2017年3月7日火曜日

カイザーリポート 第1039回 アメリカのファイナンシャル中毒症

eiser Report: Financial Toxicity in the US (E1039)
 https://www.youtube.com/watch?v=D7_5lyGAs2E

ステイシー「いま全米の市役所前でデモが行なわれている。おもしろいのは茶会(ティー・パーティー)のときと似ていること。茶会って2006年〜2009年ごろだったっけ?今のデモは民主党がオバマケア:手の届く健康保険法案を止めるな、っていう。今日紹介するのはオバマケアを続けろっていう主張がなんでアホなのか?そしてオバマがメディケア(老人健康保険制度)をすべての人に拡大するかどうかという議論を、いつのまにかヘリテージ基金による右翼政策に換骨奪胎してしまったことを紹介した記事。数ヶ月前のヘッドラインから。」
記事
ヘルスケアと製薬会社の経営者たちの報酬はすべての業界のなかでトップ。
グラフ
どのセクターの経営者の報酬が高いか(あるいは低いか)

ステイシー「ヘルスケアの経営者の報酬は最速最高なのに提供されるサービスはといえば・・・」
記事
オバマケアの2017年政府補助金は100億ドル
記事
ACA (Affordable Care Act:医療保険改革法案)のもとで医療費破産が止まらない

ステイシー「これってどういうことよ?」
マックス「医療費破産が止まらない・・とな」
ステイシー「すこしはマシになったけれど、未だに数十万人が医療費のせいで破産している。」

マックス「人は病気になるわな。それで病気になるととんでもない費用を請求される。経済法則も規制監督当局もバイパスして国と契約したヘルスサービスプロバイダーが、こいつら吸血鬼なんだ。アメリカはエコノミック・ヴァンパイヤの住むトランシルバニアだ。こいつらが政府にロビー活動をして、アダム・スミス以来築き上げてきた成果をぜんぶひっくり返すような自由市場主義的法案を通させる。病人からきっちり利益を上げるような独占体制をつくって、吸血鬼というか常駐というか寄生虫がありったけの金を吸い上げた。それがすごくうまくいっている。これはヘルスケアじゃないし、何の関係もないところで行なわれている。」

ステイシー「いまやヘルスケア市場はアメリカのGDPの17.8%を占める。これをグローバルレベルで比較すると、ガソリンスタンドに行列ができるロシアのエネルギー業界はロシアGDPの16%。アメリカでは病院に行列ができて17.8%。2015年にみんなが病院、薬、麻酔薬とかに並んだ結果の数字。」
マックス「イギリスじゃ(医療保険制度は)国営化して14%くらいだ。」
ステイシー「いやいや、たしか9%を切っていたはず。メディケアだったら10%程度だった、っていうのは上限が決められていたから。いまや医療費の34%が政府補助金。」

マックス「国家としての非常事態だな。待ち時間が倍になったら監獄なみだ。みすぼらしい格好で緊急医療室でスパゲティ状態にされたら、コネチカットに住む医療企業の社長が数百万ドルの報酬を得るってわけだ。まるでプランテーションじゃないか。コットンプランテーションで働いたら肌が荒れるよな。怪我をするかもしれない。いっぽうでコネチカットやらニュージャージー(の高級住宅街)に住む農園主がいる。フェースブックなんて人民を飼っているようなもんだ。ヘドが出るぜ。」

ステイシー「コネチカットのハートフォードね。住んだことがあるから、4千万ドルの豪邸を見たことがある。政府はメディケアとメディケイドを通じて医療費の34%を支払っている。当初は目ディケイドを無保険の1700万人にまで拡大するっていう話だったから、いまになって何が問題なのかわからない。」

マックス「GDPの34%?」
ステイシー「GDPの17.8%。」
マックス「えーと、GDPは3.2兆ドル。それならアメリカ成人男性全員が看護婦を雇えるっていうことだな。」
ステイシー「男にはメイドが必要ってか?ニール・ヤングのハーベスト・ムーン。」
記事
吐き気やむかつきだけじゃない。癌治療医はファイナンス中毒を憂慮
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癌ジャーナルによると元癌患者9千人と癌歴のない12万6千人を対象とした調査の結果、若年癌患者の3人に1人が経済的困窮から処方薬を服用していない。

ステイシー「特に白血病が問題。白血病は薬で9割完治するけれど、薬を飲まなければほぼ死ぬ。この調査のポイントは『若年癌患者』っていうところ。老人なら死亡率も下がるし破産もしない。メディケアがあるから。制度はすでにあるんだ。オバマケアとか民間健康保険にくらべて破産する確率も死ぬ確率も低い、っていうことになる。」

マックス「デディス・キャシディが満面の笑顔でワン・ペイ・プランっていってたよな。バーニー・サンダースはバーモントかどっかに住んでいて改革派を気取っているけれど中身は身売り転向者だ。」

