ゼロヘッジ:ロシア、欧州へのガス供給で米国を追い抜く
https://www.zerohedge.com/markets/russia-overtakes-us-gas-supplier-europe
2024年6月17日月曜日 - 午後03時45分
一部の皮肉屋によれば、ビクトリア・ヌーランドとディープ・ステートのエネルギー関係者によって画策されたウクライナ戦争は、ロシアに代わって米国が欧州のガスの主要供給国になることを意図したものだったという。(そして最近のノルド・ストリーム・パイプラインの妨害行為は、この「陰謀論」を正当化する。)
に戦争がヨーロッパのエネルギー供給源を別の供給源に置き換えるためのものだったとしたら、悪いニュースがある。FTによれば、ウクライナ侵攻以来、欧州はロシアの化石燃料から脱却しようと努力し、5月、欧州のロシアからのガス輸入は、ほぼ2年ぶりにアメリカからの供給を再び上回った。
東欧の数カ国は依然として隣国からの輸入に頼っている。一方で、安価なエネルギーを得るために制裁を積極的に回避している国もある。
ロシア産ガスと(液化天然ガスの)市場シェアがヨーロッパでじりじりと上昇しているのを見るのは、私たちがこれまで経験してきたこと、そしてエネルギー供給のデカップリングとリスク回避のために行われてきた努力の後で、印象的だ。」と、コンサルタント会社ICISのガス分析責任者であるトム・マーゼック=マンサーは言う。美辞麗句を並べ立てたところで、ヨーロッパでは何も変わっておらず、モスクワは依然としてヨーロッパのエネルギー供給源として大きな存在感を示している。
ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻した後、モスクワは欧州へのパイプライン・ガス供給を削減し、欧州は米国を主要供給国とする専用船で輸送されるLNGの輸入を強化した。数カ月後の2022年9月、アメリカはヨーロッパへのガス供給国としてロシアを抜き去り、2023年以降は同地域の供給量の約5分の1を占めた。
ICISのデータによると、先月、ロシア産パイプガスとLNGの出荷は、EU、英国、スイス、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニアへの総供給量の15%を占めた。ICISのデータによると、アメリカからのLNGは同地域への供給の14%を占め、2022年8月以来の低水準となった。
この逆転劇は、EU諸国がロシアへの制裁に失敗し、ロシア産LNGの輸入が大幅に増加するなかで起こった。
FT紙が指摘するように、ロシアは2022年半ばに北西ヨーロッパに接続するパイプラインを通じたガスの供給を停止したが、ウクライナとトルコを経由するパイプラインによる供給は継続している。
5月の流量は、米国の主要LNG輸出施設の操業停止など、一時的な要因によって影響を受けたが、ロシアは6月に予定されているメンテナンスに先立ち、トルコ経由でより多くのガスを供給した。欧州のガス需要も比較的低調で、貯蔵量はこの時期としては過去最高水準に近い。
欧州が制裁に従うふりをするので、今回の事態は一過性であり、事態は正常に戻ると期待する向きもある。そのうちの一人、ICISのマルゼック・マンサーは、ロシアが夏に北海航路を通じてアジアにLNGを出荷できるようになるため、この逆転は長続きしない。ヨーロッパ向けLNGの量は減ると述べた。
一方、米国のLNG生産量は増加の一途をたどっており、年末にはさらに新たな生産能力が世界市場に投入される。
ウクライナとロシアの間のトランジット協定が今年で終了する。制裁に対する反発がはるかに大きくなり、ヨーロッパが親ロシア/反ロシアの軸でさらに引き裂かれる。
一方、欧州委員会は、EUとアゼルバイジャンを結ぶ南部ガス回廊のパイプラインの容量を拡大するための投資計画を策定している。EU高官は、同ルートによる供給は、現在ウクライナを経由してEUに供給されている年間140億立方メートルのロシア産ガスを代替するには不十分であると述べた。
EUのカドリ・シムソンエネルギー担当委員は、今月日本を訪問した際、LNGがアジアの需要に対応するためにヨーロッパから転用されていることについて懸念を表明したと述べた。同委員によれば、東京とブリュッセルはLNG不足を監視するための緊急警告システムを構築し、双方が省エネ対策を進めることで合意した。
「EUは、世界のガス市場で需給に悪影響を及ぼすいかなる事象も緩衝する用意がある。EUのガス貯蔵量は記録的な高水準にあり、ガス需要は記録的な低水準で安定している。」
そして、ヨーロッパは過去最高のガス貯蔵量を記録したロシアに感謝している。
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