2017年3月5日日曜日

2月22日のゼロヘッジ抜粋

Donald Trump, Saudi Arabia, And The Petrodollar
Feb 22, 2017 8:30 PM

ニック・ジャンブルーの寄稿「トランプ、サウジ、ペトロダラー」
オバマが拒否権発動したのが8年間で12回。下院が再審議で拒否権を却下したのはたったの1度。それで9.11の犠牲者家族がサウジを訴える法的根拠が成立した。このままではサウジの在米資産が抑えられる可能性があるため、サウジは急いで資産を売却した。それまではアメリカ側が恐れる側だったのだ。サウジがペトロダラー協定をやめればドルは世界の基軸通貨としての立場を失うのだから。
オバマと違いトランプはサウジのアル・ワリード・ビン・タラールを名指しで批判した。サウジがクリントン基金に10〜25百万ドルといわれる寄付をしたからだ。サウジはヒラリーに賭けた最大のルーザーと言える。
サウジがトランプを嫌うのは、シリアの「穏健派」から手を引くと言ったからだ。つまりオバマがサウジの穏健派テロリストを支援していたのはペトロダラー協定ゆえだったのだ。トランプ政権はペトロダラーの終わりの始まりだ。
バーナード・ルイスのようなネオコンの言い草を引用するのはいやなのだが、壊れた時計でも1日2回は正しい時を刻むというではないか。
「KKKがテキサスを支配して産油権を手に入れ、その金でキリスト教原理主義の学校をあちこちに建てたとしよう。
サウジはワハビズムについて同じことをやっている。サウジがなければワハビズムなんてド田舎の狂信集団だったにすぎない。」
ワハビズムについてこれほど的確は描写はない。それがイスラム国、アルカイーダ、タリバンなどすべての過激派の信条ととなったのだから。いわばサウジはイスラム国が現実の国家制度という形をとったものなのだ。「サウジがイスラム国をつくった」というのは比喩でもなんでもない。
アラビアに3年間暮らしてわかったことだが、当地の人々はワハビズムなんて誰も信じていない。ところが世界規模となるとそれをよりどころにする人々が多いのだ。ひとつにはシーアのイランに対するものとしてサウジ・西欧がワハビズムを利用したということもある。
時あたかもスーチンはチェチェニアでスンニ派宗教指導者大会を開いて非ワハビー派を結集し、「ワハビズムはイスラムの危険なデフォルメである」との声明を出させることができた。その大会にはエジプトのアル・アズハルモスクのイマームの参加している。プーチンはスンニ世界でサウジをはみごにしようとしたのだ。それはサウジとアメリカの支援するムジャヒディーンのせいでソヴィエト軍がアフガンから追い出されたからなのかもしれないし、チェチェンのテロリストをサウジが支援していたからなのかもしれない。
この会議について報じた西側ジャーナリストは私の知る限りイギリスのロバート・フィスクひとりだが、彼いわく、
「もしスンニ世界ではみごにされたらサウジはどうなるだろう?」
同じように、もしサウジがはみごにされたらペトロダラーはどうなるのだろう?
私の見立てによると、サウジがどうなろうとペトロダラーはいずれ死ぬ運命なのだ。だから2017年の最大のブラックスワンはペトロダラーの死と言いたい。インデックスはゴールドの国際価格だろう。ドルに賭けないことをお勧めする。
もうひとつ、ひどいインフレになるだろう。
アメリカ人はドルが基軸通貨であるがゆえに何をしても食ってこれた。しかしそのステータスがなくなったらどうなるだろう?アメリカ政府はあらゆる資産を国有化しようとするかもしれない。個人の私有財産も含めて。どうなるかは誰にもわからない。私がアドバイスできるのはペトロダラーの崩壊に備え自己防衛をしておいたほうがいいということだ。

Exxon Cuts Reserves By A Record 3.3 Bilion Barrels As Oil Crash Finally Takes TollFeb 22, 2017 6:29 PM
原油価格が上がらないのでエクソンモービルが置換率を変更 => 確認埋蔵量が33億バレル減少

昨年9月にも書いたのだけれど、原油価格が崩壊して2年もたったのにエクソンモービルがなぜか総資産額を下方修正しなかった。それは世界トップ40の上場エネルギー企業のうちなんとかまともに操業している(当時の社長レックス・ティラーソンはいまや国務長官)から、とニューヨーク州司法長官が裁定したから、という話だった。
たしかにシェブロン、ロイヤルダッチシェル、トータル、BPなどが軒並み資産価値下方修正せざるをえなかった2014年にエクソンだけは大丈夫だった。ティラーソンはいったもんだ:
「下方修正なんてしないよ。下方修正なんかで救済されたつもりになるな、と業界全員に言いたい。」
ところがティラーソン氏が会社を辞めたこともあるのだろうけれど、今日(2月22日)にエクソン史上最大、33億バレルの下方修正。現行価格では5年で減価償却できない油田、ということだ。

Biggest Gasoline Glut In 27 Years Could Crash Oil MarketsFeb 21, 2017 3:53 PM
原油史上で過去27年最大のガソリン在庫

