マイケル・ハドソン:不動産危機の隠された構造
https://michael-hudson.com/2026/02/the-hidden-architecture-of-the-property-crisis/
(2026年2月9日)
ジョナサン: 皆さんこんにちは、ポッドキャストへようこそ。ホストのジョナサン・ブラウンです。今日はな、去年の末に収録したマイケル・ハドソンとのインタビューをお届けするで。マイケルはほんまに凄まじい経済学者でコメンテーターや。これまで何度かインタビューさせてもろたけど、いつも目から鱗が落ちる話ばっかりやねん。
今回のインタビューは、フィル・アンダーソンとの共著『不動産と銀行の秘密の生活(The Secret Life of Real Estate and Banking)』の出版17周年を祝う企画の一部にするつもりやったんや。この本、17年間ずっと静かに売れ続けてるベストセラーやからな。
ホンマはその話をするつもりやったんやけど、会話がすぐ独自の方向に脱線してしもてな。せやからフィルの仕事についてのポッドキャストからは外して、単独で出すことにしたんや。それぐらいええ内容やったから。
あ、インタビューの中で「フィル」って呼んでんのは、さっき言った本の著者、フィル・アンダーソンのことや。彼の理論はこの後のリンクから見れるから、ぜひチェックしてな。マイケルが言うてるように、これから経済的にエグい荒波が来る。自分や家族を守るために、フィルの考えは大いに役立つはずや。
それじゃ、前置きはこれぐらいにしてインタビューに入ろか。まずはマイケルに、今どんな仕事してるんかって聞くところからや。
マイケル: 今は自分で書いてる本を仕上げようとしてるとこやな。不動産を取り巻く環境がどう変わってきてるかを見てるんや。税制、不動産の借金負担の増加……今、不動産は「自分で住むための家」から、大きな金融機関(ブラックロックとかな)による「不在地主(貸家)」へと、アメリカやヨーロッパで構造がガラッと変わってもうてる。
ジョナサン: マイケル自身は、不動産に投資したりせえへんの?
マイケル: もうやってへん。自分のコンドミニアム(分譲マンション)を持ってるだけや。 ニューヨークで「大物」やない奴が不動産に投資するのは至難の業やで。家主と店借人の裁判所に行っても、小市民の味方はおらへん。ニューヨークは「イカサマ・ゲーム」なんや。不動産投資家連中は特定の弁護士を雇ってて、そいつが何千人もの家主を代表してる。
昔、店借人としてそいつとやり合ったことがあるんやけどな、裁判官や調停人が俺に有利なことを言い始めると、その弁護士は「別のクライアントがいるんで」とか言うて、別の裁判官を連れてきよるんや。
ニューヨークの不動産投資は、もう底なしに腐敗しきってる。1980年、世界貿易センターから1ブロックのマーレイ・ストリートにあるコンドミニアムを買う契約をしたんや。そしたら、あろうことかその担当弁護士が、自分のためにその物件を買い叩きよった。それで俺たちを追い出そうとしよったんや。もちろん訴えたで。
腕のええ弁護士を雇って訴えたら、今度は「スカデン・アープス(巨大法律事務所)に売ったわ」とぬかしよった。彼らはこの街で最強の家主や。スカデンも俺たちを追い出そうとしてきた。建物の他のユニットの所有者は4人おったけど、スカデンは俺を交渉の場に入れへんかった。俺の部屋は2階で、真下がピザ屋。俺の意志に反して勝手に貸し出したんや。そのせいで部屋の温度は常に30度(86度F)超えや。俺は5?6年、物件の移転を遅らせて抵抗した。その間、所有権を争ってたから家賃は1円も払わんかったけどな。結局、最後は売り払った。あんな熱い部屋に住み続けるのは無理やったからな。
建築局もな、店借人のためやなくて家主のために働いとるんや。俺は20億ドルも持ってへんから、政治家のキャンペーンに賄賂を送って検査官を動かすなんて芸当はできへん。結局引っ越したけど、これが幸運やった。そのすぐ後に世界貿易センターの飛行機テロが起きたからな。
