2023年7月22日土曜日

西側が供与した兵器がウクライナで盗まれていたという報告書

https://sputniknews.jp/20230721/16604303.html

2023年7月21日, 19:15

2022年、ウクライナに供与された西側の兵器の一部が武器商人によって盗まれた。米CNNが米国防総省の監察総監の報告書を引用して報じた。報告書は2022年2月から9月までの状況を網羅している。

CNNによると、昨年6月、人道支援使節団のスタッフを装った犯罪組織が約1万7000ドル(約239万円)相当の防弾チョッキを盗んだ。同年8月には義勇兵大隊の兵士らによってライフル銃60丁と薬莢1000個が盗まれた。闇市場で売るためだったとみられている。なお、犯罪者らの試みはウクライナの諜報機関によって阻止されたという。

一方、報告書によると、ウクライナは米国から供与された軍事装備の最終使用について、義務づけられた監視を実施できなかった。また米国は、ウクライナ国内にいる「米国の人員に限りがある」ため、武器輸出管理法に従ってすべての装備の追跡および監視を行うことができなかったという。

ウクライナ軍の兵器が闇市場に

ウクライナから闇市場に兵器が流出し始めたのは、紛争が始まった2014年。西側の兵器は欧州を経由してアフリカや中東に運ばれ、そこでイラク、シリアまたはリビアなどの紛争地域に流出、あるいはテロリストや犯罪組織の手に渡る。専門家らによると、現在市場で「最も人気がある」のは対戦車ミサイルシステムと携帯式防空ミサイルシステムだという。

米国の著名な報道記者でピューリッツァー賞を受賞したこともあるシーモア・ハーシュ氏は今年4月、西側はウクライナ軍に供与された兵器が闇市場に流れていることを知っているが、西側メディアは黙り込んでいると語った。

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損傷したウクライナの兵器修理

2023年7月21日, 20:14 (更新: 2023年7月21日, 22:35)

ウクライナ軍は目立った成果が出ていない反転攻勢で、すでに数百もの西側諸国から供与された軍事車両を損失した。一部は完全には破壊されず修理可能となっているが、この作業が西側諸国にとっては「悪夢」となる。米国防総省の元高官がスプートニク通信に対し語った。

修理待ちの破損戦車

米政治専門誌「Politico」はこのごろ、米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)諸国によるウクライナ支援の主軸が、「軍備の供与」から「修理と保全」に移ってきていると指摘した。同誌は、国防総省の兵站補給責任者の話として、米国が欧州に修理拠点の設置を模索していると伝えている。

同誌は一例として、ドイツとポーランドが共同で進める戦車「レオパルト2」の修理拠点の建設計画を挙げている。だが、これまでに伝えられているところによれば、コスト面で合意が得られず交渉は決裂。修理を待っている間、壊れた戦車は使えない状態となっている。

米国防長官府の元安全保障政策アナリストで軍事専門家のミカエル・マルーフ氏は、スプートニクに対し次のように語る。

「戦場の至る所にウクライナ軍の破損した装備が転がっている。修理はできるが、彼らは蓄積したそれらをどう処理していいか知らない。」

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困った「鉄くず」の山 破壊車両の修理が間に合わない

2023年7月22日, 03:13

米国とEUは当初、ウクライナには旧式の軍事機器を送り、修理して使えるだろうとふんでいた。ところがウクライナの領域にはこうした修理を行うために条件はなかった。「鉄くず」の山はウクライナと隣り合う東欧諸国にも手に負えなかった。ウクライナ用の軍備が米国とEUにとってなぜこれほど法外な出費となり始めたのか。その理由をロシア人軍事アナリストのミハイル・オヌフリエンコ氏と、軍事アナリストで米ポリティコ紙のコラムニスト、ポール・マックリーリー氏のふたりが説明している。

マックリーリー氏はロシアのマスコミからの取材に次のように語っている。「欧米は最初から、いずれは修理するつもりの軍事機器をウクライナに送っていた。ところが修理は簡単にはできないことがわかった。例えば戦車はウクライナでは全く修理が不可能だった。必要なインフラがないからだ。その結果、大問題になったのが修理を請け負うことのできる国探しだ。実は、戦車修理に必要な工場は欧州のどこの国にでもあるというわけではない。レオパルト(編集:独戦車)はポーランドに送られ、米国、英国製の戦車はバルト諸国に送られたが、そこでもすでに、次々入ってくる『鉄くず』の山を処理しきれなくなっている」

