マイケル・ハドソン:砲艦経済の復活
https://michael-hudson.com/2026/01/the-return-of-gunboat-economics/
Wednesday, January 21, 2026
ニマ:皆さん、こんにちは。今日は2025年12月18日。親愛なる友人、マイケル・ハドソンとリチャード・ウルフが来てくれました。マイケルはニューヨークから、リチャードはフランスのパリからです。お二人とも、お帰りなさい。
リチャード:おお、ありがとう。ここにおれて嬉しいわ。
マイケル:(笑いながら)文字通りな。「パリに」おるもんな。
ニマ:さてマイケル、ベネズエラの話から始めよか。昨日タッカー・カールソンが「トランプがベネズエラに宣戦布告したがっとる」って言うてたやろ。トランプ自身も、ベネズエラの土地や石油について妙なこと言うとる。「あそこの財産はアメリカのもんや」みたいな口ぶりや。トランプのクリップ、見てみよか。
トランプ(映像):「あいつらが奪ったんや。ちゃんと見てへん大統領がおったからな。でも次はそうはいかんぞ。取り返したる。あいつらは俺らの石油の権利を奪ったんや。あそこには俺らの石油がいっぱいあった。知っとる通り、あいつらは俺らの企業を追い出した。だから、取り返したるんや」
ニマ:マイケル、昨日のトランプの発言見てどう思う? ベネズエラに対してさらにタカ派になっとるんか、それともビビっとるんか?
マイケル:そら、間違いなくタカ派やわ。昨日の時点では、今朝のうちらのトークは「トランプ、ベネズエラに宣戦布告」一色になると思てたんや。タッカー・カールソンがネット中で「昨日、国会議員に『戦争が始まる。今夜9時の国民演説で大統領が発表する』ってブリーフィングがあったらしいで」と流しとったからな。そら、うちらも戦争の話をする準備するわな。 でも演説を聴いてみたら、これがまた退屈な内容やってん。トランプは何言うてええか分からん様子でな。アメリカのインフレが下がっとるとか、労働者の生活は最高やしもっとようなるとか、そんな話ばっかり。健康保険も「保険会社抜きで、みんな自分で交渉せえ」とか言うとる。
結局、海軍に「おい、ロシアと中国がベネズエラに船を撃沈できる武器を渡しとるぞ。ウォーゲームの結果、本気でベネズエラをミサイルで破壊しようなんて言うたら、返り討ちにあって船が沈みますよ」って諭されたんやろな。トランプは「侵攻する」とは言わず「陸の上で破壊する」っちゅうてた。つまりミサイルや。でもベネズエラは中露の防衛システムで準備万端やからな。軍に説得されて、25分間の演説でフガフガ言うことになったわけや。
問題はここや。トランプはさっきニマが言うたように、外国人のせいにしようとしとる。ベネズエラが石油を盗んだと決めつけて、昔の状態に戻したがっとるんや。昔の状態っちゅうのは、ベネズエラのペレス・ヒメネスとか、カストロ以前のキューバのバティスタみたいな、アメリカの言いなりの独裁者がおった時代のことや。トランプが言う「アメリカの勢力圏」で、石油を完全にコントロールしとった時代やな。
トランプは、年間に80億ドルの石油を売っとる「影の艦隊」を全部阻止すると言うとる。ロシアのタンカーをブロックするのと同じように、貿易をさせんようにするつもりや。11月29日には、すでにベネズエラのタンカーを一隻拿捕して、アメリカの港に引っ張っていって、「石油を没収した。俺らのもんや。ベネズエラにあるもんは全部俺のもんや」とほざいとる。石油会社が昔サウジアラビアとかと結んだ契約……「石油は国有化してもええけど、うちらに生産と販売をさせて利益をよこせ」っちゅうやり方を、まるっきり無視しとるんや。
ベネズエラが国有化したんは、独裁政権下で搾取されとったからや。アメリカの会社は、ベネズエラでの石油消耗をアメリカ国内の免税に使って、現地の国には一円もメリットがないようにしとった。利益を報告せんと、トリニダードあたりのオフショアの精製所に安値で売って、パナマの会社経由でアメリカに高く売る。全部脱税や。だから他の国はアメリカの石油会社に来てほしくないんや。メリットないから。 そしたらトランプは「俺らに油を盗ませへんのなら、お前らが俺らの財産を盗んどるんや。盗む権利は俺らにある。ここは俺らの勢力圏やからな」と言うとる。本気で戦争する気満々やし、それが人気取りになると思とる。でも共和党の調査やと、アメリカ人はウクライナと同じで、ベネズエラとの戦争なんて望んでへんのやけどな。
