2026年1月8日木曜日

マイケル・ハドソンとグレン・ディーゼン:産業空洞化と強制の時代

https://michael-hudson.com/2026/01/deindustrialisation-meets-coercion/

対談(2026年1月7日)

グレン・ディーゼン: お帰りなさい。今日はマイケル・ハドソン教授と一緒に、米国の国家安全保障戦略と、第二次世界大戦後の経済秩序がバラバラになっていく現状について話していこう思うてます。教授、今日もよろしく。

マイケル・ハドソン: 呼んでくれておおきに。毎週毎週、話がどんどん進んでいくな。

グレン・ディーゼン: ほんまやね。学者言うんは普通、今の出来事を追うのにそんなに時間使わんもんやけど、最近は週単位で起きるこの巨大な変化を見極めるだけで手一杯や。世間ではトランプの性格が原因やとか言うてるけど、実際はもっと大きな、経済秩序の土台そのものが崩れとる話や。まずは、経済の視点からこの新しい「国家安全保障戦略」をどない見てるか教えてもらえるかな。

マイケル・ハドソン: まあ、その戦略書にはほんまの戦略は書いとらんわな。米国の外交官が「自分らの国を一番にするために、あんたらの経済を犠牲にしろ」なんて正面切って言うわけない。ドイツやヨーロッパ、日本、韓国に対しても「自分の国やなくて米国を第一に考えろ」言うてるんや。これは1945年に米国自身が作った過去80年の経済秩序を、自分らでひっくり返しとるようなもんや。

1945年当時、米国は圧倒的な工業力を持ってたし、1950年には世界の金の8割を握る通貨大国やった。世界中が米国の助けを必要としてたし、米国はイギリスやフランスの帝国をバラバラにして吸収することで利益を得てきたんやな。

私の著書『超帝国主義(Super-Imperialism)』でも書いたけど、当時のイギリス議会では「米国の言う『自由貿易』は、結局は米国が全部持っていく仕組みや」って見抜かれとった。でも当時は、自由貿易と投資さえあれば世界は安定して、借金も返せて、みんな一緒に幸せになれるっていう「お花畑なイデオロギー」が信じ込まされとったんや。でもそんなんは幻想やった。今の米国がどないなっとるか、当時は誰も想像してへんかったわな。

今の米国は、昔は自分のとこで作ってた工業製品を外国に頼りきりや。財政的にも依存しとる。1950年の朝鮮戦争以来、軍事費を海外で使いすぎて、ずっと国際収支が赤字や。世界中にドルを垂れ流しとる状態やな。

他の国はこのドルを溜めて、昔は金(ゴールド)に換えてた。フランスのドゴールやドイツなんかは、東南アジアで使われたドルを回収して金に換えてたんや。私が1960年代にチェース・マンハッタン銀行で働いてた頃は、毎週金曜日になれば「どれだけ金が流出したか」をチェックしてた。1967年頃にはもう、米国が金本位制を維持できんようになるんは目に見えてた。

で、結局米国は金本位制をやめた。そうなると、外国の中央銀行は持ってるドルを金に換えられん。しゃあないから、米国の外交官に圧力をかけられて米国債を買わされることになった。つまり、米国が世界中で軍事基地や戦争に使ったドルを、また米国に還流させて赤字を穴埋めさせてるんや。これで米国は「身の丈に合わん生活」を続けて、産業を空洞化させてきた。

今回の報告書が認めてるのは、1945年に作った「自由貿易」や「国家主権の平等」いう国連の原則が、もう米国の利益にならんということや。

だから、彼らは「西洋の価値観」と言いながら、実際は強制的な手段を使い始めた。トランプ以前からあった手口は「石油の支配」や。エネルギーを握れば、逆らう国のスイッチを切れるからな。米国の政策は平和な秩序を作ることやなくて、ロシアや中国との戦争、あるいは対立の準備や。報告書には書かんけど、本音は「石油を握って、言うこと聞かんドイツとかを困らせてやりたい」いうことや。ITやチップ、SNSも全部独占したい。ヨーロッパに米国企業への課税なんかさせとうない、特権が欲しいんや。