オヌフリエンコ氏も、ウクライナの歩兵戦闘車と戦車にかかる費用は巨額だと指摘している。とはいえ、ウクライナ軍は欧米からもらった軍備に関しては、大砲の餌食と化している自国軍の兵員とは異なり、大事にしようと頑張ってはいる。結果的に西側諸国は損傷をうけた戦車を修理する工場を新たに地域に建てるため、投資を迫られている。ところが、オヌフリエンコ氏によれば、欧米がウクライナに渡した装甲車両のほぼ30%が戦闘で破壊されただけでなく、多くの車両が戦闘で使用される前の段階ですでに使い物にならなくなってしまっている。これはウクライナ軍が使用上の注意を守っていないためだという。

米国、EUはウクライナ軍が供給車両を正しく使いこなせないのではないかと、これまで何度も憂慮を表してきた事実が、反攻という段になって明らかに先鋭化してしまったことは、マックリーリー氏も強調している。マックリーリー氏は、ウクライナにはかなりの数量の西側の軍事機器がたまっているが、それは全て、使える状態に保つために常時手入れを必要としていると指摘している。

マックリーリー氏は、軍事機器は修理のために大量にポーランドとチェコに送られているために、戦線へ再び戻るには「遠い道のり」を克服せざるを得ないと書いている。しかも、壊れた軍事機器の修理はさらに官僚主義の壁にも阻まれた。米独はウクライナへ供与したレオパルト戦車の修理・サービスセンターの開設を未だに決めていない。マックリーリー氏は米国防総省の高官からの匿名情報として、西側はやはり、ウクライナには新品を供与するよりも、すでに供与した機器の修理を開始する方を選んだと書いている。

スプートニクは、米国がウクライナへの軍事供給を満たすために韓国で通常兵器用の砲弾の買い占めを迫られている事実を報じている。

ウクライナ支援が抱える構造的問題

さらに修理拠点の建設や、損傷した車両を運び、修理する費用、部品の入手などを考慮すると「問題に取り組むのは困難だ」とマルーフ氏は続ける。ウクライナはほぼ全ての装備を、西側の様々な国からの異なるタイプの武器供給に頼っている。これら装備の修理に関する全工程を、西側諸国が協調して取り組めるかという課題については、「そのプロセスは悪夢になるだろう」と指摘している。

「このことはすでに複雑になっている問題に、さらなる複雑性を与えることになる。NATOと米国がすでに抱えている供給面での負担に、さらなる修理・輸送面での悪夢が加われば、立ち行かなくなる」

米国はすでにウクライナ軍が利用可能な軍事装備をかき集めるために、世界中を駆け回っている。だが、これは世界の他の地域における米軍の即応性を犠牲にすることにつながりかねない。マルーフ氏は次のように締めくくっている。

「すでに米海軍は、装備品の一部のウクライナへの供給を余儀なくされたことに危機感を持っている。すべての行動には結果が伴う。非常に慎重に比較検討する必要があるが、まだこの作業が終わったとは思えない」

これまでに米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、ウクライナの反転攻勢開始からわずか2週間で、西側諸国が供与した兵器の最大で2割が損傷、または完全に撃破された可能性があると伝えた。

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ウクライナへ供与の米ハイマースの可能性は「尽きた」

2023年7月22日, 09:09

ロシア軍はウクライナの戦闘区域で多連装ロケットランチャー「ハイマース」に対抗する方法を見つけた。軍事専門家のフランク=ステファン・ガディ氏は米国のオンラインジャーナル『War Zone』からのインタビューでこう語った。

ガディ氏は、「ハイマースのステイタスをウクライナ軍はほぼ神話化したが、ロシアはこれらに対抗する方法を見つけた」とし、ロシア軍の防衛は梯団的な要素と、防空と対ミサイルが組み合わさっており、「おそらくこれがミサイルの有効性を下げたようだ」と指摘している。

ガディ氏の意見では、ウクライナにおける米国の多連装ロケットランチャー「ハイマース」 の可能性は「尽きた」。ガディ氏は、長距離地対地ミサイルのMGM-140 ATACMSもやがてハイマースと同じ運命をたどると語る。それはMGM-140 ATACMSもハイマースと全く同じスキームで機能するため、ロシアの防空システムは簡単にその有効性を低げることができるからだ。そうなれば、高価なミサイルを使う意味はなくなる。

ガディ氏は、長距離精密誘導弾をはじめとする、さらなるウクライナ軍事支援計画を実現化する前に、この要素を念頭に置くよう米指導部に助言した。

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