トランプがやろうとしとるんは二つ。世界の石油貿易を完全にアメリカの支配下に置いて、ロシア、イラン、ベネズエラを孤立させること。もう一つは、風力や太陽光みたいなグリーンエネルギーへの転換を阻止することや。そこに中国のアドバンテージがあるからな。ベネズエラだけやない、ロシアのルクオイルとか、ヨーロッパにあるロシア系企業も「ロシアは悪者やから」っちゅう理由で奪おうとしとる。 これは経済戦争や。海洋法に照らせば、ベネズエラやイラン、中国への石油貿易をブロックするのは「開戦事由」や。どっかで軍事的な戦争に発展する。今うちらは、まさにその瀬戸際におるんや。
リチャード:マイケルの話に付け加えさせてもらうと、これにはパラレルな話がある。12月4日に出された国家安全保障文書を読んでみ。歴史の書き換えが凄まじいわ。第二次大戦後の正しい歴史っちゅうのは、うちらが思とったような「欧州帝国の終焉とアメリカの台頭」「ポンドからドルへ」「共産主義封じ込めのための700の軍事基地」……そんなんやないらしいで。
あの文書、つまりトランプとその取り巻きの考えによれば、物語は全く別もんや。それは「アメリカがいかに被害を受けてきたか」っちゅう物語やねん。トランプはあちこちで「イギリス人やカナダ人、メキシコ人、ヨーロッパ人が俺らをカモにして、ひどい扱いをしてきおった」と吹聴しとる。これを信じるなら、過去75年のアメリカの政治家は共和党も民主党も全員バカな無能で、ようやく賢いトランプが現れて「もうカモにはされんぞ」と言うとる、っちゅうことになる。
だから、個別の章も全部書き換える必要がある。ベネズエラと石油会社の契約の話もそうや。昔、石油が国有化されたんは、産油国が自分らも儲けたいと思ったからや。セブン・シスターズみたいな巨大石油会社に独占されるのが嫌やったからや。サウジもエジプトも、自分らの取り分が欲しかった。西側も、1955年のスエズ運河の後あたりで、妥協せなあかんと理解したはずや。イランもエジプトも爆発しとったからな。イスラエルがおるだけじゃ防げんから、ディールしたんや。 トランプはそんなん全部忘れとる。関税を正当化するために「75年間虐待されてきた」っちゅう話にしとるんや。トランプに反対できんウォール・ストリート・ジャーナルもニューヨーク・タイムズも、遅かれ早かれこの「歴史の書き換え」を真に受け始めるやろ。これがどれだけデタラメか、みんな理解せなあかん。証拠も何もない作り話やのに、ニマが指摘したように「俺らの(Our)」石油、なんて形容詞を平気で使う。ベネズエラの油やなくて、魔法のように「アメリカの所有物」に変わっとるんや。そして「バカな前任者が盗ませたんや」っちゅういつもの話に持っていく。
マイケル:戦後の歴史の書き換えの話は重要やな。トランプと国家安全保障の鍵や。トランプは中南米での動きを「俺の新しいモンロー主義や」と正当化しとる。国家安全保障戦略では、それは西半球だけやなくて、中露を囲むアジアの基地も含む。架空の歴史やな。アメリカは中南米とカリブ海を独占する。ロシアは中央アジアと旧ソ連圏(ウクライナ含む)をやる。中国はアジア大陸の隣国をやる。 でも、これは1945年のヤルタ会談みたいな「勢力圏の分割」とは違うんや。モンロー主義の本来の合意は「アメリカは東半球やユーラシアの件には口出しせん」っちゅうもんやった。でもトランプにそんなつもりはさらさらない。彼は「欧州やアジアは中南米に近づくな。ロシアやイランや中国はベネズエラに投資するな、油も買うな。全部アメリカに任せろ」と言うとる。 これじゃ相互主義もへったくれもない、モンロー主義のパロディや。アメリカの外交官はユーラシア中を軍事基地で囲んで、政権交代を仕掛けて、他国を動員して、ユーラシアをコントロールしようとしとる。一番笑えるんは、アメリカ、ロシア、中国、中南米のグループに、日本を加えようとしとる点や。なんで日本かって? アメリカの言う通りに動く日本の票があれば、グループをコントロールしやすいからやな。数年前に日本を国連安保理の常任理事国に入れようとした時も、ロシアとかに「アメリカの自動投票機をもう一つ増やしたいだけやろ」って笑われたやろ。日本に独立した票なんてないんやから。