「自分らで産業も財政も支えられんのなら、他の国に支えさせればええ」というのが米国の考えやな。

一番の問題は、この報告書が「他国に強制的な仕組みを押し付ければ、ドイツやフランス、日韓の産業が勝手に米国に移転してきて、米国を再工業化してくれる」いう都合のええ前提に立っとる点や。なぜ米国が空洞化したのか、なぜ工業投資より金融で金を転がす方が儲かるようになってもうたのか、その根本的なダイナミクスを無視しとる。

ヨーロッパやアジアが直面しとるのはそこや。今日のフィナンシャル・タイムズを見ても、ヨーロッパは「米国の金融経済はAIバブルや借金まみれで、もうすぐ弾けるんちゃうか」って怯えとる。トランプはサッチャーやレーガンと同じ道、つまり規制をぶっ壊して投資家や消費者を守るルールをなくして、弱肉強食にするつもりや。

私の知ってる経営者らはみんな「大暴落が来る」言うてる。報告書によれば、米国には「アメリカ・ファースト」の秩序を無理やり固めるために、あと3年しかない。

ヨーロッパではマクロン(仏)、スターマー(英)、メルツ(独)といった米国の強力な支持者らがおるけど、彼らの支持率はどん底や。彼らが進める政策のせいで経済が犠牲になってるから、有権者は怒っとる。でも、あと3年は選挙がない。その間に米国は、この「一国総取り」の新しい経済秩序を固定しようとしとるんや。

犠牲になるんは、いつものように米国の「親密な同盟国」や。西欧、NATO諸国、日本、韓国、そして豪州。中国やアフリカ、グローバル・サウスの国らを従わせるのは難しいからな。

報告書も、世界が勢力圏に分裂するんは避けられんと言うとる。せめて中南米だけは米国の支配下に置いておきたい。トランプが「ラテンアメリカは俺らの領土や。軍事独裁でもクライアントでも、俺らが支配する」言うてるんはそのためや。

中国やロシアに対しては「あんたらの勢力圏にいろ」と言いながら、自分らはユーラシアやアジアに首を突っ込み続ける。日本を仲間に入れて「民主主義の多数派」を演出しようとしとるけど、これも見え透いとるな。中国やロシアは「自分らは南米から出て行け言うくせに、自分らはフィリピンや台湾、日本で俺らを包囲しとるやんけ」ってなるわな。

トランプの「モンロー主義」は、自分らは他人の縄張りを荒らすけど、他人は俺らの縄張りに来るないう、自分勝手な理屈や。米国が唯一の超大国であり続けるなんてのは幻想やけど、報告書はそれを認めん。その代わり、ヨーロッパに「ロシアと戦争する準備に金を使え」とそそのかしとる。

今どき、歩兵もなしに他国を占領するなんて無理や。でも米国は、1945年以来ずっとやってきたように、他国の選挙に介入して自分らに忠実な政治家を操ることで支配を続けてきた。

今、彼らが作り上げた「フランケンシュタインの怪物」みたいな傀儡政治家らは、自動操縦で「ロシアと戦え」と叫んどる。ロシアとの貿易を切ったせいで仕事がなくなったから、社会保障を削って軍需産業で雇用を作ろうとしとるけど、これはもう無茶苦茶や。

結局、トランプの政策は他国に「短期的な利益か、長期的な破滅か」の二択を迫っとる。「トランプの関税を下げて米国市場に入りたければ、ロシアや中国への制裁に加われ。おまけに主要な工場を米国に移転しろ」とな。

従わんかったら失業と倒産が待っとる。でも、従ったら中国やロシアといった成長市場との縁が切れる。政治家は目先の2、3年のことしか考えんから、ヨーロッパのリーダーらは結局、自分らの国を米国に売り渡す道を選んどるんや。1945年と同じ「米国第一」の秩序やけど、今回は「多国間」やなくて「米国一国が勝って、他は負ける」というゼロサムゲームや。

米国の夢は、ロシアへの制裁を解くフリをして、また1990年代のエリツィン時代みたいにロシアを食い物にすることや。でもそんなんは幻想やな。ロシアの人らは爆撃されればされるほど、指導者の周りに結集する。トランプの「他国は俺に降伏するしかない」いう考えは、ただの思い上がりや。

