2023年7月18日火曜日

中国の「アジア統一」が難航する理由

https://www.rt.com/news/579407-china-united-asia-problem/

2023/07/17 07:36

汎アジア主義を阻む真の問題はイデオロギーではなくナショナリズム

政治アナリスト ティムール・フォメンコ 記

中国のトップ外交官、王毅は最近、日本と韓国に対し、欧米からの「戦略的自立」の感覚を養い、北京と協力して「アジアの活性化」に取り組むよう促した。

「どんなに髪をブロンドに染めても、どんなに鼻筋をシャープにしても、欧米人にはなれない。」

アジアはアジア人のものであり、共に働くべきである。北京が描くアメリカは、アジアには関係のない、望まれない第三者的な『外部』の国であり、その結果、この地域の平和、繁栄、安定を乱す存在である。

ただし、そう単純な話ではない。アメリカの同盟国である韓国と日本の目には、アメリカのいないアジアは中国に支配されたアジアであり、正確に言えば、すべての東アジアが「中国」の属国として北京を中心に回っていた19世紀以前の「中国中心主義」に戻ることになる。両国やその他の国々の近代ナショナリズムのエートスにおいて、これは容認できない。それゆえ、アメリカは彼ら自身の特権を獲得する手段として、「招かれる。」

自決

アメリカの外交政策と覇権主義は、「自決」という規範、つまり他国に支配されるく自由であるべきだという考えを武器に繁栄した。アメリカは自らをすべての自由な国々の保護者として仕立て上げ、見返りとして相互の便宜を図る同盟関係を構築し、自国の地政学的嗜好を特定の地域に投影する代わりに、特定の国家の独立を支援する。

例えば、アメリカは北朝鮮に対抗して韓国を支援し、その結果、この地域における軍事的プレゼンスを獲得した。同様に、アメリカは中東の敵に対してイスラエルを支援し、この国がワシントン自身の利益のための「パワー・プロジェクション」の手段となることを認めた。これはアメリカがヨーロッパで影響力を得るために適用してきた論理である。ワシントンは、大国間の対立を助長することができれば、自国の必要性を作り出すことで覇権を永続的に維持できると認識した。アメリカは危機(朝鮮半島の分断や中国本土からの台湾の孤立など)を作り出し、その解決策として自らを売り込む。

あるいは、日本、イタリア、ドイツなどのライバル帝国を征服し、その後、自国の特権を維持することと引き換えに、自国の同盟システムに組み込む。

アジアのナショナリズム

偶然にも、アジアはヨーロッパよりもはるかにナショナリズムの激しい地域である。その理由は、たとえ民主主義国であっても、そのイデオロギーが普遍主義的でなく、「価値観の共有」を前提としていないからである。植民地支配の歴史と近隣諸国との未解決の紛争が相まって、アジア諸国には安全保障と防衛意識が強く残った。「共通の遺産」を受け入れるという考えとは対照的に、愛国心が強い。

例えば、ヨーロッパ諸国は自分たちの遺産や文化がギリシャやローマの古代文明に由来していることを気にしているか?もちろんそんなことはない。これは「ヨーロッパ人」共通の感情だ。しかしアジアでは、文化的遺産を共有するという考えは、それが明白であってもタブーである。韓国人は、中国が自分たちの文化を主張したり、自分たちが発明したと主張したりするたびに、怒りで反応する。

20世紀以降、韓国は中国中心主義という歴史的概念を否定し、代わりに自国の民族主義的例外主義を強調してきた。従って、中国への従属は韓国人のアイデンティティに反するが、アメリカとの同盟はそうではない。同様に、日本も中国中心主義を受け入れない。日本は自らをライバル帝国とみなしており、かつては「東アジア繁栄圏」として知られる独自のビジョンをアジアに押し付けようとしていた。

両国は、地政学的な影響力と特権を与えてくれるアメリカを事実上「招き入れ」、自国のプライドが中国への従属を拒んでいる。南側のベトナムは、厳密には米国の同盟国ではないが、かつて中国に支配された経験から、中国中心主義という考え方を否定する。ナショナリズムは「アジア人のためのアジア」というコンセプトの障害となる。だからこそ、韓国と日本のように、アメリカの同盟国でありながら互いに敵対する2つのアジア諸国ができる。

この配置の裏返しとして、米国が東アジアで重複する同盟システムや東部NATOユニットを作ることも難しくなる。欧州大西洋地域では、NATOは「価値観の共有」の名の下に西洋的普遍主義を利用して機能した。しかし東アジアでは、それぞれの国がそれぞれの国のために存在するため、単純に適用できない。中国はもちろん、アメリカを追い出すために、価値観の共有という意味での「アジア性」の概念を作り出したいと望んでいるが、まったく効果がない。清朝の朝貢体制への回帰ではないことを説得するには、もっとうまくやる必要がある。そうでなければ、アメリカはその存在を維持するために、この分裂を永久に利用する。

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