2026年10月25日日曜日

ラリー・C・ジョンソン :安心しいや、ただの「ステロイド打ったエクソン・バルディーズ」やで

2026年10月24日

ペルシャ湾からええ知らせや。戦争があんまり順調に進んどるもんやから、海そのものが戦いに加わってきよったで。ワシントンの専門家らがミサイルの数やら石油の値段(金曜のブレントが115ドルあたりや、ホワイトハウスに今でもチェックしとる人がおったらの話やけどな)で議論しとる間に、実際にペルシャ湾の現地におるカール・ミラーが、今週わしにメモを送ってきたんや。ブリーフィングルームの連中は誰も読んでへんようなメモやで。世界の原油タンカー船団の被害を甘く見たらあかん、ほんで、今ペルシャ湾全体とオマーンの海岸沿いに広がっとる汚染も甘く見たらあかん、て彼は書いとった。「ステロイド入りのエクソン・バルディーズや」て彼はわしに言うた。「これは、それ自体で大惨事や」てな。

けど、まあ大丈夫やろ。おもろ半分で、数字を見てみよか。

配達トラックを撃ちまくっとる

英国海事貿易作戦センター(UKMTO)の集計では、今年、被害を報告した船舶はもう119隻、死傷した船員は77人にのぼっとる。10月は記録的な月になりそうや。ブルームバーグの集計では、最初の2週間だけで、ホルムズ海峡かその近くで少なくとも23件の船舶への攻撃があって、そのうち少なくとも5件は機関室への攻撃や。海事業界で言うたら、膝を撃たれるようなもんやな。先週は2隻が沈んだ。9月には、タンカーのカイロとリエスコの2隻がもう沈んどる。「航行の自由」て言うたら、航行できる海底がある、ちゅうことくらいしか思い当たらんわ。

10月9日には、誰かが、UAE沖のウンム・アル・カイワイン付近で、30万2783トンの超大型原油タンカー(VLCC)、ジェム・ナンバー2に穴を開けよった。10月22日には、イランが、船から船への積み替えをやっとった船にさらに4回命中させた、と主張した。テヘランの新しい「ペルシャ湾海峡庁」は、名前だけ聞いたら港湾委員会みたいやけど、やっとることは銃殺隊や。その庁が言うには、「違反」船のリストに122隻載っとるそうや。ある石油ブローカーはブルームバーグに「VLCCが1隻やられるたびに、重大な影響が出る」と言うた。そらそうやろな。

1隻に8つのバルディーズ

ペンタゴンの皆さんに、ちょっとした算数や。エクソン・バルディーズは、1989年にプリンス・ウィリアム湾に約25万7000バレルの石油を流した。ほんで、アメリカ人は今でもその話をしとる。VLCC1隻は、およそ200万バレルを積んどる。ちゅうことは、ペルシャ湾にいる超大型タンカー1隻1隻が、ドローンを待っとる、おおよそ8つ分のエクソン・バルディーズやっちゅうことや。しかも、ペルシャ湾は、浅くて、ほぼ閉じとって、水の循環がひどく悪い風呂桶みたいなもんや。入ったもんは、入りっぱなしになる。ステロイド入り、とは、よう言うたもんやで。

もう予告編は始まっとる。今週、UAEはウンム・アル・カイワインのビーチを閉鎖した。長さ22マイル超、面積60平方マイル超の油膜が、ホール・アル・ベイダ半島に打ち上げられたんや。UAEは、見事な控えめさで、その石油は「月初めに攻撃されたVLCCから出た可能性が高い」と言うた。漁師らには、魚に近づかんようにとの注意が出とる。

海岸を下ったオマーンでは、タンカーのキャロライン・ベゼンギが居座っとる。約80万バレルを積んどって、6月8日に正体不明の爆発を起こして、乗組員に見捨てられて、漂流した末に、よりによってキブリヤ島近くの海洋自然保護区に座礁したんや。ザトウクジラとソコトラウの生息地やで。6月の終わりに漏れ始めて、8月までに、油膜は何百平方マイルにも広がった。クジラらには相談もなかったわけや。海の向こうでは、イランも、ケシュム島沖で自分とこの原油流出を片づけとる。みんな、お土産をもらえるっちゅうこっちゃ。

飲み水なんか、いらんのかいな?

ここからがおもろいとこで、戦争の計画担当者らが飛ばしとったみたいな話や。アラブの湾岸諸国は、海から石油をくみ上げるだけとちゃうで。海そのものを飲んどるんや。CSISとアトランティック・カウンシルがまとめた数字によると、海水淡水化が、カタールの飲み水の約99%、バーレーンの90%超、クウェートの約90%、オマーンの86%、サウジアラビアの70%、UAEの42%を賄っとる。湾岸6か国は、約3400の淡水化プラントを動かしとって、これは世界の能力の3分の1や。ほんで、湾岸の淡水化水の90%超は、たった56のプラントから来とる。何が起きるっちゅうんや、なあ?