建物だけやなく、近隣一帯が毒の空気と瓦礫で埋まった。コピー機もカメラも、動くもんは全部粉塵まみれや。強制的に引っ越させられたおかげで、俺はそれを免れたんや。まあ、これが「自分でアパートを買おうとしただけ」で経験した地獄や。
ほんまに略奪的な市場や。アダムズがニューヨーク市長選で勝てたのも、不動産をもっと手頃な価格にするって約束したからやろうけど、コッチ市長時代に作られた腐敗した裁判官や建築局を一掃できん限り無理やな。コッチ自身は腐ってへんかったかもしれんけど、周りを腐った連中で固めてしもた。彼らが選挙資金の出し手(イキり隊)やったからな。で、ジュリアーニがその腐敗を完成させた。投資に関しちゃ、素人が手を出すようなゲームやないんや。
俺にとって、不動産市場の性格が変わったことこそが一番重要や。今、ニューヨークの平均家賃は月4,500ドル(約67万円)超えやで。ここに住むためだけにどれだけの金がいるか、想像してみ。 家賃統制に対する反対運動も激しいし、家賃が上がりすぎて、もはや昔の不動産とは別物になってしもた。
せやから、俺は単なる「サイクル」で考えるのは好きやないんや。市場の「変質」を見たい。銀行が物件価格のほとんどを貸し付けるようになって、負債のレバレッジが上がることで、不動産価格がつり上がっていく。物件の価値っていうのはな、「銀行がいくら貸すか」で決まっとるんや。
つまり、俺に言わせれば不動産は金融部門の「副産物」なんや。不動産を独立したセクターとして見るんやなくて、金融部門の「デリバティブ(派生商品)」として見てるんや。
ジョナサン: なるほどな。フィルの予測では、18.6年周期のサイクルに従うと、2026年にピークが来て、その後に破滅的なクラッシュが起こる可能性があるって言うてるけど。
マイケル: それは十分にあり得る話やな。
ジョナサン: マイケルが2005?2006年に『ヴァニティ・フェア』で書いた予測と似てるな。
マイケル: 今起きてることを整理しよか。まず一つ、気候変動や。悪天候が増えたせいで、住宅の保険料が激上がりしとる。フロリダだけやなくて、ハリケーンや洪水がある中西部や南部もや。不動産経営はますます苦しくなっとる。
35歳以下の若者は、もう家なんか買われへん。買える余裕がないから、みんな賃貸や。そうなると、ブラックロックみたいな巨大なプライベート・キャピタル(民間資本)が主な買い手になる。
個人が家を買おうとすれば保険料は高いわ、住宅ローンの金利も上がっとるわ……。大企業のローンは別やけど、住宅ローンはきつい。アメリカでもヨーロッパでも、下位90%の国民にとって経済は縮小しとるんや。
最近じゃ、ネットやエヌビディアの株価だけ上がって、ダウ平均が下がるなんてことがずっと起きてるやろ。実体経済、特に個人の住宅購入者は家を持つ余裕がどんどんなくなっとる。結果、アメリカ人の持ち家比率は急落してる。特にニューヨークみたいな場所は、完全に家主が支配する経済や。
ジョナサン: 所有構造がどう変わってるか、リサーチの内容をもっと詳しく教えてくれるか。
マイケル: 大部分が「不在地主」、具体的にはブラックロックみたいな巨大金融会社が買い占めとる。 金利が(大企業向けに)下がった時、彼らは気づいたんや。昔は「借金して物件を買って、家賃で稼ぐ」のが普通やった。でも今は、不動産で儲けてんのは結局「銀行」やって分かってもうたんや。家賃は利息を払うためのもんや。
競合相手を出し抜くために、土地の家賃価値のほとんどを銀行への返済に充てるって約束した奴が競り勝つ。だから家賃が上がるんや。 巨大な投資会社は考えた。「うちらは大金持ってるから、全額キャッシュで買えるやん。会社自体で金を借りれば、物件に抵当をかけんでええ。そうすれば住宅ローンなしの完全なオーナーになれる。維持費も個人よりずっと安く済む」と。
こうやって彼らは個人を市場から追い出してきたんや。けどな、今はそのプライベート・キャピタルも窮地に立たされとる。国民全体の家賃支払い能力が落ちてきてるし、悪天候で保険料も上がっとる。そろそろ市場から手を引くかもしれんな。
ジョナサン: マイケルは歴史をめちゃくちゃ遡って研究してるな。フィルは1800年のハリソン法まで遡って225年分のリサーチをしてるけど、こういう歴史的な視点で市場を見ることをどう思う?