OPEC合意で原油価格がちょっとはマシなレベルに落ち着いていますが、(アメリカの)ガソリン在庫が過去27年間(ということはEIAが在庫統計をはじめた1990年以来)最大量だそうです。たとえば原油在庫が多いのであれば製油所がリハビリゆえ操業停止しているなどの理由があるかもしれないので、ガソリン在庫の場合とは異なります。ガソリン在庫は259百万バレル。在庫の理由のひとつは生産過多。なんで生産過多かといえば、そんなけ需要があったから。いまになって需要が急落したということです。落ち込み量は1月で8.2百万バレル。前年同月比で4%の販売減。
さて製油所が減産となるとこんどは原油が余ります。原油が余ると価格が下がります。原油価格が下がるとシェール業者が汲み出しをやめる・・・。

Bitcoin Soars Above $1100, Near Record Highs As Chinese Bypass CrackdownFeb 21, 2017 12:31 PM
ビットコインが1100ドルをつけたそうです。ご存じビットコイン市場は(現状)中国にしかなく、その中国では当の規制により取引をやめたばかり。しかしさすがチャイニーズ。ピア2ピアで取引をやっているそうです。

Satyajit Das Warns Financial Engineering "Has Masked The Global Economy's Precarious Health"Feb 21, 2017 10:31 AM
サティアジット・ダスいわく金融工学はグローバル経済の不安定さを覆い隠すと云々。
市場が活性化すると金融工学が出てくる。超低金利で資金が手に入ると社債市場はさや取りと節税目的の売買ばかりになる。企業が「価値」を創出する手段はM&Aとリストラ。つまり金は大企業、銀行、コンサルの間を往来するだけになる。
自社株買取による増配も借金をして株高を演出しているにすぎない。リーマンショック前の2008年1月、アメリカ企業はキャッシュフローの40%を自社株買取に使っていた。今の状況とそっくりだ。
世界各国に会社をもつグローバル企業は法人税のさや抜きもやっている。アイルランドはその舞台のひとつだ。
原油会社は資源市場での投機で儲けている。価格が上がろうが下がろうがどっちにせよボラティリティーなるものが儲けのネタになるので、原油を汲み出しても汲み出さなくても儲かる仕組みになっている。
賢人ウォーレン・バフェットだって金融工学を使っている。バークシャーの手法はフリーフロートなる保険を使う。同社は国際株価指標を使ったオプション、アメリカ企業のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、そして地方自治体債権保険を売って投資資金を膨らませた。いずれも将来のコンティンジェンシー(予測不可能な事態)の際に補償金を出すかわりにキャッシュを前金でもらうというやり方。バークシャーはリスクに対し連帯責任を問われないし、リスクそのものは出てくるかどうか見えない。リスクが顕在化しないまま契約満期になったときだけ金を支払えばいい。
つまりリーマン前と状況はまったく同じなのだ。
政府ですら金融工学を使う。以前の財政方針は景気浮揚が目的だったのだが、いまやゼロ金利が富の偏在と階級格差を助長している。
そろそろ政財界そろって本当の問題、つまり借金、停滞、スタグネーション、低い生産性、老人大国化、格差、リソース偏在、環境などに取り組むべきじゃないのか。

Richard Breslow: "How Much Central Bank Money Has Poured Into The S&P 500?"  Feb 21, 2017 9:46 AM
いったいどれくらいの金が中銀からS&P500社に流入したのか?ゼロ金利が特定巨大企業のため以外の何の役に立ったのか検証すべき時じゃなかろうか?

Philadelphia Soda Tax Leads To 30-50% Plunge In Sales, Mass LayoffsFeb 22, 2017 4:15 PM
2016年夏にフィラデルフィア市が「ソーダ税」を導入して以来ソーダの売り上げが3割から5割減り、カナダドライ社の従業員の2割が解雇された。清涼飲料水10パックなら税率は51%。それ以外に収消費税6%、市消費税2%があったので、6ドル47セントだったソーダが9ドル75セントになった。ソーダ税が課されたので消費者は課税されないところまで出かけてソーダを買うようになった。ソーダの売り上げがゼロになったところもあったとのこと。

Taiwan Joins Global War On Cash: Plans To Ban Purchases Of Houses, Cars, & JewelryFeb 22, 2017 8:55 PM
台湾も対キャッシュ環球戦争に突入。不動産、自動車、宝石は売買禁止になるかもしれない。いわゆるマネーローンダリング対策。
この対キャッシュ戦争は西欧にはじまり、トランザクションの68%がキャッシュといわれるインドに波及。それがついに台湾に上陸。現状では50万元(72千ドル=864万円)を超える取引はレシート保管が義務付けられるというだけで対価支払い方法に特段の制限はない。今後はどうなりそうかというと、フェーズ1として
1. 大量のキャッシュが動くとテロ認定される。
2. 当局への申告なしに動かせる金額が制限される。
3. 金額の寡多にかかわらず銀行カードでの支払いが望まれる。
4. 不必要なキャッシュを蓄えると疑われる。

以上。

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