ステイシー「数百万人の民主党支持者がオバマの説得に応じて、政府補助が出ない分を自分で負担しなきゃならないのに、その人たちの多くはメディケイドじゃないし、若いからメディケア対象者じゃないのに路上でデモをしている。シアトルのフレッド・ハッシュスト癌研究所の調査では、癌患者で破産した人は79%の確率で死亡する、と。」

マックス「古い制度でメディケイドとかオバマケアで補助金を受け取っていた医療機関のトップどもは泥棒。いわば、財産がいっぱいある家に忍び込もうとするんだけどセキュリティーがしっかりしているから忍び込めなかった。でも中には家財道具を盗まれてしまう無防備な家もあった。アメリカはコネチカットに住んでいるファイナンス市場の泥棒たちに補助金を出していて、やつらはオバマとかクセネッジとかサンダースみたいな腐敗した政治家とつるんで盗みを働いている。これは窃盗であり犯罪である。銀行業界ではごくふつうに最大化っていうのをやっている。つまり年金をヘッジファンドマネージャーに運用させるんだ。これは他人の金をコネチカット州スタンフォードに住むやつらに送るというシステムなんだ。道理でコネチカット州が豊かなわけだ。大泥棒の人口密度が高いんだからな。」

ステイシー「南部はイリノイに次いで破産状態だよ。ヘッジファンドとか保険会社の大金持ちが税金を払わないから。さて癌統計にもどると、最初の1200ドルは自己負担という患者の破産率=死亡率が高い。オバマケアのゴールドプランでは自己負担学が1500ドル。つまり破産一直線。」

マックス「年間12000ドルたらを医療保険に支払っている身として、いちど病気になってみないといけないな。コネチカットは炭鉱法でもっともクリーンだそうだから。ハービー・マンのフルートみたいにクリーンなんだ。」

ステイシー「オバマケアを守れってデモをしてる民主党支持者のことだけど。」
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ACAの初期、2011年から2014年でわかったこととして、オバマケアは癌患者に対し救済策を提供していないことがある。65歳以上の癌患者はメディケア対象であるが、癌でない患者と比べて処方薬を買わない割合が非常に高い。

マックス「保険会社にプレミアムをかけてみんなで金を取りに行くべきなんだ。不幸なことにちかごろはそうもいかないが。不幸なことだ。」
ステイシー「今日はこれまで。」

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後半のゲストはクリス・マーテンセン。経済関係の本をたくさん書いている。

マックス「議論の基本について確認したいんだけど、繁栄ピークっていうのがまるで信用ピークやらエネルギーのピークみたいに出てきて、要するに地球も人間も過去におこなったこと、今後行おうとすることについてピークを迎えている、っていうことだけど、これは今を形容するにぴったりなのかな?」

クリス「ほぼピーク、じゃなくてピークそのものだな。我々の時代は資源が豊かで幸せだったけれど、この有限な地球の資源をうまく使っていかなければいけないということでもある。今ピークなのでこれからのマネジメント次第ということだと思う。」

マックス「地球の資源は有限だけれどネオリベは紙幣は無限に印刷することができるという。これこそがバブルの母であり、トップにいる人間たちが紙幣大増刷と一心同体だ。」

クリス「それは人間の本性なんだ。ローマのアウレリアヌスもドイツのワイマール時代もベネズエラもそれで困ったことになったんだ。フリーランチ:他人のおごりで昼飯ってやつだ。つまり、繁栄を印刷することはできない。みんな中銀が貨幣をどんどん刷れると思っているけれど、じつのところ繁栄は印刷できない。年金ファンドマネージャーがなんで悩んでいるかというと、ゼロ金利だから。(ゼロ金利も)連銀がやるから各国中銀がみんなやる。それでパーティーを長引かそうとしているんだ。これが諸悪の根源だ。70年台後半からずっと同じことをやってきた。つまり、信用拡大を景気拡大の2倍の率で永遠にやりつづける、っていう。小学校6年生だってできるそんなの無理なのがわかる。裸の王様状態なんだ。」

マックス「紙幣増刷。信用創出。流動性倍倍増。これでGDPを増やす。これがじつは破滅への一直線なんだけど、別の観点から考えれば、君も言っていたような窃盗行為が行なわれている。年金(運用)はふつうな5%とか6%の利率で満足してるんだけれど、連銀がゼロ金利政策をとっているので、(利率で稼げないから)その金をウォール街の投機屋にまかせてバブルがさらに脹れる。さらにギリシャみたいな国が標的にされて資産が盗まれまたバブルが脹れる。これはどう思う?」

クリス「第1のポイントがとても重要だけれど、誰も語っていないところだ。連銀は繁栄を印刷することはできない。オックスファムによると、上位62人が下位35億人の総量と同じ富をもっている。今年はそのトップの人数が8人になった。なんでそうなったかというと、ふつうの働く人たちの貯金を、連銀や各国中銀が金を移動させたんだ。さっきもいったように中銀は繁栄を印刷することはできないけれど、動かすことはできたんだ。いいかい?つまり労働者、退職者、おばあちゃんの貯金をメガバンクや投機屋に移動させたんだ。連銀・中銀はいいアイデアと思ったんだろうけれど、こんなひどいことはない。ジャネット・エレンは地球上でもっとも有害なクソババアだ。」