国家安全保障戦略では「中国はここ、ロシアはここ」と言うとるけど、実際にはクアッド(日米豪印)がある。日韓は明らかにアメリカ側でアジアに対抗しとる。そんな話、国家安全保障会議では一言も出ん。トランプが言う「勢力圏」っちゅうのは、実際には「全世界がアメリカの勢力圏や」っちゅう意味なんや。これがどこに向かっとるか。第二次大戦後、マッカーサーは日本のヤクザを使って、社会主義グループを物理的に叩き潰した。そしてアメリカの代理人である自民党を政権に据えた。イギリスの労働党やフランスのマクロンと同じや。日本は1980年代のプラザ合意やルーブル合意で、アメリカに尽くすために自分の未来を犠牲にして、90年代以降の「失われた数十年」に突入した。
これが、アメリカがロシアや中国や他の国に押し付けたいモデルなんや。ベネズエラでやっとるんは、ロシアに対してやっとるんと全く同じ。石油をブロックし、あらゆるところで邪魔をする。だからウクライナの合意なんて今にも崩れそうなんや。トランプは権力を掌握して、それを軍事化したがっとる。ヘグセス(国防長官候補)も乗り気みたいやけど、あいつも不人気やからどうなるか分からんな。
リチャード:モンロー主義があった時でも、中南米の国はヨーロッパと貿易したり投資を受けたりしとった。トランプとその取り巻きは、その定義を昔よりずっと強引に変えようとしとる。これは策略や。中露と欧州やアジアで争い続けながら、地域的な支配を強めようとしとる。 12月4日の文書は「帝国の終焉」を認めた記念碑的なもんやと思てたけど、わしは早まったかもしれん。あれは「終焉」を認めた上で、「それを回避する道がある」と主張しとるんや。「無茶すんな」と言うアドバイザーもおれば、「いや、まだやれる」と言う連中もおる。昨日のトランプの演説は、その妥協の産物や。ベネズエラの話は「まだやれる」派の主張やな。中国は最近、ペルーに巨大な港を作ったやろ。中南米の産品を中国に運ぶための。
これは矛盾や。昨日のパフォーマンスみたいに「戦争や! いや、せえへん。情報をリークするぞ、いや、やめとけ」っちゅう混乱。これは帝国の衰退期特有の足掻きやな。台湾に80億ドルの予算をつけたタイミングも見てみ。ベネズエラと戦争やと脅しとるのと同時や。これは「帝国は持続不可能や」と認めた国のやることやない。必死に維持しようとしとる国のやることや。 そして、これこそ極めて危険やから誰も言わんのやけど、中露の海軍がベネズエラ周辺におるっちゅう話。わしはプレスをよう読んどるけど、軍事的・経済的な支援がどれくらい行われとるか、うちらには知らされとらん。でも、ウクライナと同じように、ここでも中国やBRICSとアメリカとの「代理戦争」が始まっとるっちゅうことや。
これは恐ろしいことやで。第一次大戦の前もそうやった。資本主義の植民地大国が中東やアフリカで争って、何度か「戦争の危機」があった。そしてサラエボで、誰も知らんような貴族が暗殺されただけで、全世界が戦争になってもうた。暗殺された貴族のために戦ったんやない。20年間、植民地の巨大国家同士が世界を切り刻んで争い続けた結果や。1884年のベルリン会議で地図にマーカーで線を引いてアフリカを分けた、あのエグい歴史と同じや。 今、うちらはそれと同じような代理戦争や「戦争もどき」の連続の中におる。中国の目と鼻の先の島(台湾)に武器を送り、アメリカの脅しに対抗して中国がベネズエラを助ける。 アメリカ国民はこれを許しとるけど、誰が侵略者かは明らかや。中国やBRICSやない。時間は彼らの味方や。アメリカが25年間必死で止めてきたけど、彼らは成長し続け、エネルギーも自給自足しとる。ベネズエラを失っても彼らは痛くも痒くもない。中国の成長率はアメリカの2.5倍から3倍や。 昨日読んだレポートやと、中国のエネルギーコスト(1キロワット時)は、アメリカの6分の1やで。だから中国にはインフレがない。物価上昇は1%以下や。アメリカはインフレやし、エネルギー価格で死にそうになっとる。欧州はもっとひどい。時間は彼らに味方しとるのに、誰がこの状況をぶち壊そうとしとるか?
