2022年12月14日水曜日

石油の闇市が活況を呈している

https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/The-Black-Market-For-Oil-Is-Booming.html

By Tsvetana Paraskova - 12月 11, 2022, 4:00 PM CST

・主要な石油輸出国への制裁は、原油の有利な闇市場を生んでいる。

・EUによるロシアの原油輸入の禁輸措置とロシア産原油の価格上限は、原油の不法輸送をさらに増加させることになりそうだ。

・ロシアはすでに、原油の価格上限規制の枠外で原油を輸送するために、タンカーの「闇の船団」を構築していると考えられている。

ベネズエラ、イラン、そして今回のロシアの石油輸出に対する制裁は、あまり慎重でない船主、船会社、貿易業者が、リスクを冒してでも買いたいと思う人たちに制裁された石油を売り続ける、有利な水面下での石油取引を生み出した。

EUによるロシア産原油の輸入禁止と、12月5日から実施されているロシア産原油の価格制限により、EUやG7以外の、いわゆる価格制限連合に参加していない国への原油の不正輸送がさらに増加するとみられている。 

ロシアはすでに、価格上限規制の範囲外で石油を輸送するためにタンカーの「闇の船団」を集めていると考えられており、イランやベネズエラのやり方を参考にして、大量の原油と製品の輸出を続ける。ロシアは、石油を他の場所から調達していると表示したり、タンカーのトランスポンダをオフにしたり、自動識別システム(AIS)のデータを使ってタンカーの位置を改ざんし、偽の位置データから数百マイル離れた場所で行われている活動を隠すという戦術を使っている可能性がある。

様々な偽装工作を行うことで、制裁を受けた石油の生産者と販売者は、依然として、大幅に値引きされた原油を喜んで入手する買い手に製品を送ることができる。

すべての買い手、特に米国のように厳格な管理とチェックを行う地域の買い手が、貨物の原産地に関する懸念や赤旗を捨てようとするわけではない。他の買い手、特に中国の独立系精製業者は、低価格の原油を購入し、それを精製して良い利益を得ることを平然と優先する。世界最大の石油輸入国である中国は、イラン産やベネズエラ産の原油を購入し続けており、その多くはマレーシアやオマーン産の原油として偽装されていることが、過去数年のさまざまな分析や調査報告で明らかになっている。

中国以外の国でも、買い手は制裁下に置かれることを警戒し、ふつうは出所の疑わしい原油を避けようとする。

最近の事例では、米国メキシコ湾岸精製業の中心地であるヒューストン地域のバイヤーにオファーがあった。サイドウォークス・ホールディングスのトレーダー、ジョナサン・プレメル氏は最近、メキシコ産とされる重質原油をオファーされたが、米国のベンチマークに対してバレル当たり30ドルという大幅なディスカウントで提供された。ブルームバーグは今週、プレメルとヒューストン地域の他のトレーダーが過去1年間に同様のオファーを受けたと報じている。

プレメル氏はブルームバーグに対し、原油の原産地について確信が持てず、買い手からの多くの質問にも答えられないと語った。

「この原油は、メキシコの廃坑で採掘されたものなのか?ベネズエラのものなのか?正直なところ、言えません。」

ベネズエラは、イランとつながりのある偽の書類とタンカーを使っており、過去に制裁対象のイラン産原油を運んだことがある。ベネズエラは中国の精製業者に石油を売り、それをマレーシアの原油と偽って書類に記載していることが調査でわかった。

マレーシア海域では、イランやベネズエラの原油の原産地を隠すために、船から船への移送や原油の混合が行われている。今年、中国の税関のデータでは、マレーシアからの輸入が非常に多いため、アナリストやオブザーバーは、中国がオマーンやマレーシア産に見せかけた制裁原油を輸入していると考えている。

ロイターが引用したボルテクサのタンカー追跡データによると、先月、中国の独立系精製業者は、マレーシア、オマーン、またはその他の産地と偽って、記録的な量のイラン産原油を輸入した。

ロシアもまた、原油の偽装や位置情報の詐称など、制裁逃れの手段をとることが増えるだろう、とアナリストは言う。ロシアはすでに、原油を価格上限の範囲外で輸送するためのタンカーの「影の船団」を集めており、モスクワの「友好国」リストに載っているイランやベネズエラが使う手法の一部を真似ているという。

ベネズエラの原油を運ぶタンカーは、過去1年間に位置を改ざんしていたことが判明している。今年の夏には地中海でロシア籍のタンカーがAISを改ざんしていたことが、グローバル・フィッシング・ウォッチとスカイトゥルースの調査により明らかにされた。

ロシアのタンカー「カピタン・シェミルキン号」の動きを調査した結果、同船は信号を改ざんし、ギリシャ沖を周回しているように見せかけ、実際にはマルタやキプロス付近を移動していた。

「ロシア船籍のタンカーが虚偽の座標を放送しているのを発見したのは初めてであり、今後、数多く発見される可能性がある。」 

ツベタナ・パラスコバ著 油価.com

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