, 17:04
首脳を含めた日本政府は定期的に、ロシアはエネルギー分野における日本の重要なパートナー国であり続けていると表明している。日本の財務省の最新データによれば、日本は今年上半期、ロシアからの穀物の輸入を509.7%も増加させている。対露制裁が発動されている中、この品目の貿易がロシアと日本の関係において重要な役割を維持している。ロシアは日本にとって、天然ガスや石油といった部門だけでなく、農産品に関しても、戦略的に重要な経済パートナーになったと断言することはできるのか。そして、もしそうであるなら、日本はなぜ経済における「穀物の収穫」をこっそり得ながら、これを声高に宣伝しようとしないのか。スプートニク通信が専門家に話を聞いた。
一方で、ロシアと欧米諸国との間で結ばれた穀物輸出合意は、ロシアに対する義務不履行を理由に中断されている。
ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所の学術研究モニタリング部を率いるオレグ・カザコフ部長は、日本のロシア産穀物の輸入は、実際、ロシアと日本の2カ国関係において非常にポジティブな要素となっていると指摘している。
「しかし、日本は、現在の欧米とロシアとの対立を背景に、このことを公にはしていません。というのも、(ウクライナ危機を原因とした)政治的な対立が強まった場合、この日本にとって有益な貿易が中断されてしまう恐れがあるからです。」
「ロシア産の穀物の日本への輸出が継続され、さらには大幅に拡大しているということは、日本にとってこの品目の輸入がきわめて重要なものです。ロシアからの穀物輸入が重要なのは、日本にとってだけではありません。現在、多くの国々で悪天候を理由に穀物の収穫が少なくなっていることから、この問題は国際レベルです。世界は穀物供給の減少に直面しており、価格の大幅上昇が予想されます。そこで日本は代替の国を探す必要に迫られています。つまり、穀物供給に関する空白を埋めることのできる取引相手が必要です。」
日本はロシアに対して厳しい政策をとり、ロシアと複雑な関係にありながらも、貿易を続ける必要を感じているとカザコフ氏は続けている。
「日本は行き詰まっています。そうでなければ、どこか他の国と穀物契約を結ぶはずです。現在の両国の協力関係はきわめて肯定的なものであり、ビジネス分野で莫大なポテンシャルを持っています。エネルギー分野だけでなく、その他の品目に関しても。豆類もそうです。というのも、ロシアは日本とは異なり、広大な領土があり、さまざまな農産物を育てることができるからです。」
カザコフ氏はロシアと日本の協力は漁業分野でも維持されていると指摘する。
「両国の間には海上の境界線があり、そこで秩序を保つ必要があります。この分野における両国の協力関係も、然るべきレベルで維持していくことが不可避なのです。これも二国間関係における肯定的な部分だと思います。」
「欧米とロシアとの政治的な対立が深まった場合、日本はこれを失う可能性があります。(対露制裁を含め)あらゆる制裁には常にブーメラン効果があります。とりわけそれは発動した者に跳ね返ってきます。そして日本もその犠牲者となります。そこで最初に沸き起こるのが、その犠牲がどのような規模のものなのか、そしてどれほど日本にとってそれが危機的なものなのかという疑問です。しかし、世界的には、経済より政治が重視される傾向にあります。」
「ロシアと日本は現段階において、経済協力を両国関係の安定した基盤であるという評価を下すことはできない。というのも、ウクライナ危機を背景に、欧米諸国の首脳の政治的決定によって、経済協力はいつでも崩壊する可能性があるからだ。」とカザコフ氏は締めくくった。
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