自分の政治生命を守るために、ロシアとの戦争を辞さないフランスやイギリスやドイツの指導者たち。国民は戦争なんて望んでへんのに。 バルト三国みたいに、政治の荒野に長くおったおかげで頭がおかしなった連中もおる。でもまともな連中はそんなん望んでへん。第一次大戦の前もそうやった。平和運動が立ち上がらんかったせいで、なし崩し的に戦争になった。 そして、第一次大戦の後、資本主義システムは最大の敗北を喫した。ロシアという国を丸ごと失い、国内では社会主義や共産主義に権力を与えてしもた。第二次大戦後も同じや。戦争に突き進んどる連中に言うとく。核戦争の可能性は置いといたとしても、戦争はそれを生み出した資本主義にとって、決してええ結果にはならんのや。
ニマ:マイケル、ベネズエラからロシアのタンカーまで、アメリカは静かに「世界大戦」を広げようとしとるんか? 台湾への過去最大111億ドルの武器パッケージはどう見る?
マイケル:リチャードが言うたように、国家安全保障戦略が言う「地域分割」っちゅうのは、実際には「代理人を通じた支配」っちゅう意味や。ウクライナでロシアと戦う金はもうない。あそこは腐敗と敗北の底なし沼やからな。トランプは欧州に愛想を尽かしとる。 彼が「帝国を諦める」と言う時、それは「欧州がロシアと戦うんなら、勝手にやれ。俺らは代理人として使ったるけど、金は出さん。レーダーや軍事指導はしたるけど、金は欧州が持て」っちゅうことや。ドイツのメルツ(次期首相候補)は「ロシアと戦うために徴兵を再開する」なんて言うとるし、マクロンは傭兵を送り続け、イギリスのスターマーもそう。
アメリカは欧州からも、アジア(台湾・日本・韓国)からも、中南米からも手を引くふりをして、彼らを「代理人」として使おうとしとる。そして、これは国際法の崩壊を意味する。戦後の国連や海洋法、全ての原則の置き換えや。トランプは「他国がアメリカから大西洋と太平洋を盗んだ。俺らのもんやから取り返したる」と思とる。 気候変動のパリ協定もそうや。「国際的な合意のせいで俺らの石油支配が邪魔されるんは許せん。誰が石油を売ってええか、誰をブロックするか、全部俺らが決める」 自由貿易も、資本の移動も、かつて文明が向かおうとしとった「共通の課題をみんなで解決する」っちゅう考え方は全部終わりや。国際法は死んだ。「アメリカのルール(Rules-based order)」があるだけ。 「ロシアの勢力圏」っちゅうのは「欧州がロシアと戦え」っちゅう意味。「中国の勢力圏」は「クアッドや台湾で中国を包囲せよ」っちゅう意味。アメリカは自分以外の勢力圏なんて認めてへん。 モンロー主義の歴史を見ても、1920年代に中南米が独立した時、彼らはイギリスの銀行から借金した。アメリカはそれを許した。中南米が他国と貿易しても、最終的な利益がアメリカに流れる限りはな。トランプが言う「勢力圏」は、世界中の経済余剰をアメリカだけが吸い上げるための「ダブルスタンダード」の別名や。
リチャード:戦後のアメリカは、ドルやローンだけやない、ハリウッドやジーンズみたいな「思想」でも世界を支配しとった。でも今は、経済も、政治も(国連での100対5の敗北とか)、思想も、全部失墜しとる。 世界はもう、アメリカの流行なんて追ってへん。残っとるんは「軍事」だけや。わしが重要やと思とるのは、カリブ海や太平洋で、裁判もなしに民間人を撃ち殺しとる事件や。90人以上死んどるらしいけど、これは「俺らにはまだ軍事力があるぞ」っちゅう強力なシンボリズムや。前のバカな大統領みたいに「臨検」なんてまどろっこしいことはせえへん。俺らは撃つんや、と。


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