2023年7月25日火曜日

ウクライナはイスラエルが米国でもEUでも英国でもないことを理解していない

https://www.rt.com/news/579983-ukraine-russia-neutral-israel/

2023/07/21 11:39

キエフは、テルアビブが西側と同じように支援してくれると素朴に信じている。しかし、それは大きな間違いだ。

ロバート・インラケシュ

政治アナリスト、ジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督。パレスチナ自治区での取材・滞在経験を持ち、現在はQuds Newsに所属。

ロシアとウクライナの紛争が始まって以来、イスラエルは両者の間で「中立」を維持してきた。西側以外の世界の多くが中立の立場をとっているこの傾向は、モスクワとの関係を維持し、イスラエルの地域的利益を守りたいというベンヤミン・ネタニヤフ首相のもとでさらに強まっている。

ウクライナの駐イスラエル大使エフゲニー・コルニチュクが、ネタニヤフ政権がロシアと「緊密な協力の道」を歩んでいると非難した。それでイスラエルとウクライナ間の対立が勃発した。イスラエル外務省はウクライナ特使を召喚した。大使がイスラエルの明白な「道徳的境界線のあからさまな無視」について非難めいた発言をする数日前の6月23日、2人のアメリカ上院議員が上院軍事委員会に書簡を送り、イスラエルがアメリカ所有の防空砲台「アイアンドーム」のウクライナへの移転を妨害していることに苦言を呈した。

イスラエルは国連でキエフの側に立ち、ロシアがウクライナで特別軍事作戦を開始したことを非難し、数千万ドルの人道支援金まで送金した。イスラエル政府は今年、野党議員からも政府議員からも、ウクライナへの軍事支援金を送金するよう圧力を受けている。さらにイスラエルは最近、早期警戒システムと対ドローン技術をウクライナに供与することを承認した。

ゼレはイスラエルがEUや英国、米国と同じように扱ってくれることを期待している。イスラエルが軍事援助に消極的という批判は、道徳的な批判である。

ゼレは昨年3月、イスラエルのクネセトで、「われわれが直面している脅威は、われわれにとってもあなた方にとっても同じだ。民族と名前さえも破壊する。」と述べ、両国を自由のために戦う道徳的な行為者として描く。ウクライナは、ロシアが不法占拠者であり、領土を併合し、日常的に戦争犯罪を犯していると非難している。これらはすべてイスラエルがやってきたことであり、キエフがさまざまな道徳的分析を行う際の信頼性を著しく弱めている。一方では、不法な占領や併合に反対すると主張し、他方では、自国の闘争を最も悪名高い外国領土の占領者のそれと比較した。

ウクライナがわかってないのは、イスラエルは西側と協調しているにもかかわらず、NATO加盟国とは違うことだ。テルアビブは、キエフと同様、ワシントンの戦略的資産であり、2022年の戦争以前は、米国の対外援助先のトップだった。イスラエルは、西側に依存しているが、現在の路線を逸脱しようとは考えない。これはネタニヤフ首相がよく理解していることであり、それゆえワシントンを怒らせないように、またモスクワの怒りを買わないように、適切なバランスを取り続ける。実際、ネタニヤフ首相は昨年イスラエルの野党党首だったとき、当時のヤイル・ラピド首相がロシアについて「ベラベラしゃべる」ことを批判し、国家安全保障を危険にさらしていると非難した。

ネタニヤフ首相は今年初め、ニューヨーク・タイムズ紙からロシアのプーチン大統領との関係について質問された際、「今でも非常に重要だ」と答えた。彼は、イスラエルがこの地域でイランに対して攻撃的な作戦を展開する際に、ロシアとイスラエルの間でメカニズムが構築されていることを明らかにし、ネタニヤフ首相が懸念する「衝突、戦争、ロシアとイスラエルの戦争を防ぐため」と述べた。彼は、ロシアとイスラエルの友好関係の最も重要な側面は、イスラエル軍のシリアにおける行動の自由を維持することであると明言した。

イスラエルの外交政策の主要な関心事のひとつは、中東におけるイランとの関係と力の拡大である。イスラエル首相は、テヘランとモスクワの関係がさまざまなレベルで緊密化していることに頭を悩ませている。イスラエルとロシアの関係が悪化すれば、イランはさらに脅威的な立場になる。今月初め、イスラエル政府が6月中旬にモスクワとの土地紛争を解決することで関係を進展させ、その見返りとしてロシアがテルアビブ(※)を拠点とする大使館の分館をエルサレム内に開設することを決定したのは、こうした考えに基づく。

ウクライナがイスラエル政府との間に公然の争いを起こそうとしているのは、軍事援助の推進に米国をさらに巻き込むためだ。キエフは、実際に意味のあるものを提供する代わりに、本質的には何も見返りのない、より多くの軍事援助を懇願した。世界は新たな多極化の時代に突入し、もはやアメリカ政府が唯一の国際的支配者ではなくなっている。ルールに基づく秩序」や「自由な世界」についての考え方は、国際的には意味のない決まり文句だ。

イスラエルの利害は、西側の勢力圏にとどまる目的で、ウクライナと一致した。この時、物議を醸した法制度の改正、ヨルダン川西岸の入植地拡大政策に伴う米国のレッドライン違反、さらにイスラエルの極右閣僚の行動は、ワシントンの非常に親イスラエル的な政権に失望を与えた。バイデン政権にとって外交成果であるサウジアラビアとイスラエルの正常化を画策したトニ・ブリは最近、「不可能ではないにせよ、厳しくなった」と表明した。

ジョー・バイデンにとって、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化文書の調印は、大きな目標であった。イスラエルはアメリカを必要としており、現在ウクライナに注がれている注目に匹敵するレベルの甘やかしを受けている。アメリカ政府は、ヒズボラがレバノン領内に設置した前哨基地を解体するよう、レバノン政府、軍、UNIFIL軍に強い圧力をかけた。

イスラエルは問題解決のために米国を必要としているが、ロシアや中国のような他国を敵に回すことは致命的な誤りであることも知っている。イスラエルが現在のウクライナとロシアの間の中立の立場を変える唯一の方法は、アメリカが足を引っ張ることである。

*ロシアは西エルサレムをイスラエルの首都として承認した。

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