グレン・ディーゼン: 面白いね。第二次大戦後の米国はもっと寛容やった。西ドイツを東ドイツより豊かにし、台湾や韓国を共産圏より繁栄させる戦略的理由があったからや。でも今は、同盟国を豊かにするインセンティブが米国にはないみたいやね。

ヨーロッパのリーダーらは「価値観の共有」とか「不変の友情」とか言うてるけど、米国の戦略書を見れば、彼らはヨーロッパを単なるサテライト(衛星国)としか見てへん。ヨーロッパのリーダーらはまるで第二次大戦のコスプレをしてるみたいや。「プーチンはヒトラーや、倒せば黄金時代が来る」なんて言うてるけど、やってることは民間船への攻撃や資金の不当な凍結や。ルールもへったくれもない。彼らは勝てへん戦争に突き進んどるように見えるんやけど、教授はどう思う?

マイケル・ハドソン: あんたの言う通り、第二次世界大戦がまだキーワードや。米国は世界を「第二次大戦のやり直し」に引きずり込もうとしとる。でも今回は、ロシアを敵にして、かつてのナチスみたいな連中と組んどるんやな。フォン・デア・ライエンやカラス(EU外相)みたいに、ナチスの背景を持つ一族の出身者が要職におる。

米国は結局、「ナチスのロシア嫌いは正しかった」「日本の中国侵略は正しかった」と言わんばかりの連中を支援しとる。ウクライナのネオナチ勢力を支え、日本でも右翼勢力を持ち上げて社会主義を叩かせてきた。

今、日本の女性リーダーは中国との戦争準備をしとるみたいやし、米国は「最後の台湾人が死ぬまで戦え」「最後の日本人が死ぬまで戦え」と言わんばかりに島々にミサイルを置こうとしとる。これはナチス同盟の再来や。

でも、第三次世界大戦は歩兵の戦いやない、ミサイルの戦いや。プーチンは「俺らの敵はウクライナやない、西欧や」とはっきり言うとる。ウクライナはただの戦場に過ぎん。スターマー、メルツ、マクロンといった連中がミサイルを送ってロシアを攻撃させとるんなら、ロシアは当然、その供給元を叩く。

プーチンは「ミサイルを作ってる工場や発電所を爆撃する」言うとる。ヨーロッパが最後のヨーロッパ人が死ぬまで戦うつもりなら、その戦争は一瞬で終わるやろうな。交渉相手がおらんようになるからな。西側メディアは「ロシアは弱っとる」言うてるけど、それは全部嘘や。

結局、ヨーロッパは自分の首を絞めとる。ドイツの産業や技術を米国に移転させれば、ヨーロッパはBaltic諸国(バルト三国)みたいに人口が激減して、産業が消えて、最後には「空港の電気を消して出ていく」ような状態になる。

実際、EUは崩壊に向かっとるわな。イタリアやハンガリーが離脱を考えとる。ウクライナに送るいう金も、実際は自分らの軍需産業を潤すためか、現地の汚職役人のポケットに入っとるだけや。

グレン、あんたの番組に出るゲストが毎週新しい事実を明かしとるように、この状況は非常に不安定や。いつ「事故」が起きてもおかしくない。

グレン・ディーゼン: 米国は「代理人に戦わせて、疲弊したところで自分が乗り込んで結果を支配する」いう昔のイギリスみたいな戦略を狙っとるんやろうけど、ロシアはそれを見越して「本気の戦争」の準備をしとる。ミサイル(オレシニク)を量産し、「ヨーロッパが参戦するなら手加減せんぞ」と警告しとる。

ヨーロッパのリーダーらは「自分らがエスカレーションをコントロールできる」と思っとるみたいやけど、それは災害への近道やな。最後に、経済以外で何か一言あるかな?

マイケル・ハドソン: 米国は第二次大戦で疲弊するどころか、強くなって出てきた。今のロシアも、ウクライナ戦争を通じてNATOより急速に成長しとる。ロシア経済が崩壊しとるなんてのは、米国の国務省が認めたくないだけの作り話や。

米国の国家安全保障報告書の問題は、現場のCIAとかの調査員がロシアの演説や現実を正しく伝えても、上の連中がそれを聞こうとせん官僚的な病にあることやな。

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