淡水化プラントには、ちょっとした設計上のクセがあってな。きれいな海水が要るんや。油膜が取水口に届いたら、プラントは止めるか、膜やフィルターをダメにする覚悟をせなあかん。この実験は、前にもやっとる。1991年に、サダム・フセインが北部ペルシャ湾に石油を流して、クウェートの淡水化能力をぶっ壊したんやけど、クウェート人らは、水道水が週に4日しか出んで、残りはトラックで運ばれとった。2008年から2009年にかけての、ありふれた藻類の大発生でさえ、オマーンとUAEのプラントを最長2か月止めたんや。8つ分のエクソン・バルディーズが何をやらかすか、想像してみい。

ほんで、バックアップの計画は? UAE自身の水の安全保障計画では、通常の需要で、貯蔵してある供給量は約2日分や。2日やで。淡水化にいちばん頼っとる国々、バーレーン、クウェート、カタールには、アナリストらが丁寧に言うところの「貯蔵不足」がある。プラントは、もう直接やられとる。3月のバーレーンへの攻撃では、最大30の村への水の供給が止まった。クウェートとUAEも、被害を報告しとる。つまり、戦略はこうらしいんや。淡水化プラントの取水口だらけの浅い海で、タンカーを撃ち続けて、風がええ方向に吹いてくれるのを祈る、と。湾岸の夏に、水のない都市は、経済的な不便どころとちゃう。避難や。

超大型タンカー:今や宇宙旅行並みのお値段

そうこうしとる間に、世界は、船がないと石油は実際には運べん、ちゅうことに気づいたんや。そんなん誰が知っとったんやろな。1月の初めには、中東から極東への基準航路でVLCCをチャーターするのに、1日あたり約3万ドルやった。10月の初めには、ポテンによると、1日130万ドルや。43倍っちゅう、ささやかな上昇やな。10月8日には、1日140万ドルっちゅう記録を打ち立てた。今月の数日間は、ブルームバーグが指摘したとおり、超大型タンカーを借りるほうが、ロケットを宇宙に打ち上げるより高かったんや。運賃だけで、今や1バレルの届け値に約33ドルが乗っとる。1月は1.73ドルやった。

なんでかて? ひとつは、もともと予備の余裕が全然なかった船団から、船がどんどん沈められて、焼かれて、修理ドック送りになっとるからや。ひとつは、ホルムズが制限されとるせいで、タンカーがオマーン湾で、船から船へ石油を移し替えながら行ったり来たりしとって、ヴィトールのトップが「えらい効率が悪い」と言うて、そのあとに「船が、全部に行き渡るだけは、ほんまにないんや」と述べたような状況やからや。ほんで、ひとつは、船主らが、イランが標的リストを持っとる海域に、1億ドルの船に200万バレルの原油を積んで入っていくことに、不合理なためらいを持ち始めたからや。腰抜けどもやで、全員な。

ほんで、勝者は……

さあ、オチや。ミラーからの贈り物やで。煙が晴れた時に、海の上でいちばんええ位置におるのは、ロシアになる。何年も、ワシントンとブリュッセルがロシア産原油に制裁をかけるのに忙しかった間に、モスクワとその友人らは、静かにタンカーを買い集めとったんや。ほとんどが古い中型船で、いわゆる「影の船団」を作ったわけやな。ウクライナ政府は、2月の時点で1337隻を数えとった。西側の首都は、それを制裁逃れのネットワークと呼んどった。突然タンカーが足りへんようになった世界では、それは「船団」って呼ばれるんや。

ほんで、西側は、もう這いつくばって頼みに来とる。3月には、米財務省が、「世界のエネルギー市場の安定のため」に、拘束されたタンカーに載っとるロシア産原油の販売制限を、一時的に解除した。今月は、アメリカ合衆国の大統領が、自らロシア産ディーゼルを買う取引を交渉した。4年間の制裁のあとに、プーチンに燃料をお願いしとるんやで。お見事や。

公平を期して言うとくと、影の船団にも、それなりの魅力はある。オマーンの自然保護区に漏れまくっとるタンカー、キャロライン・ベゼンギは、ロシアの船のひとつやと思われとる。古くて、所有者が不透明で、大方の話では、誰かのいとこが保険を引き受けとるらしい。ちゅうことは、影の船団は、ロシアの切り札であると同時に、誰も責任を取らん、海に浮かんだ環境の時限爆弾でもあるわけや。当然、そのツケは、モスクワやなくて、オマーンとUAEの浜辺に回ってくる。

ほな、振り返ってみよか。わしらは、世界の超大型タンカー船団を撃ちまくった。ペルシャ湾とオマーンの海岸を、油まみれの風呂桶にした。何千万もの人の飲み水を、風と、数本の海水取水口のなすがままにした。ほんで、ワシントンが4年かけて消してしまおうとしとった、まさにその1国に、予備のタンカーの最大のストックを渡してもうたんや。ミラーは、世界のそれ以外の国々にとっての結末を、ファミリー向けの出版物には載せられへん一言でまとめた。言い換えるとこうや。この件が落ち着いたら、ロシアが一番上に立っとって、わしら残りは、どっぷり深いキムチ漬けや。任務完了、ちゅうわけやな。

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