マイケル: 彼がそれを「土地サイクル」と呼んだのは面白いな。実態は「金融サイクル」やねん。不動産自体が上がったり下がったりしてるんやなくて、経済全体の負債、債権者と債務者の関係が不動産サイクルを作っとるんや。
人口が増えたからとかやなくて、金融の仕組みのせいや。不動産サイクルを、株式市場や鉄道株のサイクルと比較してみるとええ。フィルの言う年数に周期がある理由はな、借金が一定まで積み上がって、最後には「ポキッ」と折れるからや。その崩壊が危機を招いて、経済全体を巻き込む金融の急落に不動産が飲み込まれるんやな。
ジョナサン: 以前の対談で言うてたけど、資産価値のインフレが市場に流動性を生んで、それがさらに投機を煽って、結局クラッシュをデカくする……っていう話やな。
マイケル: せや、ある時点から完全に「ポンジ・スキーム(鼠講)」になるんや。2008年から2009年のクラッシュもそうやったけど、その後の展開が昔とは違った。 普通のクラッシュなら、債務者と一緒に債権者も潰れる。破産して借金がリセットされて、そこから回復が始まるもんや。
けど、2009年に就任したオバマ政権は「量的緩和」をやりよった。ゼロ金利政策で銀行システムに金をジャブジャブ流したんや。そのせいで借金のピラミッドと投機が「確実に儲かる方法」になってしもた。不動産価格の回復は、借金が消えたからやなくて、逆に「膨大な新しい借金」が作られた結果なんや。これこそがポンジ・スキームや。
新しい借金を作って、古い参加者に金を払う。インサイド・アウトの回復や。FRB(連邦準備制度理事会)が市場にゼロ金利の金を流し、長期住宅ローンを買い取った。ファニーメイ(連邦住宅抵当公社)に、住宅購入者の収入の43%までローンを組むのを許したんや。俺が1960年代に家を買った時は25%が限界やったのにな。
ジョナサン: それを踏まえて、今後数年の見通しはどうや?
マイケル: 2026年にクラッシュするっていうのは、筋が通ってるな。株価も上がりすぎてて、多くの人がクラッシュすると言うとる。サイクルやチャートを追ってる専門家もみんな「そろそろ来る」と言うとる。予定通り、2026年にドカンと来る可能性は高いわな。
ジョナサン: マイケルはいつも世間の常識に抗ってきたよな。
マイケル: 「常識」には二つあるんや。俺が同意する常識は、ウォール街の内部の連中が持ってる常識や。マスコミや新聞が言うてる常識は、その真逆、つまりただのプロパガンダやな。
金持ちや成功者が知ってる「現実の視点」と、被害者たちが信じ込まされてる「非現実の視点」の二セットがある。俺がどっちの味方をしてるかって話や。
ジョナサン: 不思議な話やな。マイケルは弱者を助けようとしてるのに、なんでウォール街の略奪者と同じ視点を持ってるんや?
マイケル: 俺はウォール街で働いて、経済の仕組みを学んだからや。1961?62年に貯蓄銀行信託会社で働いてた時、俺の仕事は住宅ローンと銀行預金の動きを追うことやった。3ヶ月ごとの配当で、預金が指数関数的に増えていく。ジグザグを描きながら増えるその金が、全部住宅ローンに回されるんや。
そこで分かったんは、不動産価格は主に「金融」によって決まるってことや。ニューヨーク大学の博士課程で、不動産が経済のカテゴリーとして出てきたことなんて一度もなかったで。大学じゃ経済は全部均一なもんとして教えられる。不動産や金融セクターが、産業セクターとは全く別物やってことは教えへんのや。
その後、チェース・マンハッタン銀行で働いた時、そこには社会主義やマルクス主義のバックグラウンドを持つ経済学者のグループがおった。定期的に集まって議論したもんや。ウォール街は俺らの政治信条なんて気にせえへんかった。「俺らの言うことが当たってるか、間違ってるか」だけが重要やったんや。
大学は逆や。「正しいか、間違ってるか」より、「大学のイデオロギーを信じてるか」を気にしよる。俺はアカデミアよりウォール街の方が、思想的にオープンやと感じた。
その後、ハドソン研究所とかで、金融部門がいかに経済を二極化させ、上位10%が残りの90%を貧困と借金漬けにしてるかを研究した。不動産はその中核や。アメリカ、イギリス、オーストラリアの銀行融資の80%は不動産向けや。工場を作るための融資やなくて、すでにある物件に対する融資なんやな。
ジョナサン: 銀行は担保があるもんにしか貸さへん、と。
マイケル: 1980年、ニューヨークのロウアー・イースト・サイドにある自宅のローンを借り換えようとした時の話や。そこは当時スラム街やった。チェース・マンハッタンから鑑定士が来たんやけど、そいつは「外のプエルトリコ人に車のタイヤ盗まれてへんか」ってそればっかり気にしてた。俺はそこを4万5千ドルで買ったんやけど、銀行は「そんなとこにこれ以上貸せへん」と言いよった。ところが1ヶ月後、そこを22万ドルで売りに出したんや。
銀行はそのエリアを「レッドライン(融資拒否地域)」に指定してた。なんでかって? 巨大資本が安く買い叩いて、一気にジェントリフィケーション(高級化)するためや。オバマがシカゴの黒人居住区でやったのと同じやな。近隣をぶっ壊して、金持ちクライアントのために数十億ドル稼ぐ。それがロウアー・イースト・サイドで起きたことや。
俺は隣のビルを1万2千ドルで買って、店借人に1フロア2千ドルで売ってコンドミニアムにしようとした。当時の家賃は月40?50ドルやったけど、今は月2,500ドルや。床の価値も25万?30万ドルになってる。けど当時は誰も信じへんかった。「不動産がそんなに上がるわけない」とな。
1980年代の現象は、賃貸物件をコンドミニアムに変えることやった。投機家が1%の自己資金と99%のローンでビルを買う。で、店借人に「コンドミニアムとして買わへんか? 買わへんなら家賃を数千ドルに上げるで」って脅すんや。これで家主クラスは投資を100倍にしてマルチミリオネアになった。これはサイクルを超えた「市場構造の変化」なんや。
ジョナサン: ウォール街の強欲な投資家と同じ視点を持ってるマイケルから見て、リスナーが知っておくべきことは他に何かあるか?