マックス「経済学者は経済モデルやら金利について、過去のいろんな厖大な本を参照しつつ語る。同時に銀行システムで、アメリカで、世界中で犯罪が横行している。たとえばHSBCのドラッグマネーのローンダリング。イギリスでもアメリカでも詐欺が横行していて、JPモルガンは数十億ドルを罰金として支払った。詐欺のコストが下がっているよね。JPモルガンなんて再々犯だ。政府は詐欺行為・非合法行為をやめろといいつつ金利を下げる。(金利が低いから低コストの)詐欺資金がまた手に入る。つまり詐欺ビジネスモデルが成立しているんだ。それで(銀行の)本来業務がどうでもよくなる。」

クリス「詐欺そのものも、詐欺っぽいっていうのも含めて、つまり元手をかけずに利益を得る行為と定義できる。じつは私の祖先が銀行家だったんだ。6代くらい前かな。北部ニューヨーク州でビーバーの毛皮で大儲けして銀行を作った。だから言うんだけれど、銀行ビジネスはリスクがあるのに報酬は少なかった。だから経済全体の4%くらいしか占めなかった。それがいまや40%を占めている。オバマ政権になってから銀行は大きすぎて潰せないといわれるようになった。同じように、詐欺的行為も大きすぎてやめられないし、詐欺をやらなければシステムそのものが機能しなくなった。詐欺列車を誰も止めることができない。大衆はそれに気づいているからこそ、マリー・ル・ペンが支持される。ギリシャでもそう。イタリアもじきにそうなる。そしてトランプ当選。99.99%の人々は感づいているからね。経済的な意味での酸欠状態だから。もうこれ以上の拡大はできない。だいいち資源がない。これからの将来はいままでと全然違う。私はそれをひとりでも多くの人々に気づいてほしいんだ。資源がなくなったのに詐欺的行為だけはいままでどおり続けられている。それが深刻な政治的を生んでいる。」

マックス「詐欺っていうのが副産物じゃなくてシステムそのものになってしまった。ウディ・アレンの古いジョークであるよね。『先生、弟が自分は鶏になったと言うんです。』医者が『とりあえず薬を処方しよう。』『いや、薬じゃなくて卵が欲しいんですけど。』っていうやつ。妄想がふつうになるとどうなるかっていう話だけど、ファイナンスで天然資源を担保にしたポンジ・スキーム(訳注:「チャールズ・ポンジ」をググってください)がふつうになっている。その天然資源がなくなったら銀行屋たちは我々の無意識界を担保にしようとしているんじゃないか?フェースブックとかソーシャルネットワークは人民を飼っているようなもんだ。大衆はフェースブックに参加して情報を書き込む。フェースブックはそれを転売してあっというまに4千億円企業になる。フェースブックは人々の考えを売って広告収入を得ている。リアルなモノじゃなくてバーチャルなものを取引する。そこにゴールド萬作がやってきてバーチャルリアリティー連帯保証つき社債を売る。人間は死んでもコンピューターシステムのどこかにミーム(訳注:遺伝子以外の習慣や技能や物語といった遺伝情報)が伝えられて生きて行く。どう思う?」

クリス「そうだね。ある日中性子爆弾が破裂して人間が全員死んでもコンピューターがフェースブックの株をトレードして株価を上げるんだろうな。3ヶ月ほどまえに『世界がプレイされている』という本を書いたんだけど、1928年のエドワード・バーネットのはなしにさかのぼる。いかに有効な広告を打つか?っていうのがテーマなんだ。1928年、すでに大衆に何を考えさせるかについて、さっき君がミームといったけれど、君が本当だと思ったことを人に語ったら本当だと思わせることができる。でもロシアが大統領選に介入したなんて話は、どこを探っても真実なんて出てこないのに本当だとおもわれている。フェースブックがあろうとなかろうと、それがすでに1928年に考えられているんだ。『世界がプレイされてきた』っていうのは、我々は自動車を売るように「アイデア」を売っている。これなら売れるぞっていうのを売るんだ。そして我々は消費するのが得意ときている。(フェイクニューズが流通していることの)希望的側面として、若い人たちが『そんなんありえない』って考えはじめている。古い考えが疑われ、捨て去られるけれど、それに代わる新しい考えがまだ出てきていない。でもそのうち必ず出てくるからね。(そこに希望がある)」

マックス「バーネットの話だけど、説得手法が近代宣伝手法になった。そこにはノーム・チョムスキーのモデルがいうように装置が必要だよね。マスメディアのような。フェースブックのような。データマイニングする無意識領域に、人々が自発的に個人情報やらインタラクションを提供している。それを無料でデータマイニングしている。まるで消火ホースの水を飲むようなもんだ。この流れを絶つことはできるのだろうか?」

クリス「絶対できるさ。」

第1040回につづく。

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