2016年12月11日日曜日

トランプ経済政策:シェアホルダー資本主義からステークホルダー資本主義への転換

またまたカイザーレポート。
http://www.maxkeiser.com/2016/12/kr1004-keiser-report-trump-the-politics-of-jobs/

 ビジネスインサイダーが要領よくまとめたトランプ氏の経済政策を、マックス・カイザーとステイシー・ハバートが要領よくまとめてくれています。

要するにこれは、未だかつてアメリカ経済市場であり得なかった、シェアホルダー資本主義からステークホルダー資本主義への転換ではないか、ということです。
シェアホルダー資本主義とは、大多数の株式会社が「会社は株主のものである」という考え方のもとで経営される社会で、アメリカではふつうの考え方ですが、このせいで雇われCEOは四半期ごとの配当しか考えない異常な形態がふつうになってきました。それどころではなく、従業員ではなく株主を優先する考え方のもと、コストカットといえば工場を賃金の安い外国(たとえばメキシコ)に移して失業者を増やし、賃金の安い国からの輸入を自由化します。(TPPも目的は同じ。)結局のところ、自由貿易の旨みは1%の持てる階級が独占し、95%の労働者は仕事を失うだけ、ということになってきました。
いっぽうのステーキホルダー資本主義とは、従業員もステーキホルダーなので、仕事を賃金の安い外国に移すようなことはしない、という考え方です。

マックス・カイザーはいいます。
「ステーキホルダー資本主義はドイツがやってきたことで、そのドイツは中国にやられている。」やられている・・・というのは、中国が莫大なキャッシュでドイツのハイテク企業を買収していることをさしています。
「そして日本からタダ同然のコストで資金を調達している。」
まさにそのとおり。世界経済での日本の立ち位置というのは、比較的安全かつコストがタダ同然の資本を調達する(だけの)場所、ということです。

マックス・カイザーはつづけます。
「しかしどうかね?いままで労働者は仕事を奪われたり、安い賃金で使われてきた。政府の自由貿易政策のおかげで、中国から輸入したチープなものをウォールマートで買い、遺伝子操作で増産されたチープな食料を食べさせられてきた。トランプの経済政策で、仕事がアメリカにもどってきたら高コスト構造になるんじゃないか?」

ステイシーはいいます。
「みんながみんな資産持ちになって株に投資したいわけじゃないし、ホワイトカラーのエリートになりたいわけじゃないのよ。工場であたりまえのふつうの仕事をして、給料で家族を養い、金曜に仕事が終わったらパブでビールを楽しむ。そんなふつうの仕事がほしいだけなのよ。だからトランプに投票したんじゃないの。」

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今回のカイザーレポートには、日本にとっても大切な示唆がふくまれていると思います。


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