マイケル: 俺らは彼らのやってることを分析してたけど、俺ら自身は金持ちやなかった。ただの統計家や。でも、不動産や株のゲームが「ぼったくり」で「フリーランチ(タダ飯)」やとは分かってた。経済の本質はタダ飯を食うことや。ミルトン・フリードマンは「タダ飯なんてない」と言ったけどな。
誰も議論せえへんけど、「経済的レント(不労所得)」の概念が重要なんや。自分が働いて稼ぐ「勤労所得」と、寝てる間に地価が上がって儲かる「レント」は全く別物や。でも、今の経済モデルやGDPの計算には、その区別がないんやな。
ジョナサン: 深いな。次の本はいつ出るんや?
マイケル: 十字軍から第一次世界大戦までの、金融部門がいかにヨーロッパや世界の政治を変えてきたかっていう本や。初稿は書き上げたで。アダム・スミスやミル、マルクスたちの古典派経済学は、本来「地主階級から市場を解放して、レント(不労所得)をなくす」ためのもんやった。そうやってコストを下げて、イギリスやフランス、アメリカが他国と競合できるようにしようとしたんや。
でも、ヨーロッパの投資家が海外でやったことはその真逆や。鉱山権や土地、インフラの独占権を手に入れて、レントを吸い上げる構造を作りよった。これが、発展した工業国と、レントに搾り取られて発展できない周辺国の格差を生んだんやな。
ジョナサン: 最近はプライベート・エクイティ(PE)が保険会社を買い漁ってるよな。イギリスでも保険会社がまともに金を払わんようになってきてる。危機が起きた時に保険なんて意味あるんか?と思ってまう。この状況、どうやったら抜け出せる?
マイケル: 保険会社が手っ取り早く儲ける方法は「倒産すること」や。ライバルより安く保険を売って、客を集める。特にハリケーンが来そうな地域の客をな。で、金を集めるだけ集めて、いざ災害が起きたら「配当や経営陣の報酬、自社株買いでもう金は残ってへんから、うちら破産しますわ」と言うんや。
俺の同僚、ビル・ブラックの本のタイトルを借りれば、「保険会社から金を盗む一番の方法は、保険会社を所有すること」やな。彼らは最初から借金を払わんつもりでおる。後始末は政府か、悲惨な目を見る顧客に丸投げや。
ジョナサン: 年金基金もPEに買われてるよな。システム全体が脆くなってる気がする。
マイケル: 唯一まともな方法は、ドイツみたいな「賦課方式(その時の現役世代が払う方式)」や。年金を金融市場で運用しようなんて考えるのが間違いの始まりや。1960年代には「年金基金資本主義」なんて呼ばれたけど、結局その金が株価を吊り上げてるだけやからな。
今、株価がクラッシュすれば、普通は50%ぐらい下がる。ダウが4万8千ドルなら2万4千ドルまで落ちる。そうなれば年金基金は約束した額を払われへんようになる。受給者は一文無し、でもファンドマネージャーは巨額の手数料をポッポに収めて逃げ切りや。
金融部門は本質的にぼったくりなんや。だから中国みたいに、金融や不動産は公共セクター(国有)にすべきなんやな。税制も、労働や産業に課税するんやなくて、土地のレントに課税すべきや。
金融セクターは「短期的」な利益しか見てへん。いつかクラッシュするのは分かってるから、「その前にいかに吸い尽くして逃げるか」しか考えてへんのや。投資家の中には、自分が勝つ喜びより、他人が負けるのを見て喜ぶような反社会的な奴もおる。
ジョナサン: 衝撃的な話やな。マイケル、本が出たらまた教えてや。じっくり読んでまたインタビューさせてな。
マイケル: こういう議論は大好きや。新しい問題の切り口が見えてくるからな。今日はええ話ができたと思うで。
ジョナサン: ありがとう。リスナーの皆さんも最後までおおきに。詳細はウェブサイトを見てな。それじゃ、また。


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